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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z0942
管理番号 1374022 
審判番号 取消2018-300212 
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-04-11 
確定日 2021-05-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4598930号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4598930号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成13年4月3日に登録出願、第9類「測定機械器具,光学機械器具,コンピュータ用プログラムを記憶した記録媒体,その他の電子計算機,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」及び第42類「電子計算機を用いて行う情報処理,情報処理システムの企画・立案・開発・評価・保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,コンピュータ及びそのシステムに関するコンサルティング,電子計算機及び電子計算機用プログラムの研究開発又は試験,電気通信機械器具・電子応用機械器具及びその部品の設計・試験・検査・研究・開発及びそれらに関する相談,半導体及び半導体製造装置の試験・研究又は開発及びそれらに関する相談,コンピュータネットワークの設計に関する相談,電子計算機データベースの設計に関する相談・助言,電子応用機械器具及びその部品の賃貸,測定機械器具・光学機械器具・印刷機械器具の貸与」並びに第7類、第35類、第37類、第38類、第40類及び第41類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同14年8月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
本件審判の請求の登録日は、平成30年4月25日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同27年4月25日から同30年4月24日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータ用プログラムを記憶した記録媒体,その他の電子計算機,その他の電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機を用いて行う情報処理,情報処理システムの企画・立案・開発・評価・保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,コンピュータ及びそのシステムに関するコンサルティング,電子計算機及び電子計算機用プログラムの研究開発又は試験,電気通信機械器具・電子応用機械器具及びその部品の設計・試験・検査・研究・開発及びそれらに関する相談,コンピュータネットワークの設計に関する相談,電子計算機データベースの設計に関する相談・助言,電子応用機械器具及びその部品の賃貸」(以下「取消請求商品及び取消請求役務」ということがある。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書及び弁駁書において、その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、取消請求商品及び取消請求役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 平成30年8月6日付け弁駁書
請求人は、平成30年6月25日付け答弁書に対し、同年8月6日付けで、審判請求書の請求の趣旨及び請求の理由から取消請求商品を削除する手続補正書を提出した上、同日付け弁駁書において、補正後の取消請求役務について取消しを求める旨述べているが、被請求人の答弁に対し、何ら意見を述べていない。
なお、上記手続補正は、実質的に取消請求商品を取り下げるものとして、商標法第56条第1項の規定によって準用する特許法第133条の2第1項の規定に基づく手続却下の決定(令和元年5月15日付け)により却下され、当該却下決定は既に確定しているものである。
請求人は、その後に提出された、令和2年11月16日付け答弁書(第2回)に対しても、何ら意見を述べていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、平成30年6月25日付け及び令和2年11月16日付け答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第27号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、要証期間内に、我が国において、取消請求商品中「コンピュータ用プログラムを記億した記録媒体,コンピュータソフトウェア」について本件商標を使用している。
(1)使用の事実について
ア 商標の使用者
被請求人は、本件商標権者であり使用者である。本件商標権者は、1965年(昭和40年)5月19日に創立され、コンピュータ、ネットワーク、情報システム等における最先端技術を基軸として、あらゆる産業のITライフサイクル全般に対するソリューションの提供を事業内容とし、システム・ソフトウェアやハードウェアの販売・貸与、コンピュータシステムの企画・設計・開発等を行う企業である(乙3)。
イ 使用に係る商品
本件商標権者は、コンピュータ用プログラムを記憶した記録媒体、コンピュータソフトウェアから構成される商品「MSOLOCK」(以下「MSOLCOK」という。)のシリーズ商品(以下「『MSOLOCK』シリーズ」という。)に登録商標を付して販売(譲渡)し、その広告に登録商標を付して頒布した。
「MSOLOCK」シリーズは、iKeyと呼ばれるUSB認証キーと専用セキュリティーソフトウェアからなり、コンピュータやコンピュータ内のファイル、コンピュータネットワーク等へのアクセスを制御するためのコンピュータソフトウェアである。「MSOLOCK PRO」、「MSOLOCK」、「ikey forVPN」等のラインナップがある(乙4)。
本件商標権者は、「MSOLOCK」シリーズの開発を株式会社ローレルインテリジェントシステムズ(以下「ローレルインテリジェントシステムズ社」という。)に委託し、同社がこれを受託し、開発した商品を本件商標権者に納入している(乙5、乙6)。
「MSOLOCK」シリーズは、コンピュータ、コンピュータ内のファイルや企業VPN(バーチャルプライベートネットワーク通信事業者の公衆回線を経由して構築された仮想的な組織内ネットワーク)等への不正アクセスを制御するためのコンピュータソフトウェア及びコンピュータ用プログラムを記憶した記録媒体である。当該商品の特長はiKeyというUSB認証キー(トークンともいう)を使用する点にある。
ウ 商標の使用時期
2017年1月20日に、株式会社IIJエンジニアリング(以下「IIJエンジニアリング社」という。)からの「MSOLOCK PRO トヨタグループ様向けNewトークン色黒使用PINは15回2年保守付、Windows7 32bit 対応ライセンス込、数量30」の発注を受け(乙7)、同日に、本件商標権者は、商品の仕入元であるローレルインテリジェントシステムズ社に対し、「iKeyfor VPN Windows7 対応ライセンス&サポート費用/※TOYOTAグループ様向け/ユーザー数:30」をTOYOTAグループに納入するように注文した(乙8)。また、同年1月27日に納品をうながす注文書を送った(乙9)。
「iKey for VPN Windows7」は、限定的な機能を有し、WINDOWS7までに対応する商品である。本件商標権者が顧客に商品の説明をする際には「MSOLOCK PRO」を基本として、その他の限定機能を有する商品を費用や用途に応じて紹介しているため、顧客からの注文書において「MSOLOCK PRO トヨタグループ様向けNewトークン色黒使用PINは15回2年保守付、Windows7 32bit 対応ライセンス込」といった記載となっているが、「iKeyfor VPN Windows7」と同じ商品を表す。その後、2017年1月27日に本件商標権者はIIJエンジニアリング社に対して当該商品の請求書を発行するとともに、納品している(乙10)。
また、2017年9月11日に本件商標権者は、「MSOLOCK」シリーズの導入・購入を検討する顧客に向けて「MSOLOCK FSS/セキュリティシステムご紹介資料」を電子メール等で送付している(乙11、乙12)。
当該資料に「サポート概要」という見出しのもとに、「MSOLOCK」シリーズの「MSOLOCK PRO」等とともに本件商標が使用されている。「ご紹介資料」は商品の広告であり、当該使用は商品の広告に標章を付して頒布する行為に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
また、2015年10月1日に顧客に対して行った商品説明の際に本件商標が付されたパンフレットを顧客に提示・配布している(乙13、乙4:以下、乙4のパンフレットを「本件パンフレット」という。)。
上記譲渡日である2017年1月27日、広告の頒布日である同年9月11日、本件パンフレットの提示・配布日である2015年10月1日は、要証期間内である。
エ 商標の使用態様
(ア)コンピュータ用プログラムを記憶した記録媒体及びソフトウェアヘの使用
「IKEYFORVPNライセンス」を購入すると、USB認証キー(その内部にライセンスが暗号化されて保存されている。)、ライセンス証書、インストーラ(ソフトウェア)等が購入者に送付される。そして、インストーラをコンピュータで実行してインストールした後、USB認証キーを挿入して、各USB認証キーにパスワード等設定することでUSB認証キーが利用できるようになる。
インストーラをコンピュータに実行すると乙第14号証の画面となり、本件商標が表れる。
その後、USB認証キーをコンピュータのUSBコネクターに差し込むと、USB認証キーにパスワードなどを設定するためのソフトウェアが立ちあがり、その画面にも本件商標が表れる(乙15)。
また、MSOLOCKセキュリティオフィサーというUSB認証キーの管理ソフトに関するコンピュータ側の設定を設定する際に使用される画面にも本件商標が表れる(乙16)。
インストーラのインストールの手順は、本件商標権者のウェブサイトにおいても公開されており、そこにも本件商標が付されている(乙14、乙17、乙18)。
(イ)広告への使用
本件商標権者は、「MSOLOCK」シリーズの導入・購入を検討する顧客に向けて「MSOLOCK FSS/セキュリティシステムご紹介資料」を電子メール等で送付している(乙12)。当該資料に「サポート概要」という見出しのもとに、「MSOLOCK」シリーズの「MSOLOCK PRO」等とともに本件商標が使用されている。
また、商品説明を顧客に行う際に提示する各商品の対応するOS(オペレーション・システム)のサポート状況を示す「サポート概要」資料にも本件商標が商品と共に付されている(乙19)。
オ 本件商標と使用商標
本件商標は、中央に欧文字「mSOL」をやや縦長に表しデザイン化した文字を横一段書にし、その下に欧文字の4分の1ほどの大きさで片仮名「エムソル」を横一段書にし、欧文字の背景にS状にリボンで形取ったような赤色の図形が施されている。使用商標は本件商標から片仮名部分を削除したものであり、同一の称呼及び観念を生じる商標であり、外観において同視される図形からなる社会通念上同一と認められる商標である。
(2)以上のことから、本件商標権者は、要証期間内に日本国内において、取消請求商品中「コンピュータ用プログラムを記憶した記録媒体」及び「コンピュータソフトウェア」に登録商標と社会通念上同一の商標を使用している。
2 令和2年11月16日付け答弁書(第2回)
(1)本件パンフレットについて
乙第13号証に記載の商品は、法務省へ提案した商品であり、商品説明を行った日時は2015年(平成27年)5月27日(水)11時であり(乙20)、場所は東京都中央区新川2-27-1所在の東京住友ツインビル東館であり、相手方は新日鉄住金ソリューションズ株式会社(以下「S社」という。)の担当者2名である。
商品説明に至った経緯については、法務省では、少なくとも2008年から「MSOLOCK」を利用しているところ、同商品がWindows7までのサポートとなるため、後継商品である「MSOLOCK FSS」の説明及び仕様変更の説明をしたものである(乙20)。
当該説明の結果、2015年10月20日付けで同商品の見積書を作成するに至り(乙21)、同年11月2日に発注を受け(乙22、乙23)、同月6日に納品し(乙24)、同日に受領した(乙25)。
本件パンフレットは、乙第13号証に関する取引において提示配布されたものであり、2015年9月15日付の上記相手方担当者から本件商標権者に宛てた電子メール中に「採用予定の貴社製品 MSOLOCKのカタログを頂けませんでしょうか。(提案書に添付する趣旨です。)」とあり、このカタログが本件パンフレットを意味しており(乙26)、同年10月7日に送付している。
(2)本件パンフレットの作成部数は、5,000部(乙27)であり、頒布方法は郵送である。
具体的には、平成27年に、ムラテックシステム株式会社経由で社会保険労務士法人天満橋労務設計事務所、株式会社日立ハイテクソリューションズ経由日木産業株式会社、株式会社インターネットイニシアティブ経由東芝情報機器株式会社に配布し、平成28年に、株式会社日立システムズ経由で株式会社東京ソワール、大興電子通信株式会社経由でトピー実業株式会社、IIJエンジニアリング社経由でトヨタ自動車株式会社、富士ゼロックス株式会社、株式会社富士通エフサス経由で協和発酵キリン株式会社に配布した。
さらに、平成29年に、AGS株式会社経由で昭和リース株式会社、TIS株式会社経由で株式会社システムオリコ、シネックスジャパン株式会社経由で富士ゼロックス株式会社に配布し、平成30年に株式会社日立システムズ経由で三菱UFJ信託銀行株式会社、株式会社ジムマネジメント経由で株式会社ニッセイコムに配布した。
見積書は、平成21年4月8日付けで5,000部作製とされ、実際にカタログの現物が完成配布されているので、作成されたことは事実である(乙27)。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標の商標公報及び登録原簿(乙1、乙2)
本件商標の商標公報及び登録原簿によれば、本件商標権者の表示は、平成14年8月23日の設定登録時には「東京都渋谷区東1丁目26番20号」所在の「丸紅ソリューション株式会社」(以下「丸紅ソリューション」という。)であったが、その後、同19年11月19日に登録された登録名義人の表示の変更により住所は「東京都渋谷区渋谷三丁目12番18号」と変更され、さらに同日に登録された登録名義人の表示の変更により、「東京都新宿区大久保3丁目8番2号」所在の「丸紅情報システムズ株式会社」(以下「丸紅情報システムズ」という。)と変更されている。
(2)本件パンフレット(乙4)
「MSOLOCK/エムソロック」パンフレット(カタログ)の写しとされる書面(本件パンフレット)は、A3版二つ折り、多色刷のものであり、表紙には、「MSOLOCK/エムソロック」、「USB認証キーiKey+専用セキュリティソフトオールインワンパッケージ」の記載があり、左上には、別掲2のとおり、曲線状の赤色図形とやや縦長の欧文字「mSOL」を横書き(「SO」の文字は当該図形の下半分に重なるように表されている。)してなる標章(以下「本件標章」という。)の表示があり、右上には、「USB認証キーiKey」及び「<実物大>」の記載と共にUSB機器の画像の表示がある。
そして、中面には「『情報』『信頼』を守る、基本機能」のタイトルの下、「LOGIN/WindowsマシンのログインをiKeyで行います!ドメインネットワークのアクセスをiKeyで行います。」、「■MSOLOCK導入時のセキュリティ/起動時にiKeyを接続してログオン!iKeyを使う事で本人も知らないPasswordが自動的にiKeyから呼び出されます。Passwordが漏れないので安心です。」、「LOOK/OS起動時にiKeyを抜くと画面とキーボードのロックがかかり離席時のセキュリティを確保します。」、「暗号/iKeyがあれば、エクスプローラ上でクライアントPCもしくはNetworkドライブのファイル、フォルダを簡単に暗号化できます。自動暗号フォルダの作成もできます。」、「アプリケーション認証機能/・・・任意のアプリケーション10種類までID、パスワードを登録でき、自動認証します。」、「デジタルID格納機能/iKeyの中に電子証明書をセキュアに格納し、電子証明書を使うシステム(例:IPSEC-VPN、SSL-VPN、WEB、メール、原本システム)と連動できます。」等の記載がある。
また、裏表紙には、「広がる MSOLOCK」のタイトルの下、「MSOLOCK PROの認証世界」と題する概念図の中心に、本件標章及びUSB機器の画像の表示があり、「クライアントPC認証/MSLOCKPRO」の項にも同様に本件標章及びUSB機器の画像の表示がある。
さらに、上記概念図の下には「MSLOCKシリーズ機能一覧」として、「MSLOCK PRO」、「MSLOCK」、「MSLOCK Light」、「iKey for VPN」及び「MSLOCK FSS」の「対応OS」、「対応デバイス」、「PIN認証」、「OSログオン認証」、「ロック」、「ファイル、フォルダ暗号機能」、「USBキーデータインポート機能」等、仕様の一覧表があり、「MSLOCK PRO」の「対応OS」には「98、ME、2000PRO、2000Server、2003 Server、(NT4.0)、XP HOME、XP PRO」の記載があり、「対応デバイス」として「iKey1000、iKey1032、ICカード」等の記載がある。
加えて、本件パンフレットの末尾には、「お問い合わせ先」として本件標章の表示と共に丸紅ソリューションの名称及びその住所「東京都渋谷区渋谷3-12-18」の記載がある。
(3)機能証明書(乙13)
「被請求人の顧客に対する商品の機能証明書(2015年10月1日付け)」の写しとされる書面の1葉目には、「機能証明書」のタイトルの下、右上に「2015年10月1日」の日付並びに丸紅情報システムズの名称及び住所の記載、代表取締役の記名及び押印があり、左上に「■株式会社 御中」(審決注:「■」はマスキングされている。)の宛先の記載がある。
そして、1葉目から2葉目に「弊社製品MSOLOCK PROは、以下の機能を提供できることを証明いたします。」、「『セキュリティートークン』(1)数量 2式(2)接続規格 USB タイプA(3)対応OS Windows2000,XP,Vista,2003,7(32bit)・・・(6)対応暗号アルゴリズム・・・(8)抜き差しの耐用回数 10,000回以上(9)認証パスワード・・・(13)重量 11g以下であること。(USB保護キャップを含む。)」の記載と共に「(16)セキュリティトークンの基本要求」として、以下のアないしエの記載がある。
ア:セキュリティトークンにユーザID・パスワード・ドメイン名等を格納することで、管理者側での一元管理を可能とし、かつ、利用者にユーザID・パスワード・ドメイン名等を意識させないことで、利便性の向上を図ることができること。
イ:セキュリティトークンにIPアドレス等のネットワーク設定を格納することで、管理者側での一元管理を可能とし、かつ、利用者にこれらの設定情報を意識させないことで、利便性の向上を図ることができること。
ウ:セキュリティトークンを利用してWindowsへのログイン及びWindowsへのアクセスを可能とし、かつ、ログイン後は、セキュリティトークンを抜くだけでログオフ又は画面のロックができる機能を有すること。
エ:セキュリティトークンをクライアントパソコンに接続するだけで、アプリケーションごとに関連付けられたユーザID・パスワードを自動的に送信して認証を行い、シングルサインオンを実現できる機能を有すること。
(4)ウェブサイト及び設定画面
ア 「『MSOLOCK』専用ウェブサイト『MSOLOCKインストール方法』」(https://www.marubeni-sys.com/msolock/lock/install-l.html)の写し(印刷日2018年6月11日)とされる書面は、第1頁から第5頁にかけて下部にURL及び「2018/06/11」の記載があるウェブサイト画面のプリントアウトであり、第1頁には「MSOLOCK with iKey 製品情報>MSOLOCK>MSOLOCK設定手順」のタイトルの下、「MSOLOCKインストール方法」の記載があり、左側中程には丸紅情報システムズの名称等の記載がある。
そして、第1頁から第5頁に掲載された「画面1」ないし「画面9」にはインストール方法を示したウインドー画像及び説明があり、「画像2」には、本件標章、「MSOLOCK」及び「丸紅ソリューション株式会社」の文字の下に表示されたウインドー画像に「この製品にはiKeyドライバーのセットアップが必要です」の記載がある(乙14)。
イ 「MSOLOCKキー設定時起動画面」の写し(印刷日2018年6月11日)とされる書面は、ウインドー画像が表示されたコンピュータ画面の一部をハードコピーしたものであり、当該ウインドー画像の上部には「MSOLOCK キー設定」の記載があり、本件標章、「丸紅ソリューション株式会社」の文字及びUSB機器画像の表示の下、「設定メニュー」、「PINの変更」、「iKeyのPIN(暗証番号)を変更します。」等の記載がある(乙15)。
ウ 「『MSOLOCK』専用ウェブサイト『MSOLOCKiKeyメモリ設定』」(https://www.marubeni-sys.com/msolock/1ock/install-3.html)の写し(印刷日2018年6月11日)とされる書面は、第1頁から第11頁にかけて下部にURL及び「2018/06/11」の記載があるウェブサイト画面のプリントアウトであり、第1頁には「MSOLOCK with iKey・・・」のタイトルの下、「MSOLOCK iKeyメモリ設定/iKey内部のメモリにWindowsにログオンするためのID・パスワード・ドメイン情報を書き込みます。」の記載があり、左側中程には丸紅情報システムズの名称等の記載がある。
そして、第1頁から第11頁に掲載された「画面1」ないし「画面18」には「MSLOCK キー設定」等の方法を示したウインドー画像及び説明があり、「画面3」ないし「画面5」、「画面8」、「画面10」、「画面11」、「画面15」及び「画面16」には、手順を示したウインドー画像中に、本件標章、「丸紅ソリューション株式会社」の文字及びUSB機器画像の表示がある(乙17)。
エ 「『MSOLOCK』専用ウェブサイト『MSOLOCKセキュリティオフィサー設定』」(https://www.marubeni-sys.com/msolock/1ock/install-2.html)の写し(印刷日2018年6月11日)とされる書面は、下部にURL及び「2018/06/11」の記載があるウェブサイト画面のプリントアウトであり、「MSOLOCK with iKey・・・」のタイトルの下、「MSOLOCKセキュリティオフィサーの設定/・・・iKeyの登録、Windowsログオン時の制限等を設定します。」の記載があり、左側中程には丸紅情報システムズの名称等の記載がある。
そして、同書面に掲載された「画面1」ないし「画面3」には「MSOLOCK セキュリティオフィサー」の設定方法を示したウインドー画像及び説明があり、「画面3」には、手順を示したウインドー画像中に、本件標章、「丸紅ソリューション株式会社」の文字及びUSB機器画像の表示がある(乙18)。
(5)2015年5月7日から同年5月29日にかけての電子メール(乙20)
「メール【御連絡】見積・仕様依頼 MSOLOCKの件 NSSOL長谷川2ページ」の写しとされる書面は、第1頁から第13頁にわたり2015年5月7日から同年5月29日にかけて電子メールのやり取りを示すものであり、次のアないしカの内容を含むものである。
ア 第12頁から次頁に「Sent:Thursday,May 07,2015 7:10 PM」及び「Subject:【御連絡】 見積・仕様依頼 MSOLOCKの件 NSSOL長谷川」(以下「【御連絡】見積・仕様依頼」という。)の記載の下、「S社社会公共ソリューション事業部/H」(審決注:「H」は氏名を表す。以下「H氏」という。)から丸紅情報システムズの「プラットフォーム ソリューション事業本部/N様」(Nは氏を表す。以下「N氏」という。)あてに「ご連絡した法務省の件につき、メールにてご連絡いたします。/依頼内容/・MSOLOCK 1式/・保守期間:2016/1/1?2021/12/31(5年間)/・最新版の仕様案」の記載がある。
イ 第11頁から次頁に「Sent:Thursday,May 07,2015 9:49 PM」及び「RE:【御連絡】 見積・仕様依頼・・・」の記載の下、丸紅情報システムズのN氏からS社のH氏あてに「どこかで説明をさせていただけないでしょうか。」の記載がある。
ウ 第6頁から次頁に「Sent:Friday,May 22,2015 4:44 PM」及び「RE:【御連絡】 見積・仕様依頼・・・」の記載の下、「S社社会公共ソリューション事業部/T」(審決注:「T」は氏名を表す。以下「T氏」という。)から丸紅情報システムズのN氏あてに「Hに代わりご連絡いたします。・・・お打合せの日程ですが、以下ご都合いかがでしょうか?/・5/27(水)11-12時の間/・・・」の記載がある。
エ 第3頁に「Sent:Tuesday,May 26,2015 11:06 AM」及び「RE:【御連絡】 見積・仕様依頼・・・」の記載の下、丸紅情報システムズのN氏からS社のH氏あてに「・5/27(水)11-12時の間でも大丈夫でしょうか。」の記載がある。
オ 第2頁に「Sent:Tuesday,May 26,2015 11:48 AM」及び「RE:【御連絡】 見積・仕様依頼・・・」の記載の下、S社のT氏から丸紅情報システムズのN氏あてに「それでは5/27(水)11時でお願いいたします。場所は弊社でよろしいでしょうか?」の記載がある。
カ 第1頁から次頁に「差出人: N氏」、「送信日時: 2015年5月29日金曜日 14:06」及び「件名: RE:【御連絡】 見積・仕様依頼・・・」の記載の下、丸紅情報システムズのN氏よりS社のT氏及びH氏あてに「先日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。その際、お話にでました従来品かNANOかの件ですが、/イ:セキュリティトークンにIPアドレス等のネットワーク設定を格納することで、管理者側での一元管理を可能とし、かつ、利用者にこれらの設定情報を意識させないことで、利便性の向上を図ることができること。/の部分がNANOでできることが分かったのですが・・・」の記載がある。
(6)見積書、発注書、注文請書、請求書、受領書
ア 「2015年10月20日付け被請求人発行のMSOLOCK製品の御見積書(H411_51YN_003122)」の写しとされる書面には、「御見積書」のタイトルの下、右上に「見積番号 H411_51YN_003122」及び「2015年10月20日」の日付並びに丸紅情報システムズの住所、名称、部署名、N氏の氏等の記載がある。
また、左上に「S社 御中」、「MSOLOCK製品の件/下記の通り御見積いたしましたので何卒御用命の程御願い申し上げます。」及び「適 用 :法務省様向け」の記載がある。
そして、「USBセキュリティシステム」の記載の下に、品名、数量、単価、提供価格を示した表が掲載され、「品名」として「MSOLOCK PRO w/New ikey 1000 Windows7 32bit対応版」、「数量」として「2」、「御提供単価」として「¥9,000」、「御提供価格」として「¥18,000」等の記載があり、当該表の下には、「合計 ¥20,640」、「1)上記御見積価格には消費税は含まれておりません。」の記載がある(乙21)。
イ 「2015年11月2日付け被請求人宛MSOLOCK製品(見積番号(H411_51YN_00122)の発注書(1150044352-01-AE/051)の写しとされる書面の1葉目には、「発注書」のタイトルの下、右上に「発注日 :2015/11/02」並びに「【発注者】」としてS社の住所、名称及び部署名の記載、事業部長の記名及び押印がある。
また、左上に「丸紅情報システムズ 御中」の記載の下、「発注番号 :1150044352-01-AE/051」、「納入場所 :S社社会公共ソリューション事業部」、「受取人」としてT氏の氏名、「貴社見積番号:H411_51YN_00122」、「案件名:テレビ会議システム用セキュリティトークン 一式」及び「発注金額合計 ¥ 20,640(消費税等別途支払)」の記載がある。
そして、上記記載の下に「[内訳]」を示した表が掲載され、「品目名称」として「MSOLOCK PRO等 一式」、「単価」として「20,640」、「数量」として「1」、「金額」として「20,640」及び「合計」として「20,640」の記載がある。
さらに、2葉目には「契約条項」のタイトルの下、第1条ないし第22条にわたって本件発注の発注条件の記載がある(乙22)。
ウ 「2015年11月2日付け被請求人発行MSOLOCK製品注文(発注番号1150044352-01-AE/051)請書」の写しとされる書面には、「注文請書」のタイトルの下、右上に「注文請日 :2015/11/02」及び「発注日 :2015/11/02」の記載並びに「【注文請者】」として丸紅情報システムズの住所、名称及び部署名の記載及び押印がある。
また、左上に「S社社会公共ソリューション事業部 御中」の記載の下、「貴社発注番号 :1150044352-01-AE/051」、「納入場所 :S社社会公共ソリューション事業部」、「受取人」としてT氏の氏名、「案件名:テレビ会議システム用セキュリティトークン 一式」及び「発注金額合計 ¥ 20,640(消費税等別途支払)」の記載がある。
そして、上記記載の下に「[内訳]」を示した表が掲載され、「品目名称」として「MSOLOCK PRO等 一式」、「単価」として「20,640」、「数量」として「1」、「金額」として「20,640」及び「合計」として「20,640」の記載があり、「上記貴社発注番号の発注書に記載された諸条件を遵守し、注文を御請け致します。」の記載がある(乙23)。
エ 「2015年11月6日付け被請求人発行のMSOLOCK製品(注文番号1150044352-01-AE/051)納品・請求書」の写しとされる書面には、「請求・納品(控)」のタイトルの下、右上に「発行日 2015年11月 6日」の記載並びに丸紅情報システムズの住所、名称、部署名及びN氏の氏名の記載があり、「納品先」として「S社社会公共ソリューション事業部」の住所の記載及びT氏の氏名の記載がある。
また、左上に宛先として「S社社会公共ソリューション事業部/購買担当」の氏名の記載の下、「貴社注文番号 1150044352-01-AE/051」、「下記の通りご請求申し上げます。」、「ご請求金額 22,291円」、「(税抜金額) 20,640円」、「(消費税等) 1,651円」の記載がある。
そして、上記記載の下に「内訳」を示した表が掲載され、「品目名称」として「MSOLOCK PRO等 一式」、「単価」として「20,640」、「数量」として「1」、「金額」として「20,640」及び「合計」として「20,640」の記載がある(乙24)。
オ 「2015年11月6日付け被請求人発行MSOLOCK製品(注文番号1150044352-01-AE/051)受領書」の写しとされる書面には、「受領証」のタイトルの下、右上に「発行日 2015年11月 6日」の記載並びに丸紅情報システムズの住所、名称、部署名及びN氏の氏名の記載があり、「納品先」として「S社社会公共ソリューション事業部」の住所の記載及びT氏の氏名の記載がある。
また、左上に宛先として「S社社会公共ソリューション事業部/購買担当」の氏名の記載の下、「貴社注文番号 1150044352-01-AE/051」、「お願い:お手数ながらご捺印の上、必ずご返送くださるようお願い申し上げます。」の記載がある。
そして、上記記載の下に「内訳」として「MSOLOCK PRO等一式/(弊社見積番号:H411_51YN_003122)」、「数量」として「1」と記載された表があり、その表の右側には「左記の通り正に受領致しました。」の記載と共に「T氏の氏」、「‘15.11.09」及び(「(一)」と表示された押印があり、さらにその下部には「納品日 2015年11月 9日」の他に支払期日、振込先、銀行口座の番号等の記載がある(乙25)。
(7)2015年9月14日及び同年10月6日付け並びに同年10月22日付け及び同年10月23日付け電子メール(乙26)
「メール【カタログ依頼】法務省MSOLOCKの件2ページ目」の写しとされる書面は、5葉にわたって2015年9月14日及び同年10月6日付け並びに同年10月22日付け及び同年10月23日付けの電子メールのやり取りを示すものであり、次のアないしエを内容とするものである。
ア 1葉目下部から次葉に「Sent:Monday,September 14,2015 11:12 PM」及び「Subject:【カタログ依頼】 法務省 MSOLOCKの件」の記載の下、S社のH氏から丸紅情報システムズのN氏あてに「表記につき、採用予定の貴社製品MSOLOCKのカタログを頂けませんでしょうか(提案書に添付する趣旨です。)」の記載がある。
イ 1葉目上部に「送信日時: 2015年10月6日火曜日 16:37」及び「Subject:RE:【カタログ依頼】 法務省 MSOLOCKの件」の記載の下、丸紅情報システムズのN氏からS社のH氏あてに「下記 原紙、カタログなどは Sより送付させていただきます・・・。」(審決注:Sは氏を表す。)の記載がある。
ウ 5葉目に「Sent:Thursday,October 22,2015 10:27 PM」及び「Subject:RE:【御見積依頼】法務省様向け MSOLOCK」の記載の下、S社のT氏から丸紅情報システムズのN氏あてに「・・・御見積お待ちしております。」の記載がある。
エ 4葉目に「送信日時: 2015年10月23日金曜日 16:40」、「件名: RE:【御見積依頼】法務省様向け MSOLOCK」及び「添付ファイル: 003122_新日鉄様_0001.pdf.zip」の記載の下、丸紅情報システムズのN氏からS社のT氏あてに「・・・お見積りを送付します。」の記載がある。
(8)「乙第4号証の印刷見積書」の写しとされる書面には、「御見積書」のタイトルの下、右上に「平成21年4月8日」の日付並びに「株式会社 エイディーエム」の名称、住所等の記載があり、左上に丸紅情報システムズのN様あてに「下記のとおり御見積申し上げます。」の記載がある。
そして、上記記載の下の一覧表には「品名」として「[MSOLOCK]カタログ/A3/二つ折り4C/4C/マットコート菊版125K」、「改版代は別途です。」等の記載があり、「・印刷加工代」の「数量」として「5,000」等の記載がある(乙27)。
2 上記1によれば、以下のとおり判断することができる。
(1)使用者について
本件パンフレット(乙4)の末尾にある「お問い合わせ先」に記載された「丸紅ソリューション」の名称及び住所の記載は、本件商標の登録原簿に記載された表示変更前の権利者の名称及び住所と一致することからすれば、本件パンフレットにおける本件標章の使用者は本件商標権者ということができる。
(2)使用商品について
本件パンフレットに掲載されている「MSOLOCK」シリーズは、「USB認証キーiKey」と「専用セキュリティーソフトウェア」からなる製品であり、このうち「USB認証キー」である「iKey」は、本件パンフレット(乙4)、機能説明書(乙13)、「MSOLOCK」に係るウェブサイト及び設定画面(乙14?乙18)の内容に照らせば、ソフトウェアと共に用いられる「セキュリティトークン」(コンピュータネットワーク上でデジタル認証を行うための小型装置)としてのUSB機器であり、Windowsマシンの起動時に接続してログオンすると、パスワードが自動的に呼び出され、OS起動時に抜くとロックがかかり、PC若しくはネットワーク上のファイル、フォルダを自動的に暗号化し、アプリケーションのID、パスワードを自動認証し、電子証明書を格納し、電子証明システムと連動できる等の機能を有するものである。
そして、かかる機器は、コンピュータの接続時に情報の安全性や信頼性を確保するため電子的な認証機器(USBセキュリティーキー)と認められることから、取消請求商品及び取消請求役務中「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに含まれるものである。
(3)使用商標について
本件パンフレット1葉目の左上並びに4葉目の概念図及び末尾には使用商標として別掲2のとおりの本件標章が表示されている(乙4)。
一方、本件商標は、別掲1のとおり、上段に曲線状の赤色図形とやや縦長の「mSOL」の欧文字を横書きし(「SO」の文字は当該図形の下半分に重なるように表されている。)、その下段に欧文字よりやや小さく「エムソル」の片仮名を配してなるものであり、下段の片仮名を除き、本件標章と同一の図形及び文字構成からなるものである。
そして、本件商標の下段に表示された片仮名「エムソル」は、上段の欧文字「mSOL」の読みを付記的に表したものとみるのが自然であり、また、「エムソル」の文字は特定の観念を生じないものであって、これにより新たな観念を付加するものではないから、本件商標から当該片仮名を除いたことによって、本件商標と本件標章の観念が変わるというものではない。
してみれば、本件商標と本件標章とは、その構成文字「mSOL」及び曲線状の赤色図形を共通にし、片仮名の有無の相違はあるものの、称呼及び観念における相違はなく、外観においても同視することができるから、両者は社会通念上同一の商標といえる。
(4)使用時期について
本件パンフレットは、「MSOLOCK」シリーズの機能や仕様を紹介しつつ、各製品の機能や使用を一覧表にまとめて掲載するものであって、商品目録を表したカタログともいえるとところ、丸紅情報システムズは、本件パンフレットと同様のA3版二つ折りの体裁からなる「MSOLOCK」カタログの印刷加工等について、平成21年4月に数量5,000部として見積書をとっていることからすれば、同年4月以降には、本件パンフレットを5,000部程度作成したことがうかがえる。
そして、2015年(平成27年)5月7日ないし同月29日付けの電子メール(乙20)の件名や内容によれば、丸紅情報システムズのN氏と取引先であるS社のT氏及びH氏との間で「MSOLOCK」の見積・仕様に関する打合せの日程について調整を行った上、同月27日に打合せを行ったことが分かり、さらに、同年9月14日及び同年10月6日付け電子メールの内容(乙26)によれば、S社のH氏は、丸紅情報システムズのN氏に対して「貴社製品MSOLOCKのカタログ」を送付することを依頼し、同年10月6日に、丸紅情報システムズのN氏からS社に対して当該カタログを送付する旨回答したことが分かる。
その後、同月22日及び同月23日付け電子メール(乙26)の件名や内容によれば、上記の取引の中で、S社のT氏はN氏に対し、上記「MSOLOCK」の見積書を送付することを依頼し、N氏は同月23日に当該見積書を送付していることがうかがえる。
また、見積書(乙21)、発注書(乙22)、注文請書(乙23)、納品・請求書(乙24)及び受領書(乙25)は、発注番号等が共通すること及びこれらの注文内容や請求金額等がおおむね一致することからすれば、丸紅情報システムズは、S社に対し、2015年(平成27年)10月20日付けで「MSOLOCK PRO w/New iKey 1000」2式につき「20,640円」との見積書を作成し、同年11月2日にS社から発注を受け、同月6日にS社に当該製品を納品し、受領されているといえる。
以上の経緯を踏まえれば、本件パンフフレットは、実際に納品するに至った「MSOLOCK PRO」の取引の過程において、S社からの依頼に基づき、2015年(平成27年)10月6日以降、遅くとも同年11月6日頃までには製品カタログとして、S社に対して実際に送付されたものと推認でき、当該期間は要証期間内である。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標権者である丸紅情報シムテムズは、要証期間内である2015年(平成27年)10月6日以降、遅くとも同年11月6日頃までに、取消請求商品及び取消請求役務中「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「USBセキュリティキー」に係る本件パンフレット(カタログ)に、本件商標と社会通念上同一と認められる本件標章を表示してS社に頒布したことが認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する商標の使用ということができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品及び指定役務に含まれる「USBセキュリティキー」について本件商標の使用をしていることを証明したといえる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品及び指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1 本件商標(色彩は原本参照)


別掲2 本件標章(色彩は乙4参照)


審理終結日 2021-03-02 
結審通知日 2021-03-08 
審決日 2021-03-23 
出願番号 商願2001-30687(T2001-30687) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z0942)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 大森 友子
鈴木 雅也
登録日 2002-08-23 
登録番号 商標登録第4598930号(T4598930) 
商標の称呼 エムソル、エス、エムゾル 
代理人 金原 正道 
代理人 神蔵 初夏子 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 

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