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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1376072 
異議申立番号 異議2020-900129 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-05-08 
確定日 2021-04-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6226386号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6226386号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6226386号商標(以下「本件商標」という。)は、「FIZX」の欧文字を横書きしてなり、平成31年1月11日に登録出願、第25類「被服,靴,登山靴,運動靴及び運動用特殊靴,トレーニングシューズ,運動用特殊衣服,登山用被服,ランニングスーツ,スウェットシャツ,ズボン及びパンツ,ドレス,スーツ,帽子,野球用帽子,トレーニングシャツ,トレーニングジャケット,トレーニングスーツ,トレーニングズボン及びトレーニングパンツ,運動競技用スカート,ジョギングスーツ,サンダル靴及びサンダルげた,履物」を指定商品として、令和元年12月3日に登録査定され、同2年2月17日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第647720号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2004年(平成16年)12月7日に国際商標登録出願(国際商標登録出願(事後指定))、第12類「Saddles and bicycle accessories such as saddle holders, handles, pedals, kickstands, kits for bicycles.」、第21類「Bottle gourds.」及び第25類「Footwear and clothing.」を指定商品として、平成19年8月17日に設定登録され、その後、第25類の指定商品については、2008年(平成20年)3月27日付けで国際登録簿に記録された限定の通報があった結果、第25類「Outfits and dungarees, singlets, trousers and shorts, vests and jackets, ankle socks, hats, caps and footwear, all these goods used for cycling.」とされたものである。
なお、引用商標は、2005年(平成17年)8月2日及び2015年(同27年)8月2日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
(1)本件商標と引用商標との対比
本件商標は、「FIZX」の欧文字を横書きしてなる商標であり、引用商標は、「fi’zi:k」の文字を横書きしてなる商標である。
これらの文字は、特定の読みをもって親しまれた外国語を表したものとはみられないことから、これらが称呼される場合、我が国において最も普及、浸透している英語読みで称呼されるものとみるのが自然である。
本件商標「FIZX」の「ZX」で終わる語の例は親しまれた英単語にはないが、他の文字に目を転ずれば、例えば「sphynx(スフィン・クス)」「lynx(リン・クス)」「Bronx(ブロン・クス)」「jinx(ジン・クス)」「falx(ファル・クス)」「calx(カル・クス)」等のように、語尾部の2字が「子音」及び「x」よりなる語の例は多く、その場合、語尾の「x」は、一般に「クス」と発音されているのが通例であり、このことは、我が国における英語の普及度、理解力からみて取引者、需要者は十分認識しているものと認められる。
そうすると、「FIZX」の文字よりなる本件商標に接する取引者、需要者は、その構成全体を「フィズ・クス」と発音する場合があるといわなければならない。
それゆえ、本件商標は「フィズクス」と一連によどみなく称呼し得るものであり、また構成全体としてまとまりよく表されており、これらを分離して認識しなければならない事由は認められないから、特定の意味を有しない一体不可分の造語として認識されるものである。
他方、引用商標は、上記したとおり、「fi’zi:k」の構成態様よりなるところ、その構成中、「’」と「:」の記号的な部分は、一般に親しまれた英語の辞書において、それぞれ第一強勢及び長音を示す発音記号として記載されており、引用商標をみたときには、英語の発音記号を表したものと容易に理解されるものというのが相当である。
そして、「Weblio英和辞書」には、発音記号としての「zi:」は、「ズイ」と発音されるとの記載がある(甲3)。
そうすると、引用商標は、その構成に相応して、「フィズィーク」と一連によどみなく称呼し得るものであり、また構成全体としてまとまりよく表されており、これらを分離して認識しなければならない事由は認められないから、特定の意味を有しない一体不可分の造語として認識されるものである。
本件商標の称呼「フィズクス」は、引用商標の称呼「フィズィーク」と称呼上最も重要な語頭音「フィズ」を共通音とするだけでなく、発音上及び聴覚上印象の強い「ク」の音を共通にする。
一方、相違する音として、両商標は、語尾の「ス」の有無の差異及び長音の有無の差異を有する。
本件商標において、語尾の「ス」は聴覚上明瞭でなく、その前音「ク」に吸収されて聴取されにくい弱音であるといえるから、当該差異音が両称呼全体に及ぼす影響はさほど大きいものとはいえない。
また、引用商標の長音も、その前音「ズィ」に吸収され、明瞭には聴取され難い音となる場合も決して少なくないといえるから、当該差異音が両称呼全体に及ぼす影響はさほど大きいものとはいえない。
そうすると、簡易迅速を旨とする取引の実際において、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、「フィズク」及び「フィズィク」と全体の語感が近似したものとなり、互いに聞き誤られるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上類似する商標といわなければならない。
本件商標を構成する「FIZX」と、引用商標を構成する「fi’zi:k」とは、いずれも特定の語義を有しない造語であり、観念については比較することができないから、本件においては、観念が、外観及び称呼の類否判断に影響を及ぼすことはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において差異を有し、観念においては比較することができないとしてもなお、両者は、その称呼において互いに相紛らわしいものであるから、類似の商標というべきである。
(2)指定商品の類否について
本件商標の指定商品中、「被服,運動用特殊衣服,登山用被服,ランニングスーツ,スウェットシャツ,ズボン及びパンツ,ドレス,スーツ,トレーニングシャツ,トレーニングジャケット,トレーニングスーツ,トレーニングズボン及びトレーニングパンツ,運動競技用スカート,ジョギングスーツ」と、引用商標の指定商品中、「服装一式及びダンガリー(作業服),シングレット,ズボン及びショートパンツ,ベスト及びジャケット」とは互いに同一であり、また、本件商標の指定商品中、「靴,登山靴,運動靴及び運動用特殊靴,サンダル靴及びサンダルげた,履物」と引用商標の指定商品中、「履物及び運動用特殊靴」とは互いに同一であり、さらに、本件商標の指定商品中、「帽子,野球用帽子」と引用商標の指定商品中、「帽子」とは互いに同一である。
そして、当該指定商品の取引の実情等において商品の出所の混同を生ずるおそれはないとする特別の事情は存在しない。
(3)むすび
以上、本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定商品も同一である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「FIZX」の欧文字を横書きしてなるところ、当該欧文字は辞書等に成語として掲載されていないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものであるから、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って、「フィズクス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、別掲のとおり、「fi’zi:k」の文字及び記号よりなるところ、その構成中「:」は長音を表す発音記号(IPA国際音声記号)と近似するものであり、これを長音記号と見ることができるから、当該文字及び記号に相応して「フィジーク」の称呼を生じ、また、当該文字及び記号は辞書等に採録のない語であり、特定の意味合いを有することのない一種の造語を表したものとみるのが相当であるから、これより特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とを比較してみるに、本件商標と引用商標は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ、外観においては、構成文字、構成文字数等において明らかに異なるものであるから、判然と区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標から生じる「フィズクス」の称呼と引用商標から生じる「フィジーク」の称呼とを比較すると、両者は、いずれも4音よりなるものの、2音目ないし4音目を異にすることから明瞭に聴別できるものである。
そして、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
以上を総合すると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものの、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、非類似の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)申立人の主張について
申立人は、本件商標は「フィズクス」の称呼を生じるところ、語尾の「ス」は聴覚上明瞭でなく、その前音「ク」に吸収されて聴取されにくい弱音であるといえるから、当該差異音が両称呼全体に及ぼす影響はさほど大きいものとはいえず、また、引用商標は「フィズィーク」の称呼を生じるところ、第3音目の長音も、その前音「ズィ」に吸収され、明瞭には聴取され難い音となる場合も決して少なくないといえるから、簡易迅速を旨とする取引の実際において、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、「フィズク」及び「フィズィク」の称呼を生じ、全体の語感が近似したものといえる旨主張している。
しかしながら、本件商標及び引用商標から生じる称呼は上記認定のとおりであって、両者をそれぞれ称呼したときには、聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。

5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲(引用商標)


異議決定日 2021-03-29 
出願番号 商願2019-6725(T2019-6725) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 261- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大井手 正雄 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 庄司 美和
杉本 克治
登録日 2020-02-17 
登録番号 商標登録第6226386号(T6226386) 
権利者 キム,ミン チェ
商標の称呼 エフアイゼットエックス、フィズエックス、フィズ、エフアイゼット 
代理人 野河 信太郎 
代理人 保田 英樹 
代理人 稲本 潔 

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