現在、審決メルマガは配信を一時停止させていただいております。再開まで今暫くお待ち下さい。

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W25
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W25
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W25
審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W25
管理番号 1377926 
審判番号 無効2020-890071 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2020-10-02 
確定日 2021-08-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第6058789号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第6058789号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6058789号商標(以下「本件商標」という。)は、「AVIREXFLY」の文字を標準文字により表してなり、平成29年9月13日に登録出願、第25類「革製の被服,レザージャケッ卜,レザーパンツ,革製ズボン,革製ジャケット,洋服,コート,ズボン,ブーツ,オートバイ用ジャケット,オートバイ用レインスーツ,オートバイ用手袋,オートバイに乗る人用の衣服,オートバイに乗る人用のブーツ」を指定商品として、同30年6月21日登録査定、同年7月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標及び使用商標
請求人が、本件商標の無効の理由として引用する商標は、以下のとおりである。
1 請求人が、引用する登録商標は、以下の9件(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)であり、いずれも有効に存続しているものである。
(1)登録第1707707号(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:AVIREX
指定商品:第25類「被服」及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:昭和56年9月16日
設定登録日:昭和59年8月28日
書換登録日:平成16年12月22日
更新登録日:平成26年4月1日
(2)登録第4211600号(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「AVIREX」の欧文字及び「アビレックス」の片仮名を2段に横書きしてなるもの
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
登録出願日:平成9年9月24日
設定登録日:平成10年11月13日
更新登録日:平成30年5月29日
(3)登録第5120550号(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲1(1)のとおり
指定役務:第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
登録出願日:平成19年5月10日
設定登録日:平成20年3月21日
更新登録日:平成29年10月17日
(4)登録第5183039号(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲1(2)のとおり
指定役務:第35類「アメリカ製の被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アメリカで企画・デザインされた被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アメリカ製の履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アメリカで企画・デザインされた履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アメリカ製のかばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アメリカで企画・デザインされたかばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アメリカ製の身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アメリカで企画・デザインされた身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
登録出願日:平成19年5月10日
設定登録日:平成20年11月21日
更新登録日:平成30年6月5日
(5)登録第5317281号(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:AVIREX PX(標準文字)
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成21年11月10日
設定登録日:平成22年4月16日
更新登録日:令和元年10月29日
(6)登録第5494872号(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:AVIREX BELLE(標準文字)
指定商品・指定役務:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」並びに第14類及び第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成23年12月26日
設定登録日:平成24年5月18日
(7)登録第5617519号(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:別掲1(3)のとおり
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成25年5月23日
設定登録日:平成25年9月20日
(8)登録第5720458号(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:「AVIREX」及び「TRACK FIELD」の欧文字を2段に横書きしてなるもの
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
登録出願日:平成26年7月16日
設定登録日:平成26年11月21日
(9)登録第5832219号(以下「引用商標9」という。)
商標の構成:AVIREX(標準文字)
指定商品:第28類「ゴルフクラブ,ゴルフクラブカバー,ゴルフクラブバッグ,その他のゴルフ用具,運動用具,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具,昆虫採集用具,愛玩動物用おもちゃ」並びに第8類、第11類及び第20類ないし第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成27年10月21日
設定登録日:平成28年3月4日
2 請求人が、使用していると主張する商標は、以下のとおりである(以下、これらをまとめて「使用商標」という。)。
(1)使用商標1:別掲2(1)のとおり
(2)使用商標2:別掲2(2)のとおり
なお、以下、引用商標と使用商標1をまとめて「AVIREX商標」といい、使用商標2を「参考使用商標」という場合がある。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第50号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
2 無効原因
(1)AVIREX商標の周知著名性について
ア 請求人と「AVIREX」の関係
(ア)請求人である株式会社上野商会は、1957年に設立された有限会社上野商会が1973年に改組されて設立された法人で、若者向け衣料品を中心に事業展開を行っている法人である(甲12)。
請求人は、1986年に米国法人AVIREX Limited社(以下「米国AVIREX社」という。)と輸入総代理店契約を締結し、「AVIREX」の商標が付された商品(以下「AVIREX商品」という。)の輸入販売を開始した(甲13)。1986年当時の契約書の控えは存在しないが、その後1994年に締結された独占販売契約書には、1989年7月31日の時点で独占販売契約の当事者であった旨が記載されていることから、1986年当時から輸入総代理店であったことが推認でき、かつ、遅くとも1989年時点では独占販売代理店であったことか確認できる。
その後、1994年に同米国法人と自社企画販売を可能とするライセンス契約を締結し(甲14)、ライセンサーの変更を経て、2005年に日本における商標権を譲り受けた(甲3?甲11)。請求人は、長年AVIREX商品を日本で展開しており、現在では商標権者となってAVIREXに係る信用及び伝統を承継して商品展開を行っている。
(イ)米国AVIREX社とAVIREX商標の生い立ちを説明する(甲15)。
米国AVIREX社は、1975年に設立された、フライトジャケットの製造販売を行っていた会社であり、第二次世界大戦当時に使用されたフライトジャケットと同等以上のジャケットの開発に成功し、米国空軍とパイロットの衣類等の提供を行う契約を行うこととなり、米国では一躍有名となった。AVIREXの語は、「AVIATOR」(飛行機乗り)と「REX」(ラテン語で王様)を掛け合わせた造語で、米国では「空の王様」を暗示するものとして当時のパイロットを鼓舞する役割もあった(甲16?甲18)。
このように、AVIREXブランドはフライトジャケットを起源とした歴史のあるミリタリーファッションブランドで、AVIREXのブランドに化体した信用及び伝統を引き継いだ請求人は、日本及びアジア各国でAVIREX商品の開発販売を30年以上行っている。
ところで、ミリタリーファッションとは、「ミリタリールックやミリタリーテイスト、ミリタリースタイルなど様々な表現の略として使用されることが多い。ミリタリーとは陸軍の軍服のデザインをインスピレーションにしたスタイルの総称。エポーレット(肩章)、金属のボタン、フラップ(ポケットの垂れぶた)のついたパッチ・ポケット(服に切り込みを入れずに貼り付けたポケット)などを取り入れたファッション」と定義されている(甲19)。しかし、「ミリタリー」の語は陸軍に限らず、海軍及び空軍も含まれる総称であり、ミリタリーファッションは、「陸海空軍の軍服のデザインをインスピレーションされたスタイルの総称」と定義する。ミリタリーファッションは、スタイルとして確立しており、別称の「ミリタリールック」の語は広辞苑でも紹介されている。
このミリタリーファッションの分野で、請求人が使用しているAVIREX商標は需要者の間で広く知られた商標である。
イ AVIREX商標の国内での使用
請求人は、独占総代理店となる前から日本国内でAVIREX商標を付したジャケットの販売を行っていたが、1986年に総代理店として独占的に販売活動を開始した。
本件商標の登録出願日である2017年以前から、今日に至るまでの、使用実績を以下に示す。
(ア)商品ラインアップ
請求人は、毎年春夏と秋冬で商品を発表しており、それぞれのタイミングでカタログを出している(甲20)。秋冬用カタログからフライトジャケットが主流であることが確認でき、また、春夏用においても米国空軍をイメージした衣類が多く発表されている。商品の中には、ジャケットのみならず、シャツや帽子、かばん類も含まれており、ミリタリーファッションを取り入れた多くの商品を展開していることが確認できる。
(イ)雑誌による露出
2016年から2018年までの請求人の商品を掲載した雑誌(甲21)から、毎月何らかの雑誌でAVIREX商標が付された商品が紹介されている事実を確認でき、需要者が目にする機会は非常に多いといえる。
(ウ)店舗実績
請求人は、AVIREX商標を付した商品を扱う直営店を主要都市を中心に31店舗構えており(甲22)、アウトレット施設には5店舗展開し(甲23)、AVIREX商標を付した商品を卸して販売している卸先数は293店舗に及び(甲24)、この中には複数の店舗を所有している卸先もあるので、展開店舗数は800店を超える。
また、オンラインショップでも自社オフィシャルショップの他、楽天市場、ZOZOTOWNにおいても店舗を構えている(甲25)。
(エ)税関差止め実績
請求人は、模倣品対策として引用商標2を税関に登録しており(甲26)、多数の差止・破棄の成果を挙げている(甲27)。模倣品が出回るのは、AVIREX商標が周知著名であることを裏付けているといえる。
(オ)売上げ
請求人のAVIREX商標に関する商品の売上は、以下のとおりである。請求人は、2018年10月に現在の親会社である株式会社TSIホールディングスの子会社となるまでは末上場企業で、売上の公開は行っていないが、下記は請求人のPOSシステムから抽出した情報であり、正確な数字であって、請求人も下記が真正な数字であることを宣誓している(甲29)。
2016年9月ないし2017年8月:79億9,232万円
2017年9月ないし2018年8月:86億7,655万円
2018年3月ないし2019年2月:86億6,438万円
2019年3月ないし2020年2月:83億3,819万円
また、株式会社TSIホールディングスの有価証券報告書(2019年3月ないし2020年2月29日)によれば、請求人の当該年度の総売上げは、195億8,800万円となっており(甲31)、株主向け資料では、その売上げの中でAVIREXブランドに関する商品の売上は約84億円と発表されている(甲32)。
(カ)市場での評価・ランキング
請求人の商品は、前述のとおり、ミリタリーファッションの分野に属する製品を中心としているところ、「ミリタリーの歴史を支えたブランド」及び「男性に人気のミリタリーブランド」等のウェブサイト(甲33?甲41)に、市場における評価についての記事が掲載されている。
(キ)広告宜伝活動
請求人のAVIREX商標は、エアレース「Red Bull AirRace」のスポンサーを2015年から2019年まで行っていた。
(ク)このように、ミリタリーファッションの分野において、AVIREX商標は、常に上位に君臨するブランドとして認知されていたことがうかがえ、また、AVIREX商標は、本件商標の登録出願時には、すでにファッション業界で広く知られており、登録査定時においても同様に広く知られていたものとして認められる。
(2)商標法第4条第1項第11号
本件商標は、「AVIREX」と「FLY」が結合した商標と認識される。
「AVIREX」は、請求人の周知・著名商標であり、辞書には掲載されていない造語であって、識別力が極めて強い言葉である。他方、「FLY」は、「飛ぶ、飛行」の意味のほか、衣類の分野では「前立て、前チャック」の意味を想起させる識別力の無い言葉としても理解される(甲43)。
したがって、本件商標の要部は「AVIREX」部分にあり、「アヴィレックス」の称呼、及び「(請求人の周知・著名ブランドである)アヴィレックスのチャック」のごとき観念が生じる。
他方、引用商標からは、「アヴィレックス」の称呼が生じ、「請求人の周知・著名ブランド」の観念が生じる。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、「アヴィレックス」の音を共通にする同一又は類似の称呼が生じ、観念においても相紛らわしいものであるから、両商標は類似する商標である。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のものを指定していることは明らかである。
以上から、本件商標は引用商標と同一又は類似するものであり、かつ、同一又は類似の指定商品を指定するものであるため、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号
上記のとおり、AVIREX商標は、ミリタリーファッションの分野では広く知られた商標であり、特に、請求人のフライトジャケットは人気を博していることも確認できる。
他方、本件商標は、「AVIREX」と「FLY」の結合であるところ、「FLY」が品質としての意味が生じるほか、「飛ぶ、飛行」の意味を生じさせ、フライトジャケットは空を飛ぶことを目的として製作されており、「AVIREX」のブランドイメージと密接な関係を有する言葉であるから、請求人のフライトジャケットと密接に関連した言葉といえる。
そして、請求人は「AVIREX」と他の語を結合させた商標(参考使用商標)も使用しており、本件商標は、あたかも請求人のAVIREX商標の中でフライトジャケットに特化したブランドのごとき印象を与える。
ア 本件商標とその他人の標章との類似性の程度
本件商標は、周知著名商標「AVIREX」を含み、かつ、「前チャック」あるいは、フライトジャケットを連想する「飛行」の意味を生じさせる「FLY」で構成されている。「FLY」は衣類の分野では識別力が無いため、需要者は「AVIREX」部分に注目することから、本件商標は周知著名商標である「AVIREX」と類似する商標である。
イ その他人の標章の周知度
請求人の「AVIREX」が周知著名であることは上記のとおりである。
ウ その他人の標章が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか
「AVIREX」の語は造語であり、他の語「FLY」との関係では構成上顕著な特徴を有するものである。
エ その他人の標章がハウスマークであるか
「AVIREX」は、請求人の事業の中で極めて重要な事業を象徴する商標であり、店舗の屋号としても使用されている(甲22)。
オ 企業における多角経営の可能性
本件商標の指定商品と請求人の商品は同一事業分野に属しており、請求人の商品は、ミリタリーファッションではあるが、街着として使用されるように改良を加えた製品も多数存在している(甲20)。
カ 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性
本件商標の指定商品は、請求人の周知著名商標における分野と同一事業分野であり、関連性があることは明白である。
キ 商品等の需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定商品は、被服に関するものであり、需要者が共通することは明らかである。被請求人は、本件商標をフライトジャケットや革製ジャケットに使用しており(甲44)、請求人の商品と完全に一致している
また、市場において混同が生じており、別企業による別ブランドというよりも同一ブランドと誤認されている(甲45?甲49)。このように、本件商標は、請求人の商品と出所の混同が生じている商標である。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、上記請求人の主張に対し何らの意見も提出してない。

第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理し、判断する。
1 請求人の使用に係る商標の周知性について
(1)請求人の主張及び提出に係る証拠によれば以下の事実が認められる。
ア 請求人である株式会社上野商会は、メンズウェア・レディスウェア・キッズウェアの企画・生産・輸入等を事業内容とする法人である(甲12)。請求人は、1989年7月31日ないし1992年1月31日の期間において、米国AVIREX社と「AVIREX」商標を付した衣料品の独占契約販売を締結していた。また、1994年4月1日ないし翌年3月31日の期間の独占販売契約を締結した(甲13)。その後、1994年に、米国AVIREX社とライセンス製品の製造・販売等を可能とするライセンス契約を締結し(甲14)、2005年に我が国における商標権を譲り受けた(甲3?甲11)。
イ 請求人は、2016年ないし2019年の春夏及び秋冬に、毎年カタログを発行しており(甲20)、当該カタログには、フライトジャケットを中心に、いわゆるミリタリーファッションと称されるシャツ、Tシャツ、帽子等(以下「請求人商品」という。)が掲載されている。そして、当該カタログの表紙及び掲載されているフライングジャケット等の商品には「AVIREX」の文字又はこれをデザイン化した引用商標3と同一の構成態様の商標(以下、これらをまとめて「請求人使用商標」という。)が表示されている。
ウ 2016年2月号から2019年2月号として、「FINEBOYS」、「OCEANS」、「InRed」、「Fine」、「Smart」、「Men’sClub」等の男性向け及び女性向けファッション誌並びに「mono」及び「航空ファン」などの雑誌に、合計357回、請求人商品
を紹介する記事及び広告が雑誌に掲載され(甲21)、これらの記事には、請求人使用商標及びその片仮名表記である「アヴィレックス」の文字とともに、請求人商品が紹介されている。
エ 請求人は、請求人使用商標を付した商品を扱う直営店を、東京など主要都市を中心に日本国内に31店舗構えており(甲22)、当該店舗には、請求人使用商標が表示されている。また、アウトレット施設には、請求人使用商標を冠した5店舗を展開し(甲23)、さらに、請求人の提出に係る会計年度を2016年3月ないし2020年2月とする「AVIREX取引先別売上推移(期別)」の表題の書面には、293の社名等の記載がある(甲24)。加えて、請求人商品は、請求人のオフィシャルオンラインショップ、楽天市場及びZOZOTOWNにおいて販売されている(甲25)。
オ 請求人によれば、「AVIREX」商標に関する商品の売上げ実績は以下のとおりであり、その記載内容は、請求人のPOSシステムから抽出した正確な情報であると主張し、請求人の代表取締役がこれを宣誓している(甲29)。
2016年9月ないし2017年8月:79億9,232万円
2017年9月ないし2018年8月:86億7,655万円
2018年3月ないし2019年2月:86億6,438万円
2019年3月ないし2020年2月:83億3,819万円
そして、2020年5月22日発行の株主向け資料とされる「TSI JOURNAL 2020 SUMMER」(抜粋)において、2019年3月ないし2020年2月のAVIREXブランドに関する商品の売上として約84億円と記載されている(甲32)ことからすれば、上記売上高は、信ぴょう性の高いものといえる。
カ 2014年9月4日ないし2019年12年17日の日付が確認できるウェブサイトにおいて、「ミリタリーブランド AVIREX(アビレックス)」の見出しの下、「今や伝説的な存在のフライトジャケット『A-2』をアメリカ空軍に納めた実績を持つAVIREX(アビレックス)は、ミリタリーファッションのタウンユースを広めたパイオニア的存在ともいえるブランドです。」(甲33)、「男性に人気のミリタリーブランド アルファやアヴィレックスなど、有名な5ブランドをピックアップ!」(甲34)、「女性に人気のミリタリーブランド」の見出しの下、アンケート結果に「【1位】AVIREX(アヴィレックス)(甲36)、「ミリタリーファッションで最低限押さえておきたい代表7ブランド」として「3.AVIREX(アヴィレックス)」(甲37)など、ミリタリーブランド「AVIREX」についての記載がある(甲38?甲41)。
(2)上記(1)によれば、「AVIREX」の文字及びこれをデザイン化してなる請求人使用商標は、請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、需要者の間に広く認識され、その状況は登録査定時はもとより、現在も継続しているものといえる。
2 商標法第4条第1項第15号該当について
(1)請求人使用商標の周知性
請求人使用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたと認められるものである。
(2)本件商標と請求人使用商標の類似性
上記第1のとおり、本件商標は、「AVIREXFLY」の欧文字9文字からなるものであり、請求人使用商標は、「AVIREX」の欧文字又はこれをデザイン化してなるものであるところ、本件商標は、9文字中、語尾の3文字を除き、看者の注意をひきやすい語頭部分において、請求人使用商標「AVIREX」の文字を含むものであることから、両商標は、一定程度の類似性があるものといえる。
(3)請求人使用商標の独創性
請求人使用商標は、「AVIREX」の欧文字又はこれをデザイン化してなるところ、当該文字は辞書等に掲載がない造語であることから、独創性が高いものである。
(4)本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品(請求人商品)
上記1のとおり、請求人商品は、「フライトジャケット」を中心とするシャツ、Tシャツ等のミリタリーファッションと称される商品である。
他方、本件商標の指定商品は、「革製の被服,レザージャケッ卜,レザーパンツ,革製ズボン,革製ジャケット,洋服,コート,ズボン,ブーツ,オートバイ用ジャケット,オートバイ用レインスーツ,オートバイ用手袋,オートバイに乗る人用の衣服,オートバイに乗る人用のブーツ」であり、上記商品には、ミリタリーファッションと称されるジャケット、シャツ、Tシャツ等が含まれているから、指定商品中の一部の商品と請求人の業務に係る商品とは関連性を有し、需要者を共通にするものである。
(5)出所の混同のおそれ
以上のとおり、請求人使用商標は、我が国において、商品「フライングジャケット」を中心とする、シャツ、Tシャツ、帽子等のいわゆるミリタリーファッションと称される商品に使用され、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く知られているものであること、本件商標と請求人使用商標とは、一定程度の類似性が認められること、さらに本件商標の指定商品の一部と請求人の業務に係る請求人商品とは、関連性を有し、需要者を共通するものであることなどを総合勘案すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、その取引者及び需要者において、請求人使用商標を連想、想起し、当該商品が請求人又は請求人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるとその商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
(6)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標は、上記第1のとおり、「AVIREXFLY」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成は、同書、同大、等間隔で、全体が一体的に表されているものであり、構成文字全体から生じる「アビレックスフライ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。また、「AVIREXFLY」の文字は、辞書等に掲載のない造語である。
そうすると、上記構成からなる本件商標に接する取引者、需要者が、「AVIREX」の文字部分に着目して、当該文字部分から生じる称呼及び観念をもって取引に資するというよりは、その構成全体をもって、一体不可分の造語と認識し、把握し、取引に資するとみるのが自然である。
請求人は、本件商標の構成中「FLY」の文字部分は、「飛ぶ、飛行」の意味のほか、衣類の分野では「前立て、前チャック」の意味を想起させる識別力のない語であるから、「AVIREX」の文字部分が要部である旨主張するが、「FLY」の文字が上記意味合いを有するとしても、これが、本件商標の指定商品との関係において、商品の品質等を表すものとして普通に使用されていると認め得る証拠はなく、職権による調査によっても、当該文字が、指定商品との関係において、自他商品識別標識としての機能を有しないものというべき事情は見いだせない。
してみれば、本件商標の構成中「AVIREX」の文字部分を分離抽出し、本件商標が引用商標と類似する商標であると主張する申立人の主張は、妥当とはいえず、その前提を欠くものといわざるを得ない。
(2)小括
したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について、判断するまでなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
なお、請求人は、本件商標が、商標法第4条第1項第11号にも該当する旨主張しているが、本件商標が上記条項に該当すると認めることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
(1)(引用商標3)



(2)(引用商標4)



(3)(引用商標7)



別掲2
(1)使用商標1



(2)使用商標2




審理終結日 2021-05-31 
結審通知日 2021-06-02 
審決日 2021-07-05 
出願番号 商願2017-122129(T2017-122129) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (W25)
T 1 11・ 261- Z (W25)
T 1 11・ 263- Z (W25)
T 1 11・ 262- Z (W25)
最終処分 成立  
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 馬場 秀敏
中束 としえ
登録日 2018-07-06 
登録番号 商標登録第6058789号(T6058789) 
商標の称呼 アビレックスフライ 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ