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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X07
管理番号 1375995 
審判番号 無効2017-890010 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-02-21 
確定日 2021-07-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5490432号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成29年10月16日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(平成29年(行ケ)第10214号,平成30年 6月12日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第5490432号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5490432号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成23年11月21日登録出願,第7類「鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,農業用機械器具,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置」を指定商品として,同24年3月27日に登録査定,同年4月27日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第258号証(枝番を含む。)を提出した。なお,証拠において,全ての枝番を示す場合は,以下,枝番を省略する。
1 「GODZILLA」の周知・著名性と本件商標採用の経緯
(1)審判請求人について
請求人は,映画の制作・配給・興行,演劇の興行,劇場・映画館・レジャー施設等の経営を主とした業務を一貫して行ってきており,その設立以来すでに80年余の歴史を有し,この業界におけるわが国の第一人者の地位を築き現在に至っている(甲2)。
(2)映画「ゴジラ」第1作について
請求人は,昭和29年に映画「ゴジラ」を制作し,当時の大ヒット作となった。その後も請求人により20作を越えるゴジラ映画が制作され,「ゴジラ」は60年以上も経た現在も依然として新鮮さと映画のヒーローとしての生命を持ち続けているのである。事実,「昭和」あるいは「20世紀」の時代に起きた日々の出来事をまとめた書籍類には,昭和29年11月の映画「ゴジラ」の封切りが大きく取り上げられているが,このことは,「ゴジラ」という映画及び「ゴジラ」の存在が日本の映画史上のみならず社会・文化史にも残ることを示しているといえる(甲5,甲6)。
(3)ゴジラのローマ字表記「GODZILLA」について
ア ゴジラのローマ字表記である「GODZILLA」が我が国において初めて登場したのは,第1作目の映画「ゴジラ」の海外輸出用に1955年(昭和30年)に作成されたプロモーション用の海外向けポスター及び宣伝素材である(甲7)。
「GODZILLA」のスペリングについては,諸説あるが(甲8),いずれにしても,「GODZILLA」の語は造語であり,識別力の高い極めて強い出所表示力を有している。このことは,例えば,特許情報プラットフォームで検索したところ,語頭が「G」で始まり語尾が「ZILLA」で終わる商標は,本件商標等の被請求人の商標を除き,請求人の「GODZILLA」商標しか存在しないことからも明らかである。
「GODZILLA」は,映画のタイトルやキャラクター商品等に多数使用されてきたが,現在,日本で発行されている多数の国語辞典,英和辞典,和英辞典にも「GODZILLA」の語が掲載されている(甲125?甲129,甲143?甲153)。このことは,「ゴジラ」といえば「GODZILLA」を意味し,「ゴジラ」のみならず「GODZILLA」が我が国において周知・著名であることの証左である。
イ 上記アに対し,被請求人は,語尾が「ZILLA」で終わる商標をいくつか指摘しているが(乙7),語頭が「G」で始まり語尾が「ZILLA」で終わる商標が他に存在していない以上,「GODZILLA」の識別力が極めて高く,強い出所表示力を有していることに変わりはない。
また,被請求人は,本件商標採用の経緯として,「粉砕機等の機能や動作を端的に表現する英単語『GUZZLE』」と「GORILLA」を組み合わせたと主張するが大いに疑問である。そもそも,何故に,英単語「GUZZLE」が「粉砕機等の機能や動作を端的に表現する」といえるのか,不明である。「食う」ことや「飲む」ことは,「粉砕機等の機能や動作」とは関係がない。
さらにいえば,「GUZZLE」という英単語は,辞書には掲載されているものの,高校や大学では通常勉強しない英単語であり,被請求人がこの英単語を想起した上で本件商標を思い付いたというのは,疑わしいといわざるを得ない(ちなみに,甲第154号証によれば,英単語「GUZZLE」は,レベル1?30のうち,レベル24という極めてレベルの高い英単語である。また,同じく,英単語「GORILLA」はレベル5というレベル24に比して著しく低いレベルであるにもかかわらず,「難関大対策レベル」とされている。このことからも,レベル24というレベルの高さがうかがえる。)。
(4)「GODZILLA(ゴジラ)」の一般への浸透度及び請求人の貢献度
映画によって作られた架空の存在であるゴジラは,請求人の貴重な知的財産となり,この第1作から現在までに,平成28年7月29日に公開され大ヒットを記録している「シン・ゴジラ」を含め,合計29作のゴジラ映画が制作された(甲9)。
「GODZILLA(ゴジラ)」は,映画以外にも,特に,昭和40年代初頭から当時の「怪獣ブーム」の影響を受け,レコード,書籍(怪獣図鑑),雑誌を通しても大きな人気を得てきた(甲11)。
また,請求人は,ゴジラ作品に係るレーザーディスク,DVDやブルーレイディスク等のビデオグラムを販売してきたものである(甲21)。
さらに,平成21年には,株式会社デアゴスティーニ・ジャパンから「東宝特撮映画DVDコレクション」が発売された。当コレクションは,65号まで発売され,その累計発行部数の概数は約280万部にも達したところ(甲9),上記コレクションにおいても,「GODZILLA」の表示が使用されてきたものである(甲46?甲50)。
上記怪獣図鑑のみならず,多数の書籍及び雑誌においても,「GODZILLA」の表示が繰り返し強調して使用されてきたものである(甲53?甲73)。国立国会図書館の蔵書検索システムにおいて,「godzilla」のキーワードで検索すると,185件もの図書,雑誌,記事,映像資料等が表示される(甲52)。このことは,多様なメディアにおいて,請求人のゴジラ作品に対して繰り返し「GODZILLA」の表示が使用され,一般大衆に深く浸透してきたことを示すものである。
なお,初代のゴジラについては,リアルな6動作が可能なラジオコントロールゴジラが発売されたが,同ゴジラのパッケージ等にも大きく「GODZILLA」の表示が使用されていた(甲74)。
このように,映画以外の媒体を通しても「GODZILLA」が長期間にわたり一般大衆にも広く,かつ,深く浸透してきたことは明らかである。
(5)ゴジラ映画のアメリカ版「GODZILLA」
請求人によるゴジラ映画は,日本以外でも欧米を中心に公開され世界各国で人気を集めている(甲9)。アメリカでは,邦画のゴジラ作品の多くがテレビで放映されているところ(甲75),「ゴジラ」は,「GODZILLA」と表記されている(甲76?甲78)。
したがって,「GODZILLA」は,日本のみならず,外国でもそのまま通用するキャラクターの名称である。
(6)「GODZILLA(ゴジラ)」の商品化権
請求人は,「GODZILLA(ゴジラ)」の文字及びキャラクターについて,現在,97社の企業に,いわゆる商品化権を与えており,「GODZILLA(ゴジラ)」のイメージを損なわないように使用権者等の商品を管理している。それらの商品は,人形,ぬいぐるみ,玩具,陶器,カード,菓子,キーホルダー,ライター,パズル,貯金箱,氷型器,ペーパーホルダー,コード,シール,文房具,時計,CDケース,エプロン,メンコ,ポスター,バッジ,Tシャツ,トランクス,トレーナー,電気スタンド,ぬりえ,バッグ,ミニリュック,ルアー,缶詰,食料品,ガラス食器等々多岐にわたっている(甲83,甲84)。
「GODZILLA(ゴジラ)」の商品化権を請求人から得て販売されている上記の商品には,共通して,「GODZILLA(ゴジラ)」のキャラクターが使用され,「GODZILLA」(又は「ゴジラ」)の表示が商品自体,商品の包装,宣伝広告物,取引書類等のいずれかに使用されている。また,これらの商品の店頭あるいは電話による取引に際しては,当業者は当該商品を単に「GODZILLA」(ゴジラ)と特定せざるを得ない。
したがって,上記の商品の取引に当たっては「ゴジラのキャラクター」及び「GODZILLA(ゴジラ)」の文字は商標として使用され,出所表示機能あるいは品質保証機能を十分に果たしている。「GODZILLA(ゴジラ)」は,もともとは,請求人が制作した映画の主人公のキャラクターの名称であるが,商品化事業を通じ様々な商品について使用された結果,今日では単に怪獣の名称としてばかりでなく,様々な商品,役務の出所を表示する請求人の商標としても広く認識されている。
(7)請求人によるゴジラ・キャラクターの独占的な使用及び使用許諾について
請求人は,映画(甲85,甲86),企業の宣伝広告(甲87?甲91)及び人形(甲92?甲96)の他,菓子,玩具,アパレル,文具及びゲームソフト等(甲97?甲102)の製造販売について,ゴジラ・キャラクターの使用の許諾を行ってきた。
(8)請求人が所有している「GODZILLA」関連商標
請求人は,「GODZILLA」の名称及びキャラクターの保護を図るために,ほぼ全ての商品及び役務の分野において商標登録を取得している(甲103?甲113)。
(9)「シン・ゴジラ」の大ヒット及び新宿東宝ビルの開業等
平成28年7月25日には,日本で12年ぶりに制作された「GODZILLA(ゴジラ)」シリーズ「シン・ゴジラ」が封切られ,大ヒットし,平成28年11月27日時点で,観客動員数はわずか4箇月で555万人に達し,興行収入は80億円を超えた(甲9,甲35)。また,同映画は世界100箇国・地域での配給が決まっている(甲36)。
また,新宿東宝ビルが平成27年4月17日に新宿の歌舞伎町のコマ劇場跡に誕生し(甲114?甲119),同28年7月25日に新宿の歌舞伎町で行われた映画「シン・ゴジラ」のプレミアムイベントにおいて,靖国通りから新宿東宝ビルにかけて南北に伸びる「セントラルロード」が「ゴジラロード」,「GODZILLA ROAD」と命名された(甲120?甲124)。
「GODZILLA(ゴジラ)」映画は,その第1作の発表後,既に60年以上も経過しているにもかかわらず,その人気はいっこうに衰えず今も新作が制作され,大ヒットとなっており,日本社会において広く愛され,その名声を確固としたものにする一方,常に新しい話題を提供しながら現在ではより国際的な著名性を獲得していることは明らかである。
(10)「GODZILLA」の語の辞書への掲載
「GODZILLA」は,映画のタイトルやキャラクター商品等に多数使用されてきたが,現在,日本で発行されている多数の国語辞典,英和辞典,和英辞典にも「GODZILLA」の語が掲載されている(甲125?甲129,甲143?甲153)。
(11)「GODZILLA」の周知・著名性のまとめ
以上のような商品化事業等を通じて,「GODZILLA」の名称及びそのキャラクターが,請求人にとって貴重な経済的価値を有する財産となっていること,並びにそれらの権利が請求人の所有に係るものであることが一般にも広く認知されていることは明らかである。
(12)本件商標採用の経緯について
このような明白な「GODZILLA」の周知・著名性を考えると,被請求人による本件商標採用の経緯として,「粉砕機等の機能や動作」である建築物等の破壊をイメージさせる「GODZILLA」の存在があったと推察する方が自然である。
特に,被請求人は,本件商標について「遅くとも平成6年9月頃から使用されてきた」と主張するが,「ゴジラ」シリーズでは,怪獣の「ゴジラ」だけでなく,ロボットの「メカゴジラ」も広く知られていた。すなわち,1974年(昭和49年)3月21日には,「ゴジラ」シリーズの14作目にあたる「ゴジラ対メカゴジラ」が公開され,翌1975年(昭和50年)3月10日には,「ゴジラ」シリーズの15作目にあたる「メカゴジラの逆襲」が公開され,1993年(平成5年)12月11日には,「ゴジラ」シリーズの20作目にあたる「ゴジラVSメカゴジラ」が公開されたばかりであったという事実を踏まえれば(甲9の別紙1参照),このように推察する方が自然である。
2 商標法第4条第1項第15号に関する主張
(1)商標法第4条第1項第15号は,他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標は商標登録を受けることができない旨を規定する。
同号の「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決参照)。
(2)本件商標と請求人の表示との類似性の程度並びに表示の周知著名性及び独創性の程度
ア 本件商標は,ローマ字「GUZZILLA」を横書きした構成からなる。
一方,請求人の表示は,ローマ字により横書きした「GODZILLA」及び片仮名により横書きした「ゴジラ」(以下,これらを総称するときは「引用商標」という。)である。
本件商標と請求人の表示である「GODZILLA」の外観を比較すると,これらは共に8文字からなり,看者にとって印象の薄い第2文字目及び第3文字目が異なるにすぎず,その他の6文字を共通にする。また,「GODZILLA」は,通常のローマ字表記であれば「GOJIRA」又は「GOZIRA」となるところ,後半部分に「ZILLA」の表記を用いた点に特徴を有している。本件商標と「GODZILLA」は,外観上強く印象に残る語頭の「G」と請求人の表示として特徴的な「ZILLA」の文字を共通にするから,これらは外観上類似する。
つぎに,本件商標と「GODZILLA」の称呼を比較する。
本件商標からは,被請求人のホームページや被請求人が発行するグループ報において,「GUZZILLA」は,「ガジラ」と表記されている(甲130?甲132)ことから,「ガジラ」の称呼が生ずる。
一方,「GODZILLA」からは,「ゴジラ」の称呼が生ずるものの,当該称呼の語頭音である「ゴ」は,「ゴ」と「ガ」の中間の音として称呼される。これは,「GOD」や「HOT」の語頭音が「ゴ」と「ガ」の中間の音として称呼されるのと同様である。
そこで,本件商標の称呼「ガジラ」と請求人の表示である「GODZILLA」の称呼「ゴジラ」を比較すると,「ガジラ」と「ゴジラ」は,「ガ」と「ゴ」の差異を有するが,いずれも同行音であって,子音(g)を共通にし,母音の(a)と(o)も近似音であって,それぞれ相紛らわしい音である。さらに,「GODZILLA」の語頭音である「ゴ」が「ゴ」と「ガ」の中間の音として称呼されることから,本件商標と請求人の表示は称呼上類似するというべきである。
イ 「GODZILLA」の周知・著名性は上記したとおりである。また,請求人表示の周知・著名性は,登録第4395864号商標に対する無効審判(無効2001-35302)の無効審決の中で明確に認定されている(甲133)。しかして,「GODZILLA」が,本件商標の登録出願日である平成23年11月21日のはるか前から現在に至るまで周知・著名であることは明白である。
また,上記したとおり,「GODZILLA」の名称は,請求人の創作に係るものであって,これらは独創的で識別力の高い表示である。
(3)本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品等との関連性
被請求人の事業内容は,建設機械アタッチメント,各種機械の設計・製作等であり(甲134),本件商標の指定商品の分野の需要者は,建設機械メーカーや建築・土木従事者などである。
一方,請求人は,映画の制作・配給・上映,映画・演芸・演劇の興行,テレビ放送番組及び録画の制作等を主たる業務とする同業界におけるわが国の代表的な企業であって,請求人の商品・役務の需要者は,年齢,性別,職種等を問わず,あらゆる分野の広汎な一般消費者であり,その中には,本件商標の指定商品の分野の需要者である建築・土木従事者も当然含まれている。
また,請求人の周知・著名表示である「GODZILLA」のキャラクターの特徴は,海底に潜んでいた巨大な恐竜が,人間による水爆実験をきっかけに異常発達し,水爆実験の影響により,放射能を帯び,狂暴化して日本に上陸し,街を破壊するという点にある。
一方,被請求人のホームページのGUZZILLAシリーズの商品紹介には,「業界屈指の切断力・圧砕力 鉄骨や鉄筋を含んだコンクリート構造物も切断・圧砕する驚異の切断力,GUZZILLAカッターシリーズ。業界最大開口幅を誇るコンクリート大割圧砕機,GUZZILLA大割機シリーズ。抜きん出た高能率の小割圧砕機,GUZZILLA小割機シリーズ。ガジラ専用の特殊機能搭載で圧倒的な仕事量を実現します。」と記載されている(甲130)。
しかして,「GODZILLA」と「GUZZILLA」は,建造物やコンクリート構造物を破壊,切断・圧砕するという点において,共通したイメージが連想,想起される。
さらに,請求人は,映画・演劇の企画,制作及び制作請負等のみならず,土地及び建物の賃貸,管理,売買及びこれらの仲介並びに駐車場の経営も行うなど,いわゆる多角経営を行っている(甲135)。
(4)以上のような状況下において,請求人の周知・著名表示と類似する本件商標がその指定商品に使用されれば,当該商品はあたかも請求人又はその関連会社の関与する商品であるかのようにその出所につき誤認・混同を生じさせることは明らかである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)上記のほか,被請求人の答弁に対する弁駁
ア 本件商標の指定商品について
(ア)被請求人は,本件商標の指定商品は,「専門的な分野において使用される特殊な機械器具」であって,引用商標が展開する「汎用的な商品群」とは,「商品自体の目的・用途・性格等の性質が全く異なる無関係な商品である」と主張する。
しかしながら,本件商標の指定商品は,広範な範囲の機械器具を含んでおり,「専門的な分野において使用される特殊な機械器具」に限られるものではない。例えば,本件商標の指定商品には,エレベーター,エスカレーター,ジャッキ,すき,耕うん機,脱穀機等,日常生活で日々目に触れる商品が含まれている。
また,本件商標の指定商品は,産業用ロボットや工業用ロボットを含んでいる。
そして,一般に,特撮映画に登場する怪獣キャラクターとしては怪獣だけでなく,ロボットも含まれている。特に,「ゴジラ」シリーズでは,怪獣の「ゴジラ」だけでなく,ロボットの「メカゴジラ」も広く知られている。
さらに,「GODZILLA」は,本件商標の指定商品のイメージと密接な関係を有している。建築物等の破壊のシンボルともいうべき「GODZILLA」のイメージは,被請求人の商品のイメージと一致するのであって,「GODZILLA」と類似する本件商標は,被請求人が使用する粉砕機等の商品のイメージを端的に表現するものといえる。
(イ)被請求人は,「架空のキャラクター怪獣に関心を抱く需要者層と,専門技術性の高い機械器具のユーザーとしての需要者層が一致しているとは到底思われない」旨主張する。
しかしながら,本件商標の指定商品は,広範な範囲の機械器具を含んでおり,「専門的な分野において使用される特殊な機械器具」に限られるものではない。例えば,本件商標の指定商品には,エレベーター,エスカレーター,ジャッキ,すき,耕うん機,脱穀機等,日常生活で日々目に触れる商品が含まれている。
また,請求人による「GODZILLA」の商品化事業に係る商品が多種多様である。
さらに,請求人は,映画の制作・配給・上映,映画・演芸・演劇の興行,テレビ放送番組及び録画の制作等を主たる業務とする同業界におけるわが国の代表的な企業である。しかして,請求人の商品・役務の需要者は,年齢,性別,職種等を問わず,あらゆる分野の広汎な一般消費者であり,その中には,本件商標の指定商品の分野の需要者である建築・土木従事者も当然含まれている。したがって,請求人及び被請求人の需要者層は共通する。
この点,平成15年5月21日東京高裁判決(平成14年(行ケ)第285号)(甲160)例に鑑みれば,本件の請求人及び被請求人の需要者層も共通すると判断されるべきである。
イ 「SUPER GUZZILLA」について
被請求人は,最近,「SUPER GUZZILLA」という「重機ロボット」を用いて,被請求人の商品の宣伝広告を積極的に展開している(甲131,132,138)。
さらに,被請求人は,「GUZZILLA AR」について,ホームページで「GUZZILLA AR DEBUT!!!」と発表した上で(甲155),スペシャルサイトを設けたり(甲164),プロモーションビデオを発表したり(甲156),ゲームを発表したりして(甲157,甲165),被請求人の商品の宣伝広告を積極的に展開している。
しかしながら,請求人は,1993年(平成5年)12月に任天堂のスーパーファミコン用ゲーム「超ゴジラ」を発売し(甲161),このゲームを海外では,「SUPER GODZILLA」のタイトルでライセンスして販売し(甲162),好評を博した。
例えば,グーグルで「SUPER GODZILLA」を検索すれば,「SUPER GODZILLA」のゲームを容易に閲覧することができる。このような事実からすれば,被請求人による「SUPER GUZZILLA」の使用が,請求人の「SUPER GODZILLA」に依拠したものであることは容易に想像される。
ウ 「SPACE GUZZILLA」について
また,被請求人は「SPACE GUZZILLA」の使用を開始した(甲163)。1994年(平成6年)12月10日には,「ゴジラ」シリーズの21作目にあたる「ゴジラVSスペースゴジラ」が公開され,ヒットし,380万人にのぼる観客動員があった。以来,「スペースゴジラ」「SPACEGODZILLA」は請求人のキャラクターとして広く親しまれている。被請求人による「SPACE GUZZILLA」の使用が,請求人の「スペースゴジラ」,「SPACEGODZILLA」に依拠したものであることは容易に想像される。
エ イメージの共通性について
被請求人は,破砕機など土木機械器具に使用される本件商標と,映画や巨大怪獣を表示する引用商標においては,イメージの共通性など一切ない旨主張する。
しかしながら,被請求人の本件商標に係る商品は,土木解体に用いられるものであり,土木解体作業はまさに,鉄骨や鉄筋を含んだコンクリート構造物の切断・圧砕等である。また,巨大怪獣による都市の破壊は,あくまで映画の中での架空の世界のものにすぎず,人々がこの破壊行為に恐怖を抱くことなど考えられない。また,解体現場の跡地に何かできるのかと未来に想いを馳せ,ときにはある種の期待や希望を抱くというようなことも想定できない。
本件商標は,「GODZILLA」における建造物やコンクリート構造物を破壊,切断・圧砕するというイメージを連想,想起させるものである。そして,請求人による「SUPER GODZILLA」や「SPACEGODZILLA」の使用実績に基づき,最近,被請求人が「SUPER GUZZILLA」や「SPACE GUZZILLA」の使用を開始したことは前述したとおりである(甲155?甲157,甲163?甲165)。
このような被請求人による本件商標の使用が,請求人又はその関連会社の関与する商品であるかのようにその出所につき混同を生じさせるおそれを増大させていることは明らかである。
3 商標法第4条第1項第19号に関する主張
(1)商標法第4条第1項第19号は,他人の業務に係る商品等を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするものは,商標登録を受けることができない旨を規定する。
(2)「GODZILLA」が請求人の周知・著名商標であること及び本件商標が請求人の周知・著名商標と類似することは,上記したとおりである。
(3)商標法第4条第1項第19号に規定する「不正の目的」とは,図利目的,加害目的をはじめとして,取引上の信義則に反するような目的のことをいう。
上記したとおり,「GODZILLA」は,請求人の周知・著名商標である。また,「GODZILLA」は,請求人の創作に係る独創的な商標であるから,請求人の出所を表示する標識として極めて強い出所表示力を有している。しかも,語頭が「G」ではじまり語尾が「ZILLA」で終了する商標は,請求人と被請求人の商標以外に存在しない。
さらに,被請求人は,ホームページにおいて特撮物を連想させるストーリー仕立ての動画を多数掲載したり,怪獣を想起させる重機を用いた見学会を行っている(甲136?甲138)。
したがって,請求人の周知・著名商標と類似する本件商標が請求人の周知・著名商標と無関係に採択されたとは到底考えられず,本件商標が「GODZILLA」の有する顧客吸引力を利用しようとするものであることは容易に看取される。
しかして,本件商標が請求人の商品と無関係の商品に使用されれば,「GODZILLA」のキャラクターに愛情をもって接してきた需要者は,これによって欺かれる結果となり,長年にわたり注意深くそのキャラクター商品の品質維持に努めてきた請求人の信用・イメージが大きく損なわれることは見易い道理である。
また,被請求人が請求人の周知・著名商標に化体した信用,名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する意図を有していたことは,被請求人が本件商標の他に,「ガリガリ君」及び「STUDIO GABULLI」商標を登録出願してきた事実からもうかがえる(甲139?甲142)。
このような状況下,本件商標が「不正の目的」をもって使用されるものであることは明らかである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号に関する主張
(1)商標法第4条第1項第7号は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標は商標登録を受けることができない旨を規定する。
同号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には,(ア)その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合,(イ)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも,指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反する場合,(ウ)他の法律によって,当該商標の使用等が禁止されている場合,(エ)特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合,(オ)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合,などが含まれるというべきである(知財高裁平成17年(行ケ)10349号同18年9月20日判決参照)。
(2)「GODZILLA」が請求人の周知・著名な商標及び表示であること,本件商標が請求人の周知・著名な商標及び表示と類似すること,並びに被請求人が「GODZILLA」に化体した信用,名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正の目的を有していたことは,上記したとおりである。
しかして,本件商標は,商標を保護することにより,商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り,需要者の利益を保護するという商標法の目的(商標法第1条)に反するものであり,公正な取引秩序を乱し,商道徳に反するものであるから,その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべきである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
5 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号,同項第19号及び同項第7号に該当し,同法第46条第1項第1号により,その登録を無効とされるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め,答弁の理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 本件商標について
本件商標は,太いローマ字で「GUZZILLA」と横書きされてなる商標であり,第2文字目の「U」と第3文字目の「Z」の各文字の上端が連続し,当該「Z」とこれに続く第4文字目の「Z」の両文字の左下がともに鋭く前下方に突尖している一方,第1番目の「G」と最後の「A」の各文字の上下輪郭は丸みを帯びている,というデザイン処理がなされている。
各構成文字が,同じ太さと大きさをもって上記のとおりデザイン化された本件商標は,外観上まとまりよく一体的に表されたものである。しかし,「GUZZILLA」なるローマ字つづりについては,これが英和辞典等に掲載されている成語ではないから,いわゆる造語として理解され認識されるため,本来的には当該構成文字から何らかの観念か生ずるものではない。そして,称呼については,ローマ字読みからすれば,「グッジーラ」とか「グッジッラ」,「グッジラ」といった発音がなされるとも考えられるものの,本件商標と同じローマ字を含んだ被請求人の登録商標(乙1)の存在や,被請求人が永年併用してきた称呼によって,主として「ガジラ」なる称呼が生ずると考えるのが自然である。
すなわち,本件商標は,被請求人が製造・販売する破砕機や切断機など土木建設機械のアタッチメントの自他識別標識として,遅くとも平成6年9月頃から使用されてきたものであり(乙2?乙5),破砕機等の機能や動作を端的に表現する英単語「GUZZLE」(「?をガツガツ食う。?をガブガブ飲む」の意)と,力強い動物の代表例である「ゴリラ」(英単語では「GORILLA」)を組み合わせた語として被請求人により創作された造語である。
しかるに,本件商標をもって「ガジラ」の称呼を付し併用しているのは,その語源とした上記英単語の「GUZZLE」が「ガズル」と発音されることに由来している。
本件商標は,被請求人によって,その製造販売する破砕機につき,現在に至るまで継続約に使用されてきたものであるが(甲130),2011年(平成23年)3月7日にはフジテレビ系全国放送の人気番組「ほこ×たて」にて紹介され,盗難防止目的用の特殊合金のチェーンとの対決が話題となった(乙6)。その後も,同年11月26日の第2戦対決,同年12月18日全国放送の「ほこ×たて2時間スペシャル」における特殊鋼製ワイヤーロープとの対決,2012年(平成24年)1月14日全国放送の同番組における鉄球との対決と,当時世間の注目を浴びていた対決番組に次々と登場したために(乙3),土木建設機械業界においては大いに話題となったばかりでなく,一般的にも広く知られるところになった。
2 引用商標について
被請求人は,映画「ゴジラ」や怪獣「ゴジラ」の著名性について,争うつもりはないし,映画や怪獣「ゴジラ」のローマ字表記として「GODZILLA」が使用されてきた事実についても首肯し得る。ただ,果たして映画や怪獣「ゴジラ」を知る人の全てが,これに対応したローマ字表記を書けと言われたときに「GODZILLA」と正確に答えられるか疑問である。
なお,請求人提出の書証によると,片仮名表記「ゴジラ」については,「東宝怪獣キャラクター/商品化権使用のご案内」(甲97)の表紙にも使用されているデザイン書体を基本としていると考えられる。
一方,ローマ字表記「GODZILLA」については,時代や対象物によって様々な書体が用いられていて統一されてはいない。例えば,米国で制作された映画においては,1998年(平成10年:甲79)及び2014年(平成26年:甲30)のような書体が用いられている。
3 本件商標と引用商標の対比
以上のとおり,引用商標の構成文字態様は様々であって一の態様を特定することはできないが,請求人は,一般的な文字書体による「ゴジラ」及び「GODZILLA」をもって本件商標と対比していると考えられるので,以下は,その前提において比較検討する。
(1)外観について
本件商標とローマ字表記「GODZILLA」とは,ともに欧文字8文字から構成される点において共通しているが,第2文字目「U」と「O」,第3文字目「Z」と「D」の2文字において相違している。
請求人は,これら相違する文字は看者にとって印象が薄いと主張するが,本件商標における第2文字目「U」と第3文字目「Z」は,各文字の上端が連続しているというデザイン上の特徴があるうえ,当該第3文字目「Z」とこれに続く第4文字目「Z」の両文字は,それらの左下端がともに鋭く前下方に突尖しているというデザイン上の特徴があるために,商標全体の中間部分にあるものの目立っており,常に看者の目を強く惹きつけることは明らかである。
また,請求人は,「GODZILLA」のスペリングについては諸説あると述べる一方で,後半部分に「ZILLA」の表記を用いた点に特徴を有していると主張する。そうとすれば,前半部分「GOD」は,やはり神を意味する語として入れられたものであろうし,その「GOD」が我が国においても広く習熟された英単語であるゆえに,看者においても容易にその英単語の存在を認識できるはずである。まして,語尾が「ZILLA」で終わる商標は,本件商標以外にも複数存在している(乙7)。語頭が「G」で始まり,語尾が「ZILLA」で終わる商標は他にはない,とする請求人の主張は,単に現時点における商標登録・出願状況がそうであることを敷衍しているにすぎないから,上記外観上の相違を凌駕するような事実ではない。
結局,本件商標と引用商標を対比観察した際に外観上強く印象に残るのは,本件商標における上記デザイン上の特徴なのであるから,片仮名表記「ゴジラ」についてはいうまでもなく,こうしたデザイン上の特徴を有しない「GODZILLA」と比較しても,本件商標と引用商標は,外観上明確に区別することができる。
(2)称呼について
前述のように,本件商標は,被請求人が永年併用してきた称呼によって,主として「ガジラ」なる称呼が生ずると考えるのが自然であるのに対して,引用商標からは,「ゴジラ」の称呼が生ずるから,両商標は,語頭の「ガ」と「ゴ」の1音において相違し,残る「ジラ」の2音において共通することになる。
ところで,請求人は,「GODZILLA」は,「ゴジラ」のローマ字表記であると再三主張しているにもかかわらず,その発音記号を理由に挙げて,語頭音である「ゴ」は,「ゴ」と「ガ」の中間の音として称呼される旨を主張している。しかし,「多様なメディアにおいて,請求人のゴジラ作品に対して繰り返し「GODZILLA」の表示が使用され,一般大衆に深く浸透してきた」のであれば,何故に「GODZILLA」の表示に接するときだけ,「ゴ」と「ガ」の中間の音として発音するのか。一般大衆には,「GODZILLA」は,「ゴジラ」の意であると直ちに認識されるのであれば,わざわざ日本語本来の発音には存在しない中間音をもって発音することはあり得ず,明瞭かつ素直に「ゴジラ」と発音すると考えるのが自然である。
したがって,わずか3音で構成される短い称呼において,日本語として発音されるときには強く高いアクセントが置かれる傾向がある語頭音において,「ガ」と「ゴ」の濁音の相違があることによって,本件商標と引用商標は,称呼上も明瞭に聴別することができる。
(3)観念について
引用商標よりは,周知著名な映画「ゴジラ」や,その主人公で架空の生物たる怪獣のキャラクターを連想することには疑問の余地がない。他方,本件商標は,いわゆる造語として理解され認識されるために,本来的には当該構成文字から何らかの観念が生ずるとはいえない(ただし,少なくとも解体工事業者を中心とする一部の建築土木機械分野においては,広く知られた商標であることを否定するものではない)。
よって,特定の観念が生じない本件商標については,その観念を比較することができないから,本件商標と引用商標は,観念上において相違している。
4 商標法第4条第1項第15号の該当性について
商標法第4条第1項第15号における「混同を生ずるおそれ」の有無の判断につき,被請求人としても,引用商標が,創作性が高く,かつ,周知著名商標であることを疑うものではないが,本件商標がその指定商品に使用されたときにまで,請求人の業務に係る商品等と混同を生ずるおそれがあるわけではない。
すなわち,(ア)本件商標と引用商標とは,前述のとおり,観念上のみならず,外観上及び称呼上においても明瞭に区別することができる,相互に非類似の商標である上に,(イ)本件商標の指定商品は,いずれも専門的な分野において使用される特殊な機械器具装置であって,映画やそのキャラクターに基づき引用商標が展開される玩具・菓子・文房具といった汎用的な商品群(甲83?甲102)とは,商品自体の目的・用途・性格等の性質が全く異なる無関係な商品であるし,(ウ)本件商標に係る指定商品と,引用商標が展開され得る商品群とは,需要者・取引者が全く相違しているほか,機械器具装置としての特殊性から一般に商品単価が極端に高額であるため(被請求人の製造販売する破砕機は,1機当たり百万円から1千万円程度),商品取引に際しては事前見積書が必須とされ,同等他社製品と性能等を慎重に比較吟味されるのが通例であるが,引用商標の使用が想定される商品群においてはそのような特質は見られないのであるから,(エ)以上を総合的に判断すると,本件商標をその指定商品に使用したときに,当該商品等が他人たる請求人の業務に係る商品等と誤信されるおそれがないし,当該商品等が請求人との間において緊密な営業上の関係等にあるかのように誤信されるおそれもないのである。
なお,請求人は,自らにつき映画の制作・配給・上映等を主たる業務とする我が国の代表的な企業であるから,請求人の商品・役務の需要者は,年齢,性別,職種等を問わず,あらゆる分野の広範な一般消費者であって,その中には建築・土木従事者も当然含まれていると主張しているが,架空のキャラクター怪獣に関心を抱く需要者層と,専門技術性の高い機械器具のユーザーとしての需要者層が一致しているとは到底思われない。
また,映画の中で暴れまわり,巨大な建造物や都市を破壊する架空のキャラクター怪獣「ゴジラ」は,正に「破壊神降臨」(甲第55号証のうち,1994年「ゴジラvsスペースゴジラ」のポスターに記載)のイメージが連想・想起されるのであるが,本件商標の使用商品たる破砕機による建築物の解体とは,無秩序に「壊す(スクラップ)」ことではなく,周辺環境への悪影響を最低限に抑えるように計画性をもって行われ,次なる「構築(ビルド)」に向けた前段階としてイメージされるものである。破砕機など土木機械器具に使用される本件商標と,映画や巨大怪獣を表示する引用商標においては,イメージの共通性など一切ないのである。
もとより,多角経営を行なっているとはいえ,請求人の事業内容は,映画・演劇の企画,制作及び制作の請負等や,土地及び建物の賃貸,管理,売買及びこれらの仲介並びに駐車場の経営(甲135)であるというのであるから,本件商標の指定商品に係る専門性の高い機械器具装置の製造・販売業とは無関係な事業分野である。
したがって,本件商標がその指定商品に使用された場合においても,使用した商品の出所について,請求人又は請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのようにその商品の出所について混同を生ずるおそれはないから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
5 商標法第4条第1項第19号の該当性について
既述のとおり,本件商標は,引用商標とは,観念上のみならず,外観上及び称呼上においても明瞭に区別することができる相互に非類似の商標であるから,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
なお,請求人は,被請求人がそのホームページにおいて掲載している動画や,重機を用いた見学会が怪獣を想起させるから,引用商標の顧客吸引力を利用しようとするものである旨を主張している。
しかしながら,そもそも引用商標は,「破壊神」を称する架空の巨大怪獣に由来しているのに対して,被請求人による上記動画等に登場している重機等は近未来を連想させる建設的なロボットなのである。ロボットの登場する動画が特撮(SFX)仕立てとなることは,映画においても極めて自然なことであるし,ロボットが動画に登場し活躍したからといって,古くから親しまれてきた古典的な巨大怪獣キャラクターやその商品等に関する請求人の信用・イメージが毀損されるおそれがあるとは考えられない。
また,引用商標や本件商標のように,語尾が「ZILLA」で終わる商標は,本件商標以外にも複数存在していることは既に述べたところではあるが(乙7),さらに付言すると,請求人の「ゴジラ」以外にも,いわゆる架空のキャラクター怪獣の名前に「濁音」や「ラ」が多いことは周知の事実である(乙8,乙9,甲93の別紙(3)「怪獣キャラクター名称一覧表」より)。そうとすれば,架空の怪獣キャラクターにおける「濁音」や「ラ」を伴う3文字からなる名称は,もはやありふれたパターンの名称であると考えられる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
6 商標法第4条第1項第7号の該当性について
既述のとおり,本件商標は,被請求人が製造・販売する破砕機や切断機など土木建設機械のアタッチメントの自他識別標識として,遅くとも平成6年9月頃から使用されてきたものであって(乙2?乙5),破砕機等の機能や動作を端的に表現する英単語「GUZZLE」と,力強い動物の代表例である英単語では「GORILLA」を組み合わせた語として被請求人により創作された造語である。以来,現在に至るまで継続的に被請求人の製造する破砕機等の商品商標として使用され,商品ラインナップの拡充に伴って多種多様な破砕機等の統一ブランドとして使用されてきたものであるが,2011年(平成23年)3月頃から人気テレビ番組に紹介されるようになったことを契機に,同年11月21日付けで登録出願をしたものである。
しかるに,本件商標は,引用商標に類似するものではない上に,引用商標の信用,名声及び顧客吸引力にフリーライドする意図もなく,単に約5年前から使用してきた自社商品ブランドの商標登録を図ったにすぎないから,その出願の経緯に社会的相当性を欠くものではなく,その他,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない事情もない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではない。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には,当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに,当該商品又は役務が他人の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標のみならず,当該商品又は役務が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標が含まれる。そして,上記の「混同を生じるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)。
(2)商標の類似性の程度
ア 外観
本件商標は,「GUZZILLA」の8文字の欧文字からなる。本件商標において,「G」と「A」の字体は,やや丸みを帯び,「U」と3文字目の「Z」の上端及び7文字目の「L」と「A」の下端は,それぞれ結合し,3文字目及び4文字目の「Z」は,両文字の左下が前下方に鋭く突尖しているほか,やや縦長の太文字で表されることによって,デザイン化されている。
引用商標は,「GODZILLA」の8文字の欧文字からなる。請求人が引用した引用商標の文字は,標準文字であって,デザイン化されていないが,実際には,様々な書体で使用されている。
本件商標と引用商標の外観とを対比すると,いずれも8文字の欧文字からなり,語頭の「G」と語尾の5文字「ZILLA」を共通にする。2文字目において,本件商標は「U」からなるのに対し,引用商標は「O」からなるが,本件商標において「U」と3文字目の「Z」の上端は結合し,やや縦長の太文字で表されているから,見誤るおそれがある。もっとも,本件商標と引用商標は,3文字目において相違するほか,本件商標は上記のとおりデザイン化され,全体的に外観上まとまりよく表されている。
そうすると,本件商標と引用商標とは,外観において相紛らわしい点を含むものということができる。
イ 称呼
本件商標の語頭の2文字「GU」は,ローマ字の表記に従って発音すれば「グ」と称呼され,我が国において,なじみのある「GUM」などの英単語と同様に発音すれば「ガ」と称呼される。したがって,本件商標は,「グジラ」又は「ガジラ」と称呼され,語頭音は「グ」と「ガ」の中間音としても称呼されるものである。なお,被請求人が製造販売等する建設機械用アタッチメント(以下「被請求人アタッチメント」という。)は,本件商標の商標登録出願日以前において,その外観に本件商標が付され,「ガジラ」との名称で取引されていたことが認められるものの(甲167?甲170),その名称が「ガジラ」として,広く知られていたと認めるに足りる証拠はない。 よって,本件商標から「ガジラ」との称呼のみが生じるとはいえない。
引用商標は,下記(3)イのとおり,怪獣映画に登場する怪獣の名称として著名な「ゴジラ」の欧文字表記として広く知られているから,「ゴジラ」と称呼されるものである。また,引用商標の語頭音は,英語の発音において,「ゴ」と「ガ」の中間音としても称呼され,現に大ヒットした映画「シン・ゴジラ」でも,「ゴ」と「ガ」の中間音として称呼されていたものである(甲192?甲194)。そして,我が国において,本件商標の商標登録出願時,引用商標の英語の発音による称呼も一般化していたものであるから(甲79?甲82),引用商標の語頭音の「ゴ」は,「ゴ」と「ガ」の中間音としても称呼されるものである。
本件商標と引用商標の称呼を対比すると,語頭音を除く称呼は「ジラ」と共通する。また,語頭音は,本件商標は「グ」と「ガ」の中間音として称呼され得るものであって,引用商標は「ゴ」と「ガ」の中間音として称呼され得るものであるところ,本件商標における「グ」と「ガ」の中間音と,引用商標における「ゴ」と「ガ」の中間音とは,いずれも子音を共通にし,母音も近似する。
したがって,本件商標と引用商標とは,称呼において相紛らわしいものというべきである。
ウ 観念
本件商標からは特定の観念が生じず,引用商標からは怪獣映画に登場する怪獣「ゴジラ」との観念が生じる。
エ 本件商標と引用商標の類似性
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,称呼において相紛らわしいものであって,外観においても相紛らわしい点を含むものということができる。
(3)引用商標の周知著名性及び独創性の程度
ア 怪獣映画に登場する怪獣である「ゴジラ」は,請求人によって創作されたものであり(甲4),「ゴジラ」が著名であることは当事者間に争いがない。
イ 怪獣映画に登場する怪獣である「ゴジラ」には,昭和30年,欧文字表記として引用商標が当てられ,その後,引用商標が「ゴジラ」を示すものとして使用されるようになったものである(甲7,甲8)。欧文字表記の引用商標は,我が国において,遅くとも昭和32年以降,映画の広告や当該映画中に頻繁に使用され(甲7,甲8,甲21,甲39?甲43,甲46?甲50,甲55,甲79,甲80,甲81の1?3,甲82,甲84),遅くとも昭和58年以降,怪獣である「ゴジラ」を紹介する書籍や,これを基にした物品に多数使用されていること(甲17,甲18,甲21,甲22,甲26,甲45,甲52?甲54,甲56?甲61,甲63?甲73,甲77,甲78,甲86の1,甲92,甲101の3,甲102の4,甲162),さらに,怪獣である「ゴジラ」の英語表記として多くの辞書にも掲載されていること(甲125?甲129,甲143?甲153)からすれば,引用商標は著名であるということができる。
ウ 語頭が「G」で始まり,語尾が「ZILLA」で終わる登録商標は,引用商標の他には,本件商標を除き見当たらない。架空の怪獣の名称において,語頭が濁音で始まり,語尾が「ラ」で終わる3文字のものが多いとしても,これらは怪獣「ゴジラ」が著名であることの影響によるものと認められ(甲173,甲174),さらに,欧文字表記において,引用商標と類似するものも見当たらない。
エ 以上によれば,引用商標は周知著名であって,その独創性の程度も高いというべきである。
(4)商品の関連性の程度,取引者及び需要者の共通性
ア 商品の関連性の程度
本件商標の指定商品は,第7類「鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,農業用機械器具,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置」である。本件商標の指定商品には,専門的・職業的な分野において使用される機械器具が含まれる。
また,これに加えて,本件商標の指定商品のうち,「荷役機械器具」には,油圧式ジャッキ,電動ジャッキ,チェーンブロック,ウインチが,「農業用機械器具」には,刈払機,電動式高枝ハサミ,ヘッジトリマ,草刈機が,含まれる(甲225,甲226,甲231?甲234,甲243,甲253)。
これに対し,請求人の主な業務は,映画の制作・配給,演劇の制作・興行,不動産経営等のほか,キャラクター商品等の企画・制作・販売・賃貸,著作権・商品化権・商標権その他の知的財産権の取得・使用・利用許諾その他の管理であり(甲135),多角化している。請求人は,百社近くの企業に対し,引用商標の使用を許諾しているところ,その対象商品は,人形やぬいぐるみなどの玩具,文房具,衣料品,食料品,雑貨等であるなど,多岐にわたる(甲12,甲83?甲96,甲98?甲102,甲199?甲211)。
本件商標の指定商品のうち専門的・職業的な分野において使用される機械器具と,請求人が引用商標の使用を許諾した玩具,文房具,衣料品,食料品,雑貨等とは,前者が,工場や事業所などの産業現場で,人間の業務を補助する機械であって,専らその性能や品質などが商品選択の基準とされるのに対し,後者は,日常生活で,一般消費者によって使用される物であって,同種製品との差別化が難しいものであるから,性質,用途及び目的における関連性の程度は高くない。
一方,本件商標の指定商品に含まれる油圧式ジャッキ,電動ジャッキ,チェーンブロック,ウインチ,刈払機,電動式高枝ハサミ,ヘッジトリマ,草刈機等の商品は,ホームセンター等の店舗やオンラインショッピング,テレビショッピングにおいて,一般消費者に比較的安価で販売され得るものである(甲235?甲242,甲244?甲252,甲254)。そうすると,これらの商品は,日常生活で,一般消費者によって使用される物であって,同種製品との差別化が難しいものということができる。これらの商品は,一般的な玩具等とは異なり,使用方法によっては,身体・財産に危険が生じるものではあるが,比較的小型の機械器具であって, その操作方法も比較的単純であるから,専門的な業務用途に限られるものではなく,特別な知識,能力を有する者のみにその使用が限定されるものでもない。したがって,本件商標の指定商品に含まれる油圧式ジャッキ,電動ジャッキ,チェーンブロック,ウインチ,刈払機,電動式高枝ハサミ,ヘッジトリマ,草刈機等と,請求人が引用商標の使用を許諾した玩具,雑貨等とは,ホームセンター等の店舗やオンラインショッピング,テレビショッピングにおいて,一般消費者に比較的安価で販売され得るものであり,日常生活で,一般消費者によって使用されるなど,性質,用途又は目的において一定の関連性を有しているといわざるを得ない。
よって,本件商標の指定商品に含まれる商品の中には,請求人の業務に係る商品と比較した場合,性質,用途又は目的において一定の関連性を有するものが含まれているというべきである。
イ 取引者及び需要者の共通性
本件商標の指定商品に含まれる上記油圧式ジャッキ等の,比較的小型で,操作方法も比較的単純な荷役機械器具及び農業用機械器具の需要者は一般消費者であり,その取引者は,これらの器具の製造販売や小売り等を行う者である。また,請求人が引用商標の使用を許諾した玩具,雑貨等の需要者は一般消費者であり,その取引者は,これらの商品の製造販売や小売り等を行う者である。本件商標の指定商品の取引者及び需要者の中には,請求人の業務に係る商品の取引者及び需要者と共通する者が含まれる。そして,商品の性質,用途又は目的からすれば,これら共通する取引者及び需要者は,商品の性能や品質のみを重視するということはできず,商品に付された商標に表れる業務上の信用をも考慮して取引を行うというべきである。
(5)出所混同のおそれ
以上のとおり,「混同を生じるおそれ」の有無を判断するに当たっての各事情について,取引の実情などに照らして考慮すれば,本件商標の指定商品に含まれる専門的・職業的な分野において使用される機械器具と,請求人の業務にかかる商品との関連性の程度は高くない。
しかし,本件商標と引用商標とは,称呼において相紛らわしいものであって,外観においても相紛らわしい点を含む。また,引用商標は周知著名であって,その独創性の程度も高い。さらに,請求人の業務は多角化しており,本件商標の指定商品に含まれる商品の中には,請求人の業務に係る商品と比較した場合,性質,用途又は目的において一定の関連性を有するものが含まれる。加えて,これらの商品の取引者及び需要者と,請求人の業務に係る商品の取引者及び需要者とは共通し,これらの取引者及び需要者は,取引の際に,商品の性能や品質のみではなく,商品に付された商標に表れる業務上の信用をも考慮して取引を行うものということができる。
そうすると,本件商標の指定商品に含まれる商品の中には,本件商標を使用したときに,当該商品が請求人又は請求人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるものが含まれるといわざるを得ない。
(6)被請求人の主張について
ア 被請求人は,被請求人アタッチメント等は,特殊な機械器具であり,専らその性能や品質,信頼性,安定性などが商品選択の基準とされるから,商品化事業に全く馴染まないと主張する。
本件商標の指定商品のうち,被請求人アタッチメント等の専門的・職業的な分野において使用される機械器具は,産業現場で,人間の業務を補助するために,専らその性能や品質などが商品選択の基準とされ,その需要者は産業機械分野の業務に従事する者であり,その取引者は産業機械器具の製造販売やリース等を行う者である。このように,本件商標の指定商品に含まれる一部の商品については,請求人が引用商標の使用を許諾した商品との関連性の程度が高くなく,その取引者及び需要者も異なるということはできる。しかし,この事実は,本件商標の指定商品には,請求人の業務に係る商品と一定の関連性を有するものが含まれ,本件商標の指定商品の取引者及び需要者の中には,請求人が引用商標の使用を許諾した商品の取引者及び需要者と共通する者が含まれることや,これらの者が,商品に付された商標に表れる業務上の信用をも考慮して取引を行うことを否定するものにはならない。
そうすると,本件商標を被請求人アタッチメント等の専門的・職業的な分野において使用される機械器具に使用したときのみをもって,本件商標が請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるか否かを判断することはできないから,被請求人の主張は採用できない。
イ 被請求人は,本件商標は,被請求人により,英単語「GUZZLE」と「GORILLA」とを組み合わせるなどして創作された造語であると主張する。
しかし,引用商標は,周知著名なものであって,怪獣映画に登場する怪獣との観念を生じさせるものであり,街や建造物を破壊するという力強いイメージを有するものである(甲9?甲11,甲52?甲73)。本件商標の指定商品に含まれる油圧式ジャッキ等は,比較的小型で,操作方法も比較的単純な荷役機械器具及び農業用機械器具であるから,その取引者及び需要者は,引用商標が有する力強いイメージに誘引されて,取引を行うことが十分に考えられるものである。一方,本件商標の指定商品のうち油圧式ジャッキ等の取引者及び需要者において,本件商標が,英単語「GUZZLE」と「GORILLA」とを組み合わせるなどして独自に創作された造語であって,引用商標と異なるということを認識した上で取引を行うことは,英単語「GUZZLE」が見慣れない英単語であることからすれば(甲154),考えにくいものである。
したがって,本件商標が被請求人により創作された造語であるとの被請求人の主張は,本件商標を本件商標の指定商品に使用したときに,本件商標の指定商品が請求人の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるとの判断を左右するものにはならない。
ウ 被請求人は,本件商標は引用商標にただ乗りするものではないし,本件商標を使用しても引用商標の希釈化は生じないと主張する。
しかし,上記イのとおり,本件商標の指定商品に含まれる油圧式ジャッキ等の取引者及び需要者は,引用商標が有する力強いイメージに誘引されて,取引を行うことが十分に考えられるから,本件商標の指定商品に本件商標が使用されれば,引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリュージョン)を招く結果を生じかねない。
また,被請求人は,平成8年頃から,コンクリート等を圧搾する機能を有する被請求人アタッチメントに本件商標を付して使用していることからすれば(甲130,甲167?甲170),被請求人は,引用商標が有する力強いイメージを想起させることを企図して,被請求人アタッチメントに,引用商標と称呼において相紛らわしく,外観においても相紛らわしい点を含む本件商標を付していたものといわざるを得ない。さらに, 被請求人は,本件商標の商標出願日である平成23年11月21日以降ではあるものの, 請求人が使用していた「SUPER GODZILLA」「SPACE GOZILLA」と相紛らわしい「SUPER GUZZILLA」「SPACE GUZZILLA」を使用している(甲30,甲55,甲62,甲131,甲132,甲136?甲138,甲155?甲158,甲161?甲165,甲198)。また,被請求人は,本件商標の商標出願日以降ではあるものの,本件商標をタオル,腕時計,手袋,帽子,Tシャツ, パーカー等に付して,広く無償配布及び販売している(甲178?甲188,甲218,甲228,甲229)。加えて,被請求人は,本件商標の商標登録日以降ではあるものの,我が国における周知著名な商標と相紛らわしい「ガリガリ君」や「STUDIO GABULLI」との文字からなる商標につき商標登録出願もしている(甲139?甲142)。これらの被請求人の行為は,本件商標の商標登録出願時において,本件商標の指定商品に本件商標が使用されれば,引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗りやその希釈化を招く結果を生じかねなかったことを間接的に裏付けるものといえる。
このように,本件商標の指定商品に本件商標が使用されれば,引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗りやその希釈化を招く結果を生じかねないから,被請求人の主張は採用できない。
(7)小括
以上によれば,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

2 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから,その余の無効事由について判断するまでもなく,同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2019-10-18 
結審通知日 2019-10-23 
審決日 2019-11-06 
出願番号 商願2011-83464(T2011-83464) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (X07)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 榎本 政実
山根 まり子
登録日 2012-04-27 
登録番号 商標登録第5490432号(T5490432) 
代理人 中村 稔 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 辻居 幸一 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 松野 仁彦 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 藤倉 大作 
代理人 森 寿夫 
代理人 松尾 和子 
代理人 石戸 孝 
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