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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z41 |
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管理番号 | 1377960 |
審判番号 | 取消2020-300647 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2020-09-16 |
確定日 | 2021-08-30 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4271599号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4271599号商標の指定役務中、第41類「放送番組の制作」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4271599号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成9年8月21日に登録出願、第41類「放送番組の制作」を含む、第9類、第16類、第25類、第35類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成11年3月19日に登録査定、同年5月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判の請求の登録は、令和2年(2020年)9月30日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成29年(2017年)9月30日から令和2年(2020年)9月29日までを以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べた。 1 請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが第41類「放送番組の制作」(以下「請求に係る指定役務」という。)について使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 乙第2号証の1ないし乙第3号証は、被請求人の運営するライブハウス「Zepp Divercity Tokyo」において開催されたライブパフォーマンスに係る動画が、インターネットにてストリーミング形式による動画配信等を行う株式会社AbemaTVによって、インターネット上にてストリーミング形式により配信されたことを示すものである。 これらの資料から、被請求人がライブパフォーマンスの開催場所を提供したことがうかがえるものの、このライブパフォーマンスに基づいて被請求人が放送番組を制作し、それを株式会社AbemaTVへ提供したか否かは明らかではない。 そのうえ、放送番組の制作に係る役務に関連して被請求人が本件商標を使用した事実は何ら示されていない。 このように、被請求人が提出した物件は、本件商標が本件審判の対象である指定役務について要証期間内に使用された事実を示すものとはいい難い。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出した。 1 第41類「放送番組の制作」については、乙第2号証の1ないし乙第2号証の4により、被請求人が本件商標を使用していることを証明する。 (1)乙第2号証の1は、AbemaTVで放送された音楽番組「AK-69/AbemaTV『SHASH HIT』-Road to Zepp-」を示すものである。 (2)ここで、AbemaTV(アベマティーヴィー)は、「PC・スマートフォン・スマートテレビ向けのライブストリーミング形式インターネットテレビサービス、テレビ&ビデオエンターテインメントサービス『ABEMA』(アベマ)を運営している企業。サイバーエージェントとテレビ朝日が出資して設立された。」(乙3)との記載がなされているとおり、インターネットテレビサービスである。すなわち、AbemaTVで放送されている番組は、第41類「放送番組の制作」の指定役務に該当する。 (3)乙第2号証の2に示すように、「SMASH HIT」は、シンガーソングライターのAK-69(エーケー・シックスティナイン)氏を中心として、2017年10月にAbemaTVにて特別番組を放送、好評を得て2018年2月からレギュラー番組として放送された音楽番組である。 また、乙第2号証の3の1に示すように、「開催地:Zepp Divercity Tokyo」にて、2018年9月5日(水)、「SMASH HIT/Road to Zepp」のライブが開催され,本件商標も使用されている。 乙第2号証の3の1に示す「SMASH HIT/Road to Zepp」のライブは、「・番組からの一言 素晴らしい会場でAK-69さん、とろサーモンさん、須藤凜々花さんをはじめ多くのアーティストと共に公開収録を行える事に喜びを感じております。」(乙2の3の2)との記載があるように、この「公開収録」は、第41類「放送番組の制作」の指定役務に該当する。 さらに、乙第2号証の4には、被請求人の所有に係る本件商標が使用されている。 2 以上のとおり、本件商標は、要証期間に日本国内において、商標権者である被請求人がその請求に係る指定役務について使用をしていた事実は乙各号証から明らかであるから、請求人の本件商標に対する登録取消の請求は成り立たない。 第4 審尋 当審より被請求人に対し、令和3年4月8日付け審尋において、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、商標権者が、請求に係る指定役務について本件商標を使用していることを被請求人が証明しているものとはいえない旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した令和3年2月26日付けの審判事件弁駁書に対する回答を求めた。 第5 審尋に対する回答 前記第4の審尋に対し、被請求人からの回答はなかった。 第6 当審の判断 1 事実認定 被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。 (1)乙第2号証(枝番を含む。)は、株式会社CAMPFIREが運営するクラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」のウェブページ中、「AK-69/AbemaTV『SMASH HIT』-Road to Zepp-」についての写しである。 (2)株式会社CAMPFIREは、被請求人と新人アーティストを主な対象とするライブ活動支援プログラム「Zepp 20th Anniversary Special LIVE FUNDING “Road to Zepp”」を開始していた。同プログラムは、被請求人が運営するZeppホールにてライブ開催を目指すアーティストの支援を目指すものである。そして、当該説明のすぐ上において、CAMPFIREの商標の左隣に、赤く色付けされた太字風の「ZP」の欧文字の中央に、筆記体風の「Zepp」の欧文字を重ねて表されてなる商標が表示されている。(乙2の4)。 (3)一方、HIPHOPアーティストであり、シンガーソングライターのAK-69(エーケー・シックスティナイン)氏は、HIPHOPの「楽曲」でヒットを生み出し、HIPHOPを盛り上げるべく、2017年10月にAmebaTVで、同氏を中心とした音楽番組「SMASH HIT」を特別番組として放送した後、2018年2月からは同番組をレギュラー番組としてスタートさせていた(乙2の2)。ここで、AbemaTV(アベマティーヴィー)は、PC・スマートフォン・スマートテレビ向けのインターネットテレビサービスである(乙3等)。同番組は、敏腕音楽プロデューサーが人気ラッパーとタッグを組んで楽曲を制作する過程を追い、最後にタッグを組んだ2チームが観客審査で、どちらがスマッシュヒットを飛ばす楽曲なのかで勝負するというものである(乙2の2)。 (4)そうした中、若手のアーティストや若手のリスナーをフックアップしていきたいというAK?69氏の発案により、AK-69氏とAmebaTVの音楽番組「SMASH HIT」が組んで18才以下が入場無料になるライブイベント開催のプロジェクトが成立した。同プロジェクトは、株式会社CAMPFIREと被請求人の取り組みであるである“Road to Zepp”プログラム(上記(2)参照)のサポートを受け、All-In形式でクラウドファンディングに挑戦した(乙2の1、乙2の3の1)。このプロジェクトは、2018年8月15日に募集を開始し、91人の支援により68万6千円の資金を集め、2018年9月3日に募集を終了した(乙2の1)。 (5)乙第2号証の3の1において、「AK-69/AbemaTV『SHASH HIT』-Road to Zepp-」のタイトルでのライブの概要が記載されている。開催日は2018年(平成30年)9月5日(水)、入場開始は17時、開演は18時、終演は22時、開催地はZepp Divercity Tokyo、オールスタンディングで、入場料は18才以下無料、出演者としてAK-69等が記載されている。また、当該ライブの概要を記載したポスターとおぼしき画像の最後にはAbemaTVやCAMPFIREの商標とともに、赤く色付けされた太字風の「ZP」の欧文字の中央に、筆記体風の「Zepp」の欧文字を重ねて表されてなる商標が表示されている。同様の商標は、乙第2号証の1における当該ライブの概要を記載した3種類のポスターとおぼしき画像の最後にも表示されている。 (6)乙第2号証の1において、2018年9月5日夜に、Zepp Divercity Tokyoで行われる「AK-69プレゼンツ AbemaTV/SHASH HITスペシャルライブ」について、当日の様子の放送日が「10月3日22時?25時」、「AbemaTV SPチャンネル」に決定した旨、記載されている。 (7)乙第2号証の3の2において、「●番組Pからの一言」として、「今回、このようにZepp DiverCity TOKYOという素晴らしい会場でAK-69さん・・・をはじめ多くのアーティストと共に公開収録を行える事に喜びを感じております。昨年の特番、今年6月までのレギュラー放送時に、HIPHOP界を中心に毎回豪華なプロデューサー、ラッパーが出演してくださいました。この番組に出演していただいた素晴らしいアーティストの皆様が再度集まり皆様の前で新たなパフォーマンスする事は楽しみで仕方ありません。必ず、足を運んでくださる皆様にもご満足いただける内容になると思います。是非、皆様のお力をお借りしつつ『SMASH HIT』が生まれる瞬間を現場で体感してください。」と記載されているところ、このコメントは、AbemaTVの音楽番組「SMASH HIT」の番組プロデューサーのものと認められる。 2 判断 上記1で認定した事実によれば、被請求人は、株式会社CAMPFIREとともに、新人アーティストを主な対象とするライブ活動支援プログラムを開始し、被請求人が運営するZeppホールにてライブ開催を目指すアーティストの支援を目指していたこと、当該プログラムの一つとして、2018年9月5日開催の「AK-69プレゼンツ AbemaTV/SHASH HITスペシャルライブ」をクラウドファンディングでサポートしたこと、当該ライブの会場として、被請求人が運営するZepp DiverCity TOKYOを提供したことは認められる。 しかしながら、被請求人が、当該ライブを公開収録し、2018年10月3日にAbemaTVで放送される番組を制作した事実については何ら立証がされていない。さらに、当該放送番組の制作について、本件商標を使用した事実についても何ら立証がされていない。 したがって、被請求人が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について、本件商標を使用したことを認めることができない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る指定役務について、本件商標を使用していた事実を証明したものとは認められない。 また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第41類「放送番組の制作」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
審理終結日 | 2021-06-30 |
結審通知日 | 2021-07-05 |
審決日 | 2021-07-21 |
出願番号 | 商願平9-150687 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Z41)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
森山 啓 小田 昌子 |
登録日 | 1999-05-14 |
登録番号 | 商標登録第4271599号(T4271599) |
商標の称呼 | ゼップ、ゼットピイ、ゼットイイピイピイ |
代理人 | 特許業務法人栄光特許事務所 |
代理人 | 大木下 香織 |
代理人 | 羽切 正治 |
代理人 | 小野 博喜 |