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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W36
審判 全部申立て  登録を維持 W36
管理番号 1372942 
異議申立番号 異議2020-900232 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-09-16 
確定日 2021-04-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第6265722号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6265722号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6265722号商標(以下「本件商標」という。)は、「川越不動産株式会社」の文字を標準文字で表してなり、令和元年7月24日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を指定役務として、同2年5月25日に登録査定、同年7月3日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、「川越不動産株式会社」の文字を書してなるところ、埼玉県内の地域の名称である「川越」、業種を表す「不動産」及び「株式会社」の文字を結合してなるものである。
そして、当該「川越」の文字は、都心から1時間弱の立地で蔵造りの街並みを楽しめる観光地として人気があり、日本有数の観光客数を誇る観光地として広く知られていて、川越市には2019年の1年間に、過去最高の775万人の観光客が訪れており(甲2)、また、江戸時代の慶安年間(1648年)に起源を有する「川越まつり(川越氷川祭)」は370年以上の歴史と伝統を誇り、2005年には「川越氷川祭の山車行事」として国の重要無形民俗文化財に指定されている。さらに、2016年には、川越まつりは「山・鉾・屋台行事」としてユネスコの世界無形文化遺産に登録されており、世界に日本の伝統文化を発信している(甲3)。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
埼玉県川越市内において、本件商標に係る商標権者とは異なる事業者が、「株式会社川越不動産」の名称にて不動産事業を行っており、上記事業者は、川越市内を中心に、埼玉県内の広域にてCSR活動、社会貢献活動及び広告宣伝活動を幅広く行っている(甲4?甲7)。
このような取引実情の下においては、本件商標は、「すでに一般的に使用がされ、あるいは、将来必ず一般的に使用がされるもの」に該当すると考えられることから、商標としての一般的、普遍的な適格性に欠け、自他役務識別力を有さない商標というべきである。
すなわち、本件商標は、「役務の提供の場所等」を、普通に用いられる方法で表した標章のみからなる商標であって、特定人による本件商標の独占使用を認めることは、公益上、適当でない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標「川越不動産株式会社」は、その構成上、「事業者の設立地・事業者の所在地等を表す国内の地理的名称」からなるものと認識される。
したがって、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(4)むすび
本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標は、商標法第43条の2第1号の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3第1項第3号該当性について
本件商標は、上記1のとおり、「川越不動産株式会社」の文字よりなるところ、これは「埼玉県中南部の市。酒井・松平氏らの城下町として繁栄し、小江戸と呼ばれる。」を意味する「川越」の文字、「民法上、土地およびその定着物(建物・立ち木など)のこと。」を意味する「不動産」の文字、及び「資本金が株式という均等な形式に分割され、出資者すなわち株主が組織する有限責任会社。」を意味する「株式会社」の文字(出典はいずれも株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)を結合したものと認識されるとしても、「川越不動産株式会社」の文字全体からは、固有の会社名を表したものと理解されるというべきであり、これが直ちに本件商標の指定役務について、その役務の提供の場所等を直接的かつ具体的に表したものと認識されるとはいい難いものである。
また、当審において職権をもって調査するも、本件商標の指定役務を取り扱う業界において、「川越不動産株式会社」の文字が具体的な役務の提供の場所等を表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本件商標に接する需要者が、当該文字を役務の提供の場所等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
してみれば、本件商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は、上記1のとおり、「川越不動産株式会社」の文字からなるところ、たとえ、その構成中の「川越」の文字が、地名、すなわち地理的名称を表示する文字であるとしても、そのことをもって、直ちに「不動産」及び「株式会社」の文字を付加してなる「川越不動産株式会社」の文字が「事業者の設立地・事業者の所在地等を表す国内の地理的名称」にあたるとはいい難い。
また、当審において職権をもって調査するも、「川越不動産株式会社」の文字は、多数の者によって使用されている会社名等であるというに足りる証拠を発見することもできない上、本件商標の指定役務の取引者、需要者が、当該文字を自他役務の識別標識と認識し得ないというべき事情も発見できなかった。
そうすると、本件商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえないというのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同法第3条の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に、同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2021-03-15 
出願番号 商願2019-107055(T2019-107055) 
審決分類 T 1 651・ 16- Y (W36)
T 1 651・ 13- Y (W36)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川崎 萌未 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 馬場 秀敏
杉本 克治
登録日 2020-07-03 
登録番号 商標登録第6265722号(T6265722) 
権利者 川越不動産株式会社
商標の称呼 カワゴエフドーサン 

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