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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0942
審判 全部申立て  登録を維持 W0942
管理番号 1375194 
異議申立番号 異議2020-900177 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-07-22 
確定日 2021-05-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6249337号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6249337号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6249337商標(以下「本件商標」という。)は、「3D NAND RAM」の文字を標準文字で表してなり、平成31年1月8日に登録出願、別掲に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年4月14日に登録査定、同年5月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきと申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は、「3D NAND RAM」の文字を標準文字で表してなり、「ランダムアクセスメモリ(RAM)カード」並びにその関連商品及び役務を含む、第9類の商品及び第42類の役務を指定商品及び指定役務として登録されたものである。
本件商標の構成中の「3D」の文字は、「3次元」の意味を有する語であり、「NAND」の文字は、「否定論理積」の意味を有する語であって、「3D NAND」のキーワードで3次元NAND技術に関するウェブサイトが約6,480,000件検索されるように「3D」の文字との組み合せで
、近年注目されているものであり、「RAM」の文字は、「ランダムアクセスメモリー」の略称である。
そして、本件商標の構成各文字は、本件商標に係る指定商品及び指定役務の分野においてそれぞれ広く用いられているものであるという事実があることも考慮すると、本件商標に接する取引者、需要者が、本件商標から「3次元NAND技術を応用したランダムアクセスメモリー」の意味合いを認識し、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合に、「3次元NAND技術を応用したランダムアクセスメモリーを使った商品(3次元NAND技術を応用したランダムアクセスメモリーカード、3次元NAND技術を応用したランダムアクセスメモリーを使用した電子計算機等)」、「3次元NAND技術を応用したランダムアクセスメモリーに関する商品」、又は「3次元NAND技術を応用したランダムアクセスメモリーに関する役務」であることを容易に理解するというべきであり、結局、本件商標は、商品の品質又は役務の質を表したにすぎないものといわざるを得ない。
登録出願された商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあたっては、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年(行ケ)第76号判決)ため、たとえ「3D NAND RAM」の文字が本件商標に係る指定商品の品質又は指定役務の質を表すものとして実際に使用されていないとしても、取引者、需要者が、その商品の品質又は役務の質を一般に認識する場合には、本件商標が商品の品質又は役務の質を表示するものと判断することは許されないというべきである。
すなわち、「3次元に積層したNAND型ランダムアクセスメモリー」が存在するか否かは本質的な問題ではなく、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、ReRAM(Resistive Random Access Memory)のような不揮発性メモリーに分類されるランダムアクセスメモリーが存在しており、3次元NAND技術が不揮発性メモリーを認識させるものであるとしても、不揮発性メモリーに分類されるランダムアクセスメモリーとして応用が検討されることは容易に想定される。
そうすると、本件商標に係る指定商品及び指定役務中「ランダムアクセスメモリー(RAM)カード」並びにその関連商品及び役務との関係において、本件商標からは「3次元NAND技術を応用したランダムアクセスメモリー」の意味合いを取引者、需要者に認識させるものである。
よって、本件商標をその指定商品中「ランダムアクセスメモリ(RAM)カード」並びにその関連商品又は役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質又は役務の質を表示した語と認識するにとどまるため、「3D NAND RAM」の文字は自他商品役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、かつ、上記以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質について誤認を生ずるおそれがある。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、上記1のとおり、「3D NAND RAM」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、申立人が提出した証拠によれば、本件商標を構成する「NAND」の文字が「論理演算の一で否定論理算。または、コンピュータで、NAND回路」を意味し(甲2)、フラッシュメモリには「3D NAND フラッシュメモリ」と称される商品があること(甲3)、及び「RAM」の文字が「コンピュータの、データの読み出し及び書き込みの両方が随時できる半導体記憶装置」を意味する「random-access memory」の略語であること(甲4)が認められるとしても、「3D NAND RAM」の文字に係る証拠は見いだせない。
また、当審において職権をもって調査したところ、本件商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、本件商標に接する取引者、需要者をして、これが「3次元NAND技術を応用したランダムアクセスメモリー」のような意味合いを想起させ、これが特定の商品の品質等又は役務の質等を表示したものとして用いられていること等の事実は発見できず、さらに、本件商標の指定商品及び指定役務の取引者、需要者が当該文字を商品の品質又は役務の質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、全体で特定の意味合いを想起、認識させることのない一種の造語として認識、把握させるものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、本件商標の登録査定時において、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、商品の品質又は役務の質を表示するものではなく、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、上記(1)のとおり、本件商標の指定商品の品質又は指定役務の質を表示するものではないから、これをその指定商品又は指定役務に使用しても商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲(本件商標に係る指定商品及び指定役務)
第9類
「太陽電池,電池,蓄電池,リチウムイオン二次電池,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,半導体素子,電子回路,液晶ディスプレイ,液晶パネル,有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いたディスプレイ,メモリーチップ,メモリーモジュール,半導体メモリー,コンピュータメモリー装置,フラッシュメモリカード,CPUを含む半導体集積回路,画像処理用半導体チップ,プログラム可能な半導体チップ,イメージセンサ用半導体素子,デジタルカメラ及びその部品並びに付属品,デジタルビデオカメラ及びその付属品,CMOSカメラ,CCDカメラ,タッチパネル,測定機械器具及びその部品並びに付属品,車載用液晶表示装置,車載用画像表示装置,車載用有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置,携帯電話機,スマートフォン,テレビジョン受信機,音声再生装置,コンピュータ及びコンピュータ周辺機器,ノートブック型コンピュータ,ラップトップ型コンピュータ,タブレット型コンピュータ,パーソナルコンピュータ,マイクロコンピュータ,その他のコンピュータ,コンピュータ用モニター,コンピュータ用タッチパネル,半導体素子を搭載した電子応用機械器具,その他の電子応用機械器具,電子タグ,ICカード(スマートカード),ICカード又は磁気カード読み取り装置,ICカード又は磁気カード書き込み装置,無線通信用送信機・受信機,デジタルデータ記憶装置,テレビ電話,テレビ会議システム用電気通信機械器具,電子計算機,電子式卓上計算機,フラットパネルディスプレイ,ヘッドマウントディスプレイ,ランダムアクセスメモリ(RAM)カード,メモリーカード用読み取り・書き込み装置,コンピュータ記憶装置,データ記憶装置,半導体記憶装置,コンピュータープログラムを記憶させた記録媒体,コンピュータ用データ記憶媒体,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),グラフィックボード,コンピュータ用キーボード,マザーボード,電子回路ボード,コンピュータハードウエア,コンピュータ用ハードディスク,ソリッドステートドライブ,タッチセンサ機能付き液晶ディスプレイ,タッチセンサ機能付き有機ELディスプレイ,ナビゲーション装置,カーナビゲーション用表示装置,腕時計型携帯情報端末,腕時計型モバイルコンピュータ,腕時計型スマートフォン,電子出版物表示用携帯端末,自動車用電子制御装置,自動車に係わる各種情報を検出するための測定機械器具」
第42類
「技術的な研究,化学の分野に関する試験及び研究並びに開発,科学に関する試験及び研究並びに開発,機械器具に関する試験及び研究並びに開発,金属材料の試験及び研究並びに開発,材料科学及び電気工学の分野に関する試験及び研究並びに開発,電気に関する試験及び研究並びに開発,電気通信機械器具に関する試験及び研究並びに開発,電子回路・半導体素子・集積回路・大規模集積回路に関する試験及び研究並びに開発,半導体に関する試験及び研究並びに開発,金属酸化物・半導体・電子応用機械器具・電気通信機械器具に関する試験及び研究並びに開発,金属酸化物・半導体・電子応用機械器具・電気通信機械器具の製造・加工に関する技術研究情報の提供,科学に関する試験・調査又は研究,科学的分析,科学に関する試験・調査又は研究についての情報の提供,工業上の開発,技術研究に関する情報の提供,科学的及び技術的な研究開発に関する情報及びデータの提供,科学技術情報の提供,製品開発に関する技術的な助言,電子回路・半導体素子・集積回路・大規模集積回路の設計,電子回路・半導体素子・集積回路・大規模集積回路の設計に関する指導・助言又は情報の提供」

異議決定日 2021-05-20 
出願番号 商願2019-1190(T2019-1190) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W0942)
T 1 651・ 272- Y (W0942)
最終処分 維持  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 小俣 克巳
豊田 純一
登録日 2020-05-01 
登録番号 商標登録第6249337号(T6249337) 
権利者 株式会社半導体エネルギー研究所
商標の称呼 スリーディーナンドラム、スリーデイナンドラム、サンデイナンドラム、スリーディーナンド、スリーデイナンド、サンデイナンド、ナンドラム、ナンド、ラム、アアルエイエム 
代理人 特許業務法人サカモト・アンド・パートナーズ 

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