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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W053235
審判 一部申立て  登録を維持 W053235
審判 一部申立て  登録を維持 W053235
審判 一部申立て  登録を維持 W053235
管理番号 1376995 
異議申立番号 異議2020-900330 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-14 
確定日 2021-08-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第6295291号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6295291号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6295291号商標(以下「本件商標」という。)は、「COCOVITA」の欧文字を標準文字で表してなり、令和元年9月6日に登録出願、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,医療用接着テープ,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」、第32類「ビール,飲料用青汁,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」、第35類「広告業,ポイントカードの発行,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,インターネットオークションの運営,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,広告用具の貸与,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,求人情報の提供,ニュースクリッピングサービス,新聞記事情報の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲料用青汁の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同2年9月9日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、現に有効に存続している。
(1)登録第5397029号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:平成22年4月27日
設定登録日:平成23年3月11日
指定商品:第32類「ビール,鉱泉水及び炭酸水,栄養補給のためのアルコール分を含有しない飲料,スポーツ用のアルコール分を含まない清涼飲料,その他のアルコール分を含まない飲料,果実飲料,シロップその他の飲料製造用調製品,ココナッツジュース,ココナッツ果汁入り清涼飲料,ココナッツ入り清涼飲料,アルコール分を含有しない果実エキス,飲料製造用エッセンス,飲料水,レモネード,アルコール分を含まないカクテル」、第33類「アルコール飲料(ビールを除く。),果実入りアルコール飲料,ココナッツ果汁入りアルコール飲料,ココナッツ入りアルコール飲料,果実のエキス(アルコール分を含む。),アルコールエキス(ビール用のものを除く。),アルコールエッセンス,カクテル」
(2)登録第5763428号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:平成26年6月25日
設定登録日:平成27年5月15日
指定商品:第29類「やし油」

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中、第5類「乳幼児用粉乳」、第32類「ビール,飲料用青汁,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」及び第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲料用青汁の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「申立てに係る商品及び役務」という。)については、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1項により取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。
(1)取引の実情等について
ア 引用商標の認知度
引用商標1の指定商品中「ココナッツジュース」は、「ココナッツウォーター」等と称されて販売されているところ、引用商標に係るココナッツウォーター(以下「申立人商品」という。)は、世界中で販売されている。また、プレスリリース配信サイト「PRTIMES」によると、2013年4月2日、2014年3月27日及び2015年1月29日の各時点において、引用商標はココナッツウォーター全米シェアが1位であり、2013年4月2日時点において、ココナッツウォーター全米市場の60%を占めるブランドであった事実がうかがえる(甲1?甲5)。
日本では2013年4月2日に販売が開始され(甲1)、現在に至るまで継続的に販売されている。日本国内でのこれまでの販売場所(卸先)は、セブンイレブン(東京都・大阪府)、イトーヨーカドー(全店)、ヨークベニマル(全店)、ヨークマート(全店)、ザ・ガーデン(秋田店除く全店)、成城石井、ナチュラルローソン等がある(甲1、甲6)。
さらに、包装容器メーカーの記事(甲7)には、マドンナなどの有名人が申立人商品の事業に出資する等、積極的な有名人による販売促進活動は世界各国のマスコミの目を引き、ビタココの名前を一挙に世界に知らしめることになった旨及びカナダ、ヨーロッパのほとんどの国、日本、中国、ニュージーランドを含む31か国で販売され、市場リーダーとなっている旨の記載もある。
以上によると、申立人商品は、少なくとも約3年の間ココナッツウォーター全米シェアが1位であったこと、世界中で販売されていることが理解できる。これらの事情に有名人による積極的な販売促進活動も相まって、申立人商品は日本でも自ずと注目されてきたものといえる。また、日本では、著名なスーパーマーケットやコンビニエンスストアを含む場所で全国的に販売されてきたこと及び日本での販売期間は、本件商標の登録査定時点で約7年半であることによって、申立人商品は、ココナッツウォーターの需要者によって、同査定時にある程度知られていたというべきである。
イ 「COCO」の認識
「COCO」とは、「ココヤシ(の別名)」又は「COCONUT」を意味するところ(甲8、甲9)、ココナッツとは「ココヤシの実」を意味する(甲10)。また、ココナッツウォーターについて、「COCO」の文字を含む商標が複数の業者に使用されている事実がある(甲11?甲15)。さらに、飲料以外のココナッツを含む商品についても、「COCO」の文字を含む商標が複数の業者に使用されている事実がある(甲16?甲19)。
これらの事実から、「COCO」の文字は、ココナッツに関連する商品に使用された場合、需要者が「ココナッツ」を想起するというべきである。
ウ 「VITA」の認識
「VITA」は、「生命」等の意味を有する言葉であるものの、本来的な意味は一般に認識されていないと考えられる。一方、周知商標「PlayStation Vita」を始めとする様々な商品役務において、商標として複数の業者に採用されている言葉である(甲20?甲26)。
これらの事実から、「VITA」の文字は、商品名等に使われる何等かの言葉であると需要者が認識しているということができる。
エ 需要者の注意力
本件商標及び引用商標の指定商品及び指定役務は、いずれも基本的には、さほど高価とはいえないものを含む日常的に消費される性質の飲食料品を対象とする商品及び役務であり、その需要者は、高度の注意力をもって商品及び役務の提供を受けるとは限らない。
オ 混同の事実等
検索エンジンGoogleにて、「COCOVITA ココナッツウォーター」又は「ココビタ ココナッツウォーター」という文字で検索すると、検索結果一覧に引用商標に係る商品が複数表示される(甲27、甲28)。 また、楽天市場にて「coco vita」という文字で検索すると、申立人商品が複数表示される(甲29)。
さらに、実際に需要者が引用商標のことを「CocoVita」と誤用している例が見られる(甲30?甲32)。
したがって、「COCOVITA」や「ココビタ」で検索した需要者が「VITA COCO」の商品にアクセスできる事実及び実際に混同した事実がうかがえる。
(2)本件商標と引用商標との類否について
ア 観念
本件商標及び引用商標は、明瞭な意味を有する言葉ではないが、上記(1)の取引の実情を踏まえると、本件商標及び引用商標は、ココナッツを想起させる点で共通する。また、「COCONUT」の前半部分と商品名等に使われる「VITA」を組み合わせた造語であると理解されるといえる。したがって、両商標は、明瞭な観念を生じるとまではいえないとしても、上記のような意味内容をそれとなく想起させるから、観念において同一というべきである。
イ 外観
本件商標及び引用商標は、「COCO」と「VITA」の各部分が綴り及び大文字である点も同一であり、各部分はほぼ同一である。他方、本件商標は、引用商標中の英文字2字の左右を入れ替えて、配置、表記したものである。
ここで、外観の印象を比較するに当たっても観念的な要素が関連してくるところ、構成する文字の語順を入れ替えた商標の外観類否判断手法については、平成21年(行ケ)第10071号判決が参考になる。
本件において、(ア)両商標はいずれも造語であり確定した固有の意味を有しておらず、(イ)各部分の持つ意味について具体的には、「COCO」は「COCONUT」の前半部分又は「ココナッツ」と理解され、「VITA」は商品名等に使われる「VITA」と理解されるものであり、(ウ)両商標を構成する「COCO」と「VITA」が共通している。(エ)「COCO」は指定商品と関連性の強い文字であり、「VITA」は指定商品と関連性の強い文字でなく、「COCO」と「VITA」とは自他商品役務識別力において軽重の差があるため、分離しやすく外観類似の要素として評価することができる。(オ)両商標とも横書きであり、いずれかの語順で通用しているわけでもないため、語順を正確に記憶して理解することが必ずしも容易でない場合がある。
これらの点を総合考慮すれば、離隔的に観察するときには、両商標の外観は、紛らわしく類似する。
ウ 称呼
本件商標と引用商標から生じ得る称呼は、形式的に類似しないようにみえるが、実質的にみれば、「ココ」を含む点及び「ビタ」、「ビータ」又は「バイタ」を含む点で共通しており、順序が逆になっているにすぎない。
したがって、実質的に見れば、時と場所を異にして取引者・需要者が両商標の称呼に接した場合、その出所を誤認混同する可能性は少なからず存するものということができる。
そうすると、綿密に観察するのではなく、注意力が高度でない本件に係る需要者の記憶力に従うと、「ビタココ」だったか「ココビタ」だったか分からなくなることも否定できない。
エ 混同のおそれ
本件商標及び引用商標は、造語であるのみならず、あらゆる商品役務において「COCO」及び「VITA」を含む商標は、令和3年3月10日時点で申立人及び本件商標権者のみであるから、「COCO」及び「VITA」を組合せることが高い独創性を示す証左である(甲34、甲35)。
そして、本件商標及び引用商標全体で確定した固有の意味が生じない以上、「COCO」及び「VITA」の組合せで記憶していることは否定できない。これに、上記(1)アのとおり、引用商標がある程度知られていること、上記(1)エ及びオのとおり、需要者の注意力及び混同の事実等も考え合わせれば、本件商標に接した需要者が自己の記憶の中にある引用商標であると誤信するおそれがある。
したがって、両商標を「ココナッツジュース」に使用した場合には、商品の出所の混同を生じるおそれがある。
そして、ココナッツジュースとそれ以外の指定商品及び役務は、共に飲食料品を対象とし、需要者が共通するから、ココナッツジュース以外の商品及び役務についても、混同のおそれがあるといえる。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、取引の実情に基づき、観念、外観及び称呼において類似し、両商標が使用された場合、商品又は役務の出所につき誤認混同を生じるおそれがある。
オ 引用商標の指定商品との類否
本件商標の申立てに係る商品及び役務は、引用商標の指定商品と同一又は類似する。
(3)商標法第4条第1項第11号について
以上により、本件商標と引用商標とは類似し、本件商標の申立てに係る商品及び役務は、引用商標の指定商品と同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
仮に、本件商標と引用商標が類似しないと判断されたとしても、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標に該当する。
本件において、上記(1)アのとおり、引用商標はある程度知られており、上記(2)エのとおり、独創性の高いものである。したがって、これらの要素は、少なくとも同一の産業分野内の商品及び役務において、混同を生ずるおそれが肯定される要素となる。
また、本件商標の申立てに係る商品及び役務と引用商標の指定商品は、同一又は類似であるから、商品間の関連性並びに取引者及び需要者の共通性は強く、それ以外の商品及び役務についても飲食料品や一般消費者を需要者とする商品及び役務を含むため、商品間の関連性及び需要者の共通性は一定程度ある。
さらに、需要者の注意力及び混同の事実等から混同を生ずるおそれが肯定される要素となる。
以上により、本件商標及び引用商標は語順が異なるという相違点があるものの、構成文字が同一であり、その他の要素を考慮しても出所の混同のおそれが肯定されるべきである。
よって、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)プレスリリース配信サイト「PRTIMES」(2013年4月2日)には、「全米で話題沸騰!! 南国生まれ、天然由来の水分補給飲料 Vita Coco(ビタココ)が4月2日 ついに日本 本格上陸!」の見出しの下、販売先として「セブンイレブン(東京都・大阪府)、イトーヨーカドー(全店)、ヨークベニマル(全店)、ヨークマート(全店)、ザ・ガーデン(秋田店除く全店)」の記載、また、「『Vita Coco』 TOPIC 01」及び同「TOPIC 02」には、「ココナッツウォーターNo.1ブランド 『Vita Coco』/世界で圧倒的に売れている『Vita Coco』は、アメリカのココナッツウォーター市場の60%を占めるNo.1ブランドです。」及び「アメリカでは多くのセレブが『Vita Coco』のとりこに!/『Vita Coco』のとりこになったマドンナが米国Vita Coco社の株主になったり、リアーナがスポークスマンになったことも有名なエピソードです。」の記載がある(甲1)。
また、同配信サイト(2014年3月27日及び2015年1月29日)には、「ココナッツウォーター全米シェアNO.1ブランド ビタココ 新フレーバー『トロピカルフルーツ』 3月26日上陸!!」の見出し及び「ココナッツウォーター全米シェアNo.1ブランド!ローフードだからこそ品質管理にこだわった『Vita Coco(ビタココ)エクストラバージン ココナッツオイル』日本本格上陸!」の見出しの下、商品パッケージとともにココナッツウォーター及びココナッツオイルが紹介されている(甲2、甲3)。
(イ)「財経新聞」のウェブページ(2014年3月27日)には、「ココナッツウォーター全米シェアNO.1ブランド ビタココ 新フレーバー『トロピカルフルーツ』 3月26日上陸!!」の見出しの下、商品パッケージとともにココナッツウォーターが紹介されている(甲4)。
(ウ)「pen」のウェブページには、「ココナッツウォーター全米No.1シェア『ビタココ』の、ココナッツオイルが日本に本格上陸。」の見出し(2015年2月11日)の下、「2015年2月17日より本格上陸となるのが、『ビタココ エクストラバージン ココナッツオイル』。」の記載があり、商品パッケージとともにココナッツウォーター及びココナッツオイルが紹介されている(甲5)。
(エ)「株式会社memento」のウェブページのプレスリリース(2013年10月吉日)には、「ビタココ ココナッツウォーター パイナップル、10月より随時発売!/?天然由来の水分補給飲料『ビタココ』の新フレーバー?」の見出しの下、商品パッケージとともにココナッツウォーター パイナップルが紹介されている(甲6)。
(オ)「Tetra Pak」のウェブページには、「ココナッツベースの飲料で道を開いたビタココ」(2016年10月26日)の見出しの下、「昨年、アメリカでは約9,400万リットルの容器入りココナツウォーターが消費され、この消費量は過去12カ月で15%増加しました。」及び「世界各地に拡大/・・・現在、カナダ、ヨーロッパのほとんどの国、日本、中国、ニュージーランドを含む31か国で販売(そして通常は市場リーダー)されています。」の記載がある(甲7)。
イ 上記アによれば、「ビタココ ココナッツウォーター」は、日本において2013年4月2日に販売が開始され、販売先として、「セブンイレブン(東京都・大阪府)、イトーヨーカドー(全店)、ヨークベニマル(全店)、ヨークマート(全店)、ザ・ガーデン(秋田店除く全店)」があり、2014年3月26日に「ビタココ トロピカルフルーツ」、2015年2月17日に「Vita Coco(ビタココ)エクストラバージン ココナッツオイル」が発売されたことが認められる。
そして、申立人商品は、2013年ないし2015年にかけて全米シェアが1位、2013年時点でココナッツウォーター全米市場の60%を占めるブランドであること及び2016年時点でその前年に米国において約9,400万リットルの容器入りココナツウォーターが消費されたことが記載されているが、それらはいずれも米国における内容であって、申立人商品に関する我が国の需要者の認識の程度を客観的に示す証拠の提出はない。
また、申立人商品が世界31か国で販売されていることについても、各国における販売実績等の詳細が不明な上に、我が国における申立人商品の販売実績、市場シェア及び広告宣伝の方法や規模等も確認できない。
そうすると、引用商標は、申立人商品に使用されていることは認め得るものの、申立人商品の販売実績や広告宣伝の規模等が確認できないものであるから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「COCOVITA」の欧文字を標準文字で表してなり、同書同大同間隔に一体に書してなるものであって、全体的にまとまりのある構成からなるものである。
また、当該文字は、辞書等に載録が認められないものであり、かつ、特定の意味を有する語として認識されているとみるべき事情も見いだせない。
そうすると、本件商標は、「COCOVITA」の構成文字全体に相応して「ココビタ」の称呼のみを生ずるものであり、一種の造語と認められるから、特定の観念を生じないものである。
一方、引用商標は、別掲のとおり、「VITA COCO」の欧文字を表してなるところ、全体的にまとまりのある構成からなるものであり、「VITA」と「COCO」の間に半角ほどの隙間を有することから、「VITA」と「COCO」の欧文字の組合せからなるものと看取されるとしても、各語は、親しまれた語ともいい難く、構成文字全体としても辞書等に載録が認められないものであり、かつ、特定の意味を有する語として認識されているとみるべき事情も見いだせない。
そうすると、引用商標は、「VITA COCO」の構成文字全体に相応して「ビタココ」の称呼を生じるものであり、一種の造語と認められるから、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標から生じる「ココビタ」の称呼と引用商標から生じる「ビタココ」の称呼とを比較するに、両者はともに4音という比較的短い音構成よりなり、しかも、各音構成が明らかに異なるものであるから、それぞれを一連に称呼しても、互いに相紛れるおそれはないというのが相当である。
そして、本件商標と引用商標とは、それぞれ上記のとおりの構成からなる
ものであるから、外観においては明確に区別し得るものであり、また、ともに特定の観念を生じない造語であるから、観念においては、比較することができないものである。
その他、本件商標が引用商標と類似するというべき事情は見いだせない。
以上のことを総合して考察すると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る申立人商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に広く知られているとは認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標は、上記(2)のとおり、外観及び称呼において相違するものであるから、その類似性は低いものといえる。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る申立人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとはいえず、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれを申立てに係る商品及び役務について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は、構成する文字の語順を入れ替えた例について判断された判決(平成21年(行ケ)第10071号判決)を挙げ、本件商標も同様に外観において類似する旨主張している。
しかしながら、本件商標は、同書同大同間隔で表され、その区切りが特定できない構成であって、一体不可分の一種の造語であると認識されるものであるから、当該判決とは事案を異にするというべきであり、申立人の主張を採用することはできない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、申立てに係る商品及び役務について商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲(引用商標)



異議決定日 2021-08-12 
出願番号 商願2019-119028(T2019-119028) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W053235)
T 1 652・ 263- Y (W053235)
T 1 652・ 262- Y (W053235)
T 1 652・ 271- Y (W053235)
最終処分 維持  
前審関与審査官 守屋 友宏片桐 大樹 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 小田 昌子
板谷 玲子
登録日 2020-09-23 
登録番号 商標登録第6295291号(T6295291) 
権利者 株式会社Libeiro
商標の称呼 ココビータ、ココビタ、ココバイタ 
代理人 弁護士法人クレオ国際法律特許事務所 

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