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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X05
管理番号 1377917 
審判番号 取消2020-300580 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-08-26 
確定日 2021-08-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第1972717号の1の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1972717号の1の2商標(以下「本件商標」という。)は、「ハイブリッド」の片仮名及び「HYBRID」の欧文字を上下二段に表してなり、昭和60年6月5日に登録出願、同62年7月23日に設定登録された登録第1972717号商標の商標権の分割に係るものであって、第1類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年8月24日に商標権の分割移転の登録がされ、その後、同19年6月13日に指定商品を第1類「植物成長調整剤類」及び第5類「薬剤」とする指定商品の書換登録がされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第5類「薬剤」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第5類「薬剤」について、本件審判の請求の登録前3年以内(平成29年(2017年)9月11日から令和2年(2020年)9月10日まで。以下「要証期間」という。)に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
ア 害虫駆除剤「おすだけベープハイブリッド200回分」(乙1、乙2、乙3の1、乙7)の包装には、外周を黒線で縁取りした黒色略矩形内に「ハイブリッド」の文字を白抜きで配した標章、外周を二重黒線で囲んだ略矩形内に「ハイブリッド」の文字を黒字で配した標章、外周を黒線で縁取りした黒色略矩形内に「ハイブリッド」の文字を白抜きで配し、「ハ」の文字左上部と「ド」の文字右下部に星様の図形を配した標章が表示されている。
これら標章はいずれも略矩形内に「ハイブリッド」の文字を配してなるところ、これらは文字と略矩形図形を結合したものであるから、本件商標と同一又は社会通念上同一ではない。したがって、これら標章の使用は、本件商標の使用に該当しない。
イ また、同商品の包装には、「ハイブリッド処方」、「スプレーハイブリッド」、「おすだけべープスプレーハイブリッド200回分不快害虫用」等の記載もあるが、すべて害虫駆除剤「おすだけベープ」の品質を説明的又は修辞的に記述したにすぎないから、かかる語の使用は商標の使用ではない。
ウ 害虫駆除剤「おすだけベープハイブリッドプレミアム150回分」(乙2、乙3の2、乙5、乙6、乙8)の包装には、下段に、外周を赤で縁取りし左右端を折り返してなるリボン様の図形内に「プレミアム」の語を配し、上段に、黒色略矩形内に白抜きで「ハイブリッド」の文字を配した標章が表されている。
この標章は、上下段構成でなる図形と文字との結合であるから、本件商標と同一ではなく、図形要素を付加しているから社会通念上同一でもない。したがって、この標章の使用は、本件商標の使用に該当しない。
エ また、同商品の包装には、「ハイブリッド処方」、「スプレーハイブリッドプレミアム」、「おすだけベープスプレーハイブリッドプレミアム150回分不快害虫用」等の記載もあるが、すべて害虫駆除剤「おすだけベープ」の品質を説明的又は修辞的に記述したにすぎないから、かかる語の使用は商標の使用ではない。
オ 靴用消臭剤「シューズの気持ちプレミアムハイブリッド」(乙2、乙4)には、上段を赤色で、下段を黄色で色分けし左右端を折り返してなるリボン様の図形内の上段に「プレミアム」の語を、下段に「ハイブリッド」とのやや小ぶりの文字を配した標章が表されている。
この標章は、上下段構成でなる図形と文字の結合を彩色したものだから、本件商標とは異なり、また、図形要素を付加しているから社会通念上同一でもない。したがって、この標章の使用は、本件商標の使用に該当しない。
カ また、同商品の包装には、「プレミアムハイブリッド」の記載があるが、靴用消臭剤「シューズの気持ち」の品質を説明的又は修辞的に記述したにすぎないから、かかる語の使用は商標の使用ではない。
キ 「HYBRID」の語は、「(動植物の)雑種、あいのこ、混成物、混種語、雑種の、混成の」等の意味を有する英単語(甲1)であって、我が国で広く一般に理解され、薬剤をはじめ各種商品について使用されており(甲2?甲7)、混成品等の意味で広く一般に理解されるものである。一方で、様々な商品に結び付きやすいためその識別力は必ずしも高くないから、他の語とともに使用された場合にはその語と強く結合し別異の商標と認識される。このように、本件商標権者の商品名「おすだけベープハイブリッド200回分」、「おすだけベープハイブリッドプレミアム150回分」、「シューズの気持ちプレミアムハイブリッド」は、それぞれ一連一体に把握されるべきであるから、本件商標と同一又は社会通念上同一とはいえない。
また、仮に「Hybrid/ハイブリッド」の語を他の要素から抽出して把握する場合でも、語自体の識別力は弱く、産業界で広く使用されているから、商標の本質的機能である自他商品等識別機能や出所表示機能を発揮しておらず、商標としての使用ではない。
ク 以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により、その指定商品に使用されている事実は証明されていない。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)使用に係る商標及び商品
ア 乙第1号証は、本件商標権者が2018年1月に作成、頒布した、商品の総合カタログであるところ、そこに掲載された「害虫駆除剤」(「薬剤」に属する。)には、その包装用台紙及び商品の胴部等に「おすだけベープ」及び「200回分」の文字とともに、「ハイブリッド」の文字が使用されている。
イ 乙第2号証は、本件商標権者が2019年1月に作成、頒布した、商品の総合カタログであるところ、そこに掲載された「害虫駆除剤」には、その胴部等に「おすだけベープ」及び「150回分」の文字とともに、「ハイブリッド」の文字が使用されている。
ウ 乙第3号証の1は、「16畳の広さもワンプッシュ!24時間効く!『おすだけベープスプレーハイブリッド 200回分 不快害虫用』新発売!」の見出しの、2018年(平成30年)1月16日付けの本件商標権者のホームページであるところ、上記アの「害虫駆除剤」(200回分)は、2018年(平成30年)年2月より全国に向け発売開始された商品であることが確認できる。
また、乙第3号証の2は、「広いお部屋や屋外でも瞬時に効きめ広がる『おすだけベープスプレーハイブリッドプレミアム 150回分 不快害虫用』新発売!」の見出しの、2019年(平成31年)1月15日付けの本件商標権者のホームページであるところ、上記イの「害虫駆除剤」(150回分)は、2019年(平成31年)年3月より全国に向け発売開始された商品であることが確認できる。
エ 乙第4号証は、2019年(平成31年)6月28日発行の「LDK/Living Dining Kitchen」(2019/8月号、株式会社晋遊舎発行)と題する雑誌(女性誌)であるところ、そこには、「靴用消臭剤」(「薬剤」に属する。)が掲載され、その胴部等には「ハイブリッド」の文字の使用が確認できる。
オ 乙第5号証は、2019年(令和元年)5月13日発行の「薬事日報」(株式会社薬事日報社発行)であるところ、そこには、上記イの「害虫駆除剤」(150回分)が紹介され、その紹介記事及びその商品の胴部には「ハイブリッド」の文字の使用が確認できる。
カ 乙第6号証は、2019年(令和元年)5月1日発行の「日用品化粧品新聞」(株式会社日用品化粧品新聞社発行)であるところ、そこには、上記イの「害虫駆除剤」(150回分)が紹介され、その紹介記事及びその商品の胴部には「ハイブリッド」の文字の使用が確認できる。
キ 乙第7号証は、2018年(平成30年)3月1日発行の「激流3月号」(国際商業出版株式会社発行)であるところ、そこには、上記アの「害虫駆除剤」(200回分)が紹介され、その紹介記事及びその商品等には「ハイブリッド」の文字の使用が確認できる。
ク 乙第8号証は、上記イの「害虫駆除剤」(150回分)の実物の写真及びその包装用容器の台紙の裏面(写)であるところ、当該商品の胴部には「ハイブリッド」の文字が使用され、さらに台紙には、本件商標権者の名称及び住所が表示されている。
(2)本件商標の使用
本件商標は、「ハイブリッド」の片仮名と「HYBRID」の欧文字を上下二段に書してなるところ、上段の片仮名は下段の欧文字の読みを記したものであるから、構成文字から「ハイブリッド」の称呼を生じる。
そして、「HYBRID」の文字は、「混成の、混合の」等の意味を有する英語であるが、例えば「HYBRID CAR」等のようにガソリンと電気を動力源とする自動車等に使用され広く親しまれた語であり、その読みである「ハイブリッド」の片仮名も同じ意味合いをもって同様に「ハイブリッドカー」のように広く用いられ馴染まれているから、「HYBRID」と「ハイブリッド」の語はいずれも同一の観念(混成の、混合の)を生ずる(乙9、乙10)。
以上によれば、本件商標権者が「害虫駆除剤」及び「靴用消臭剤」に使用している「ハイブリッド」の表示は、本件商標の構成中の「ハイブリッド」の片仮名と同一であるから、本件商標と社会通念上同一の商標である。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標権者は、本件商標と社会通念上同一の商標を、要証期間に、日本国内において、その指定商品「薬剤」(害虫駆除剤、靴用消臭剤)に使用している。

4 当審の判断
(1)被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件商標権者の商品カタログ「FUMAKILLA PRODUCTS GUIDE 2018[フマキラー総合カタログ]」(2018年1月発行)には、「おすだけベープスプレーハイブリッド 200回分 不快害虫用」と称する商品(以下「本件使用商品」という。)が掲載されているところ、その商品紹介の項には、商品の写真に並べて、また、商品の容器の側面に、横長長方形状の枠内に「ハイブリッド」の片仮名(以下「本件使用商標」という。)が表示されている(乙1)。
イ 本件商標権者のウェブサイトにおいて、「16畳の広さもワンプッシュ!24時間効く!『おすだけベープスプレーハイブリッド 200回分 不快害虫用』新発売!」の見出しのプレスリリース記事(2018年1月16日付け)において、「2018年2月より全国にて順次発売」の記載とともに、上記アと同様の構成を含む商品紹介の項が掲載されている(乙3の1)。
ウ 「激流3月号」(平成30年3月1日号)において、「商品戦略 フマキラー『殺虫剤』」の見出しの記事において、「屋内向けの虫よけ剤では、ワンプッシュで部屋中に効く『おすだけベープスプレー』に、『同 ハイブリッド』(二00回分)が新登場。」の記載とともに、上記アと同様の構成を含む商品紹介の項が掲載されている(乙7)。
(2)上記で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
ア 本件商標権者は、本件使用商品を、本件使用商標の表示を伴う態様(商品の容器側面、商品の写真に並置して配置。)で、要証期間内である2018年1月に発行又は配信された商品カタログ及びプレスリリースに掲載しており、同年3月発行の雑誌でも同商品は紹介されている。
イ 本件使用商標は、「合成物」の意味を有する英語「HYBRID」(乙9、乙10)に通じる「ハイブリッド」の片仮名よりなるところ、当該語に相当する本件商標(「ハイブリッド」の片仮名と「HYBRID」の欧文字を上下二段に表してなる。)とは、社会通念上同一の商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標)と認められる。
ウ 本件使用商品は、虫よけ効果を有する「害虫駆除剤」であるところ、本件商標の指定商品中「薬剤」の範ちゅうの商品と認められる。
エ 以上によれば、本件商標権者は、要証期間に、その指定商品中「薬剤」に属する本件使用商品に関する広告に、本件商標と社会通念上同一の商標である本件使用商標を付して展示し、若しくは頒布し、又は電磁的方法で提供したこと(商標法第2条第3項第8号)が認められる。
(3)請求人の主張に対し
ア 請求人は、本件使用商標は、文字と図形(略矩形)の結合であること、「HYBRID」の語は混成品等の意味で広く一般に理解され、各種商品に一般に使用(甲2?甲7)されているから、他の語と強く結合して一連一体に把握されるべきことなどを指摘して、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない旨を主張する。
しかしながら、本件使用商標は、上記のカタログ等の商品紹介記事(乙1、乙3の1、乙7)においていずれも、横長長方形状の枠内に表示され、他の文字とは段を異にし、間隔を開けて配置されるなど、視覚上分離して認識される態様で表示されているから、本件商標と社会通念上同一である本件使用商標が独立して、単独で使用されていると認定することに特段の支障はない。
イ 請求人は、「HYBRID」の語は識別力が低く、産業界で広く使用されており、商標の本質的機能である自他商品識別機能や出所表示機能を発揮していないから、本件使用商標の表示は、商標の使用とはいえない旨を主張する。
しかしながら、本件使用商標は、上記アのとおり、他の文字等とは視覚上分離して認識される態様で表示されており、また、「ハイブリッド」の文字が商品の具体的な品質を表示するものとも直ちに理解できないから、本件使用商標に係る表示を本件商標に係る使用を裏付けるものと評価することに特段の支障はない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件商標権者が、その請求に係る指定商品「薬剤」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の請求商品に係る登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲


審理終結日 2021-03-23 
結審通知日 2021-03-25 
審決日 2021-04-12 
出願番号 商願昭60-56161 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X05)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 阿曾 裕樹
鈴木 雅也
登録日 1987-07-23 
登録番号 商標登録第1972717号の1の2(T1972717-1-2) 
商標の称呼 ハイブリッド、ブリッド、ヒブリッド 
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所 
代理人 柴田 昭夫 

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