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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W093642
審判 全部申立て  登録を維持 W093642
管理番号 1376977 
異議申立番号 異議2020-900310 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-11-27 
確定日 2021-07-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6289256号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6289256号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6289256号商標(以下「本件商標」という。)は、「smaview」の欧文字を標準文字で表してなり、令和2年3月9日に登録出願、第9類「電子計算機,電子計算機用プログラム,電気通信機械器具,無線通信機械器具,電気式錠」、第36類「建物の売買の代理又は媒介,建物の管理」及び第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定商品及び指定役務として、同年8月18日に登録査定、同年9月7日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、現に有効に存続している。
(1)国際登録第1139431号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:SMA
国際登録出願日:2012年(平成24年)3月5日(優先権主張:Germany、2011年9月7日)
設定登録日:平成25年12月6日
指定商品・役務:第9類「Devices and instruments for conducting, switching, transforming, storing, regulating and controlling electricity; measuring apparatus, electric checking apparatus; computer software; electric display panels; data processing apparatus.」のほか、第6類、第19類、第37類、第38類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(2)国際登録第903700号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
国際登録出願日:2006年(平成18年)2月3日(優先権主張:Germany、2005年11月3日)
設定登録日:平成20年7月25日
指定商品:第9類「Measuring apparatus and instruments; power distribution or control instruments and apparatus; regulating apparatus, electric; electric energy supplying devices and systems and electric energy transformers, essentially comprising transformers, inverters, battery storages, solar power and wind turbine regulating devices; computer hardware and peripherals as well as construction parts for microprocessors; optical displaying devices, namely liquid crystal displays for inverters and photovoltaic installation; solar collectors for electric power generation; computer software, computer evaluation software for inverters in photovoltaic installations; electric and electronic apparatus for measurement, collation or transmission of data.」
(3)国際登録第1000384号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:SMA
国際登録出願日:2009年(平成21年)2月23日
設定登録日:平成22年8月6日
指定商品:第9類「Apparatus and instruments for measuring, apparatus and instruments for controlling and regulating of electricity, all these goods for photovoltaic technology; transformers, inverters, battery storages, electrical solar power and wind turbine regulating apparatus as well as energy supplying devices comprising the aforementioned apparatus; computer hardware and peripherals as well as construction parts for microprocessors; optical display devices, in particular displays for inverters in photovoltaic installations, solar collectors for generating energy; computer software, computer evaluation software for inverters in photovoltaic installations; apparatus for collating and transmission of data from energy technology apparatus, including photovoltaic installations and railway engineering installations, as far as included in this class.」
(4)国際登録第1136676号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
国際登録出願日:2012年(平成24年)3月12日(優先権主張:Germany、2011年9月14日)
設定登録日:平成25年12月6日
指定商品・役務:第9類「Devices and instruments for conducting, switching, transforming, storing, regulating and controlling electricity; measuring apparatus, electric checking apparatus; computer software; electric display panels; data processing apparatus.」のほか、第37類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務
(5)登録第5758167号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:エスエムエイ(標準文字)
登録出願日:平成26年7月28日
設定登録日:平成27年4月17日
指定商品・役務:第9類「電気の伝導用・開閉用・変圧用・蓄電用・調整用及び制御用の機械器具,電気の測定用および分析用の機械器具,コンピュータソフトウェア,電子表示ボード,電子表示盤,データ処理装置」のほか、第37類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1項第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第37号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、「smaview」の文字からなり、その構成中「sma」の文字部分は、辞書等に記載のない造語といえるものである。
しかしながら、本件商標における「view」の文字部分は、光景、景色、眺め程の意味合いとして一般によく親しまれている語であり、例えば、申立人が市場に投入している商品において、商標登録もなされているものであって(甲7)、太陽光発電設置用監視システムの商品名が「SUNNY VIEW」(甲8)であるように、他の文字部分と結合しやすい性格を有しており、これらの意味合いを表すものとして商品・役務等について説明する用語として記述的に使用され得るといえるから、本件商標は、「sma」の文字と「view」の文字を結合してなるものと容易に看取できる。
したがって、本件商標に接する取引者・需要者は、注意力を比較的強く惹く位置にあり強い識別力を有する前半部の「sma」の文字に着目して該文字部分をもって取引に当たることも決して少なくないというべきである。
そうすると、本件商標は、「スマビュー」の称呼以外に、「sma」の文字部分に着目した「エスエムエイ」、又は「スマ」の称呼を生ずるものである。
イ 引用商標について
引用商標1ないし4は、「SMA」の文字からなるか又は「SMA」の文字を構成中に含むところ、その構成文字に相応して、「エスエムエイ」、又は「スマ」の称呼を生じ、引用商標5は、「エスエムエイ」を標準文字で表してなり、「エスエムエイ」の称呼を生じるものである。
加えて、申立人は、後述のように太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー関連の世界的企業であり、我が国においても主要メーカーの地位にあるものであり、引用商標の「SMA」の文字は、申立人の社名を表しており、代表的出所識別標識(ハウスマーク)として継続的に使用してきた結果、引用商標は、申立人の業務に係る太陽光発電用パワーコンディショナー及び太陽光発電用システムに関連して行われる設置・修理・保守等のサービスについて、需要者並びに取引者の間において広く認識されている商標に該当する。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標1ないし4は、「エスエムエイ」、又は「スマ」の称呼を共通にする類似の商標であり、本件商標と引用商標5は、「エスエムエイ」の称呼を共通にする類似の商標である。
また、本件商標の第9類の指定商品中、「電子計算機,電子計算機用プログラム,電気通信機械器具,無線通信機械器具」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
エ 小括
以上より、本件商標は、引用商標と類似の商標であって、かつ、本件商標の指定商品には、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標の類似性
本件商標と引用商標は、上記のとおり、類似する商標である。
イ 引用商標の周知・著名性
申立人は、1981年に設立されたドイツに本拠をおく法人であり、太陽光発電のパワーコンディショナーの開発、生産、販売を主要業務とする企業である(甲9、甲10)。
パワーコンディショナーとは、太陽電池等で発電した直流電流を交流電流に変換する機械であり、太陽光発電システムのなかでも技術的に重要な機能を果たすコンポーネントである(甲11、甲12)。
申立人は、我が国を含む少なくとも18か国に拠点を有し(甲13)、屋外設置仕様の太陽光発電パワーコンディショナーの世界シェア30%以上を獲得する世界最大手である(甲12)。
我が国においては、全国各地に11のサービス拠点を有し(甲14)、申立人の業務に係る太陽光発電用パワーコンディショナー(以下「申立人商品」という場合がある。)は、2008年には「Sunny Boy 5000TL」が、2010年には「Sunny Central 800CP」が世界最大級の太陽光発電システム技術専門国際見本市「インターソーラー」の賞である「Intersolar Award」を獲得した(甲15)。
また、三相パワーコンディショナーである「Sunny Tripower 17000TL」は、2010年、業界紙「Photon Profi」によるテストにおいて「最高品質製品」と称され最高グレードA+を獲得し、ドイツで開催された太陽光発電エネルギーの第25回シンポジウムにおいてイノベーション賞を獲得した(甲16)。
IMSリサーチが行った世界中の顧客への調査で、2012年に人気の太陽光インバータブランドとして第1位に選ばれ、製品だけでなく、保証とサービスプランという観点に関しても、申立人は35%以上の票を獲得し第1位になった(甲17)。
申立人のグループ全体の売上高は、2014年は8.054億ユーロ、2015年は9.818億ユーロ、2016年は9.467億ユーロ、2017年は8.910億ユーロ、2018年は7.609億ユーロであり、更に、当該総売上高から値引、返品、割戻分を差し引いた売上である純売上高においては、2014年は5806万3192.07ユーロ、2015年は7780万9367.56ユーロ、2016年は9218万9918.09ユーロ、2017年は7682万6686.17ユーロ、2018年は5198万8216.1ユーロ、2019年は5686万7765.69ユーロ、2020年は4639万2956.64ユーロであり(甲18)、そのほとんど全てに係る商品・サービスに、申立人の代表的出所識別標識(ハウスマーク)として、引用商標を使用している。
申立人商品は、世界各国のメガソーラーを含む、多くの太陽光発電所のほか、ホワイトハウス、法王謁見の間、BMWワールド等の世界各国の主要な拠点などにも広く採用されている。
我が国では、「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」に申立人商品が採用され、140基設置されている(甲19?甲22)。
申立人商品は、標準仕様で塩害対策を施しており、全世界で30%のシェアの実績や塩害地域や砂漠などの過酷な地域での豊富な経験が評価され、国内メーカーを圧し、海外メーカーである申立人商品が採用されたのである。
また、青森県三沢市のメガソーラー「サイエンテック細谷自然エネルギー発電所」(甲23)にも採用され、申立人の製品は、我が国の主要な再生可能エネルギー関連企業を多く取引先として輸入されている。
引用商標は、申立人の社名を表しており、ドイツのみならず世界各国で継続的に使用し、申立人のほとんど全ての製品に表示されているほか(甲11)、雑誌記事、広告(甲24?甲33)、これらの製品に関するカタログ、取扱説明書等の取引書類、ホームページ等にも広く使用されてきた。
我が国においても主要メーカーの地位にあり(甲12)、我が国のシェアは、2015年は4%、2016年から2018年は7%、2019年は8%、2020年は6%のように常に安定した地位を獲得している(甲34)。そして、我が国における顧客との案件は、顧客と親密な関係で取引を行っており、例えば、2019年、2020年においては、「三菱電機、九電工、中電工」などの電力(電気)関連会社との案件はもちろんのこと、通信設備に関する世界トップレベルを持ち、エネルギー関連のシステムインテグレーションを行っている「NTTファシリティーズ」との案件や、通信工事の大手企業である「NECネッツエスアイ」との案件、IHIプラント建設、千代田化工建設などの建設会社との案件、そして、東急不動産、大和ハウスなどの不動産関連会社との案件も含んでいる(甲35)。
なお、例えば、我が国における昨今では、様々な雑誌や新聞記事等のメディアのみならず、セミナーまでの参加も積極的に行っており、それらの中で、「住宅用」のパワーコンディショナーに関する記載(甲33)もあることから、申立人は海外企業でありながら、我が国においても、エネルギー業界のみならず、不動産業界も含むあらゆる業界において、広く一般に知られている。
以上の事実より、引用商標は、本件商標の登録出願時にはすでに、申立人の業務に係る太陽光発電用パワーコンディショナー及び太陽光発電用システムに関連して行われる設置・修理・保守等のサービスを表示する商標として広く知られていた。
ウ 出所の混同のおそれ
本件商標権者は、リノベーションマンション事業を中心に、不動産の仕入や企画、運営、販売、管理業務などを担う総合企画会社である(甲36)。
そして、例えば、主に業務店向けの「IoTプラットフォーム事業」「音楽配信事業」「エネルギー事業」などを行う企業である「USEN」と通信回線の導入の段階から取引がある(甲37)。
これらの事情から、本件商標に係る指定商品及び指定役務の需要者は、不動産関連会社はもちろんのこと、このような通信関連会社や建設会社とも関連性が高いといえるものであり、本件商標の指定商品及び指定役務は、申立人が行う太陽光発電用パワーコンディショナー及び太陽光発電用システムに関連して行われる設置・修理・保守等のサービスと同一又は類似、若しくは密接に関連するものといえる。
そうとすれば、本件商標に接する需要者等(例えば、不動産関連会社、通信関連会社)は、「sma」の文字部分から、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、出所について混同を生じるおそれがある。
エ 小括
したがって、引用商標は、申立人の業務に係る太陽光発電用パワーコンディショナー及び太陽光発電用システムに関連して行われる設置・修理・保守等のサービスを表示するものとして広く一般に知られており、これと類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、商標の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、1981年(昭和56年)に申立人の前身となる制御システムの開発会社としてドイツで設立された、太陽光発電用パワーコンディショナーの開発、生産、販売を主要業務とする企業である(甲9、甲10)。
(イ)SMA Japanのウェブサイト(2019年4月1日出力)には「SMAの海外拠点」として「JAPAN/SMA JAPAN K.K.」の表示がある。また、同ウェブサイトには「ドイツに本拠を構えるSMAソーラーテクノロジーは・・・世界20カ国へ累計65GWに及ぶ太陽光発電用パワーコンディショナを提供してきました。」、「SMAジャパンは、SMA製パワコンを日本のユーザーに責任を持ってお届けします。」及び「SMAジャパン株式会社」の表示がある(甲13、甲14)。
(ウ)「環境用語集/パワーコンディショナー」(2019年4月17日出力)には、「パワーコンディショナーとは、直流の電気を交流に変換し、家庭用の電気機器などで利用できるようにするための機械。」及び「パワーコンディショナーのメーカー一覧」として「SMAジャパン 世界19カ国で展開するドイツの企業。20年もの間、屋外型の太陽光発電用パワーコンディショナーを生産し35%のマーケットシェアを獲得している世界的なリーディングカンパニー。」の記載のほか、「オムロン」や「安川電機」を含む17社が記載されている(甲12)。
(エ)申立人のプレスリリース(2010年6月9日付け、同年9月7日付け)には、「ミュンヘンでの今年度のIntersolarの太陽光発電部門でIntersolar Awardを獲得した。」及び「業界紙Photon Profiによる最新のインバータテストにおいてSMAのSunny Tripower17000TLが『最高品質製品』だと称され、最高グレードA+を獲得した。」の記載がある(甲15、甲16)。
また、同プレスリリースの右上には、引用商標4が表示されている。
(オ)IMS researchのプレスリリース(2013年1月21日)には、「IMS Research(現在はIHS Inc.に属す。(ニューヨーク証券取引所:IHS))が400以上の太陽光インバータ購入者を対象に行った新たな調査において、2012年世界的に人気であった太陽光インバータブランドはSMA Solar Technologyであった」の記載がある(甲17)。
(カ)申立人グループ全体の純売上高とする表においては、2014年に5806万3192、2015年に7780万9368、2016年に9218万9918、2017年に7682万6686、2018年に5198万8216、2019年に5686万7766、2020年に4639万2957の数字が記載されている(甲18)ものの、世界におけるグループ全体の売上高であり、その裏付けとなる資料の提出がないことから、客観性を欠くものであり、また、我が国における売上高は不明である。
(キ)日経BP社の「メガソーラービジネス」に関する情報(2013年11月5日及び同年11月26日付け)には、鹿児島メガソーラー発電がメガソーラー(大規模太陽光発電所)を鹿児島県鹿児島市七ツ島に建設し、「パワーコンディショナー(PCS)はドイツのSMAソーラーテクノロジー社製」である旨紹介され、引用商標4が表示されているストリング監視を担う接続箱の写真が掲載されている(甲21、甲22)。
(ク)SMA Japanのウェブサイト(2019年3月31日出力)の「青森県三沢市」には、各ページの右上に引用商標4が表示され、「SUNNY CENTRAL 500CP-JP」の紹介及び「その他の関連性のあるテーマ」として、各国及び我が国(青森県三沢市及び鹿児島七ツ島メガソーラー発電所)の設置場所が記載されるとともに、我が国では、青森県三沢市において、2013年4月より運用開始されている旨の記載がある(甲23)。
(ケ)「月刊ソルビスト」(2014年8月号)、「日経ホームビルダー」(2014年9月号)及び「2018.2 特別号」と題する雑誌には、申立人商品が紹介又は広告されているところ、両誌には「SMAジャパン株式会社」の文字及びその左側に引用商標4が表示されている(甲31?甲33)。
(コ)「SOLAR JOURNAL」(2018年WINTER)には、「トップ企業に聞いたこれからの業界予感/2018年太陽光の新たな地図」の見出しの下、「SMAジャパン株式会社」の文字及び引用商標4の表示、「新エネルギー新聞」(2018年(平成30年)2月19日発行)には、「トップインタビュー/SMAジャパン」の文字及び引用商標4の表示とともに、申立人会社について紹介されている。また、ソーラージャーナル主催の「PVビジネスセミナー」(2018年2月8日実施、来場者数214名)において、SMAジャパン株式会社のプロダクトマネージャーが「FIT向け分散型パワコンとFIT以降の事業モデル」について講演をし、引用商標4が表示された製品の展示風景の写真が掲載されている(甲33)。
(サ)我が国におけるシェアとする表には、2015年は4%、2016年?2018年は7%、2019年は8%、2020年は6%であると記載があるものの、その裏付けとなる資料の提出がないことから、客観性を欠くものであり、仮に、それが事実だとしても、そのシェアは決して高いものとはいえない(甲34)。
(シ)「系統連系型太陽光発電パワーコンディショナ」に関する請求書(2018年3月19日)、「大規模な分散型太陽光発電システムで使用されるSMAパワーコンディショナの監視・制御用装置・Speedwire/ネットワーク表示用液晶画面を装備、DINレールへの取付け」に関する請求書(2018年5月17日)等は、申立人が顧客へ宛てたものである(甲35)。
(ス)外国雑誌において、申立人商品は、引用商標2とともに紹介されており(甲24?甲29)、一部で、申立人商標は引用商標4とともに紹介されている(甲30)。
イ 上記アによれば、申立人は、太陽光発電用パワーコンディショナーの開発、生産、販売を主要業務とする企業であって、申立人商品は、2010年、ドイツにおいて、太陽光発電部門でIntersolar Awardを獲得したり、最高品質製品と称されており、また、アメリカにおける2012年調査において、世界的に人気がある太陽光インバータブランドは、「SMA Solar Technology」とされているが、当該事実は外国におけるものである。
そして、申立人商品には、引用商標4が使用されていることが認められ、外国において引用商標2の使用が散見されるものの、他の引用商標について、使用されていることは確認できない。
また、申立人の主張する売上高は、世界におけるグループ全体のものであって、申立人商品のみのものではなく、また、我が国における販売実績やシェアも確認できない。
さらに、我が国において、申立人商品は「SMAジャパン株式会社」が販売しており、同社のウェブサイトには引用商標4が表示されていることは認め得るものの、申立人商品を使用した太陽光発電所は、青森県及び鹿児島県のわずか2か所であり、雑誌や新聞における、申立人商品に関する紹介及び広告についても、さほど多いものともいえず、一般の需要者が購読するものともいえない。
そうすると、引用商標1ないし引用商標3及び引用商標5は、申立人商品において我が国での使用の事実が認められず、引用商標4は、申立人商品の広告や「SMAジャパン株式会社」のウェブサイト等において使用されていることは認め得るものの、販売実績やシェアも確認できないものであるから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「smaview」の欧文字を標準文字で表してなり、同書同大等間隔に一連一体に書してなるものであるから、該構成文字に相応して「スマビュー」の称呼のみが生じるというべきであり、全体の文字は、辞書等に載録が認められない一種の造語と認められるから、特定の観念を生じるとはいえない。
一方、引用商標は、前記2のとおり、引用商標1及び引用商標3は、「SMA」の欧文字を書してなり、引用商標2は、別掲1のとおり、右に傾斜した横長の黒色平行四辺形内に「S」の白抜き文字、白抜きの輪郭線による「M」の文字及び「A」の白抜き文字をそれぞれの文字が一部重なるよう多少デザイン化して配し、当該文字の下に白抜き横線を有してなる構成であり、引用商標4は、別掲2のとおり、濃淡の異なる2色の灰色及び白色の曲線からなる略長方形内の左上方に「SMA」の白抜きの欧文字を表してなる構成であるところ、両商標における文字部分は「SMA」の欧文字を表したものであると容易に看取されるものである。
そうすると、引用商標1ないし引用商標4は、その構成文字に相応して「スマ」及び「エスエムエイ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に載録が認められない一種の造語と認められるから、特定の観念を生じるとはいえない。
また、引用商標5は、「エスエムエイ」の片仮名を書してなるところ、該構成文字に相応して、「エスエムエイ」の称呼を生じ、当該構成文字は辞書等に載録が認められない一種の造語と認められるから、特定の観念を生じるとはいえない。
本件商標と引用商標を対比すると、本件商標と引用商標とは、文字数や文字種の相違や図形の有無等において、外観において明らかに相違し、本件商標は、「スマビュー」の称呼のみを生じるから、「スマ」及び「エスエムエイ」の称呼を生ずる引用商標1ないし引用商標4、「エスエムエイ」の称呼を生ずる引用商標5とは、称呼において聴別できるものであって、観念においては、比較することができないものである。
以上のことを総合して考察すると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、その外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に広く知られているとは認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標は、上記(2)のとおり、外観及び称呼において相違するものであるから、その類似性の程度は低いものといえる。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとはいえず、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品又は役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲1(引用商標2)


別掲2(引用商標4)




異議決定日 2021-07-21 
出願番号 商願2020-25388(T2020-25388) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W093642)
T 1 651・ 26- Y (W093642)
最終処分 維持  
前審関与審査官 荻野 瑞樹 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 森山 啓
小田 昌子
登録日 2020-09-07 
登録番号 商標登録第6289256号(T6289256) 
権利者 株式会社インテリックス
商標の称呼 スマビュー 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 

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