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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W36 |
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管理番号 | 1376034 |
審判番号 | 取消2020-300530 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2020-07-30 |
確定日 | 2021-07-05 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5926328号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5926328号商標(以下「本件商標」という。)は、「Anypay」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年6月30日に登録出願され、第36類「金融・財務分析及び助言」を含む第36類、並びに第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成29年2月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年8月13日であり、その請求の登録前3年以内の平成29年8月13日から令和2年8月12日までの期間を以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定役務中、第36類「金融・財務分析及び助言」(以下「請求に係る指定役務」という。)についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務中、請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対して何ら弁駁していない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出している。 1 本件商標権者は、遅くとも平成29年6月15日までに、Anypay株式会社(以下「本件通常使用権者」という。)に対して、本件商標について日本国内における独占的な使用を許諾した。 2 本件通常使用権者は、平成29年9月頃から、日本国内においてICOに関するコンサルティング事業(以下「本件コンサルティング事業」という。)を行っており、本件コンサルティング事業を「AnypayのICOコンサルティング事業」と称し、本件コンサルティング事業について本件商標を使用している。 本件コンサルティング事業は、ICO実施のニーズが高まる中、高度に専門的なICOの実施を個別の企業ごとにサポートするものであり、各企業の金融状況を分析した上でICOという金融的な手法について助言をするという性質を有し、本件請求に係る指定役務に該当する。 3 本件通常使用権者は、平成29年8月25日、日本国内において、勉強会を開催し、その勉強会の資料において、本件商標を使用した。 4 本件通常使用権者は、平成29年10月5日、ICOに関するカンファレンスを日本国内で開催する際、そのカンファレンスに関する報道関係者に対する告知文書(乙4)において、本件商標を使用し、また、カンファレンスの本番においても、多数の聴講者の前で本件商標を使用した(乙5)。 5 本件通常使用権者は、平成29年11月10日、本件コンサルティング事業における個別案件について金融庁と相談する際、本件コンサルティング事業の出所を示す目的で、本件商標を使用した。 6 本件コンサルティング事業を受けた株式会社Tokyo Otaku Modeに対し本件商標の使用を許諾して、同社のICOの実施に向けたリリースにおいて、本件コンサルティング事業の出所を示すために本件商標を使用した。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)本件商標権者は、本件商標の設定登録時の名称である「エニーペイ ピーティーイー リミテッド」を現在の名称に変更し、令和2年9月3日に登録名義人の表示の変更が届け出されて現在に至るものである。また、本件商標権者は、その名称変更前である2017年6月15日に、AnyPay株式会社(以下「AnyPay社」という。)に対し、本件商標を含む4件の登録商標等について、それらの指定商品及び指定役務の全てについての日本国内における独占的な使用を許諾した(乙1)。 (2)AnyPay社は、2016年6月27日に設立された日本法人であり、2017年9月よりICOコンサルティング事業を行っている(乙2、乙4、乙6)。ICOとは、暗号資産(仮想通貨)技術を活用した資金調達の手法である新規暗号資産公開を示すInitial Coin Offeringの略語であり(乙3)、ICOコンサルティング事業とは、新規暗号資産公開による資金調達に関するコンサルティングを行う事業である。 (3)AnyPay社は、2017年9月8日に「ICO Conference powered by AnyPay」と題するカンファレンス(以下「本件カンファレンス」という。)を開催する旨の告知文書(乙4)を報道関係者に配布し、2017年10月5日に虎ノ門ヒルズフォーラムにおいて、本件カンファレンスを開催した(乙5)。 このカンファレンスは、投資家、ベンチャーキャピタリスト、ICO実施に興味のある企業の担当者を対象者としたものであり、所定の参加費が設定されており、主催者である本件通常使用権者の代表取締役による「ICOコンサルティング事業の紹介・展望」と題する講演を含むものであった(乙4、乙5)。 (4)本件カンファレンスの告知文書(乙4)には、その右側上部に「AnyPay」の欧文字(以下「使用商標」という。)が表示されている。 また、本件カンファレンスの会場内において使用商標が表示されていた(乙5)。 2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について 上記1(4)に示したとおり、本件カンファレンスの会場内及びその開催の告知文書に使用商標が表示されていたところ、使用商標は、本件商標と、着色の有無、書体、大文字と小文字の差異はあるとしても、構成文字を同じくするものであるから、社会通念上同一の商標であるといえる。 (2)使用者について AnyPay社は、2017年6月5日に本件商標権者から本件商標について使用の許諾を受けていることから、通常使用権者と認められる。 そして、AnyPay社は、本件カンファレンスの主催者であって、本件カンファレンスの会場内及びその開催の告知文書において使用商標を表示したものであるから、使用商標の使用者は、AnyPay社であって、通常使用権者である。 (3)使用役務について 上記1(2)に示したとおり、本件コンサルティング事業は、新規暗号資産公開による資金調達に関するコンサルティングを行う事業であるから、「金融・財務」についての「助言」を含むことが明らかである。 よって、本件コンサルティング事業は、請求に係る指定役務に含まれる。 (4)使用時期について 上記1(3)に示したとおり、使用商標を会場内に表示した本件カンファレンスは、2017年10月5日に虎ノ門ヒルズフォーラムにおいて開催されたものであり、その開催の告知文書も、同年9月8日に配布されたものであるから、使用商標の使用は、要証期間内における日本国内である。 (5)使用行為について 上記1(3)に示したとおり、本件カンファレンスは、投資家、ベンチャーキャピタリスト、ICO実施に興味のある企業の担当者を対象者として所定の参加費が設定され、その内容には、本件カンファレンスの主催者である通常使用権者の本件コンサルティング事業の紹介が含まれており、さらに、本件コンサルティング事業の紹介を含む本件カンファレンスの会場内及びその開催の告知文書において、使用商標が表示されていたものである。 これらに照らせば、本件カンファレンスの会場内はもとよりその開催の告知文書が本件コンサルティング事業に関する広告であることが明らかであり、本件カンファレンスにおいて本件コンサルティング事業を紹介する通常使用権者は、使用商標を広告に付して展示したものといえるから、使用商標について商標法第2条第3項第8号の使用を行ったものと認められる。 3 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者が請求に係る指定役務について本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用していたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-05-06 |
結審通知日 | 2021-05-11 |
審決日 | 2021-05-27 |
出願番号 | 商願2016-71139(T2016-71139) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(W36)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 旦 克昌 |
特許庁審判長 |
齋藤 貴博 |
特許庁審判官 |
相崎 裕恒 岩崎 安子 |
登録日 | 2017-02-24 |
登録番号 | 商標登録第5926328号(T5926328) |
商標の称呼 | エニーペー、エニー、エイエヌワイ |
代理人 | 弁護士法人GVA法律事務所 |
代理人 | 西川 巌 |