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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服202013856 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W3541
管理番号 1374003 
審判番号 不服2020-8228 
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-15 
確定日 2021-04-30 
事件の表示 商願2018-118538拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「クリニック開業支援コンサルタント」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年9月19日に登録出願され、その後、指定役務については、当審における令和2年12月22日付の手続補正書によって、第35類「病院・診療所の開業支援における病院・診療所の人事・労働管理及び求人活動に関する指導及び助言,病院・診療所の開業支援における病院・診療所の開業・経営に関する市場調査又は分析,病院・診療所の開業支援における商品の販売に関する情報の提供,病院・診療所の開業支援における事業の管理又は運営に関する事務処理の代行,病院・診療所の開業支援における病院・診療所の開業・経営に関する相談,病院・診療所の開業支援における財務書類の作成,病院・診療所の開業支援における職業のあっせん,病院・診療所の開業支援における病院・診療所の開業・経営に関する情報の提供」及び第41類「病院・診療所の開業・経営に関する知識の教授,病院・診療所の開業・経営に関するコンサルタントの資格認定講座における知識の教授,その他の知識の教授,病院・診療所の開業・経営を支援するコンサルタントの資格の認定・資格の付与,病院・診療所の開業・経営を支援するコンサルタントの資格認定試験及びその模擬試験の実施,病院・診療所の開業・経営に関するコンサルタントの資格認定講座の企画・運営又は開催,その他のセミナーの企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『クリニック開業支援コンサルタント』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『クリニック』の文字は、『診療所』の意味を(出典:株式会社岩波書店『広辞苑第六版』)、『開業』の文字は、『営業をあらたに始めること』の意味を(出典:同上)、『支援』の文字は、『ささえ助けること』の意味を(出典:同上)、『コンサルタント』の文字は、『一定の事柄について相談・助言・指導を行う専門家』の意味をそれぞれ有することから(出典:同上)、本願商標は、その構成全体として『診療所の開業を支援する専門家』程の意味合いを理解させるものである。そして、本願に係る指定役務に関連する分野において、医院や診療所の開業を支援する専門のサービスが提供されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、『診療所の開業を支援する専門家』による役務であると理解するにすぎず、単に役務の質を表示したものとして認識するといえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審おける証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、令和2年11月12日付証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、上記3の証拠調べ通知に対し、要旨以下のとおり意見を述べた。
(1)請求人は、令和2年12月22日付の手続補正書により、本願の指定役務のうち、第35類「病院・診療所の開業に関する指導及び助言」を削除した。そのため、本願商標がその指定役務との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。
(2)請求人は、前記補正により、第35類の指定役務の記載を「病院・診療所の開業支援における・・・」のように病院・診療所の開業支援に関する記載に改めた。そのため、本願商標は「クリニック開業支援」との文字を含むとしても、役務の質の誤認を生じさせるものではない。
(3)証拠調べ通知書の1.(2)及び(5)で示される株式会社東海経営コンサルタントにおける代表や各取締役は、請求人の代表理事や理事を務めているため、これらは実質的に請求人の使用例である。
(4)証拠調べ通知書に記載の事実からは、本願商標が、補正後の本願指定役務に関する分野において、役務の質を表示するものとして、取引上、普通に使用されているとは認められない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「クリニック開業支援コンサルタント」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「クリニック」の文字は「診療所」を、「開業」の文字は「営業をあらたに始めること」を、「支援」の文字は「ささえ助けること」を、また「コンサルタント」の文字は「一定の事柄について相談・助言・指導を行う専門家。」を意味する平易な語(いずれも、株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)であるから、全体として、「診療所の開業を支援する専門家」程の意味合いを容易に理解させるものである。
加えて、本願の指定役務を取り扱う業界においては、別掲のとおり、例えば「クリニック開業支援コンサルタントの選び方/医師皆さまが、クリニックの開業を考えていくにあたり開業コンサルタント依頼する方が増えております。」(別掲の1.(3))のように、「クリニック開業支援コンサルタント」の文字が、前記意味合いを理解させるものとして使用され、また、例えば「クリニック開業支援」のメニューにおいて、「開業までにはやる事盛り沢山!/まずは決心・家族の同意/開業コンセプトの確定/開業場所の選定/事業計画書の作成/開業資金/設計事務所の選定/内装図面のコンセプト・・・」(別掲の2.(4))のように、「クリニック開業支援」の文字が、診療所の開業を支援する専門家による役務において使用されている実情も認められるものである。
そうとすれば、本願商標に接する需要者、取引者は、当該文字から「診療所の開業を支援する専門家」の意味を容易に認識、理解するものといわざるをえない。
そして、本願の指定役務中、第35類の役務は、診療所等の開業支援に関する役務であり、第41類の役務における知識の教授や資格の認定等の役務は、一般に、ある事柄の専門家によって提供されたり、提供される内容が役務の提供に当たり表示されたりするなどの実情がある。
してみれば、本願商標を指定役務中、第35類の役務に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、当該役務が、「診療所の開業を支援する専門家」による役務であることを認識するにすぎず、また、第41類「病院・診療所の開業・経営に関する知識の教授,病院・診療所の開業・経営に関するコンサルタントの資格認定講座における知識の教授,その他の知識の教授,病院・診療所の開業・経営を支援するコンサルタントの資格の認定・資格の付与,病院・診療所の開業・経営を支援するコンサルタントの資格認定試験及びその模擬試験の実施,病院・診療所の開業・経営に関するコンサルタントの資格認定講座の企画・運営又は開催,その他のセミナーの企画・運営又は開催」に使用したときは、当該役務が、「診療所の開業を支援する専門家」による役務であること、又は、「診療所の開業を支援する専門家」を養成する役務であることを認識するにすぎないものであって、その役務の提供者や内容、すなわち役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、本願商標は自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、請求人の役務は、診療所の開業におけるコンサルティングの品質及び水準を高めることを目指すものであって、コンサルティングの対価として費用を請求する通常の診療所の開業コンサルティングとは異なり、診療所の開業に対する「援助」を最大限に引き出すことを主眼とするものであるところ、本願商標は、「クリニック」、「開業」、「支援」、「コンサルタント」の各文字を含むものであるが、「支援」の文字は、「ささえ助けること」の意味を有し、「コンサルタント」の文字は、「一定の事柄について相談・助言・指導を行う専門家」の意味を有するから、「支援」と「コンサルタント」の文字を組み合わせ、「援助」の意味を二重に重ねた造語である旨主張する。
しかしながら、請求人の意図する役務が「援助」を主眼におき、「支援」と「コンサルタント」の文字を用いることによって「援助」の意味を重ねているのだとしても、本願商標を構成する各語の語義及び別掲の事実からすると、前記(1)のとおり、「診療所の開業を支援する専門家」の意味合いを認識、理解させるものとみるのが自然であるから、意味が重複する文字を組み合わせたからといって、そのことによって直ちにこれが造語になるということはできない。
イ 請求人は、証拠調べ通知書で示された事例のうちいくつかは実質的に請求人の使用するものであって、証拠調べ通知書に記載の事実からは、本願商標が、補正後の本願指定役務に関する分野において、役務の質を表示するものとして、取引上、普通に使用されているとは認められない旨主張する。
しかしながら、証拠調べ通知書で示した事例の大半は請求人の使用に係るものではないことに加え、前記(1)のとおり、当審においては、本願商標を構成する各語の語義により、「診療所の開業を支援する専門家」の意味を容易に理解させるものと判断し、これに本願の指定役務を取り扱う業界における実情として別掲の事実をも挙げているのであって、証拠調べ通知書で示した事例のみに基づいて判断しているものではない。
ウ よって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲 証拠調べ通知において示した事実
1.「クリニック開業支援コンサルタント」の文字が、第35類「病院・診療所の開業に関する指導及び助言」や、第41類「病院・診療所の開業・経営に関するコンサルタントの資格認定講座における知識の教授」等の分野において、「診療所の開業を支援する専門家による役務」又は「診療所の開業を支援する専門家を養成する役務」について使用されている例

(1)「doda」のウェブサイトにおいて、「株式会社医師のともの過去求人・採用情報/クリニック開業支援コンサルタントのアシスタント業務」の見出しの下、「医師・医療機関に特化した開業支援コンサルティングのアシスタント/コンサルタントへキャリアチェンジ可能/具体的な仕事内容/当社が行なう開業支援コンサルティングの業務は物件選定にとどまらず、内装レイアウトのプランニング、医療機器の導入支援、ホームページ制作や広告運用、スタッフの採用、開業手続きのサポート・・・など、多岐に渡ります。あなたには、まず開業の際の重要なポイントの一つである『物件紹介』の業務から携わっていただきます。医師や医療機関とのやりとりは、基本的に先輩のコンサルタントが対応します。」の記載がある。
(https://doda.jp/co/endjob/3003664780/)

(2)「こくちーず(告知’S).」のウェブサイトにおいて、「会計事務所のためのクリニック開業支援セミナー」の見出しの下、「愛知県に拠点を置き、10年間で医療顧問先100件を獲得した東海経営コンサルティンググループの医療顧問先獲得のノウハウを大公開します。併せて神戸で開催予定の『クリニック開業支援コンサルタント養成講座』の説明会を開催します。」、「★セミナの内容★」として「第4期クリニック開業支援コンサルタント養成講座のご案内」の記載がある。
(https://kokucheese.com/event/index/485475/)

(3)「BLソリューション」のウェブサイトにおいて、「クリニック開業」の見出しの下、「クリニック開業支援コンサルタントの選び方/医師皆さまが、クリニックの開業を考えていくにあたり開業コンサルタント依頼する方が増えております。さてどのようにコンサルタント選びでお悩みの医師方も多いのではないでしょうか?例えば下記のようなコンサルタントがあります。」の記載がある。
(https://bl-partners.net/practice/column-17)

(4)「医業サポート研究所」のウェブサイトにおいて、「日本における医療保険制度の特徴は『国民皆保険』と『フリーアクセス』!」の見出しの下、「皆さん、こんにちは。税理士・行政書士、そしてのクリニック開業支援コンサルタントの大場です。・・・・【物件】神奈川県相模原市緑区/医院開業・クリニック開業物件情報/【物件】神奈川県相模原市中央区/医院開業・クリニック開業物件情報」/【物件】神奈川県藤沢市/医院開業・クリニック開業物件情報(湘南エリア)/【物件】神奈川県小田原市/医院開業・クリニック開業物件情報(湘南エリア)/【物件】神奈川県平塚駅前/医院開業・クリニック開業物件情報(湘南エリア)/【物件】神奈川県相模原市南区/医院開業・クリニック開業物件情報」の記載がある。
(https://iryohojin-support.com/2019/07/31/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%8C%BB%E7%99%82%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%81%AF%E3%80%8C%E5%9B%BD%E6%B0%91%E7%9A%86%E4%BF%9D%E9%99%BA/)

(5)「株式会社コンサルタントラボラトリー」のウェブサイトにおいて、「【重要】“クリニック開業支援”ノウハウを手に入れて、、、」の見出しの下、「今回は、(株)東海経営の「クリニック開業支援コンサルタント」の太田先生がノウハウを公開してくれます。無料情報の他にも、全国でセミナーやコンサル養成講座も行っているので、そちらも是非、参加してみてくださいね。」の記載がある。
(https://con-labo.jp/2014/05/822/)

2.「病院・診療所の開業を支援する役務」を、「クリニック開業支援」と称している例

(1)「SUZUKEN」のウェブサイトにおいて、「医院承継の案件や物件のご紹介」の見出しの下、「スズケンでは、クリニック開業支援の一環として、全国の医院承継案件について随時情報を収集、更新しています。」の記載がある。
(https://www.suzuken.co.jp/product/open/hospital1.html)

(2)「the医院開業」のウェブサイトにおいて、「クリニック開業支援・医院開業支援サイト/the医院開業」の見出しの下、「『the医院開業』は、開業準備から開業後の医院経営まで開業に役立つ情報を提供する情報ポータルサイトです。」や「経験豊富なコンサルタントによる開業無料相談」の記載がある。
(https://www.the-iinkaigyo.com/)

(3)「クリニック開業支援.COM」のウェブサイトにおいて、「プロのコンサルタントが開業を支援」の見出しの下、「当社はさまざまな理由で開業をしたいという方を、支援してきました。これまでにいくつもの医院を開業から成功に導いてきた、経験豊富なプロのコンサルタントがすべてサポートします。」の記載がある。
(https://www.kaigyoshien.jp/)

(4)「株式会社シンクロイズム」のウェブサイトにおいて、「クリニック開業支援」のメニューにおいて、「開業までにはやる事盛り沢山!/まずは決心・家族の同意/開業コンセプトの確定/開業場所の選定/事業計画書の作成/開業資金/設計事務所の選定/内装図面のコンセプト・・・」の記載がある。
(http://ism.synchro-ymc.com/14644188366854)

(5)「ブルーミングソウル」のウェブサイトにおいて、「医院・クリニック開業支援」の見出しの下、「Blooming Soulは、埼玉県下を中心に調剤薬局『あるも薬局グループ』を10箇所展開しております。多くの医院・クリニック様とのおつきあいを通し『地域性や周辺医療機関との連携』までをも見据えた医院・クリニック経営に必須のナレッジを豊富にストックしております。そんな我々だからこそ、医院・クリニック様のリアルタイムな課題を抽出した『現場ベース』のコンサルティングをご提供することが可能です。」の記載がある。
(http://bloomingsoul.co.jp/clinic_consul/consul/)

審理終結日 2021-01-28 
結審通知日 2021-02-09 
審決日 2021-03-04 
出願番号 商願2018-118538(T2018-118538) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W3541)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 町田 圭輔守屋 友宏 
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 板谷 玲子
綾 郁奈子
商標の称呼 クリニックカイギョーシエンコンサルタント、クリニックカイギョーシエン 
代理人 米田 恵太 

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