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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W08
審判 全部申立て  登録を維持 W08
審判 全部申立て  登録を維持 W08
審判 全部申立て  登録を維持 W08
管理番号 1376081 
異議申立番号 異議2020-900313 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-11-28 
確定日 2021-07-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第6290648号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6290648号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6290648号商標(以下「本件商標」という。)は、「SURKER」の欧文字を横書きしてなり、令和2年5月26日に登録出願、第8類「ピンセット,組ひも機(手持工具に当たるものに限る。),くわ,鋤,レーキ(手持工具に当たるものに限る。),靴製造用靴型(手持工具に当たるものに限る。),電気アイロン,電気かみそり及び電気バリカン,手動利器(「刀剣」を除く。),刀剣,手動工具(「すみつぼ類・革砥・鋼砥・砥石」を除く。),すみつぼ類,革砥,鋼砥,砥石,エッグスライサー(電気式のものを除く。),かつお節削り器,缶切,スプーン,チーズスライサー(電気式のものを除く。),ピザカッター(電気式のものを除く。),フォーク,チャコ削り器,十能,暖炉用ふいご(手持工具に当たるものに限る。),火ばし,護身棒,ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット,ピッケル,水中ナイフ,水中ナイフ保持具,パレットナイフ」を指定商品として、同年8月17日に登録査定され、同年9月10日に設定登録されたものである。

2 使用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標(以下「使用商標」という。)は、「SURKER」の欧文字を別掲のとおりの態様で表してなり、同人が中国、欧州連合、米国において商標登録され、フランス、イタリアなどを指定国としてマドリッド協定議定書による国際登録がなされているものであって、電気の分野の需要者、取引者など世界中に広く知られているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第43号証を提出した。
(1)使用商標について
長期にわたる申立人の市場使用を通じて、申立人による商標「SURKER」(使用商標)の先行使用は、高い知名度と商業的な価値を獲得しており、かつ、申立人との間にそれぞれのつながりが形成された。
甲第2号証ないし甲第7号証は、使用商標「SURKER」の商標証明書と商標授権証明書であり、これらによれば、使用商標は、2004年3月26日に鄭小彩によって初めて出願され、2006年2月24日に登録され、かつ、2013年1月1日に申立人に、グローバル的なブランド宣伝と販売に使用することを許可され、その後も商標の所有者鄭小彩が、2015年6月8日にマドリッド協定議定書による国際登録、2015年7月17日にEUの商標登録、及び2016年4月12日に米国の商標登録を行ったことがわかる。つまり、本件商標の登録出願の16年前に、使用商標はすでに登録出願された。使用商標の授権された側として申立人は、疑いなく先行して商標の使用権利を有する。
甲第8号証ないし甲第18号証は「SURKER」ブランドのアマゾン販売のキャップチャーである。その証拠は、2019年6月から現在までアマゾン(日本)での「SURKER」ブランドの販売状況、データの詳細、時間的な一貫性を示しており、本件商標の登録出願前に「SURKER」ブランドが、アマゾン(日本)の多くの市場で長期にわたって使用されており、一定の知名度があると物語っている。
甲第19号証は、「SURKER」ブランドのアリ(中国)店舗のリンクと表示である。その証拠は、「SURKER」ブランドのリアルタイムの運営状況を示し、かつ2018年3月20日から2019年12月25日まで「SURKER」ブランド(ヘアクリッパー)の一部の製品の販売及び評価記録を示しており、本件商標の登録出願前に「SURKER」ブランドは、多くのオンライン運営を通じ、一定の知名度を獲得し、消費者の好評を得ていた。
甲第20号証は、2017年10月25日付け「SURKER」シリーズ製品の取引の領収書であり、本件商標の登録出願前に「SURKER」ブランドが、大量に使用されたことを直接に証明している。
甲第21号証ないし甲第34号証及び甲第35号証ないし甲第42号証は、「SURKER」ブランドの海外展示写真及び広告宣伝のビデオであり、本件商標の登録出願前の「SURKER」ブランドの国際市場での宣伝を直接に証明している。
甲第43号証は、「SURKER」商標の日本での登録出願状況である。「SURKER」ブランドの優先権を保護するために、申立人は2020年8月19日に日本で登録出願を行った。
(2)本件商標について
上記のように、商標権者が登録出願する前に申立人による「SURKER」の商標使用には高い知名度と商業的な価値を有し、申立人との間に明確な関連性が形成され、高い社会的な価値を有していることがわかる。本件商標が先行して登録した商標のアルファベットと完全に一致しており、第8類に属する商品を指定しているため、同様な商標に該当するとみられ、それは商標権者が申立人の先行して使用する商標を悪意をもって模倣、複製しているといえる。
(3)本件商標と使用商標との対比
「SURKER」の商標はまだ日本では登録されていないが、上記のとおり「SURKER」ブランドは本件商標の登録出願前にアマゾン(日本)で長期にわたって広く宣伝使用されており、商標権者が、まさに使用商標がまだ日本で登録されていないことに気づき、「SURKER」の商標に対して先制登録をしたことは、申立人の優先権を損ない、非常に明白な悪意を持っていることがわかる。
さまざまな事情からわかるように、商標権者が申立人の商標の優先使用を知っており、先制して登録する悪意も明白である。これは不適切な手段によって取得される商標登録であるため、本件商標の登録を認めてはならない。
したがって、「SURKER」は申立人が所有するオリジナルの商標であり、消費者の利益、市場経済の安定性と商標法の精神を保護するために、上記の事実と理由を十分に考慮し、法律に従って、本件商標の登録を取り消すべきである。
(4)むすび
ア 商標法第4条第1項第7号について
本件商標の出願人(商標権者)は、申立人の代理販売店として、無断で本件商標の登録出願を行ったものである。本件商標と使用商標は外観的に同一であり、その指定商品も同一又は類似のものである。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してなされたものである。
イ 商標法第4条第1項第10号について
申立人の使用商標は、電気の分野の需要者又は取引者のみならず、マーケティング、広告宣伝等によって世界中に広く知られているブランドである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものである。
ウ 商標法第4条第1項第15号について
使用商標は需要者に広く認識され、これと同一である本件商標がその指定商品に使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所混同を生じるおそれがある。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。
エ 商標法第4条第1項第19号について
商標権者は、申立人の代理店として、申立人との日本総代理店契約を強制するという不正の目的をもって登録出願したものである。本件商標は、その登録出願前から日本国内又は外国における取引者、需要者の間で広く知られた使用商標と外観的に同一であるところ、商標権者による本件商標の登録出願行為は、明らかに他人の商標を奪って登録したものであって、不正な手段で商標を取得する行為である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものである。

4 当審の判断
(1)使用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、使用商標は本件商標の登録出願の日前に中国、米国で商標登録され、マドリッド協定議定書による国際登録されたこと(甲2、甲3、甲5)、欧州連合で商標登録されたこと(甲4)、及び我が国において使用商標を使用した電気カミソリ(シェーバー)、電気バリカン、ドライヤーなど(以下「使用商品」という。)が販売されていること(甲17、甲18、職権調査)が認められる。
また、申立人が中国において、使用商品を販売していること(甲19)及び2017年10月頃に使用商品(電気カミソリなど)を販売したこと(甲20)、並びに使用商品が外国の展示会に出展等されたこと(甲21?甲34)及び使用商品の広告宣伝用の映像が作成されたこと(甲35?甲42)がうかがえる。
しかしながら、使用商品の我が国及び中国など外国における売上高、販売数量など販売実績に係る主張はなく、それを確認できる証左は見いだせない。
イ 上記アのとおり、我が国において使用商品が販売されていることなどが認められ、申立人が、中国において2017年10月頃に使用商品を販売したことなどがうかがえるものの、使用商品の我が国及び中国など外国における販売実績を確認できる証左は見いだせないから、使用商品及びそれに使用される使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品であること、及び申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は中国など外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、上記1のとおり、「SURKER」の欧文字を横書きしてなるものであり、使用商標は、別掲のとおり、語頭の「S」を他の文字より大きく表した「SURKER」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして、本件商標と使用商標を比較すると、両商標は、語頭の「S」の大きさに差異があるものの、いずれも「SURKER」の文字からなるものであるから、類似する商標と認められ、また、本件商標の指定商品の一部は、使用商品と同一又は類似するものと認められる。
しかしながら、上記(1)のとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(2)のとおり、本件商標と使用商標は、類似の商標であり、本件商標の指定商品の一部は使用商品と同一又は類似するものである。
しかしながら、上記(1)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)商標法第4条第1項第19号及び同項第7号該当性について
ア 上記(2)のとおり、本件商標と使用商標は、類似の商標であるが、上記(1)のとおり、使用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(3)のとおり、本件商標は使用商標を連想又は想起させることのないものである。
そうすると、本件商標は、使用商標の知名度や名声にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
さらに、本件商標が、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当するものといえない。
イ なお、請求人は、商標権者は申立人の代理店として、無断で本件商標の登録出願を行った、及び申立人との日本総代理店契約を強制するという不正の目的をもって本件商標の登録出願を行ったとして、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第19号する旨主張するところがあるが、申立人提出の甲各号証によっては、商標権者が申立人の代理店であることを示す証左は見いだせないから、かかる主張はその前提において採用できない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲(使用商標)




異議決定日 2021-07-05 
出願番号 商願2020-70772(T2020-70772) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W08)
T 1 651・ 271- Y (W08)
T 1 651・ 22- Y (W08)
T 1 651・ 25- Y (W08)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 瑠美 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小俣 克巳
小松 里美
登録日 2020-09-10 
登録番号 商標登録第6290648号(T6290648) 
権利者 株式会社シンクスマート
商標の称呼 サーカー、スルカー 
代理人 坪内 康治 

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