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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1376080 
異議申立番号 異議2020-900298 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-11-13 
確定日 2021-07-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第6283378号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6283378号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6283378号商標(以下「本件商標」という。)は、「Off black」の文字を標準文字で表してなり、令和元年9月18日に登録出願、第25類「セーター,ワイシャツ類及びシャツ,半袖シャツ類,被服,スーツ,ズボン,ティーシャツ,外衣,コート,スカート,オーバーコート,ジャケット(被服),運動靴及び運動用特殊靴,着物,手袋(被服),帽子,メリヤス下着,メリヤス靴下,ガードル,スカーフ,靴及び運動用特殊靴」を指定商品として、同2年7月20日に登録査定、同年8月24に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する標章は、次のとおりであり、いずれも申立人が「シャツ,ティーシャツ,エスパドリーユ」等について使用し、本件商標の登録出願時及び登録査定時には周知性を獲得するに至った旨主張するものである(以下、これらをまとめていうときは、「引用標章」という。)。
(1)「OFF-BLACK c/o VIRGIL ABLOH」の欧文字からなる標章(以下「引用標章1」という。)
(2)「OFF-BLACK VIRGIL ABLOH」の欧文字からなる標章(以下「引用標章2」という。)

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 本件商標と引用標章の類否について
本件商標の外観は、「Off black」の欧文字を横書きした標準文字の商標であり、その称呼は「オフブラック」であり、その観念は、「外れた」、「切れた」を意味する「Off」と、「黒色」を意味する「black」から構成されているから、「外れた黒色」、「切れた黒色」程度である。
一方、引用標章(甲1?甲7)は、「OFF-BLACK c/o VIRGIL ABLOH」の文字、又は「OFF-BLACK VIRGIL ABLOH」の文字であるところ、その構成中の「VIRGIL ABLOH」の文字は、申立人の設立者であり代表者でもある、ファッションデザイナ一のヴァージル・アブロー氏の氏名であり(甲8、甲9)、「c/o」の文字は、「○○様(方)」又は「気付」程度の意味を有する文字であることから、引用標章の要部は、「OFF-BLACK」である。
当該要部の外観は、欧文字を横書きした「OFF-BLACK」であり、称呼は「オフブラック」であり、観念は「外れた」、「切れた」を意味する「OFF」と、「黒色」を意味する「BLACK」を「-(ハイフン)」で結合したものであるところ、「外れた黒色」、「切れた黒色」程度である。
本件商標と引用標章を対比すると、本件商標は、引用標章の要部から生じる「オフブラック」の称呼及び「外れた黒色」、「切れた黒色」の観念が共通することから、本件商標と引用標章とは、同一の称呼及び観念が生じ、類似するものである。
イ 本件商標の指定商品と引用標章に係る商品の類否について
本件商標の指定商品は、前記1のとおりである。引用標章に係る商品として、「ティーシャツ」、「タータンチェックシャツ」及び「エスパドリーユ」(甲2?甲5、甲7)がある。「シャツ」及び「ティーシャツ」は、第25類「被服」に属する商品であり、「エスパドリーユ」は、第25類「履物」に属する商品である(甲11)。
したがって、本件商標は引用標章に係る商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
周知性について
引用標章に係る商品の販売期間は、2016年9月12日ないし同月19日であり(甲1)、当該発売期間に係る情報は、同月8日に公開された。また、当該商品の世界先行販売日は、2015年8月29日であり(甲2、甲3、甲5、甲7)、当該発売に係る情報は同月21日、25日及び28日に公開された。また、ヴァージル・アブロー氏のインスタグラムにおいて、2015年8月21日に引用標章を公開し、3421件の「いいね」がクリックされた(甲6)。
申立人は、ヴァージル・アブロー氏によって2012年ないし2013年に設立され、同氏が申立人の代表者である。申立人は、ヴァージル・アブロー氏が企画した被服、履物、身飾品、かばん類、袋物等の商品に「OFF WHITE」等の商標(甲12)を使用し、我が国をはじめ世界各国の需要者において広く知られるに至った。また、申立人は、現在に至るまで、リーバイス、ナイキ、リモワ等の著名商標の商標権者とのコラボレーション商品に「OFF WHITE」の商標を使用したことによっても、我が国をはじめ世界各国の需要者において広く知られている。
ヴァージル・アブロー氏は、2018年にルイ・ヴィトンのクリエイティブディレクターに指名されるなど、我が国をはじめ世界各国の需要者に広く知られたファッションデザイナーでもあり(甲8、甲9)、藤原ヒロシ氏は、我が国の需要者において広く知られている、ファッションデザイナー、クリエーター、音楽家である(甲10)。そして、申立人と藤原ヒロシ氏のコラボレーションによって企画、製造、販売された引用標章に係る商品は、商品の販売を開始した2015年8月頃から、我が国のファッション情報において高い関心を持って報道され、需要者及び取引者に広く知られるに至った(甲1?甲7)。
このことから、引用標章は、本件商標の登録出願時から登録査定時にわたって周知性を獲得していると判断すべきである。
エ 結論
上述の取引の実情を考慮すれば、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者に広く認識されている商標である。
また、本件商標は引用標章と同一の称呼及び観念が生じ、本件商標は引用標章に係る商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
周知性について
上記(1)ウのとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時から登録査定時にわたって周知性を獲得していると判断すべきである。
イ 本件商標と引用標章の類似性について
上記(1)アのとおり、本件商標と引用標章とは、同一の称呼及び観念が生じる類似のものである。
ウ 独創性の程度について
「OFF-BLACK」の語は、第25類に属する全ての商品との関係において、商品の品質等を表す記述的な表示ではないため、自他商品識別力を有している。また、「OFF-BLACK」の語は、辞書に掲載された語ではない。
したがって、「OFF-BLACK」の語は、需要者及び取引者において独創的な標章である。
エ 商品の関連性について
上記(1)イのとおり、本件商標は引用標章に係る商品と関連性の高い商品について使用するものである。
オ 取引者及び需要者の共通性、注意力について
本件商標と引用標章の取引者及び需要者は、一般的な取引者及び需要者を想定すればよい。そして、本件商標は、引用標章に係る商品と関連性の高い商品に使用するものであるから、本件商標と引用標章の需要者及び取引者は共通する。
カ 結論
以上の事実を総合的に判断すれば、本件商標をその指定商品に使用するときは、その取引者及び需要者に対して、引用標章を連想させて商品の出所について混同を生じさせるものであり、引用標章の顧客吸引力へのただ乗りや、希釈化を招くものである。さらに、本件商標は、申立人、ヴァージル・アブロー氏、藤原ヒロシ氏と緊密な関係にある営業主の業務に係る商品と広義の混同を生じさせるおそれもある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
周知性について
上記(1)ウのとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時から登録査定時にわたって周知性を獲得していると判断すべきである。
イ 本件商標と引用標章の類似性について
上記(1)アのとおり、本件商標と引用標章とは、同一の称呼及び観念が生じる類似のものである。
不正の目的について
上記(2)ウのとおり、「OFF-BLACK」の語は、独創性の高い標章である。
そうすると、申立人や藤原ヒロシ氏と無関係の第三者である本件商標権者が、申立人や藤原ヒロシ氏が使用する標章と類似する商標を偶然に採択したとは到底考えられない。すなわち、本件商標権者が、自己の商標として商標を選択するにあたり、需要者に広く認識されている引用標章と偶然に類似する商標を選択したというよりは、引用標章を利用して不正の利益を得る等の目的、あるいは、我が国において、引用標章に関する商標登録出願がされていないことを奇貨として、これと類似する構成よりなる本件商標を先取り的に登録する目的をもって商標登録出願を行ったなど、何らかの不正な利益を得る等の目的をもって選択されたものというべきである。
また、申立人が調査したところ、本件商標権者は、22件の他の商標登録出願を行ったが、その多くは、商標法第4条第1項第15号に該当するとした拒絶理由通知を受け、拒絶理由の解消が図られていない実情がある(甲13)。
このような実情からも、本件商標は不正の目的をもって出願されたものであると判断できる。
エ 結論
以上の事実を総合的に判断すれば、本件商標は、申立人や藤原ヒロシ氏の業務に係る商品を表示するものとして、その登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されている引用標章と類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用標章の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人の創業者及び代表者であるヴァージル・アブロー氏によるブランド「OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH」(甲8、甲9)と、ファッションデザイナーである藤原ヒロシ氏率いるデザイン集団「fragment design」(甲10)とのコラボレーション限定ライン「OFF-BLACK c/o VIRGIL ABLOH」に係る商品が、2015年8月29日に「the POOL aoyama」店頭にて世界先行発売され、2016年9月12日ないし同月19日に「オフ-ホワイト青山店」にて販売されたことがうかがえる(甲1?甲3、甲7)。
申立人の販売に係る商品のラインアップには、ティーシャツ、ブランケット、トートバッグ、エスパドリーユ等が見受けられるが、それらの商品に引用標章が表示されるといった使用状況は見当たらない(甲2?甲4、甲7)。
また、引用標章に係る商品の上記2015年及び2016年の限定的な販売期間における売上額、市場占有率など販売実績を示す主張、証左も見いだせず、上記販売期間以降、引用標章に係る商品が、我が国において販売された事実は確認できない。さらに、いくつかのウェブサイトにおいて、藤原ヒロシ氏との限定コラボレーションに関する記事が掲載されているとしても、引用標章に係る商品の宣伝広告の方法及び規模等は不明である。
イ 上記アのとおり、引用標章に係る商品は、2015年及び2016年に販売されたことがうかがえるものの、2015年の販売期間は不明であり、翌年の販売期間は1週間のみであることに加え、いずれも販売場所が東京都港区青山の店舗のみであることからすると、販売期間及び販売地域が限定的である。さらに、当該販売期間における引用標章に係る商品の販売実績、宣伝広告の方法及び規模等については不明であり、上記販売期間以降、引用標章に係る商品の販売実績を示す証左は見いだせない。
そうすると、申立人と藤原ヒロシ氏との限定コラボレーションに関する記事が、ウェブサイト上で公開されたとしても、申立人の提出に係る証拠によっては、使用標章は、我が国はもとより、外国においても、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定しているところ、上記(1)イのとおり、引用標章は、申立人の業務に係る商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に広く知られているものと認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ず、本件商標と引用標章との類否及び本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との類否について判断するまでもなく、同号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用標章の類似性の程度
(ア)本件商標は、前記1のとおり、「Off black」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「オフブラック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用標章1は、前記2(1)のとおり、「OFF-BLACK c/o VIRGIL ABLOH」の文字からなるところ、その構成各文字は、いずれも同じ書体及び大きさをもって表されており、その構成全体から生じる「オフブラックシーオーヴァージルアブロー」の称呼も、やや冗長であるとしても、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、その構成中の「c/o」の文字は、「・・・様(方)」「・・・気付」といった意味を有するところ、その前後の文字部分の関係から、相互に関連のあるものとして観念され得るものといえるから、その構成全体をもって、「VIRGIL ABLOH(ヴァージル・アブロー)様方OFF-BLACK(オフブラック)」程の意味合いを認識させるとみるのが自然である。
そうすると、引用標章1は、「オフブラックシーオーヴァージルアブロー」の称呼を生じ、「VIRGIL ABLOH(ヴァージル・アブロー)様方OFF-BLACK(オフブラック)」程の意味合いを生じるものである。
(ウ)引用標章2は、前記2(2)のとおり、「OFF-BLACK VIRGIL ABLOH」の文字からなるところ、その構成各文字は、いずれも同じ書体及び大きさをもって表されており、その構成全体から生じる「オフブラックヴァージルアブロー」の称呼も、やや冗長であるとしても、無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、引用標章2は、「オフブラックヴァージルアブロー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(エ)本件商標と引用標章とは、それぞれ、上記(ア)並びに(イ)及び(ウ)のとおりの構成からなるものであり、構成文字において顕著な差異があるから、外観上、相紛れるおそれはなく、また、本件商標から生じる「オフブラック」の称呼と引用標章から生じる「オフブラックシーオーヴァージルアブロー」又は「オフブラックヴァージルアブロー」の称呼とでは、音の構成及び音数において明らかな差異があるから、称呼上、相紛れるおそれはない。
そして、本件商標と引用標章1とは、本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用標章1は「VIRGIL ABLOH(ヴァージル・アブロー)様方OFF-BLACK(オフブラック)」程の観念を生じるものであるから、本件商標と引用標章1は、観念上、相紛れるおそれはなく、本件商標と引用標章2との比較においては、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用標章とは、外観及び称呼において相紛れるおそれはなく、また、本件商標と引用標章1とは観念上相紛れるおそれはなく、本件商標と引用標章2とは、観念において比較できないものであるから、これらを総合して判断すれば、本願商標と引用標章とは非類似の商標というべきであって、その類似性の程度は高いとはいえないものである。
イ 出所の混同のおそれ
引用標章は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
そして、本件商標と引用標章とは、上記アのとおり、非類似の商標というべきであって、類似性の程度は決して高いとはいえないものである。
そうすると、これらの事情を考慮し、その需要者、取引者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すれば、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とが関連性を有し、その需要者を共通にするとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用標章を連想又は想起することはないといわなければならない。
してみれば、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合に、取引者、需要者をして、その商品が、申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定しているところ、上記(1)イのとおり、引用標章は、申立人の業務に係る商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に広く知られているものと認めることはできないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定の他の要件を判断するまでもなく、同号に該当しない。
(5)申立人の主張について
申立人は、本件商標の商標法第4条第1項第19号に係る「不正の目的」について、本件商標権者は、22件の他の商標登録出願を行ったが、その多くは、同法第4条第1項第15号に該当するとした拒絶理由通知を受け、拒絶理由の解消が図られていない実情がある(甲13)から、本件商標は不正の目的をもって出願されたものである旨主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第19号における「不正の目的」の定義である「不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的」とは、図利目的・加害目的をはじめとして取引上の信義則に反するような目的と解される(特許庁編「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第21版〕参照)ところ、申立人の主張は、本件商標権者が、他の商標登録出願に係る拒絶理由通知に応答しなかったということであって、当該実情により、本件商標権者が、図利目的・加害目的をはじめとする取引上の信義則に反するような目的をもって本件商標を出願し、登録を受けたと認めることはできない。
また、申立人の提出に係る証拠によれば、上記(4)のとおり、本件商標権者による本件商標の使用が、他に、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって使用をするものであることを具体的に示す証拠はない。
したがって、申立人の主張は採用することができない。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものではなく、その登録は同条第1項の規定に違反してなされたものとはいえないものであり、他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2021-07-05 
出願番号 商願2019-122765(T2019-122765) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 222- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 白鳥 幹周 
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 大森 友子
石塚 利恵
登録日 2020-08-24 
登録番号 商標登録第6283378号(T6283378) 
権利者 汕頭市天▲き▼時代科技有限公司
商標の称呼 オフブラック、オフ、オオエフエフ 
代理人 特許業務法人 広江アソシエイツ特許事務所 
代理人 篠崎 史典 

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