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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W1820222528
審判 全部申立て  登録を維持 W1820222528
管理番号 1375211 
異議申立番号 異議2020-900206 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-19 
確定日 2021-06-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第6259630号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6259630号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6259630号商標(以下「本件商標」という。)は、「DolceSport」の欧文字を標準文字で表してなり、令和元年5月30日に登録出願、第18類「かばん類,スーツケース,傘」、第20類「家具,机類,座卓,食卓,和机,椅子類,安楽椅子,腰掛け椅子,座椅子,食卓用椅子、長椅子」、第22類「ハンモック,布団袋,雨覆い,天幕,登山用又はキャンプ用のテント」、第25類「運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウィンドサーフィン用シューズ」を除く。),運動用特殊衣服,(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),空手衣,柔道衣,ヘッドバンド(運動競技用),ヤッケ」及び第28類「おもちゃ,ゴム製おもちゃ,布製おもちゃ,型物おもちゃ,ゴム製張り合わせおもちゃ,薄層物おもちゃ,運動用具(登山用・サーフィン用・水上スキー用・スキューバダイビング用のものを除く。),トレーニング用具,重量挙げ用具,運動用固定式自転車及びそのローラー」を指定商品として、同2年4月20日に登録査定、同年6月15日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第8号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第93号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
(1)申立人の商標「Dolce & Gabbana」の著名性について
申立人の商標「Dolce & Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)」は、1985年にイタリアで創設された世界的なラグジュアリーファッションブランドであり、ウェブサイトを通じて我が国において紹介され(甲2?甲9)、また、申立人の関連会社のウェブサイト及びその他のウェブサイト(甲10?甲17)によれば、その取扱商品は、婦人服、紳士服、ベビー服、履物、革小物、スマートフォン用ケースやその他服飾品だけでなく、化粧品・家電・家具等、多岐にわたる。
(2)申立人の商標「Dolce(ドルチェ)」の周知・著名性について
申立人の著名商標「Dolce & Gabbana」の略称である「Dolce(ドルチェ)」も種々の商品に使用されており、その結果、「Dolce(ドルチェ)」商標も我が国において周知・著名となっている。
ア 香水についての使用
申立人は、「ドルチェ」及び「DOLCE」の文字からなる登録第4683580号商標(甲18)及び「DOLCE DOLCE & GABBANA」の文字からなる国際登録第1166813号商標(甲19)を有しており、さらに、当該商標を付した香水が2014年3月1日より我が国において展開され(甲20)、この香水は、「ドルチェ」シリーズとして、ウェブサイトにおいて紹介されている(甲21?甲31)。
また、当該商品は、日本国内だけでなく世界各国で販売されており(甲32?甲36)、「Dolce & Gabbana」ブランドを代表する香水である。
イ 化粧品についての使用
申立人は、香水のほかにも化粧品について「Dolce(ドルチェ)」を使用しており、また、この化粧品は、ウェブサイトにおいて紹介されており(甲37?甲40)、さらに、「Dolce」の文字が付された口紅が、ウェブサイトにおいて「ドルチェ マット リップスティック」として紹介されている(甲41?甲43)。
ウ かばんについての使用
申立人は、かばんについて、著名商標「Dolce & Gabbana」以外にも、「Dolce(ドルチェ)」の文字を含む商標を使用しており、また、このかばんは、ウェブサイトにおいて紹介されている(甲44?甲65)。
エ 上記アないしウの事実より、申立人が取り扱う商品に、著名商標「Dolce & Gabbana」以外にも、その略称である「Dolce(ドルチェ)」及びそれを含む商標を使用していること、また、これらが我が国において周知・著名であることは明らかである。
(3)ファッションブランドのセカンドライン及び申立人によるスポーツ関連商品の販売について
ファッションブランドが主にスポーツ用の衣料を取り扱う際に、そのセカンドラインとして、ブランド名又はその略称と「スポーツ(SPORT(S))」の文字を組み合わせた商標を使用することは、頻繁に行われている事実がある(甲66?甲71)。
そして、申立人は、スウェット素材やジャージ素材のアクティブウェアや、水着などのスポーツ関連商品も取り扱っており、また、申立人のサッカー関連商品に関しては、ウェブサイトにおいて紹介されている(甲72?甲81)。
(4)ドメニコ・ドルチェ氏及びその略称「Dolce(ドルチェ)」の著名性について
「Dolce & Gabbana」の創業者、かつ、デザイナーであるドメニコ・ドルチェ氏については、ウェブサイトにおいて紹介され(甲2?甲9、甲82?甲87)、また、ドメニコ・ドルチェ氏の略称として、「Dolce(ドルチェ)」が、ウェブサイトにおいて紹介されている(甲3、甲77、甲88?甲93)。
(5)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、「DolceSport」の欧文字からなり、その構成から、「Dolce」と「Sport」とを分離して把握することができる。そして、上記(2)及び(3)のとおり、「Dolce(ドルチェ)」の文字が、著名商標「Dolce & Gabbana」の略称として使用され、少なくとも本件商標の登録出願日前より取引者、需要者の間で周知・著名であったこと、申立人の取扱商品が多岐にわたっていること、ファッションブランドがそのセカンドラインのブランド名について、「SPORT」の文字を使用することが頻繁にあること、「Dolce & Gabbana」がスポーツと強い関連性を持っていることのそれぞれを考慮すると、本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者・需要者は、その商品を世界的にも著名なファッションブランドである「Dolce & Gabbana」のスポーツ関連の商品であると誤認・混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第8号該当性について
上記(4)のとおり、「Dolce & Gabbana」の創業者、かつ、デザイナーであるドメニコ・ドルチェの略称「Dolce(ドルチェ)」も、本件商標の登録出願日前から周知・著名であったことは明らかである。
そして、本件商標は、その構成中にドメニコ・ドルチェ氏の著名な略称「Dolce」を含むものであり、かつ、同氏の承諾を得ていないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

3 当審の判断
(1)申立人の商標「Dolce(ドルチェ)」の周知・著名性について
申立人は、「Dolce & Gabbana」の略称である「Dolce(ドルチェ)」が種々の商品に使用され著名となっている旨主張しているところ、申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 「Dolce & Gabbana」(ドルチェ&ガッバーナ)は、1985年にイタリアで創設されたファッションブランドであり、その取り扱いに係る商品は、アパレル商品から始まり、現在では靴やバッグ、財布、香水など、さまざまなジャンルに及んでいる(甲2?甲17)。
イ 申立人は、「ドルチェ」及び「DOLCE」の文字からなる商標について、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品とする登録第4683580号商標の商標権を有している(甲18)。
ウ 香水についての使用
申立人は、2014年3月1日より我が国において、「ドルチェ」及び「DOLCE」の商標を付した「香水」を販売し(甲20)、当該「香水」は、「ドルチェ」シリーズ又は「Dolce」シリーズとして、ウェブサイトにおいて紹介されている旨主張している(甲21?甲31)。
しかしながら、これらのウェブサイトにおいて、香水の容器や包装箱の画像が表示されているところ、これらの容器や包装箱には、筆記体で大きく「Dolce」の文字が表示されているものの、その下部に小さく「DOLCE&GABBANA」の文字も併せて表示されており、また、ウェブサイトにおける記事も、「ドルチェ&ガッバーナ」又は「Dolce & Gabbana」若しくは「DOLCE&GABBANA」の文字とともに、当該「香水」が紹介されているものであって、いずれの証拠をみても、「Dolce」又は「ドルチェ」の文字のみを表示した商品を示すものではない。
エ 化粧品についての使用
申立人は、遅くとも2018年より我が国において、化粧品を販売していることがうかがえ、「口紅」については、「ドルチェ ガーデン メイクアップ コレクション」、「ドルチェ マット リップスティック」として、「ドルチェ&ガッバーナ」又は「Dolce & Gabbana」若しくは「DOLCE&GABBANA」の文字とともに、ウェブサイトにおいて紹介されている(甲37?甲43)。
しかしながら、これらのウェブサイトには、画像と記事が掲載されているところ、「口紅」の画像において、商品容器に筆記体で「Dolce」の文字が表示されているものの、「口紅」の本体部分には「DG」の文字が表示されているものが認められ(甲41?甲43)、また、「口紅」の容器のキャップ部分に「DOLCE&GABBANA」の文字が表示されているものも確認できる(甲40の3葉目)等、いずれの証拠をみても、「Dolce」又は「ドルチェ」の文字のみを表示した商品を示すものではない。
また、これらのウェブサイトには、「口紅」以外の、いずれも「化粧品」の一である「ネイルラッカー」、「フェイスカラー」及び「コンシーラー」についても紹介されているところ、「ネイルラッカー」、「フェイスカラー」及び「コンシーラー」の各商品容器には「DOLCE&GABBANA」の文字が表示されており、また、これらの商品は、ウェブサイトにおける記事においても、「ドルチェ&ガッバーナ」又は「DOLCE&GABBANA」の文字とともに、紹介されているものであって、いずれの証拠をみても、「Dolce」又は「ドルチェ」の文字のみを表示した商品を示すものではない(甲40?甲43)。
オ かばんについての使用
申立人は、2016年より我が国において、「かばん」を販売しているところ、当該かばんは、「ドルチェボックス」、「ドルチェ ボックス」、「ミニバッグ DOLCE BOX」、「ドルチェ ショッピング」、「ドルチェ バッグ」、「DOLCE SHOPPING」という商品名で、「ドルチェ&ガッバーナ」又は「Dolce&Gabbana」若しくは「DOLCE&GABBANA」の文字とともに、ウェブサイトにおいて紹介されている(甲44?甲65)。
カ 申立人が著名性を主張している「Dolce(ドルチェ)」については、申立人の提出に係る各証拠において、全て大文字で表した「DOLCE」の欧文字の使用状況が混在しているものの、その構成文字のつづりは同じであることから、「DOLCE」の文字の使用状況も勘案して検討するに、上記ウないしオによれば、申立人は、自己の業務に係る香水について2014年から「ドルチェ」シリーズ、「Dolce」シリーズを、化粧品について2018年から「ドルチェ ガーデン メイクアップ コレクション」、「ドルチェ マット リップスティック」を、かばんについて2016年から「ドルチェ ショッピング(DOLCE SHOPPING)」、「ドルチェ ボックス(DOLCE BOX)」、「ドルチェ バッグ」等の商品名を用いているものの、これらは、いずれも「ドルチェ&ガッバーナ」又は「Dolce & Gabbana」若しくは「DOLCE&GABBANA」の文字とともに、ウェブサイト上で紹介されている。そして、これらのウェブサイトは、2014年から2019年にかけてのものである。
また、香水の容器や包装箱については、筆記体で大きく「Dolce」の文字を表示しているとしても、当該筆記体の「Dolce」の文字の下部に小さく「DOLCE&GABBANA」の文字が表示されている。
さらに、化粧品についても、そのうち「口紅」については、商品容器の表面に、筆記体で「Dolce」の文字が表示されているとしても、ウェブサイトにおけるその説明には、「ドルチェ ガーデン メイクアップ コレクション」と記載されていたり、「口紅」の容器のキャップ部分に「DOLCE&GABBANA」の文字が表示されていることに加え、「口紅」以外の化粧品についても、その商品容器の表面に「DOLCE&GABBANA」の文字が表示されている。
そうすると、申立人が、その業務に係る香水、化粧品及びかばんについて、「Dolce(ドルチェ)」又は「DOLCE」の文字を含む表示を付していることは確認できるものの、「Dolce(ドルチェ)」又は「DOLCE」の文字のみを付した申立人の業務に係る香水、化粧品及びかばん(以下「申立人商品」という。)を、我が国において広告・宣伝したとする時期、回数、方法や、当該商品をどの地域で、どのくらい販売、提供したものか等、その周知性の度合いを客観的に判断するための具体的な資料の提出がされていないから、申立人提出の上記証拠によっては、「Dolce(ドルチェ)」の文字のみの周知性の程度を推し量ることはできない。
そのほか、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、「Dolce(ドルチェ)」の文字が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で、申立人商品を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、提出された証拠によっては、「Dolce(ドルチェ)」の文字が、我が国において、申立人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたとは認められないものであり、かつ、「Dolce(ドルチェ)」の文字が「Dolce & Gabbana」の著名な略称ということもできない。
(2)ドメニコ・ドルチェ氏の略称「Dolce(ドルチェ)」の著名性について
ア イタリアを代表するブランドの一つである「Dolce & Gabbana」の創業者及びデザイナーは、ドメニコ・ドルチェ氏とステファノ・ガッバーナ氏である(甲2?甲9、甲82?甲87)。
イ ドメニコ・ドルチェ氏に関する記載があるウェブサイトでは、同氏を「ドルチェ(氏)」と記載しており、当該ウェブサイトの日付は、2013年から2018年の期間のものである(甲3、甲77、甲82?甲93)が、当該ウェブサイトにおける「ドルチェ(氏)」は、例えば「『ドルチェ&ガッバーナ』のドルチェが・・・」のように、いずれも「ドルチェ&ガッバーナ」の表示の下に表示されているものである。
ウ 上記イからすると、2013年から2018年の間に掲載されたウェブサイト等において、ドメニコ・ドルチェ氏のコメントについて「ドルチェ(氏)」と表示されているとしても、いずれも「ドルチェ&ガッバーナ」の表示の下に表示されているものであって、「Dolce(ドルチェ)」の表示のみで、直ちにドメニコ・ドルチェ氏の略称を表しているとはいえないから、申立人の提出に係る証拠からは、「Dolce(ドルチェ)」の文字が、ドメニコ・ドルチェ氏の略称として、我が国の取引者、需要者の間で広く知られていたと認めることはできない。
そうすると、「Dolce(ドルチェ)」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ドメニコ・ドルチェ氏の略称として著名になっていたということはできない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 「Dolce(ドルチェ)」の著名性について
「Dolce(ドルチェ)」(以下「申立人商標」という。)は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして広く認識されていたものと認めることはできないものである。
イ 本件商標と申立人商標との類似性について
本件商標は、上記1のとおり、「DolceSport」の欧文字を横書きしてなるところ、語頭の「D」と6文字目の「S」が大文字で表記されており、また、その構成中「Sport」の文字が、その指定商品との関係において、スポーツ関連の商品を表すものとして使用されていることも併せ考慮すると、「Dolce」の文字が看者の注意をひくといえることからすれば、「Dolce」又は「ドルチェ」の文字よりなる申立人商標とは、一定程度の類似性があるといえる。
ウ 申立人商標の独創性について
「Dolce」の文字は、「甘美な[に]、柔らかな[に]、甘いデザート」(「ランダムハウス英和大辞典第2版」(株式会社小学館))などの意味を有する英語や、「甘い」(「伊和中辞典第2版」(株式会社小学館))などの意味を有するイタリア語の成語であり、また、「ドルチェ」の文字は、「イタリア料理で、菓子やケーキ、フルコースのデザートについてもいう。」(「コンサイスカタカナ語辞典第4版」(株式会社三省堂))、「イタリアの甘い菓子・デザート」(「広辞苑第七版」(株式会社岩波書店))などの意味を有する成語であることから、いずれの語も、その独創性が高いものとはいえない。
エ 本件商標の指定商品と申立人商品との関連性について
本件商標の指定商品は、上記1のとおり、かばん類、傘などのファッション関連の商品を含むものであり、また、申立人商品は、上記2(2)のとおり、香水、化粧品、かばんであるから、本件商標の指定商品と申立人商品は「かばん」を共通にするものである。さらに、近年のファッションにおいては、単に被服やかばん等、身に付けるものにとどまらず、顔や身体そのものについて、身に付けるものに合わせて化粧をしたり、身体の手入れを行うなど、身に付けるものや身体の手入れ等を全体的にコーディネートする傾向にある。そして、身体の手入れ等を行う際には、香水や化粧品が使用されることは一般的に行われていることであることからすれば、本件商標の指定商品中ファッション関連の商品と申立人商品中「香水、化粧品」は商品の関連性を有し、その需要者層を共通にするものといえる。
オ 出所の混同のおそれについて
上記アないしエを総合的に考察すると、本件商標は、申立人商標と一定程度の類似性があり、本件商標の指定商品は、その一部において、申立人商品と関連性があるとしても、申立人商標は、独創性が高いとはいえないものであることに加え、何より本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして広く認識されていたものと認めることはできないものである。
そうすると、本件商標権者が、本件商標をその指定商品について使用をしても、取引者、需要者が、申立人商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性について
上記(2)のとおり、「Dolce(ドルチェ)」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ドメニコ・ドルチェ氏の略称として著名になっていたということはできない。
してみれば、本件商標は、その構成中に「Dolce」の文字を有しているとしても、ドメニコ・ドルチェ氏の著名な略称を含む商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2021-06-07 
出願番号 商願2019-83931(T2019-83931) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (W1820222528)
T 1 651・ 271- Y (W1820222528)
最終処分 維持  
前審関与審査官 真鍋 伸行 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 庄司 美和
杉本 克治
登録日 2020-06-15 
登録番号 商標登録第6259630号(T6259630) 
権利者 SIS株式会社
商標の称呼 ドルチェスポーツ、ドルチェスポート、ドルチェ、スポーツ、スポート 
代理人 特許業務法人R&C 

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