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審決分類 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない W09
管理番号 1375141 
審判番号 無効2020-890041 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2020-05-26 
確定日 2021-05-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第6236038号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6236038号商標(以下「本件商標」という。)は、「dukabel」の文字を標準文字で表してなり、令和元年11月13日に登録出願、第9類「ケーブル」を指定商品として、同2年2月21日に登録査定、同年3月13日に設定登録されたものである。

第2 請求人が引用する商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する商標は、「DuKabel」の文字からなる商標又は「DUKABEL」の文字からなる商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、引用商標を請求人の業務に係る商品「オーディオケーブル」等の「ケーブル」(以下、引用商標を使用した「オーディオケーブル」等の「ケーブル」を「使用商品」という場合がある。)に使用していると主張するものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1 無効の事由
本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当し、同法第46条第1項の規定により、無効にすべきものである。
2 無効原因(商標法第4条第1項第10号該当性について)
本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標(引用商標)に類似する商標であって、その商品について使用をするものである。
(1)商標の類似について
本件商標は、「dukabel」の文字からなる商標(標準文字)である。
一方、引用商標は、「DuKabel」の文字からなる商標又は「DUKABEL」の文字からなる商標である(甲1)。
本件商標と引用商標とは、大文字・小文字の相違はあるものの、いずれも7文字という比較的短い文字数からなる文字商標であり、しかも、商標を構成するアルファベットも共通する。そして、両者を対比すると、両者ともに、「ドゥカベル」、「ズカベル」または「デュカベル」との称呼を生じ得るし、その外観も酷似しているといえる。
したがって、本件商標と引用商標とは類似の関係にあるものといえる。
(2)引用商標の周知性について
ア 引用商標は、遅くとも2018年(平成30年)1月15日には、ECサイトにおいて、「オーディオケーブル」など各種「ケーブル」に使用されている(甲1、甲2)。
イ 引用商標の使用者は、「オルソ テクノロジー HK リミッティド」であるため、本件商標の商標権者とは「他人」の関係にある。
ウ 甲第4号証は、甲第3号証の記載内容に基づいて、引用商標を付した「ケーブル」の各月の売上額と広告費用との関係を示している。このグラフが示すように、2018年(平成30年)10月から2020年(令和2年)2月まで、売上を順調に伸ばすとともに、積極的に広告費用として一定額を支出している。
エ 甲第5号証ないし甲第7号証に示されるように、引用商標を付した「ケーブル」は、一定の評価を得ており、「ケーブル」類の需要者に、引用商標が浸透していることが確認できる。
オ 甲第8号証は、本件商標の登録出願日(2019年(令和元年)11月13日)の直後である同年12月31日付けで公開されたインターネットサイトである。このサイトでは、大手ECサイトの運営会社「アマゾンジャパン」において、2019年の売り上げ商品のランキング結果を示し、第3位として、引用商標「DuKable」を付した「オーディオ延長ケーブル」が紹介されている。
カ 甲第9号証は、本件商標の登録出願日(2019年(令和元年)11月13日)の直前である2019年(令和元年)7月4日付けで公開されたインターネットサイトである。ここでは、「徹底比較 人気のヘッドホンケーブルおすすめ商品ランキング10選」のうち、第3位として、引用商標「DUKABLE」を付した「オーディオケーブル」が紹介されている。
キ このように、本件商標の登録出願日の前には、引用商標は、「オーディオケーブル」などの「ケーブル」を示す商標として、需要者に浸透し、日本国内において周知性を獲得していたというべきである。
特に、甲第8号証は、個人が開設したインターネットサイトではあるものの、大手ECサイトの運営会社「アマゾンジャパン」で、高い売り上げ実績があったことを事実として紹介しており、引用商標の周知性の存在を客観的に裏付けているものと考えられる。
そして、一定の広告費用を支出し、良好な売り上げ実績も維持している点や、一般に、一旦獲得した周知性は喪失しにくい点を考慮しても、現時点(査定・審決時)でもその周知性を維持しているものと推認できる。
(3)商品の類似について
引用商標が使用されている「オーディオケーブル」等は、本件商標に係る指定商品「ケーブル」と同一である(甲1、甲8、甲9)。
(4)まとめ
以上、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当することから、同法第46条第1項の規定により、無効にすべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対して答弁していない。

第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては当事者間に争いがないから、本案に入って審理し、判断する。
1 引用商標の周知性について
請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、請求人は、遅くとも2018年1月15日から引用商標を「オーディオケーブル」など各種「ケーブル」に表示した商品をAmazonにおいて出品したこと(甲1、甲2)、具体的な商品については不明であるが、Amazonにおける取引では、売上高を2018年9月の約12万3千円から2020年2月には約255万円へと伸ばしたこと(甲3、甲4)がうかがえ、また、2018年1月から2019年8月の間にAmazonのカスタマーレビューにおいて使用商品について4件書き込みがあったこと(甲5?甲7)、2019年12月31日に掲載された個人のブログに掲載された「2019年にAmazonで売れたものランキング」において「Dukabelオーディオ延長ケーブル」が第3位にランクされたこと、2019年7月4日公開のウェブサイト「おすすめexcite」において「任期のヘッドホンケーブルおすすめ商品ランキング10選」において「DUKABEL」を付したオーディオケーブルが第3位にランクされたこと(甲8、甲9)などがうかがえる。
しかしながら、引用商標を使用した使用商品の宣伝広告費、宣伝地域、市場占有率等に関する証拠は提出されていない。
そうすると、引用商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されているものと認めることができない。
2 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、前記第1のとおり、「dukabel」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書類に載録された既成語とは認められない欧文字であるから、特定の語義を有しない一種の造語として理解されるものであり、また、造語として理解される欧文字は、我が国で親しまれた英語又はローマ字の読みに倣って称呼されるものであるから、「dukabel」の文字は、英語の読みに倣って「ドゥカベル」の称呼を生じるものである。
したがって、本件商標は、「ドゥカベル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
一方、引用商標は、前記第2のとおり、「DuKabel」の文字からなる商標又は「DUKABEL」の文字からなる商標であるところ、両商標を構成する「DuKabel」又は「DUKABEL」の文字は、いずれも、辞書類に載録された既成語とは認められない欧文字であるから、特定の語義を有しない一種の造語として理解されるものであり、また、造語として理解される欧文字は、我が国で親しまれた英語又はローマ字の読みに倣って称呼されるものであるから、「DuKabel」又は「DUKABEL」の文字は、いずれも、英語の読みに倣って「ドゥカベル」の称呼を生じるものである。
したがって、引用商標は、「ドゥカベル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
本件商標と引用商標とを比較するに、まず、外観においては、本件商標を構成する「dukabel」の文字と、引用商標を構成する「DuKabel」又は「DUKABEL」の文字とは、欧文字の大文字と小文字とで字形が異なるものの、欧文字のつづりが同一であり、かつ、いずれも書体に大きく目を引く特長を備えているものとはいえないから、外観上、類似するものである。
次に、称呼においては、本件商標と引用商標とは、いずれも「ドゥカベル」の称呼を生じるものであるから、両者は、称呼上、同一である。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないから、比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観において類似するものであり、称呼において同一であることから、これらを総合して全体的に考察すれば、両者は、類似の商標と判断するのが相当である。
3 本件商標の指定商品と使用商品との類否について
本件商標の指定商品は、第9類「ケーブル」であり、請求人が、引用商標を使用していると主張する商品は、「オーディオケーブル」等の「ケーブル」であるから、両者は、同一又は類似の商品である。
4 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
上記2及び3のとおり、本件商標と引用商標とは類似の商標であって、引用商標は、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるとしても、上記1のとおり、引用商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されたものと認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
5 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

審理終結日 2020-12-18 
結審通知日 2020-12-22 
審決日 2021-01-13 
出願番号 商願2019-144269(T2019-144269) 
審決分類 T 1 11・ 25- Y (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 赤星 直昭 
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 豊田 純一
渡邉 あおい
登録日 2020-03-13 
登録番号 商標登録第6236038号(T6236038) 
商標の称呼 ドゥカベル、ズカベル 
代理人 篠崎 史典 

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