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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X35
管理番号 1375050 
審判番号 取消2018-300479 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-06-25 
確定日 2021-05-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第5275973号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5275973号商標(以下「本件商標」という。)は、「CDS」の欧文字を横書きしてなり、平成20年3月10日に登録出願、第35類「広告,試供品の配布,商品の販売促進・役務の提供促進のための企画及び実行の代理,商品の販売促進・役務の提供促進のためのクーポン券の発行及び管理,販売又は営業促進のためのポイント蓄積式カードの発行・管理及び清算,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,企業の人事管理のための適性検査,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,商品の売買契約の代理・媒介・仲介・取次ぎ・代行,商品の売買契約の代理・媒介・仲介・取次ぎ・代行に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,企業に関する情報の提供,職業のあっせん,職業のあっせんに関する情報の提供,一般事務の代行,文書又は磁気テープのファイリング,広告用具の貸与,インターネットのホームページにおける広告用スペースの貸与,求人情報の提供,再就職の希望者に対する指導及び助言」を指定役務として、同21年10月30日に設定登録されたものである。
そして、本件商標の指定役務中、第35類「広告,試供品の配布,商品の販売促進・役務の提供促進のための企画及び実行の代理,インターネットのホームページにおける広告用スペースの貸与」については、同26年3月19日に商標権の一部取消し審判が請求され、同年7月15日にその登録を取り消す旨の審決がされ、同年9月19日に審判の確定登録がなされたものである。
その後、本件商標は、令和元年6月11日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成30年7月10日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成27年7月10日から同30年7月9日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標は、その指定役務中、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,企業の人事管理のための適性検査,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,商品の売買契約の代理・媒介・仲介・取次ぎ・代行,商品の売買契約の代理・媒介・仲介・取次ぎ・代行に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,企業に関する情報の提供,職業のあっせん,職業のあっせんに関する情報の提供,一般事務の代行,文書又は磁気テープのファイリング,求人情報の提供,再就職の希望者に対する指導及び助言」(以下「請求に係る指定役務」という。)の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれも使用した事実は存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
なお、請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対し、平成30年11月2日付けの上申書において、被請求人との間で譲渡交渉中のため、弁駁書の提出の猶予を求める旨上申していたものの、同月12日付けの上申書において、被請求人より、譲渡できない旨の回答があり、弁駁書の提出は行わない旨述べている。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)商標権者及び通常使用権者について
商標権者は、国内外の販促メディア事業、日本のHR事業及びグローバル斡旋を統合したユニットであるメディア&ソリューション事業の適切なグループガバナンス体制、モニタリング体制、及び、財務データの集積管理環境を整備し、事業戦略に沿った事業拡充を推進する、株式会社リクルートホールディングスの中間持ち株会社の位置づけにあり、平成30年4月1日付けで株式会社リクルートアドミニストレーションより商号を変更した。
商標権者より本件商標権の通常使用権の許諾を受けているのが、RGFタレントソリューションズ株式会社(以下「通常使用権者」という。)であり、通常使用権者は、主に経営者層、専門・技術的職業に特化した人材紹介業を営むものである。紹介実績は、業界トップクラスであり、傑出した紹介率とリピート率を誇るものとして業界中に広く知れ渡っている。紹介実績のある業界としては、IT・テクノロジー業界、消費財・サービス業界、ヘルスケア・ライフサイエンス業界、インダストリアル業界、オンラインメディア業界、金融業界等、多種多様な業界の優秀な人材を紹介することが可能であり、顧客からの支持も厚い。通常使用権者は、平成30年3月末まで、商号を「シーディエスアイ株式会社」としていたが、同年4月より「RGFタレントソリューションズ株式会社」と変更した(乙1)。
通常使用権者は、商標権者の完全子会社であり、商標権者は、RGFタレントソリューションズ社に対して、本件商標権に基づく通常使用権を黙示的に許諾しているものといって差し支えないものである。
なお、通常使用権に関する許諾契約書が不存在である場合であっても、通常使用権者であることの立証が可能であることについては、数多の審判決例から自明である(乙4?乙7)。
商標権者は、通常使用権者の発行済株式数の100%を保有しており、通常使用権者は商標権者の完全子会社となっている。
このことは、RGFタレントソリューションズ社の株主名簿(乙8)により明らかである。
(2)本件商標の使用の実情
通常使用権者は、顧客から人材紹介の依頼があった場合に、その顧客との間で「人事コンサルティング契約書」を取り交わす。乙第2号証は、シーディエスアイ株式会社(通常使用権者の旧社名)が、顧客の意向に沿うような候補者を選定し、顧客に対して紹介することを主な契約内容として定めたものであり、候補者が顧客との間で雇用契約を締結する場合に報酬が発生する成功報酬型の契約内容である。通常使用権者は、当該契約に定めたとおり、顧客に対して職業のあっせん又は紹介を行い、これに付随して情報の提供も行う(以下「使用役務」という。)。
また、通常使用権者は、顧客に対して職務の内容を提案し契約を締結すると同時に報酬が発生し、その候補者を選定するプロセスにおいても報酬が発生することを契約内容とする「リテインサーチ提案書兼契約書」(乙3)も併せて提出する。乙第2号証及び乙第3号証は、営業秘密を管理する必要から契約の相手方及び報酬を定める箇所は黒塗りとしている。
(3)通常使用権者が、要証期間内に本件指定役務について本件商標を使用していること
乙第2号証及び乙第3号証共に、契約の当事者は通常使用権者の旧社名である「シーディエスアイ株式会社」であり、同社が役務の提供主体となることから、通常使用権者による使用である。
さらに,乙第2号証の日付は「2017年8月4日」であり、乙第3号証の日付は「2017年10月6日」であるから、両日付ともに要証期間内である。
また、乙第2号証及び乙第3号証の左上部の円的図形の内部に外観上明瞭に視認できる状態で「CDS」の欧文字3文字が記載された標章(以下、乙2及び乙3に表示された標章をまとめていうときは「使用商標」という。)を確認でき、使用商標と本件商標とはその構成を異にするが、外観上から「CDS」と欧文字3文字を明瞭に視認することが可能であり、共に生ずる「シーディーエス」の称呼も共通するから、両者は社会通念上同一の商標である。
さらに、使用役務は、請求に係る指定役務中の第35類「職業のあっせん,職業のあっせんに関する情報の提供」に該当することは明らかである。
その上、使用商標は、同指定役務中の「職業のあっせん,職業のあっせんに関する情報の提供」に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物である「契約書」(乙2、乙3)の左上部に付され、さらに、通常使用権者は、この「契約書」を用いて「職業のあっせん,職業のあっせんに関する情報の提供」を行っており、特に、乙第3号証においては、その性質上、提案書も兼ねているため、現にRGFタレントソリューションズ社が顧客に対して職業紹介サービスを提供する際に供することから、これらは商標法上の使用(商標法第2条第3項第3号及び同第4号)に該当する。
さらに、乙第2号証及び乙第3号証は、使用役務に関する取引書類である契約書に付され、これが頒布されているものであるから商標法第2条第3項第8号に該当するといえるものであり、商標法上の使用に該当する。
したがって、通常使用権者であるRGFタレントソリューションズ社の行為は、商標法上の使用(商標法第2条第3項第3号、同第4号及び同第8号)に該当する。
以上のとおり,被請求人の提出に係る乙各号証を勘案すれば、本件商標が通常使用権者によって、要証期間内において、使用役務について使用されているものであることが容易に理解できるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づいて、その登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、「閉鎖事項全部証明書」の写しであるところ、当該証明書の第1頁の「商号」欄に「シーディエスアイ株式会社」の記載があり、その下に「RGFタレントソリューションズ株式会社」、「平成30年4月1日変更」及び「平成30年4月2日登記」の記載、「本店」欄に「東京都渋谷区東三丁目14番20号」の記載、「会社設立の年月日」欄に「平成10年4月28日」の記載、第2頁の「目的」欄に「1.有料職業紹介事業」及び「平成27年2月3日登記」の記載がある。
また、当該証明書の第3頁に「発行済株式の総数/112万6966株」、「平成18年12月4日登記」の記載があり、同第14頁に代表取締役として「タッカージョン」、「平成29年4月11日登記」、「平成29年12月31日辞任」、「平成30年1月11日登記」の記載がある。
(2)乙第2号証は、被請求人が「人事コンサルティング契約書」の写しと主張するものであるところ、当該契約書の第1頁の左上に、別掲1のとおり、青色の円状の図形内に白抜きで「CDS」の文字が記載された標章(以下「使用商標1」という。)が表示されており、同頁に「人事コンサルティング契約書」、「本契約は、■(審決注:■部分はマスキングされている。以下、同じ。)(以下「甲」という)とシーディエスアイ株式会社(以下「乙」という)により締結され、乙が、甲のために、甲が定めた概要に沿った職種の候補者を探索し、選定し紹介を行うものである。」及び「甲は、乙から紹介を受けた候補者について、その後、12ヶ月の間に、甲においてどのような形であれ雇用契約(中略)を締結するに至った場合(中略)は、当該候補者の初年度の総収入見込額の■又はミニマムフィー■のいずれか高い金額(中略)を支払うものとする。」の記載がある。
また、当該契約書の第2頁に、「2017年8月4日」の日付、(甲)の欄は、マスキングされているが、(乙)として、「シーディーエスアイ株式会社」の記載、最高経営責任者の記名及び押印がある。
(3)乙第3号証は、被請求人が「リテインサーチ提案書兼契約書」の写しと主張するものであるところ、当該提案書兼契約書の各頁の左上に、別掲2のとおり、円状の図形内に白抜きで「CDS」の文字が記載された標章(以下「使用商標2」という。)の表示があり、第1頁に「リテインサーチ提案書兼契約書」及び「2017年10月2日」の日付の記載、第2頁に「CDS概要」として、「CDSは、(中略)1998年の設立以来、(中略)プロフェッショナルの方々を、大手多国籍企業からスタートアップ企業まで幅広くご紹介してまいりました。」及び「CDSは、日本最大の人材総合サービスRECRUITの海外展開ブランドRGF(リクルート・グローバル・ファミリー)の一員です。」の記載がある。
また、当該提案書兼契約書の第3頁に「2.サーチアプローチ」として、「弊社は、(中略)求人情報を満たす候補者を選定いたします。(中略)優秀な候補者に関する情報、(中略)を共有させていただく」の記載、「3.サーチプロセス」として、「第1フェーズ:求人要件及び説明資料作成、ターゲットリスト作成、候補者リサーチ」及び「第2フェーズ:面接、リファレンスチェック、内定、交渉、入社フォロー」の記載がある。
さらに、第4頁に「6.コンサルティング料」として、「本サーチにおけるコンサルティング料の総額は、ミニマムフィー■円または年俸の■のどちらか高い方です。この料金は、(1)事前調査及びリサーチ(2)候補者サーチ及び紹介による採用決定(貴社からの紹介で選定をした候補者を含む)への対価となります。」及び「本提案及び契約内容に同意いただける場合には、以下に署名・押印の上、1部を弊社までご返送ください」の記載がある。
そして、第5頁に「2017年10月6日」の日付の記載があり、契約の相手方の情報とおぼしき記載はマスキングされてはいるが、その右に「シーディエスアイ株式会社」の記載と共に住所、代表取締役の記名及び押印がある。
(4)乙第8号証は、被請求人が「RGFタレントソリューションズ株式会社の株主名簿」の写しと主張するものであるところ、「RGFタレントソリューションズ株式会社/株主名簿」の記載の下、「氏名又は名称及び住所」欄に「東京都中央区銀座八丁目4番17号/株式会社リクルート」及び「株主総数1名」の記載、「種類及び数」欄に「発行済株式総数/1,126,966株」の記載、「上記は平成31年3月31日現在の当会社株主名簿に相違ありません。」の記載及びRGFタレントソリューションズ株式会社の代表取締役の記名及び押印がある。
2 上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標及び使用者について
使用商標の構成中、円状の図形部分は背景図形と認識されるにすぎず、円状の図形内に顕著に書された白抜きの「CDS」の欧文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そうすると、本件商標と使用商標とは、「CDS」の欧文字部分の態様に差異を有するものの、そのつづりを共通にしており、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標といい得るものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
また、被請求人は、「商標権者は、通常使用権者の発行済株式数の100%を保有しており、通常使用権者は商標権者の完全子会社となっている」旨主張し、平成31年3月31日現在、RGFタレントソリューションズ株式会社の株主名簿の株主総数1名として、商標権者の名称が記載されている(乙8)ことから、商標権者がRGFタレントソリューションズ株式会社の発行済株式総数を所有していることがうかがえるものであり、これらを勘案すると、商標権者とRGFタレントソリューションズ株式会社には、上記したとおり、密接な業務上の繋がりが認められることから、商標権者は、旧社名の「シーディエスアイ株式会社」時代にも、同社に対して、本件商標の使用について、黙示の許諾を与えていたものと見て差し支えない。
(2)使用役務について
「シーディエスアイ株式会社」は「RGFタレントソリューションズ株式会社」の旧社名であり、要証期間に存在していたこと、同社が要証期間に事業の一つとして「職業紹介事業」を行っていたことがうかがえる(乙1)。
また、乙第2号証に、「シーディーエスアイ株式会社」がクライアントの要望に沿った人材を探し、選定し紹介を行い、同社から紹介された候補者が雇用契約を締結した場合、報酬を得られる旨の契約内容の記載と要証期間内である2017年8月4日付けの契約書の日付とともに「シーディエスアイ株式会社」の名称及び代表者の記名及び押印、乙第3号証に、「シーディーエスアイ株式会社」がクライアントの要望に沿った候補者を探し、入社に至った人材をフォローするまでの一連の事業を行うことにより、対価を得る旨の契約内容の記載と要証期間内である2017年10月6日付けの契約書の日付とともに「シーディエスアイ株式会社」の名称及び代表者の氏名の記名及び押印が確認できる。
そして、契約書は、取引上必要な書類であるから、取引書類に当たるといえるものであるところ、通常、このような契約書は提供を求める特定の顧客に交付されるものであるから、これを頒布したことが推認できる。
当該契約書は、契約の相手方の情報とおぼしき記載がマスキングされているとしても、その全体の記載形式、内容を総合すると、通常の契約書と何ら変わりはないものであり、当該契約書を用いて行われる業務は「職業のあっせん,職業のあっせんに関する情報の提供」の範ちゅうの役務である。
以上より、要証期間内に、通常使用権者と認め得る「シーディーエスアイ株式会社」は、請求に係る指定役務中、「職業のあっせん,職業のあっせんに関する情報の提供」を行っていたと認められる。
(3)小括
上記によれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に「職業のあっせん,職業のあっせんに関する情報の提供」に関する取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたということができ、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する取引書類に標章を付して頒布した行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、通常使用権者が請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により登録を取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1(使用商標1)(色彩は乙第2号証の原本参照)


別掲2(使用商標2)



審理終結日 2021-03-18 
結審通知日 2021-03-22 
審決日 2021-04-08 
出願番号 商願2008-17813(T2008-17813) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津金 純子瀬戸 俊晶 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 齋藤 貴博
小田 昌子
登録日 2009-10-30 
登録番号 商標登録第5275973号(T5275973) 
商標の称呼 シイデイエス 
代理人 佐藤 大輔 
代理人 橘 哲男 

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