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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W35
管理番号 1375020 
審判番号 取消2018-300873 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-11-19 
確定日 2021-05-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5655743号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5655743号商標(以下「本件商標」という。)は、「スマート介護」の文字を横書きしてなり、平成25年7月19日に登録出願、「コンピュータデータベースへの情報編集,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類、第10類、第16類、第20類、第37類及び第40類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同26年3月14日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年12月5日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年12月5日から同30年12月4日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第35類「コンピュータデータベースへの情報編集,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「コンピュータデータベースへの情報編集,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「取消請求役務」という。)について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、乙第4号証及び乙第5号証を証拠として、「青色略正方形図形内において『スマート』及び『介護』の各文字が二段で白抜きされてなる商標(以下「使用商標2」という。)は、本件商標と称呼及び観念を共通にする社会通念上同一と認められる商標である」と主張するが、両商標は外観が全く異なることから、社会通念上同一といえないことは明らかである。
(2)被請求人は、乙第1号証の530頁、乙第3号証の530頁を証拠として、「電池の販売を行っており」と主張するが、当該証拠の530頁には、「スマート介護」を商標として使用している箇所はなく、「スマート介護カタログ vol.5」(以下「本件カタログ」ということがある。)の頁であるか不明である。
(3)被請求人は、乙第7号証を証拠として、「平成30年7月31日発行の請求書は、被請求人の業務に係る介護・福祉施設向けデリバリーサービス(以下「本件サービス」という。)の販売店に対して発行されたものである。」と主張するが、本件カタログと請求書との関係を示す記載はなく、本件カタログとの関係は不明である。
(4)以上述べたように、乙第1証ないし乙第9号証は、被請求人が、要証期間内に日本国内において、取消請求役務について、本件商標を使用しているとの証拠にはならない。
なお、請求人は、被請求人提出の令和2年8月25日付け回答書に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用について
ア 被請求人は、「スマート介護」の文字を横書きしてなる商標(以下「使用商標1」という。)を、本件カタログの表紙等に付している(乙1)。
本件商標は、「スマート介護」の文字を横書きしてなるところ、使用商標1は、本件商標に書体のみ変更を加えた同一の文字からなる商標である。
イ 被請求人は、使用商標1を、本件サービスの公式ウェブサイト及び同ウェブサイトに表示されたデジタルカタログに付している(乙2、乙3)。
デジタルカタログは、紙媒体の本件カタログと同一内容の情報で構成された電子媒体であり、本件サービスの利用者は、デジタルカタログを閲覧して、本件サービスを利用することができる。
ウ 被請求人は、使用商標2を、本件サービスを利用する際のアイコンとして使用しており(乙4、乙5)、使用商標2は、本件商標と称呼及び観念を共通にする社会通念上同一と認められる商標である。
本件サービスの利用者は、スマートフォンの画面などに作成及び表示されたアイコン(使用商標2)をタップすることにより、本件サービスのウェブサイトに飛ぶことができ、デジタルカタログを閲覧して、本件サービスを利用することができる(乙4、乙5)。
エ 被請求人は、使用商標1及び使用商標2を、本件サービスの告知用ウェブサイトに付している(乙6)。
本件サービスの利用者は、本件サービスの告知用ウェブサイトに表示されたURLをクリックすることにより、本件サービスのウェブサイトに飛ぶことができ、デジタルカタログを閲覧して、本件サービスを利用することができる(乙2、乙3)。
告知用ウェブサイトのとおり、本件カタログが平成30年5月10日に40,000部発行されており(乙6)、カタログの頒布は、要証期間内である。
また、デジタルカタログは、紙媒体のカタログと同一内容の情報で構成された電子媒体であるから、その公表時期は、紙媒体のカタログの配布時期と共通し、要証期間内である。
(2)指定役務についての使用について
ア 本件サービスには、文具・生活用品、レクリエーション・リハビリ用品の販売サービスが含まれ、被請求人は、電池の販売を行っており、カタログにおいて、電池の画像とともに、商品の価格が表示されている(乙1の530頁、乙3の530頁)。
電池の販売は、本件商標の指定役務中の「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に包含される「電池の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」である。
イ 電池の販売は、介護・福祉施設などの利用者に対して直接販売する場合のほか、被請求人の取引先である販売店を通じて利用者に対して販売する場合があるところ、平成30年7月31日発行の請求書(以下「本件請求書」という。)は、本件サービスの販売店(一夢堂株式会社)に対して発行されたものであり(乙7)、被請求人の販売店を通じて利用者に対して販売される場合、利用者は、販売店から商品を受け取ることになる。
本件請求書には、平成30年7月6日の項目に、「30*892-843 ミツビシ 三菱電機アルカリ乾電池 単4形 40本」の記載があり、同月9日の項目に、「30*366-069SV アルカリ乾電池 単4×40本 N124J-4P-10」の記載があるとおり、被請求人は、要証期間内に、電池の販売を行っている。
上記「30*892-843 ミツビシ 三菱電機アルカリ乾電池 単4形 40本」の「892-843」は、本件カタログの「三菱電機アルカリ乾電池 単4形(40本人)」の商品コードと一致し、上記「30*366-069SV アルカリ乾電池 単4×40本 N124J-4P-10」の「366-069」及び「N124J-4P-10」は、本件カタログの「スマートバリュー アルカリ乾電池 単4形(40本入)」の品番及び商品コードと一致する(乙1、乙3)。
(3)カタログ及び請求書の作成者について
本件カタログに記載された「プラス株式会社ジョインテックスカンパニー」は、被請求人の社内の一部署名にすぎない社内カンパニーの名称であり、本件請求書に記載された「プラス株式会社JTX」は、「プラス株式会社ジョインテックスカンパニー」のうちの「ジョインテックスカンパニー」の表示部分を「JTX」と略語で表示したものであるから、本件カタログ及び本件請求書の作成者は、いずれも被請求人である(乙8、乙9)。
(4)結語
以上によれば、被請求人は、要証期間内に日本国内において、取消請求役務中の「電池の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のカタログ及びウェブサイトについて、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標1及び使用商標2を付して頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供しているといえる(商標法第2条第3項第8号)。
したがって、本件商標に係る商標権者は、要証期間内に日本国内において、その請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしているものである。
2 回答書における主張
(1)本件商標と使用商標2との同一性について
本件商標と使用商標2は、「スマート介護」の文字に相応して、同一の「スマートカイゴ」の称呼を生じ、「洗練された介護」又は「情報処理機能を具えた介護」という同一の観念を生ずるものである。たとえ、外観において差異があるとしても、共通する「スマート介護」の文字が取引者、需要者に対し自他役務識別標識として強く支配的な印象を与える部分であることは明らかであるから、自他役務識別標識として同一の機能を果たし、共通した印象を与える。
したがって、両商標における外観の差異は、文字における共通した印象からすれば微差の範囲にとどまるものであって、使用商標2は、本件商標と自他役務識別標識としての実質的な差異はなく、社会通念上同一と認められる商標である。
(2)乙第1号証の原本について
乙第1号証のカタログは、本件サービスに登録した後に、「お客様名・ユーザーコード」が印字された状態で配布されるものであるところ、乙第10号証のカタログは、被請求人が在庫用カタログとして保管しているものであって、配送済みカタログと同一のものであり、乙第10号証の提出によって、乙第1号証の530頁に「アルカリ乾電池」が掲載されていることにつき疑う余地がないことになる。
(3)カタログの作成・印刷事実について
乙第11号証は、本件カタログの制作費に係る請求書であって、同カタログを40,000部作成したものについての平成30年4月30日発行の請求書である。
本件カタログは、平成30年5月10日に40,000部発行されており(乙6)、カタログの頒布も要証期間内である。そして、本件カタログに基づいて取引がなされている(乙7)。乙第6号証及び乙第7号証から、本件カタログが要証期間内に作成・印刷されたことは,容易に理解できる。
なお、デジタルカタログ(乙3)は、紙媒体のカタログと同一内容の情報で構成された電子媒体であるから、その公表時期は、紙媒体のカタログの配布時期と共通し、要証期間内である。
(4)カタログの配布事実について
乙第12号証は、西濃運輸株式会社を通じて本件カタログを要証期間内に配布したことを示すカタログ配布先一覧であり、乙第13号証は、佐川急便株式会社を通じて本件カタログを要証期間内に配布したことを示すカタログ配布先一覧である。これらにより、本件カタログの配布が要証期間内になされたことに疑う余地はない。
なお、配送先等、マスキングをした部分については個人情報、営業秘密に該当するため、開示することができない。
(5)乙第7号証について
乙第7号証には「一夢堂株式会社(スマ介)」との記載があり、「スマ介」が「スマート介護」の略語として自然に理解できるのみならず、「注文コード/商品名」の記載とカタログ記載の「品番・商品コード」の記載も整合する。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証及び乙第10号証について
乙第1号証は、「スマート介護カタログ vol.5」の抜粋の写しであるところ、1葉目である表紙の上部に使用商標1が表示され、その右下には、「カタログ/有効期限」「2019.4.30まで」の記載がある。さらに、当該表紙の右下には「プラス株式会社ジョインテックスカンパニー」の記載がある。
そして、2葉目の右下には、頁数と思われる「530」の表示があり、最上部の「アルカリ乾電池」の表示の下、乾電池の画像とともに、アルカリ乾電池の種別、品番、商品コード及び価格が表示されているところ、「スマートバリュー アルカリ乾電池」には、「種別」欄に「8(○で囲まれている。)単4形(40本入)」、「品番」欄に「N124J-4P-10」、「商品コード」欄に「366-069」の記載があり、「三菱電機 アルカリ乾電池」には、「種別」欄に「9(○で囲まれている。)単4形(40本入)」、「品番」欄に「LR03GD/4S」、「商品コード」欄に「892-843」の記載がある。
また、3葉目の下部には、電話番号、FAX番号、インターネットアドレスとともに、「プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー」「〒100-0014 東京都千代田区永田町2丁目13番10号 プルデンシャルタワー12F/13F」の表示がある。
乙第10号証は、被請求人が乙第1号証と同一内容の在庫用カタログと主張するもの(原本)であり、表紙は、乙第1号証の1葉目と同一の内容の記載、530頁には、乙第1号証の2葉目と同一の内容の記載、裏見返し部には、乙第1号証の3葉目と同一の内容の記載がされている。
(2)乙第6号証について
乙第6号証は、被請求人が本件サービスの告知用ウェブサイトと主張するものであるところ、1葉目には、「プラス、『スマート介護』vol.5カタログ発刊」の見出しの下、「2018.05.10」、「介護・福祉施設向けデリバリーサービス」、「■介護スタッフ向けにレクリエーション・リハビリPickUP版を同時発刊」、「■カタログ掲載約2万アイテム、WEB掲載約1,000万アイテム以上に拡充」の記載とともに、乙第1号証の1葉目及び乙第10号証の表紙と同一視できる画像が表示されている。そして、説明文中には、「プラス株式会社(略)は、介護・福祉施設向けデリバリーサービス『スマート介護』のvol.5カタログを本日、2018年5月10日に発刊いたしました。」の記載がある。
また、2葉目には、「<『スマート介護』カタログvol.5 概要>」の見出しの下、「発刊日:2018年5月10日(年1回)」、「発行部数:40,000部」の記載があり、さらに、4葉目には、「<お問い合わせ先>」として報道機関向けに「プラス株式会社 コーポレート本部 広報・宣伝室」、顧客向けに「プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー」の記載がある。
(3)乙第7号証について
乙第7号証は、被請求人が本件サービスの販売店(一夢堂株式会社)に対して発行した平成30年7月31日発行の請求書と主張するものであるところ、「御請求書」のタイトルの下、上部中央に「2018年7月31日」及び「下記のとおり、ご請求申し上げます。」の記載があり、その右側には、「プラス株式会社 JTX/東京オフィス用品ソリューション 部」の記載及び押印がある。そして、宛先と思われる欄には、「一夢堂株式会社/(スマ介) 様」の記載があり、請求の内訳と思われる表の3葉目中には、「月日」欄に「07-06」、「注文コード/商品名」欄に「30*892-843 ミツビシ 三菱電機アルカリ乾電池 単4形 40本」の記載、「月日」欄に「07-09」、「注文コード/商品名」欄に「30*366-069SV アルカリ乾電池 単4×40本 N124J-4P-10」の記載がある。
なお、欄外には、「取引区分」として、「30:直送」の記載がある。
(4)乙第8号証及び乙第9号証について
乙第8号証及び乙第9号証は、被請求人が自己のホームページと主張するものであるところ、乙第8号証の6葉目には、「グループ構成図」の見出しの下、「PLUS プラス株式会社」の下に、「ステーショナリーカンパニー」、「ファニチャーカンパニー」、「ジョインテックスカンパニー」及び「リテールサポートカンパニー」の記載がある。
そして、乙第9号証には、「商号」として「プラス株式会社」、「カンパニー名」として「ジョインテックスカンパニー」、「カンパニープレジデント」として「プラス株式会社 常務取締役/ジョインテックスカンパニー・カンパニープレジデント」及び当該者の氏名が表示され、「本部所在地」として「〒100-0014 東京都千代田区永田町2丁目13番10号 プルデンシャルタワー12F・13F(受付13F)」の記載がある。
(5)乙第11号証について
乙第11号証は、被請求人が本件カタログの制作費に係る請求書と主張するものであるところ、「請求書」のタイトルの下、上部中央に「下記の通り御請求申し上げます。」の記載があり、左側には、「〒100-0014 東京都千代田区永田町2-13-10 プルデンシャルタワー13階 プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー 制作部 御中」の記載がある。
そして、右側上部に、「2018年04月30日」の記載があり、請求内容の「品名」欄に「2018スマート介護vol.5制作費」の記載がある。
なお、請求元が記載されていると思われる欄、金額等はマスキングされている。
(6)上記(1)ないし(5)からすれば、「スマート介護カタログ vol.5」(乙1、乙10)は、「プラス株式会社ジョインテックスカンパニー」によって、平成30年5月10日に発刊されたといえるものであり、当該カタログの表紙の上部には、使用商標1が表示されている。
そして、当該カタログの530頁には、「スマートバリュー アルカリ乾電池」及び「三菱電機 アルカリ乾電池」が掲載されている。
また、被請求人から、販売店である一夢堂株式会社に対する平成30年7月31日発行の請求書中には、同月6日及び9日の項に、「三菱電機アルカリ乾電池 単4形 40本」及び「SV アルカリ乾電池 単4×40本」の記載があり、これらに付された注文コード中の「30*」以降の「892-843」及び「366-069」は、本件カタログの530頁に記載された「三菱電機 アルカリ乾電池」及び「スマートバリュー アルカリ乾電池」の単4形(40本入)の商品コードと一致していることからして、実際に、当該カタログに基づいて、アルカリ乾電池が販売されたことが推認し得るものである。
2 判断
(1)使用者について
本件カタログの表紙及び裏見返し部に記載されている「プラス株式会社ジョインテックスカンパニー」は、本件カタログの発行元とみることができ、「プラス株式会社ジョインテックスカンパニー」は、被請求人の主張及び被請求人のホームページ(乙8、乙9)の記載によれば、被請求人の一部署である社内カンパニーといえるから、本件カタログを発行したのは、被請求人(商標権者)である。
(2)使用商標について
本件商標は、「スマート介護」の文字を横書きしてなるものであり、本件カタログ(乙1、乙10)に付されている使用商標1は、別掲1のとおり、青地に白抜きで「スマート介護」の文字を横書きしてなるものである。
そして、両者は、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
(3)使用役務について
被請求人(商標権者)が事業として行っていると主張する本件サービスには、文具・生活用品等の販売サービスが含まれ、その一形態として、カタログを通じた販売を行っていることがうかがえる。
そして、被請求人(商標権者)は、各種商品をカタログに掲載し、当該カタログを入手した需要者は、各種の商品が取りそろえられ、掲載されたカタログを見るだけで商品の選択及び注文ができるようになっているといえる。
本件カタログ(乙1、乙10)の530頁には、 最上部の「アルカリ乾電池」の表示の下、乾電池の画像とともに、アルカリ乾電池の種別、品番、商品コード及び価格が表示されており、「電池」は「電気機械器具類」の範ちゅうの商品である。
そして、実際に、当該カタログに基づいて、被請求人の販売店を通じてアルカリ乾電池が販売されたと推認し得るものであるから、被請求人は、需要者に対して商品の選択の便宜のために、販売する商品が掲載されたカタログの提供を行っているということができるものであり、これは、商品の小売又は卸売の業務において小売業者が顧客に対して行う便益の提供(以下「小売等役務」という。)に該当する行為といえるものである。
してみれば、被請求人は、「電気機械器具類」の範ちゅうの「電池」についての小売等役務を提供したものといえ、被請求人の提供する上記小売等役務に使用される本件カタログは、当該役務の需要者が商品の選択及び注文を行うために利用するものであるから、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」というのが相当である。
(4)使用時期について
本件カタログは、2018年4月頃に制作されたことがうかがえるものであり(乙11)、同年5月10日に発刊され(乙6)、同年7月6日及び9日には、本件カタログに掲載されている「アルカリ乾電池」が販売されたと推認し得るものである(乙7)。
そして、これらの日付は、いずれも要証期間内である。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の商標権者は、要証期間内にその請求に係る指定役務に含まれる「電池の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、その役務を提供するためのカタログ(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物)に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものと認められ、また、これを用いて役務を提供する行為を行ったものと認めることができ、これらは商標法第2条第3項第3号及び同第4号の使用に該当するものである。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定役務に含まれる「電池の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について本件商標の使用をしていることを証明したといえる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1
使用商標1
(色彩は、答弁書参照。)


別掲2
使用商標2
(色彩は、答弁書参照。)



審理終結日 2021-02-08 
結審通知日 2021-02-10 
審決日 2021-03-29 
出願番号 商願2013-56106(T2013-56106) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W35)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 杉本 克治
冨澤 美加
登録日 2014-03-14 
登録番号 商標登録第5655743号(T5655743) 
商標の称呼 スマートカイゴ、スマート 
代理人 飯島 紳行 
代理人 藤森 裕司 

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