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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W07 審判 全部申立て 登録を維持 W07 |
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管理番号 | 1376985 |
異議申立番号 | 異議2021-900002 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-01-04 |
確定日 | 2021-07-31 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6303508号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6303508号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6303508号商標(以下「本件商標」という。)は、「K&P Engineering」の文字を標準文字で表してなり、第7類「エンジン用オイルフィルター,乗物用のエンジンのオイルフィルター,動力機械器具の部品」を指定商品として、令和2年7月20日に登録出願、同年9月29日に登録査定され、同年10月13日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する商標は、別掲1(以下「引用商標1」という。)及び別掲2(以下「引用商標2」という。)に示すとおりの構成よりなる商標であり、申立人の業務に係る商品「オイルフィルター」(以下「申立人商品」という。)について、需要者の間に広く知られていると主張するものである。 上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、以下、「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号に基づき登録が取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。 なお、申立人は、申立人の商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に係る主張において、例えば「本件商標の周知著名性について」などと商標に関する主張部分を全て「本件商標」と記載しているが、その記載部分は、主張の脈絡からみて「引用商標」(「引用商標1」又は「引用商標2」の場合もある。)の意であると解される箇所があるので、以下、当該箇所を「引用商標」、「引用商標1」又は「引用商標2」と適宜読み替える。 1 商標法第4条第1項第10号該当性、引用商標の周知著名性について (1)使用の実績 申立人は、2008年からアメリカ製「K&P Engineering/ケイアンドピーエンジニアリング」のオイルフィルターを継続的に輸入販売している。以来、引用商標1は日本国内でも、オリジナルドメインによるオフィシャルWEBサイトやパンフレットに掲載されており、さらに二輪、四輪の雑誌・全国紙に広告として掲載されている(甲1?甲6)。 なお、引用商標1を付したオイルフィルターを、全国規模の展示会やサーキットイベントに幾度となくブース出展してきた。2020年の1月に行われた全国最大規模の四輪展示会である「東京オートサロン」にも出展、展示販売している(甲7、甲8)。 (2)申立人以外の者による使用の実績や紹介記事 卸先の販売店により、引用商標1を付したオイルフィルターは、二輪、四輪の雑誌広告及び全国配布のカタログに掲載されている(甲9)。 また、全国誌で、引用商標1及び引用商標2を付したオイルフィルターは、申立人の輸入販売する商品として記事等に紹介されている(甲10、甲11)。 さらに、YouTubeサイトでは、有名Youtuberや卸先の販売店により、引用商標1を付したオイルフィルターは、申立人の輸入販売する商品として以前から記事や動画等で紹介されている。紹介動画は、45万再生を超えるものも含まれ、二輪、四輪ユーザーや車輌販売店など需要者の間に広く視聴され認知されている(甲12)。 (3)小括 以上のとおり、引用商標は、申立人の確固たる使用実績及びメディアによる紹介記事や動画により、需要者の間に広く認知するに至ったものである。 2 商標法第4条第1項第19号該当性について 上記1(1)と(2)によれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている。また、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、本件商標の登録出願以前の2019年から2020年まで複数回にわたり、申立人より「K&P Engineering/ケイアンドピーエンジニアリング」のオイルフィルターを仕入れてヤフーオークション等にて販売している(甲13、甲14)。 かかる状況において、本件商標権者が、本件商標の登録出願時点において、周知著名な引用商標を知っていたことは明らかである。すなわち、本件商標権者は、その知り得る立場からすれば、申立人ないし引用商標に何ら依拠することなく、偶然に本件商標を採択したとは考えられない。 このような経緯により、本件商標権者が、図利加害等不正の目的をもって、本件商標の早期登録を図り、使用していることは明らかである。 また、本件商標権者は、申立人が永年にわたり本国メーカーから正規に輸入販売をしていることを知りながら、第三者の販売を不明(審決注:「不当」の誤記と思われる。)に阻止しようとしている。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、2009年ないし2018年に発行された雑誌における他社の広告(甲2?甲5、甲11)、2016年、2019年、2020年発行の他社のカタログ(甲9)及び2020年発行の情報誌(甲10)に引用商標1又は引用商標2(甲11のみ)とともに申立人商品が掲載されていること、また、掲載日は不明であるが、他社のパンフレット(甲1)及びウェブサイト(甲6)に引用商標1とともに申立人商品が掲載されていることが認められる。 さらに、引用商標1を表示した申立人商品が、展示会やイベントに出展されたこと(甲7、甲8)、インターネット上に動画が公開されたこと(甲12)がうかがえる。 しかしながら、申立人商品の我が国及び外国における売上高、販売数量など販売実績に係る主張はなく、それを確認できる証左は見いだせない。 (2)上記(1)のとおり、我が国において申立人商品が広告されていることなどが認められるものの、申立人商品の我が国及び外国における販売実績を確認できる証左は見いだせないから、申立人商品及びそれに使用される引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品であること、及び申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第10号の該当性について (1)本件商標と引用商標との類否について ア 本件商標 本件商標は、上記第1のとおり「K&P Engineering」の文字を標準文字で表してなるところ、その文字に相応して「ケーアンドピーエンジニアリング」の称呼を生じ、また、当該文字は、辞書に載録されていない語であって、一種の造語とみるのが相当であるから、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標 (ア)引用商標1 引用商標1は、別掲1のとおり、黒色のグラデーション及び赤と白の波様の図形を配してなる横長の四角形の背景図形の中央に、白色の縁取りを施した黒色で「K&P Engineering」の欧文字(以下「上段文字部分」という。)を大きく書してなり、当該文字の右下に白色で「The World‘s Finest Oil Filter」の欧文字(以下「下段文字部分」という。)を極めて小さく2段書きに書してなるものである。 そして、その構成態様からは、上段文字部分と下段文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るというのが相当であるところ、当該上段文字部分と下段文字部分とは、その大きさ、書体及び色彩が明らかに異なることにより、上段文字部分が看者の印象を強く引きつけるものであるため、上段文字部分が需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから、引用商標1は、上段文字部分を要部として抽出し、この部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものである。 そうすると、上段文字部分からは、上記アと同様に、「K&P Engineering」の文字に相応して「ケーアンドピーエンジニアリング」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (イ)引用商標2 引用商標2は、別掲2のとおり、紫色の横長の四角形の背景図形に白抜きで「K&P Engineering」の欧文字を書してなるところ、上記アと同様に、当該文字に相応して「ケーアンドピーエンジニアリング」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標及び引用商標は、その外観において背景図形の有無や、色彩及び書体の相違はあるものの、構成文字のつづりを同一にするものであるから、外観上、相紛れるおそれのあるものである。 また、両商標は「ケーアンドピーエンジニアリング」の同一の称呼を生じるものである。 さらに、観念においては、構成文字のつづりを同一にし、その文字から生じる称呼を同一にするものであるから、観念においても異なることはないというべきである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において相紛れるおそれがあり、称呼において同一であり、観念において異なるところがないから、これらを総合勘案すれば、本件商標と引用商標とは外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある類似の商標といわざるを得ない。 (2)本件商標の指定商品と申立人商品との類否について 本件商標の指定商品は、「エンジン用オイルフィルター,乗物用のエンジンのオイルフィルター,動力機械器具の部品」であり、申立人商品は、「オイルフィルター」であるから、これらは同一又は類似の商品である。 (3)小括 以上によれば、本件商標と引用商標とは類似の商標であって、本件商標の指定商品と申立人商品が同一又は類似の商品であるとしても、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第19号該当性について 引用商標は、上記2のとおり、本件商標と同一又は類似する商標であるとしても、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 また、申立人は、不正の目的について、本件商標権者が申立人との取引を通じて、本件商標の登録出願時点において引用商標を知っていたことは明らかであり、偶然に本件商標を採択したとは考えられず、他人に損害を加える目的をもって使用するものであって、本件商標権者は申立人が本国メーカーから正規に輸入販売をしていることを知りながら、第三者の販売を阻止しようとしている旨主張している。 しかしながら、申立人の上記主張に係る証拠は、申立人との関連が不明な会社と本件商標権者との取引をうかがわせる請求書(甲13)及び宅配伝票(甲14)のみであって、これらをもって、本件商標権者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって本件商標を登録出願し、登録を受けたと認めることはできない。 また、他に申立人提出の甲各号証を総合してみても、本件商標権者が不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものとはいえず、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標1:色彩については、原本を参照。) 別掲2(引用商標2:色彩については、原本を参照。) |
異議決定日 | 2021-07-20 |
出願番号 | 商願2020-89727(T2020-89727) |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(W07)
T 1 651・ 222- Y (W07) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 安達 輝幸、町田 圭輔 |
特許庁審判長 |
小松 里美 |
特許庁審判官 |
榎本 政実 荻野 瑞樹 |
登録日 | 2020-10-13 |
登録番号 | 商標登録第6303508号(T6303508) |
権利者 | 浅見 悟 |
商標の称呼 | ケイアンドピイエンジニアリング、ケイアンドピイ、ケイピイエンジニアリング、ケイピイ |