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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W07
審判 全部申立て  登録を維持 W07
審判 全部申立て  登録を維持 W07
審判 全部申立て  登録を維持 W07
管理番号 1375207 
異議申立番号 異議2020-900304 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-11-20 
確定日 2021-06-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第6286840号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6286840号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6286840号商標(以下「本件商標」という。)は、「APOSEN」の欧文字を標準文字により表してなり、令和元年11月20日に登録出願され、第7類「電気掃除機並びにその部品及び附属品」を指定商品として、令和2年7月31日に登録査定、同年9月1日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「APOSEN」の欧文字を横書きしてなるものであり、申立人が商品「掃除機」(以下「申立人商品」という場合がある。)について使用しているというものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項柱書及び同法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、申立ての理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第59号証を提出した(なお、甲第24号証に続く証拠に甲第27号証と表記されていたので、当該証拠番号を甲第25号証と読み替え、また、手続補正書により提出された証拠方法(甲第1号証ないし甲第33号証)については、それぞれ甲第27号証ないし甲第59号証と読み替えた。)。
1 具体的理由
(1)商標法第3条第1項柱書について
甲第5号証ないし甲第19号証は、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)であるWES株式会社が出願した商標と、文字商標の構成及び指定商品が同じブランドを示すものであるところ、WES株式会社はこれらの商標について登録査定時における自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標を出願しているわけではない。しかも、ホームページ等の出品しているECモールを見る限り、将来的に自己の業務に係る商品または役務に使用する意思のある商標について商標登録出願を行っているとは考え難い。
また、検索エンジンGoogleにて「WES株式会社」や代表者名で検索すると、「trademark Buy By」や「@商標」にて商標の譲渡を希望する旨の表示が確認できる(甲20?甲26)。これらは登録後2、3年程の期間が経過しており、自己の業務に係る商品又は役務について使用の実態がないことが共通している。
そして、これら登録商標を権利者が使用していないことから、これといって特に周知著名性を獲得していないにも関わらず、いずれも高額といえる販売価格1,000,000円を希望して掲載している。これは、登録商標の権利者が商標登録出願時点で他社の使用しているブランドであることを知得しており、当初から本来商標登録を受けるべき先の使用者に対して譲渡交渉等による不正な利益を得ることを目的として出願していたため、高額な販売価格で設定したものと推認するのが相当である。
また、本件商標である「APOSEN」の文字構成は、それ自体意味を有する一般的な単語ではない造語であること等から、当該文字の構成自体にある程度の独創性を有するものである。少なくとも指定商品である掃除機の分野で使用する商標として容易に思いつくものではない。この点については、甲第5号証ないし甲第27号証における商標においても同様であって、これら登録商標は指定商品又は指定役務が多岐にわたっているにも関わらず、それぞれの分野において容易に思いつくことのできない文字構成を備えており、これらをもってしても商標権の譲渡による不正な利益を得る目的あるいは本来商標登録を受けるべき先の使用者に損害を与える目的で出願された、いわゆる使用意思のない商標であることは明らかである。
本件商標は、商標「APOSEN」について、「電気掃除機並びにその部品及び付属品」を指定商品として出願し、登録されている(甲27)。本件商標権者であるWES株式会社の会社概要を確認すると、「ネット通販事業」「デジタルアンプ関連」「スマートフォン関連事業」が事業内容として挙げられおり、具体的には、「コンピュータ、その周辺機器・関連機器及びそのソフトウェアの開発、設計、製造、販売並びに輸出入業務」、「インターネット等の通信ネットワーク及び電子技術を利用した各種情報提供サービス、情報収集サービス、広告・宣伝に関する業務及び代理業務」、「通信販売業務」及び「前各号に付帯関連する一切の業務」とホームページ上に記載されている(甲28)。
そして、本件商標権者のECサイト「Amazon」及び「楽天市場」において運営している「WES STORE」で販売している取扱商品を確認すると、ECサイト「Amazon」では2種類の「角型ニッケル水素電池」が販売されているのみであり、また「楽天市場」においては、商品を確認することはできない(甲56)。
上記事情から、本件商標権者は商標「APOSEN」を指定商品「電気掃除機並びにその部品及び付属品」について、現在使用しておらず、また本件商標権者の業務内容から勘案して、将来「電気掃除機並びにその部品及び付属品」に関連する事業を展開するとは到底考えられない。さらに、運営している「WES STORE」を確認してみても、また本件商標権者の自社のホームページを確認してみても、将来において指定商品「電気掃除機並びにその部品及び付属品」に係る業務を開始する具体的な予定について何ら告知や掲載などがなく、将来「電気掃除機並びにその部品及び付属品」に関連する事業を展開するとは到底考えられない。
以上のことから、本件商標権者は、商標「APOSEN」を指定商品「電気掃除機並びにその部品及び付属品」を現在使用しておらず、また使用する意思もなく、近い将来において信用の蓄積があるだろうと推定することもできない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の規定する「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」に違反して登録された商標であるといわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
上述したとおり、本件商標は、商標権の譲渡による不正な利益を得る目的あるいは、先の使用者や取扱業者に損害を与える目的で出願されたものといわざるを得ない。また、WES株式会社は登録している本件商標以外の出願商標からも認められるように、Amazon等のECモールで販売されていて、かつ出願されていない商標を先回りして、不正の目的をもって剽窃的に出願しており、こうした行為は、需要者の利益を保護するという商標法の目的に反するものであり、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反するものであるから、本件商標は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するというべきである。
申立人の関連会社は、「APOSEN」という標章を電気掃除機並びにその付属品に使用しているところ、本件商標は、「APOSEN」であって、第7類「電気掃除機並びにその部品及び付属品」を指定商品としている(甲27、甲31?甲33)。
上記の2つの商標は、称呼が同じであり、同一の造語であり、同一の商標といえる。そして、本件商標の指定商品と、申立人の関連会社が使用している商品とも同一である。
また、本件商標は、申立人の関連会社が使用する標章「APOSEN」を電気掃除機並びに付属品に付して、遅くても2018年(平成30年)10月10日から我が国ECサイト「Amazon」にて販売した後、約13か月後に、商標登録出願されている(甲32)。
ここで、本件商標権者は、本件商標の他にも45件の登録商標を有し、14件の係属中の商標登録出願を行っている。そして、本件商標権者の代表取締役S氏は、23件の登録商標を有している(甲54)。
申立人は、本件商標権者の本件商標を含む45件の登録商標及び14件の商標登録出願のうち十数件についてECサイト「Amazon」にて検索した結果、十数件すべてにおいて、他人が同一又は類似の標章を、本件商標権者の商標登録出願より前から、同一の商品に使用していることを確認している(甲34?甲47)。
さらに、申立人は、本件商標権者及び同社の代表取締役S氏が、「日本最大級の商標売買サイト Trademark BuyBy」にて、取得した商標権を出品し、高額な金額で販売していることを確認している(甲55)。
そして当該サイトにおいて、本件商標権者は45件のうち3件の商標権を出品しており、S氏は、23件のうち14件もの商標権を出品している(甲54、甲55)。
当該サイトにおいて高値で出品・販売されている商標権は、他人が同一又は類似の標章を、同一又は類似の商品に付して、本件商標権者及びS氏が商標登録出願するより前から販売(使用)していることを申立人は確認している(甲48?甲53)。
そして、上述したとおり、本件商標権者が取得した45件の商標権及びS氏が取得した23件の商標権について、WES株式会社のECサイト「Amazon」及び「楽天市場」において運営している「WES STORE」で販売している取扱商品を確認すると、全く使用されておらず、また本サイト以外を調査しても本件商標権者及びS氏が使用している事実を確認することができない(甲56)。
このことから、他人が使用している標章が登録されていないことを奇貨として不正の目的をもって商標登録出願し、商標権を取得したことは明らかである。
以上のことから、本件商標権者の行為は、申立人が使用する標章が登録されていないことを奇貨として、不正の目的をもって先取り的に同一の商標を商標登録出願し、商標権を取得し、その商標権を高額な金額で販売することを目的としてされたものであり、本件商標は、当該商標登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものであり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反るものとして到底容認し得ないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録された商標であるといわざるを得ない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
申立人及び申立人の関連会社が使用する標章「APOSEN」は、2018年に創立した電気製品ブランドであり、電気掃除機の他に電気シェーバーや電動ドライバーなどの小型電気電子機器にも「APOSEN」を付して、APOSEN公式通販サイにおいて、申立人の関連会社が正規販売店として販売している(甲31)。
また、ECサイト「Amazon」上の「APOSEN」(申立人の関連会社「DongGuanPuTianMetalProductCo,.Ltd」が運営するECショップ)が正規販売店として、申立人商品を販売している(甲32)。
申立人商品は、上記ECサイト「Amazon」において、2018年(平成30年)10月10日から、標章「APOSEN」を付した「電気掃除機並びにその付属品」などの商品の販売を開始している(甲32)。
そして、申立人商品は、販売開始日から2019年10月時点までに10,000個以上を販売しており、販売開始日から2020年7月時点までに67,015個販売しており、売上は495,922,575円であり、現時点までに合計103,598個販売しており、総売上は743,851,476円である(甲33)。
また、標章「APOSEN」が付された申立人商品は、インターネット上では多くの掃除機に関するランキング記事が投稿されており、例えば、「スティッククリーナーランキング in amazon(2019/10/9)」の見出しの下、標章「APOSEN」が付された申立人商品が2点(3位、8位)紹介されている(甲57)。さらに、2020年7月15日更新の「【現役家電販売員監修】吸引力のある掃除機の人気おすすめランキング30選セレクトgooランキング」では、現役家電販売員が監修しており、標章「APOSEN」が付された申立人商品が1点(4位)紹介されている(甲58)。
以上から、標章「APOSEN」が付された申立人商品は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
そして上述のとおり、本件商標は、「APOSEN」の欧文字を標準文字で表してなり、申立人商品には標章「APOSEN」の文字が付されてなるところ、外観においてはその構成文字のつづりを同一にするものであるから、外観上、同一のものである。次に、両商標(標章)からは「アポセン」の同一の称呼を生じるものであり、観念において、両商標(標章)は構成文字を同一にするものであるから、生じる観念が異なることはない。
そうすると、本件商標と申立人商品に付された標章「APOSEN」とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある同一の商標である。
また、本件商標の指定商品「電気掃除機並びにその部品及び附属品」と申立人商品とは、同一又は類似の商品である。
以上のとおり、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた申立人の標章と同一の商標であって、その指定商品は、申立人商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録された商標であるといわざるを得ない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
申立人の関連会社は、2019年5月9日に、米国において、「APOSEN」の欧文字を商標出願し、同年11月19日に登録されており(甲30)、その後も2019年9月26日に、欧州連合において、「Aposen」の欧文字を商標出願し、2020年1月9日に登録されている(甲29)。
申立人商品は、申立人の関連会社(「NINGBO JUNCTION INTERNATIONAL SCM INC.」)を正規販売店として、主にECサイト「Amazon」を通じて、米国で販売されている(甲59)。
米国においては、販売開始日である2019年10月22日から同月31日の10日間で289個も販売しており、販売開始日から2020年7月時点までに192,944個販売しており、売上は$18,628,427.92で日本円にして約18億6千万円あり、現時点までに合計230,008個販売されており、総売上は$21,676,434.41で日本円にして約21億7千万円である(甲59)。
さらに、上記(3)に詳述したとおり、我が国においては、標章「APOSEN」が付された申立人商品は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
以上から、標章「APOSEN」が付された申立人商品は、日本国内及び外国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
また、申立人が使用する標章「APOSEN」と本件商標は、同一の商標である。
さらに、上記(2)に詳述したとおり、本件商標権者が、他人が使用している標章が登録されていないことを奇貨として不正の目的をもって商標登録出願し、商標権を取得したことは明らかである。
以上のとおり、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていた申立人の標章と同一の商標であって、不正の利益を得る目的であり、他人に損害を加える目的その他不正の目的をもって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第19号に違反して登録された商標であるといわざるを得ない。
2 むすび
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項柱書該当性について
商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは、少なくとも登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標、あるいは、将来、自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(平成24年5月31日 知財高裁 平成24(行ケ)第10019号)。
そうすると、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、本件商標を自己の業務に係る指定商品について現に使用をしていなくとも、将来においてその使用をする意思があれば、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するといえるところ、申立人が提出する全証拠によっても、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、将来、自己の業務に係る指定商品に本件商標を使用する意思を有していたことを否定するに足りる事実は見いだせない。
なお、申立人は、本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用する意思がない証拠として本件商標権者のホームページの写し(甲56)を提出しているが、本件商標は、前記第1のとおり、令和2年7月31日に登録査定されたものであって、その登録査定から1年も経過していないものであるから、かかるホームページに、本件商標の指定商品に関する記載が認められないとしても、この証拠のみによっては、近い将来において、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用する意思がないことまでを具体的に裏付けるものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとはいえない。
2 引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、「APOSEN」の文字からなる引用商標が、掃除機に使用されていることが認められるとしても、該商品の我が国における販売期間は、2年程度と短い期間である(甲3、甲4、甲32、甲33)。
また、申立人提出のECサイトに掲載された商品の画像(甲3、甲4、甲32、甲33)は不鮮明であって、それが掃除機であると認識することは困難であるし、日本店舗及び米国店舗の販売台数や売上金額等(甲32、甲33、甲59)にしても、その数字を裏付ける具体的な証拠の提出はなく、同業他社の販売台数及び売上高等は立証されていないから、金額の多寡について評価することはできない。
加えて、当該商品の我が国及び外国における広告宣伝の回数や宣伝広告費の額など、周知・著名性を数量的に判断し得る具体的な証拠は提出されていない。
さらに、Amazonのスティッククリーナーランキング(甲57)やgooランキングの吸引力のある掃除機の人気おすすめランキング30選(甲58)において、申立人商品が上位にランキングあるいは選出されている事実が認められるとしても、当該ランキングは、商品選出の方法、対象、基準等が不明であり、このランキングにより直ちに周知性が立証されるものでもない。
以上のことを総合勘案すると、申立人提出の証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「掃除機」を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「APOSEN」の文字からなり、引用商標は、前記第2のとおり、「APOSEN」の文字からなるところ、両者は、そのつづりを同じくするものであるから、外観並びに両者から生じる称呼及び観念に異なるところはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある類似の商標と認められ、本件商標の指定商品は、申立人が引用商標を使用する「掃除機」と類似するものである。
しかしながら、引用商標は、上記2のとおり、申立人の業務に係る商品「掃除機」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そうすると、引用商標は、上記2のとおり、他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定の他の要件を判断するまでもなく、同号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(1)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(3)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知的財産高等裁判所、平成17年(行ケ)第10349号)。
これを本件についてみると、本件商標は、前記第1のとおり、「APOSEN」の文字からなるものであるから、前記(1)に該当しないことは明らかであり、(2)ないし(5)に該当するものとすべき事情も見あたらない。
なお、申立人は、「本件商標権者の行為は、申立人が使用する標章が登録されていないことを奇貨として、不正の目的をもって先取り的に同一の商標を商標登録出願し、商標権を取得し、その商標権を高額な金額で販売することを目的としてされたものであり、本件商標は、当該商標登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものであり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反るものとして到底容認し得ないものである」旨を主張している。
しかしながら、申立人が提出した全証拠を勘案しても、本件商標権者が引用商標に化体した業務上の信用を利用して不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認め得るような具体的事情は見いだすことができない。
その他、本件商標が公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第7号、同第10号及び同第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきでものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2021-05-31 
出願番号 商願2019-146455(T2019-146455) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W07)
T 1 651・ 22- Y (W07)
T 1 651・ 25- Y (W07)
T 1 651・ 18- Y (W07)
最終処分 維持 
前審関与審査官 赤星 直昭山田 和彦 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小俣 克巳
小松 里美
登録日 2020-09-01 
登録番号 商標登録第6286840号(T6286840) 
権利者 WES株式会社
商標の称呼 アポセン 
代理人 伊藤 儀一郎 
代理人 竹本 祐子 
代理人 岡田 陽之介 
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