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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W33
審判 査定不服 観念類似 登録しない W33
審判 査定不服 外観類似 登録しない W33
審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W33
管理番号 1374055 
審判番号 不服2020-11127 
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-11 
確定日 2021-05-06 
事件の表示 商願2019- 51648拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第33類「泡盛」を指定商品として、平成31年4月12日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は、次の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの登録商標をまとめていうときは、「引用商標」という。)。
(1)登録第933449号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「KING」
登録出願日:昭和42年4月6日
設定登録日:昭和46年10月19日
書換登録日:平成14年9月25日
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
(2)登録第934402号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「キング」
登録出願日:昭和42年4月6日
設定登録日:昭和46年10月26日
書換登録日:平成14年9月25日
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
(3)登録第4277003号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「KING」(標準文字)
登録出願日:平成10年1月27日
設定登録日:平成11年5月28日
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
(4)登録第6006425号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成29年4月7日
設定登録日:平成29年12月22日
指定商品:第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,にごり酒,濁酒,柳陰,マッコリ,ソジュ,発泡性清酒,発泡性焼酎,発泡性濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く。)」

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、黒地の長方形内に、[1]金色で表された二重線を外枠に、[2]その内側に何らかの形状を表したとおぼしき枠図形を配し(以下[1]及び[2]を併せて「枠図形部分」という。)、さらに、その内側に、[3]大きく王冠とおぼしき図形が淡く描かれ、[4]下部には唐草模様の図形(以下[3]及び[4]を併せて「図形部分」という。)と、いずれも[2]の内側にあって、[5]上部に「AGED 10 YEARS」(「10」の数字は他の文字に比して大きく表されている。)の欧文字及び数字と、[6]中央部にブラックレター体(イングリッシュゴシック体)で表された「King」(「K」の文字は他の文字に比して大きく表されている。)の欧文字(以下[5]及び[6]を併せて「文字部分」という。)とからなるものである。
そして、上記構成中、枠図形部分は、[2]の図形が何らかの形状を表しているとしても、単に枠線を認識させるにすぎないから、出所識別標識としての称呼及び観念を生じるものではない。
次に、図形部分と文字部分についてみるに、[4]の図形と文字部分とは分離して表されており、[3]の図形と文字部分は一部重なって表されているものの、[3]の図形が淡い灰色で描かれているのに対し、文字部分は目立つような金色で表されているから、図形部分と文字部分とは、外観上、明確に区別して看取できるものである。
また、図形部分と文字部分とは、一体となって特別な観念を有することや一連一体の称呼が生じるなど、何らかの関連性を有しているともいえないものである。
そうすると、図形部分と文字部分とは、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできないから、それぞれが独立して出所識別機能を有するというべきである。
そして、本願商標の文字部分のうち[5]の「AGED 10 YEARS」の文字は、親しまれた英語及び数字で構成された「10年もの」ほどの意味を有する文字であって、本願商標の指定商品との関係において、商品の品質を表すものと認められるから、それ自体は何ら商品の出所識別標識としての機能がないか又は低いものといえる。
そうすると、本願商標の文字部分のうち、[6]の「King」の文字が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができ、当該文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、本願商標からは、「King」の文字部分に相応する「キング」の称呼及び「王、国王」という観念が生じ得るというべきである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1及び引用商標3について
引用商標1及び引用商標3は、「KING」の欧文字よりなるところ、その構成文字に相応して「キング」の称呼及び「王、国王」の観念が生じるものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、「キング」の片仮名よりなるところ、その構成文字に相応して「キング」の称呼及び「王、国王」の観念が生じるものである。
ウ 引用商標4について
引用商標4は、別掲2のとおり、「TaKaRa Liquor」と「KING」の欧文字とを上下二段に書してなるところ、その下段の文字は上段の文字に比して、赤字で大きく顕著に表されていることから、視覚上、看者に強い印象を与えるといい得るものである。
また、上段の「TaKaRa Liquor」の文字と下段の「KING」文字とは、観念的に密接な関連を有しているとはいえない。
そうすると、引用商標4は、その構成文字全体に相応して「タカラリキュールキング」の称呼を生ずるほか、「KING」の文字部分に相応して「キング」の称呼をも生ずるとともに、「王、国王」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の類否を検討すると、その構成全体をもって比較するときは、外観上、区別し得る差異があるといえるものの、本願商標の構成中、独立して商品の出所識別標識たり得る「King」の文字部分と引用商標1、引用商標3及び引用商標4の「KING」の文字とを比較するときは、両者は、書体及び大文字と小文字の相違があるものの、構成文字を同一にするものであり、外観上、類似するものである。
また、本願商標の構成中の「King」の文字と引用商標2とは、欧文字と片仮名であって文字種を異にするものの、両者は、普通に用いられる方法で表されていることに加え、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり、デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における文字種の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。
そして、本願商標の構成中の「King」の文字と引用商標の「KING」及び「キング」の文字とは、称呼においては、「キング」の称呼を共通にするものであり、観念においては、「王、国王」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標の要部と引用商標の「KING」及び「キング」の文字とは、「キング」の称呼及び「王、国王」の観念を同一にするものであり、外観おいて書体又は文字種に違いがあるとしても、称呼及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、本願商標と引用商標は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願商標の指定商品は、上記1のとおり第33類「泡盛」である。
これに対して、引用商標1ないし引用商標3の指定商品は、上記2(1)ないし(3)のとおり第33類「日本酒」を含むものであるところ、引用商標1及び引用商標2の書換出願時並びに引用商標3の登録出願時の商標法施行規則別表の第33類においては、「日本酒」の下に「泡盛」が置かれているから、引用商標1ないし引用商標3の指定商品中「日本酒」は、「泡盛」を含むものであると認められる。また、引用商標4の指定商品は上記2(4)のとおり、第33類「泡盛」を含むものである。
そうすると、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品は同一又は類似であるというべきである。
(5)小括
以上のとおり、本願商標と引用商標とは、類似する商標であり、その指定商品も同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、「日本酒」と「泡盛」とは、酒類の分類、表示方法などの点から区別されていること及び酒類を取り扱う小売店舗においては、日本酒・焼酎・泡盛・チューハイ・ワイン・ウイスキーといったカテゴリーごとに分類して陳列を行い、需要者が嗜好する商品を選択しやすいように配慮されているのが一般的であり、また、需要者は、求める商品を酒類の種別、及び、外観を中心とした銘柄の違い等によってより細かく注意力をもって識別し、選択して購入しているというのが実情である旨主張している。
しかしながら、たとえ店舗において酒類がそのカテゴリー毎に分類されて陳列されているとしても、上記(4)のとおり、引用商標1ないし引用商標3の指定商品中「日本酒」には「泡盛」が含まれる。
また、上記(3)のとおり、本願商標と引用商標との外観における差異が称呼及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえず、本願の指定商品が商標の外観を視覚で認識する取引形態であるからといって、一概に、称呼、観念よりも外観を重視すべきものとまではいえない。さらに、本願の指定商品の取引の実情として、外観が重視されるとする証左の提出もない。
イ 請求人は、引用商標を使用した「日本酒」又は「泡盛」商品の製造若しくは販売をしている事実はないから、本願商標に係る商品と引用商標に係る商品の出所を混同するということは生じ得ない旨主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第11号の判断にあたっては、当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的・限定的な取引の実情は考慮しない。
ウ その他、請求人は、判決例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張するが、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、他の審決例等の判断に拘束されることなく検討されるべきものである。
エ よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(7)まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

別掲1(本願商標:色彩については原本参照)


別掲2(引用商標4:色彩については原本参照)



審理終結日 2021-03-02 
結審通知日 2021-03-05 
審決日 2021-03-16 
出願番号 商願2019-51648(T2019-51648) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W33)
T 1 8・ 261- Z (W33)
T 1 8・ 264- Z (W33)
T 1 8・ 263- Z (W33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平野 美和 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 大森 友子
水落 洋
商標の称呼 エージドテンイヤーズキング、キング、ケイ 
代理人 杭田 恭二 

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