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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W28 審判 査定不服 観念類似 登録しない W28 審判 査定不服 外観類似 登録しない W28 |
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管理番号 | 1373890 |
審判番号 | 不服2020-7161 |
総通号数 | 258 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-06-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-05-26 |
確定日 | 2021-04-09 |
事件の表示 | 商願2018-108599拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,遊園地用機械器具,業務用テレビゲーム機」を指定商品として、平成30年8月29日に登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の1及び2のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第5005683号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成 別掲2のとおり 指定商品及び指定役務 第28類「スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,昆虫採集用具」及び第41類に属する商標登録原簿に記載の役務 登録出願日 平成17年 8月 3日 設定登録日 平成18年11月24日 更新登録日 平成28年11月22日 2 登録第5505468号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成 「サプライズパズル」(標準文字) 指定商品 第28類「ジグソーパズル,パズルおもちゃ,パズルゲームおもちゃ」 登録出願日 平成23年12月9日 設定登録日 平成24年 7月6日 以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本願商標と引用商標の類否について ア 本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、「サプライズ」の片仮名と「SURPRISE」の欧文字を、左右の両端をそろえ、上下二段に横書きしてなるところ、「SURPRISE」は、「驚き」(「ベーシックジーニアス英和辞典」(株式会社大修館書店))の意味を有する、我が国において一般に親しまれた平易な英単語である。そして、本願商標の構成中、上段の片仮名部分は下段の欧文字部分の読みを表してなるものと容易に認識できるため、本願商標は、その構成文字に相応して、「サプライズ」の称呼を生じ、また、「驚き」の観念が生じるものである。 イ 引用商標について (ア)引用商標1 引用商標1は、別掲2のとおり、「サプライズi(「i」の上には「アイ」のルビが赤字で付されている。)の太字を、「サ」及び「ズ」の文字を大きく表し、両文字の横線を同一線上に双方の距離が近づくように、やや長く表し、当該横線の隙間を、横線と同じ太さの破線でつないでいる。そして、「サ」及び「ズ」の文字、及びそれらをつないだ破線の中に収まるように「プライ」の文字をやや小さく表し(「ラ」の文字は、「プ」及び「イ」よりも更に小さく表されており、「プ」に付加する半濁点は、右下部に表されている。)、また、「ズ」の右側に、「アイ」のルビを上部に付したやや小さい「i」の文字を配している。そして、その構成中、「サプライズi」の文字は、赤色の太字で表され、当該文字部分中、「プライズ」の各文字の間の空間ないしその上部を黄色に塗りつぶし、「サプライズi」の文字の外周部についても立体的な影のような形状となるように同じ黄色に塗りつぶした構成からなるものであるから、その構成全体がまとまりよく一体的なものとして看取、把握されるというのが相当である。 また、引用商標1は、その構成全体に照らして「サプライズアイ」の称呼を生じるところ、それ自体7音にすぎず、格別冗長というべきものではなく、一連によどみなく称呼し得るものである。 そして、引用商標1の構成中、「サプライズi」の文字は、辞書等に成語として掲載されていないものであって、特定の意味合いを有するものとして認識されているような事情も見いだせないものであることからすれば、一種の造語として認識されるというべきものであるから、これよりは特定の観念を生じないものである。 したがって、引用商標1は、「サプライズアイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (イ)引用商標2 引用商標2は、上記第2の2のとおり、「サプライズパズル」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成中、後半の「パズル」の片仮名部分は、引用商標2の指定商品「ジグソーパズル,パズルおもちゃ,パズルゲームおもちゃ」を指称する語であるから、同部分から出所識別標識としての称呼、及び観念を生じないというのが相当である。 一方、引用商標2は、その構成中、前半の「サプライズ」の片仮名部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということができ、これを要部として抽出し、本願商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 そうすると、引用商標2の構成中、「サプライズ」の片仮名部分は、「驚き」の意味を有する「SURPRISE」の英単語(前掲書)を片仮名で表したものと容易に認識、理解させるものであるから、その構成文字に相応して、「サプライズ」の称呼を生じ、「驚き」の観念を生じるものであって、当該片仮名部分は独立して商品の出所識別機能を果たし得るというべきである。 したがって、引用商標2は、その構成全体から生じる「サプライズパズル」の称呼のほかに、その要部である「サプライズ」の片仮名部分に相応した「サプライズ」の称呼を生じ、「驚き」の観念が生じるものである。 ウ 本願商標と引用商標の類否について (ア)本願商標と引用商標1の類否 本願商標と引用商標1は、上記ア及びイ(ア)のとおりの構成よりなるところ、構成中に「サプライズ」の文字を有する点において共通するとしても、本願商標が有する「SURPRISE」の欧文字、及び、引用商標1が有する「アイ」のルビを上部に付した「i」の文字の有無という差異を有することに加え、その構成態様において明らかな差異を有するものであるから、両者は、外観上、判然と区別し得るものである。 また、本願商標から生じる「サプライズ」の称呼と引用商標1から生じる「サプライズアイ」の称呼を比較すると、両者は、5音と7音という音数の差異、語尾の「アイ」の音の有無の差異を有するものであり、当該差異が、比較的短い音構成よりなる両称呼において、全体の音調、音感に及ぼす影響は小さいものとはいえず、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が異なり、互いに聞き誤るおそれのないものというのが相当である。 そして、本願商標は「驚き」の観念を生じるものであるのに対し、引用商標1は特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。 そうすると、本願商標と引用商標1とは、外観において判然と区別し得るものであり、称呼及び観念において相紛れるおそれのないものであるから、両者は非類似の商標というべきである。 (イ)本願商標と引用商標2の類否 本願商標と引用商標2は、上記ア及びイ(イ)のとおりの構成よりなるところ、全体の外観を比較したときには、その構成態様において明らかな差異を有するものであるが、本願商標と引用商標2の要部である「サプライズ」の文字部分を比較すると、両者は欧文字部分の有無等の差異を有するものの、「サプライズ」の片仮名を共通にし、いずれも一般的な書体で表されている点を共通にするため、両者の外観上の相違は、需要者に強い印象を与え、その記憶に深く残るものではない。 そして、両者は、「サプライズ」の称呼、及び「驚き」の観念を共通にするものである。 以上からすると、本願商標と引用商標2の要部とは、称呼及び観念を共通にするものであり、外観における差異についても、称呼及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものであるから、両商標について、上記の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標2とを同一又は類似する商品に使用したときは、取引者、需要者をして、商品の出所について混同を生ずるおそれがある類似の商標というのが相当である。 (2)本願商標と引用商標2の指定商品の類否について 本願商標の指定商品中、「おもちゃ,人形」は、引用商標2の指定商品「ジグソーパズル,パズルおもちゃ,パズルゲームおもちゃ」を含む商品であり、また、生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途並びに需要者の範囲を共通にするものといえるから、本願商標の指定商品は、引用商標2の指定商品と同一又は類似するものである。 (3)小括 以上によれば、本願商標は、引用商標2と類似する商標であり、かつ、引用商標2の指定商品と同一又は類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 請求人の主張について (1)請求人は、引用商標2は、「サプライズパズル」の文字を標準文字にて横書きしてなるものであり、同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく一体的に表され、構成要素の間にスペースも存在せず、また、生じる称呼「サプライズパズル」も8音と格別冗長ではなく、語呂良く一連に称呼し得るものであるから、かかる構成の引用商標2は、構成全体で一体不可分の造語商標として理解するのが相当であって、殊更に「パズル」部分を省略する特別な理由は見当たらないというべきであるとし、引用商標2からは「サプライズパズル」の一体的称呼のみが生じる旨主張している。 しかしながら、引用商標2の構成文字全体から生じる「サプライズパズル」の称呼が8音であるとしても、上記1(1)イ(イ)のとおり、その構成中、後半部分の「パズル」の文字部分から商品の出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものではなく、前半部分の「サプライズ」の文字部分が取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというのが相当であり、単に称呼が8音と格別冗長でなく一連に称呼し得ることをもって、一連の称呼のみが生じるということはできず、また、ほかに「サプライズパズル」の称呼のみをもって、取引に当たるとすべき事情も見いだせない。 (2)請求人は、過去の登録例及び審決例を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張している。 しかしながら、請求人が挙げる登録例及び審決例は、本願商標とは、その構成、態様及び指定商品等が異なることから、事案を異にするものであり、かつ、具体的事案の判断においては、過去の審決例や登録例に拘束されることなく判断されるべきであるから、これらの事例の存在が上記の判断を左右するものではない。 (3)したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本願商標) 別掲2(引用商標1。色彩は原本参照。) |
審理終結日 | 2021-01-25 |
結審通知日 | 2021-01-27 |
審決日 | 2021-02-22 |
出願番号 | 商願2018-108599(T2018-108599) |
審決分類 |
T
1
8・
263-
Z
(W28)
T 1 8・ 261- Z (W28) T 1 8・ 262- Z (W28) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 内田 直樹、小林 大祐 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
庄司 美和 杉本 克治 |
商標の称呼 | サプライズ |
代理人 | 特許業務法人 志賀国際特許事務所 |