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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W43
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W43
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W43
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W43
管理番号 1372956 
異議申立番号 異議2020-900030 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-02-03 
確定日 2021-03-31 
異議申立件数
事件の表示 登録第6194929号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6194929号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第6194929号商標(以下、「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり、平成31年2月21日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、令和元年9月6日に登録査定され、同年11月8日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号に該当するとして、引用する商標は次の2件の商標であり、いずれも現在、有効に存続しているものである。
1 国際登録第1204741号商標(以下、「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2013年6月21日にフランス国においてした商標登録出願に基づいて、パリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成25年)12月20日に国際商標登録出願、第9類、第18類、第30類、第41類及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成27年10月30日に設定登録されたものであり、その後、指定商品及び指定役務中の第30類及び第43類の指定商品及び指定役務については、2015年(平成27年)10月13日に、国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務に減縮され、別掲4のとおりの指定商品及び指定役務として、その登録が平成28年2月15日にされたものである。
2 国際登録第1410266号商標(以下、「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、2018年(平成30年)8月30日に国際商標登録出願(事後指定)、第43類「Services for providing food and beverages; bar services; catering services」を含む、第21類、第25類、第30類及び第43類に属する国際商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年8月21日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
1 申立て理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上段に動物のキツネ図形、中段に「KITSUNE」の欧文字、下段には中段の「KITSUNE」よりも小さく描かれた「TEMPURA STAND」の欧文字を、三段に表してなる商標であり、その構成態様から、本件商標を見た取引者・需要者は上段、中段、下段とそれぞれ分離して看取する。
さらに、人の目は自然に中心部分に焦点を合わせることから、本件商標を見た取引者・需要者は、はじめに中段に大きく描かれた欧文字「KITSUNE」部分に目がいくと考えられ、さらに上段のキツネ図形が組み合わされていることから、本件商標からは動物の「狐」の印象を強く与えるといえるので、本件商標を見た需要者・取引者は「キツネ」の称呼が生じると認識する。
下段の「TEMPURA STAND」は、中段の「KITSUNE」よりも小さく描かれており、かつ「TEMPURA STAND」からは「テンプラスタンド」の称呼が生じる。
これは指定役務である「飲食物の提供」との関係において、「天ぷらスタンド」の意味合いを想起させるものである。
飲食店における「スタンド」とは、「屋台式の売店、『駅のスタンド』、カウンターで飲食させる店。また、カウンターに沿って並べた席。『コーヒースタンド』」(甲4)を意味する。
よって、「テンプラスタンド」からは、「天ぷらを提供するスタンド形式の店」等の意味が生じ、役務との関係においては識別力のない語である。
したがって、下段の「TEMPURA STAND」部分には識別力がなく、本件商標の要部は、上段と中段から生じる称呼「キツネ」であり、本件商標からは「キツネ」の称呼及び「狐」の観念が生じる。
これに対し、引用商標1は、欧文字「Kitsune」(「e」にはアキュート・アクセント付。以下同じ。)からなり、「キツネ」の称呼及び「狐」の観念が生じる。
引用商標2は、欧文字「Cafe Kitsune」(「e」にはアキュート・アクセント付。以下同じ。)からなる商標であるが、第43類の指定役務中「Services for providing food and beverages(日本語訳:飲食物の提供)」については、「Cafe」部分は識別カがなく、要部は「Kitsune」であると認識され、「キツネ」の称呼が生じる。
特許情報プラットフォーム商標出願・登録情報を見ても、「キツネ」の称呼が付されていることが確認でき、審決(無効2010-890051)(甲5)においても「カフェ」の語が「飲食物の提供」との関係においては、自他役務の識別標識としての機能は、極めて弱いか、若しくは果たし得ないものと判断されているから、引用商標2からも「キツネ」の称呼が生じる。
したがって、本件商標と引用商標とは、共に「キツネ」の称呼及び動物の「狐」の観念が生じることから、互いに同一又は類似の商標であり、本件商標の指定役務「飲食物の提供」と引用商標の指定役務「Services for providing food and drink」とは同一又は類似の役務である。
本件商標と引用商標とは、称呼「キツネ」を同じくし、役務が類似するので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、ウィキペディア「Kitsune」(甲7)に示すように、2002年にフランス・パリのインディペンデントレーベルとして設立された会社であり、音楽だけでなくファッション、アートなど様々な活動を行うクリエイター集団として、ファッションブランドMAISON KITSUNE(メゾンキツネ)でも知られている。
申立人のホームページのとおり、引用商標を使用したカフェ店は、「東京」「パリ(3店舗)」「ニューヨーク」等の世界各国の主要都市に9店舗に存在している(甲8)。
さらに「ジャカルタ」「ロンドン」「北京」等にも間もなく店舗がオープンする予定である(甲9)。
日本における「Cafe Kitsune」「カフェキツネ」は、2013年に本国であるパリのオープンより1年前に青山(表参道)に先行して世界発のカフェ店としてオープンし、人気の店としてインターネット上でも多数紹介されている。
インターネット記事では、申立人が展開する「カフェ」が今までにない新しいカフェ文化を築き上げていることを具体的に紹介している(甲10)。
申立人の使用する「CAFE KITSUNE」「カフェキツネ」は、「飲食物の提供」を役務とした「カフェ店」として日本及び海外で周知となっており、申立人の事業形態は、ライフスタイルを構成する、音楽・ファッション・食のトータルブランドに力をいれているとして取引者・一般需要者に知られている。
また、2019年9月に岡山県に出店した店で焙煎されたコーヒー豆が青山の店舗でも使用されることになり、その人気はより高まっている(甲11)。
さらに、2020年5月21日には京都の複合施設「新風館」に「カフェキツネ」併設の新店舗がオープンする予定であり、この新店舗は、ファッション、音楽レーベル、カフェを全て展開する国内初の店舗となる(甲12)。
このように「CAFE KITSUNE」「カフェキツネ」は、インターネットや国内の人気雑誌や書籍、海外雑誌にたびたび紹介され、ファッションとしても人気のあるブランド「MAISON KITSUNE」「メゾンキツネ」とともに周知の商標になっている(甲13、甲14)。
また、本件商標権者の店舗では、実際に「KITSUNE」が屋号であるかのごとく使用されていることからも、本件商標の要部は「KITSUNE」であり、申立人の業務に係る役務と出所の混同を生ずるものである(甲15)。
したがって、「キツネ」の称呼が生じる本件商標が、本件指定役務について使用された場合には、申立人の業務に係る役務と出所の混同を生ずるおそれがあり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審における取消理由
当審において、令和2年10月29日付けで、本件商標権者に対し、「本件商標は、引用商標1との関係において、その指定役務中、第43類『Services for providing food and drink; bar services; food and drink catering』について、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 本件商標権者の意見
上記第4の取消理由に対して、本件商標権者は、要旨次のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、上段に狐をモチーフにした図形、中段に「KITSUNE」の欧文字、下段に「TEMPURA STAND」の欧文字を配した構成からなるところ、簡易迅速を旨とする商取引の実情において、図形部分と文字部分とを分離して観察され得る点について、異論はない。
しかし、「TEMPURA STAND」の文字と「KITSUNE」の文字の大小、及び「TEMPURA STAND」の文字に識別標識としての機能を有しないか、極めて低いものであるとして、「KITSUNE」の文字と「TEMPURA STAND」の文字を分離して類否判断されている点については誤りである。
「TEMPURA STAND」の文字が「KITSUNE」の文字に比して小さく表されている点については相違ないが、需要者が明らかに読めない程に小さく表示されているということはできない。加えて、「KITSUNE」の語及び「TEMPURA STAND」の語が全て大文字・ゴシック体で統一して表記されている点、下段の「TEMPURA STAND」の文字が、中段の「KITSUNE」の語調より第2文字目の「I」から、語尾より2文字目の「N」までの中央に揃えて構成されている点から、「KITSUNE」と「TEMPURA STAND」の視覚的一体性を生み出している。
そうすると、本件商標は、中段及び下段の文字全体として一つの店名を表示したものと判断するのが妥当である。
次に、本件商標及び引用商標の指定する役務の属する分野における一般的、恒常的な取引の実情の側面からも、本件商標中「KITSUNE」及び「TEMPURA STAND」の文字を分離すべきでない。
「飲食物の提供」との関係では、需要者等はその店に関する情報(提供される飲食物の種別など)を入手して役務の提供を受けるのが普通であるにもかかわらず、提供される飲食物の種別が標章の一部として明確に認識できる場合に、その部分をあえて捨象し、出所を判断すると考えること自体が不自然である。
したがって、本件商標中の「TEMPURA STAND」の文字を捨象し、引用商標と類否判断するよりも、「TEMPURA STAND」部分には識別機能が乏しいとはいえ、発揮しているとみることが実情に合致する。
次に、本件商標及び引用商標の役務の属する分野における取引慣行の側面からも、本件商標中「KITSUNE」及び「TEMPURA STAND」の文字を分離すべきでない。
本件商標中の「KITSUNE」の文字は、「狐」の意味合いを容易に認識するが、「狐」「きつね」「KITSUNE」を使用した飲食店は、グルメサイト「食ベログ」における検索結果だけを見ても数多く存在する。(乙1?乙3)
また、「きつね」の文字が、「きつねうどん((油揚は狐の好物ということから)甘辛く煮た油揚と刻んだ葱を入れた掛けうどん)の略」、「いなりずしの異称」、「きつねいろ(「狐の毛色のような黄がかった薄い焦茶色を指す」の略」(広辞苑)の意味として知られていることがわかる。
さらに、「きつね丼」のように、「味付けきざみあげの入った玉子丼」(乙4)のような料理名として使用されている。
他にも、「きつねいろ」のように「狐の毛色のような黄がかった薄い焦茶色」(広辞苑)、例えば、ホットケーキ、餃子、揚げ物、炒め物などの焼き目の色やこんがりとした色を表現する際、一般的に使用されていることは周知の事実である。
つまり、「飲食物の提供」において「きつね」の文字は、一般的に普通に用いられる単語であって、多くの使用がされている。
そして、上記の点は、過去の登録例にも参酌されているものと推察し、実際に、「キツネ」の称呼が生じる商標が役務「飲食物の提供」において複数併存登録されている(乙5?乙7)。
したがって、「飲食物の提供」において「KITSUNE」の文字は、自他役務識別力が弱い語である。
他方、本件商標中「TEMPURA STAND」の文字は、「天ぷらスタンド」という役務の態様を示すと考えられるから、自他役務識別機能が弱い語である。
以上より、識別力の弱い「KITSUNE」と、同じく識別力の弱い「TEMPURA STAND」のどちらかが独立して着目され、役務の出所識別機能を発揮するというよりは、むしろ両者が結合して一体となった「KITSUNE TEMPURA STAND」として把握され、識別機能を発揮するとみるのが相当である。
2 本件商標と引用商標との類否判断
本件商標は、「KITSUNE TEMPURA STAND」一体として自他役務を識別する機能を有するから、引用商標「Kitsune」とは、相紛れるおそれがない非類似の商標である。
3 まとめ
本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1) 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、上段に狐をモチーフにしたとおぼしき図形、中段に大きく「KITSUNE」の欧文字及び下段にそれよりも小さく「TEMPURA STAND」の欧文字を配した構成からなるところ、当該図形部分と当該文字部分とは、その構成上、分離して観察することが取引上、不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。
そして、当該文字部分において、「KITSUNE」の文字は、外観上、大きく顕著に表されており、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであること、また、「TEMPURA STAND」の文字は、「KITSUNE」の文字に比して極めて小さく表されて、特に看者の目をひくような特殊な態様で表されているものでもないことからすれば、「KITSUNE」の文字と「TEMPURA STAND」の文字とを分離して観察することが取引上、不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものともいえない。
さらに、「KITSUNE」の文字部分は、本件商標に係る指定役務との関係において、自他役務を識別する機能を果たし得ないとみるべき事情はなく、他方「TEMPURA STAND」の文字部分は、被請求人も「天ぷらスタンド」という役務の態様を示し自他役務識別機能が弱い語と述べていることに加え、これらの文字を常に一体のものとして把握しなければならない実情も認められない。
そうすると、本件商標は、その構成中、顕著に表された「KITSUNE」の文字部分を要部として抽出し、引用商標1と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
そして、「KITSUNE」の文字部分は、その構成文字に相応して「キツネ」の称呼を生じ、一般に親しまれた語である「狐」を容易に理解させるものである。
したがって、本件商標は、構成文字全体から生じる「キツネテンプラスタンド」の称呼のほかに、構成中の「KITSUNE」の文字部分に相応して、「キツネ」の称呼を生じ、「狐」の観念を生じるものである。
(2)引用商標1について
引用商標1は、別掲2のとおり、「Kitsune」(「e」にアキュート・アクセントが付いている。)の欧文字を横書きしてなるところ、そのつづりは、一般に親しまれた語である「狐」を容易に想起させるものである。
したがって、引用商標1は、その構成文字に相応して「キツネ」の称呼を生じ、「狐」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1とは、全体の外観において、文字の大きさやアキュート・アクセントの有無という相違があるとしても、本件商標の要部である「KITSUNE」の文字と引用商標1とは、同一のつづりからなるものであるから、両商標は、外観上、似かよった印象を与えるものである。
そして、本件商標の要部である「KITSUNE」の文字と引用商標1とは、「キツネ」の称呼及び「狐」の観念を共通にするものである。
以上のことから、本件商標と引用商標1とは、全体の外観は相違するとしても、外観において似かよった印象を与え、称呼及び観念を共通にするものであるから、その外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本件商標の指定役務と引用商標1の指定役務との類否について
本件商標の指定役務である、第43類「飲食物の提供」は、引用商標1の指定役務中、第43類「Services for providing food and drink; bar services; food and drink catering」とその提供の目的、提供に係る内容及び需要者の範囲などが一致するものといえるから、両者は、同一又は類似の役務というべきである。
(5)引用商標2について
引用商標2は、別掲3のとおり、「Cafe Kitsune(「e」にアキュート・アクセントが付いている。)の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中に「Cafe」の文字を有するとしても、同じ書体で外観上まとまりよく表わされていることから、これより「カフェキツネ」の称呼のみを生じ、「キツネという店名のカフェ」程の意味合いを生じる。
(6)本件商標と引用商標2との類否について
本件商標と引用商標2とは、それぞれ上記(1)及び(5)のとおりの構成よりなるものであるから、外観においては、その構成態様が明らかに異なり、外観上、相紛れるおそれのないものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「キツネ」の称呼と引用商標2から生じる「キツネカフェ」の称呼とは、それぞれ、3音と5音という構成音数の差異を有し、かつ、「カフェ」の有無の差異を有するから、両者は、称呼上、明らかに聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標から生じる「狐」の観念と引用商標2から生じる「キツネという店名のカフェ」とは、観念上、相紛れるおそれはないものである。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(7)本件商標の指定役務と引用商標2の指定役務との類否について
本件商標の指定役務である、第43類「飲食物の提供」は、引用商標2の指定役務中、第43類「Services for providing food and beverages; bar services; catering services」とその提供の目的、提供に係る内容及び需要者の範囲などが一致するものといえるから、両者は、同一又は類似の役務というべきである 。
(8)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1は類似するものであり、かつ、本件商標の指定役務、第43類「飲食物の提供」は、引用商標1の指定役務と同一又は類似のものである。
また、本件商標の指定役務は、引用商標2の指定役務と同一又は類似のものであるとしても、本件商標と引用商標2は非類似の商標である。
したがって、本件商標は、引用商標1との関係で、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第10号から前号までに掲げるものを除く。)」と規定されている。
したがって、本件商標は、上記1のとおり、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同項第15号の括弧書きの規定により、同号に該当するとはいえない。
3 本件商標権者の主張について
(1)本件商標権者は、「飲食物の提供」との関係では、需要者等はその店に関する情報(提供される飲食物の種別など)を入手して役務の提供を受けるのが普通であるにもかかわらず、提供される飲食物の種別が標章の一部として明確に認識できる場合に、その部分をあえて捨象し、出所を判断すると考えること自体が不自然である。」旨主張している。
しかしながら、図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、分離して観察することが取引上、不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、結合商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所表示識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などは、当該構成部分の一部を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものであり、本件商標については、上記1(1)のとおり、顕著に表された「KITSUNE」の文字部分を要部として抽出し、類否判断をすることは許されるものと判断するのが相当である 。
(2)本件商標権者は、「『飲食物の提供』において『きつね』の文字は、一般的に普通に用いられる単語であって、多くの使用がされていることから、『KITSUNE』の文字は、自他役務識別力が弱い語である。」(乙1?乙3)旨主張している。
しかしながら、「飲食物の提供」において「KITSUNE(きつね)」の文字が店名若しくはその一部又は料理名などに使用されているとしても、そのことをもって直ちに「KITSUNE」の文字が一般的に用いられているとまではいい難く、他に「KITSUNE」の文字が自他役務を識別する機能を果たし得ないと認めるに足りる証拠はない。
(3)本件商標権者は、役務「飲食物の提供」における過去の登録例(乙5?乙7)を挙げ、本件商標についても同様に判断されるべきである旨主張している。
しかしながら、商標の類否の判断は、対比される商標について、当該判断時の取引の実情を勘案しつつ、その指定商品(指定役務)の取引者・需要者の認識を基準に対比される商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、本件商標権者の挙げたそれらの事例は、いずれも本件商標とは、判断時期、商標の構成態様等において異なるものであるから、事案を異にするというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、本件商標の上記判断が左右されるものではない。
(4)してみれば、本件商標権者の上記主張はいずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しないものの、引用商標1に類似する商標であって、引用商標1に係る指定役務と同一又は類似の役務について使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものといわなければならないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

別掲1
本件商標


別掲2
引用商標1


別掲3
引用商標2


別掲4(引用商標1の減縮後の第30類及び第43類の指定商品及び指定役務)
第30類 Coffee; tea; cocoa; sugar; rice; tapioca; sago; artificial coffee; flours and preparations made from cereals; bread; pastry and confectionery; edible ices; honey; treacle; yeast; baking powder; salt; mustard; vinegar; sauces (condiments); spices; sandwiches, pizzas; pancakes; biscuits; cookies; cakes; rusks; sugar confectionery; chocolate; beverages based on cocoa; coffee; chocolate or tea; with the exception of noodles and products related to noodles.
第43類 Services for providing food and drink; temporary accommodation; bar services; food and drink catering; hotel services; temporary accommodation reservations; day-nurseries [creches]; providing campground facilities; retirement homes; boarding for animals; with the exception of services in relation to noodle bars.


異議決定日 2021-02-18 
出願番号 商願2019-28024(T2019-28024) 
審決分類 T 1 651・ 261- Z (W43)
T 1 651・ 263- Z (W43)
T 1 651・ 262- Z (W43)
T 1 651・ 271- Z (W43)
最終処分 取消 
前審関与審査官 竹之内 正隆中尾 真由美 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 小田 昌子
齋藤 貴博
登録日 2019-11-08 
登録番号 商標登録第6194929号(T6194929) 
権利者 株式会社GB
商標の称呼 キツネテンプラスタンド、キツネ、テンプラスタンド、スタンド 
代理人 樋口 頼子 
代理人 塚田 美佳子 
代理人 武田 太郎 
代理人 辻田 朋子 
代理人 中川 慶太 
代理人 山田 薫 
代理人 下田 一徳 
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