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審決分類 審判 全部申立て   
審判 全部申立て  登録を維持 
管理番号 1371914 
異議申立番号 異議2020-900237 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-09-23 
確定日 2021-03-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6283883号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6283883号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6283883号商標(以下「本件商標」という。)は、「CHATEAU DE L’ESPOIR」の文字を標準文字で表してなり、令和元年8月9日に登録出願、第35類「飲食料品の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、令和2年8月18日に登録査定され、同年8月25日に設定登録されたものである。
第2 引用商標等
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標は、次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第471330号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、昭和29年11月10日に登録出願、第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同30年9月29日に設定登録、その後、指定商品については、平成18年3月15日に第30類「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。),粉末あめ,水あめ(調味料),もち,パン」に書換登録されたものである。
2 登録第1108743号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和47年2月21日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同50年3月3日に設定登録、その後、指定商品については、平成17年3月30日に第30類「菓子,パン」に書換登録されたものである。
3 登録第5139577号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成19年5月17日に登録出願、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同20年6月13日に設定登録されたものである。
4 登録第471330号の防護標章登録第1号標章(以下「引用防護標章」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成24年7月23日に登録出願、第30類「茶,コーヒー,ココア,穀物の加工品」及び第35類「飲食料品(「菓子,パン」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同27年7月3日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは、「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)を提出した。
1 引用商標の周知著名性について
(1)引用商標を使用する商品について
引用商標は、申立人が指定商品「菓子」(以下、「使用商品」という場合がある。)について使用しているものである(甲10等)。引用商標の使用開始の時期は昭和51年(1976年)11月であり(甲16の3)、以後、40年以上の長きにわたり、菓子の商品商標としてだけでなく、菓子を販売する店舗の名称(屋号)や百貨店等の販売コーナーにおける名称としても使用されてきた(甲16の1?15、甲17の1?20)。
(2)使用商品を販売する店舗等について
申立人が使用商品を販売する店舗の名称は「レスポワール」であり(以下、申立人が使用商品を販売する店舗を「レスポワール販売店」という。)、最初のレスポワール販売店は、昭和51年11月にオープンした東京の西武百貨店渋谷店及び池袋店である(甲16の13)。以後、レスポワール販売店の多くは百貨店の食料品売り場の菓子販売コーナーに出店されてきた(甲18の1?17等)。
2001年11月1日から22日にかけて行われた消費者認識調査の結果がまとめられた日経産業消費研究所2002年6月25日発行の「ランキングで見るデパ地下2002年6月調査報告書」の洋菓子ランキング表(114頁)では、使用商品を販売する申立人の店舗「レスポワール」の総合評価(首都圏と近畿圏のまとめた評価)は16位、近畿圏では10位であり、「レスポワール」という「店舗名を知っている」と回答したアンケート対象者(「菓子」の需要者たる調査対象の消費者)は全体(首都圏及び近畿圏)の半数近い46.3%を占め、近畿圏についてみれば6割近い58.9%が「知っている」と回答している(甲19)。かかる事実から、レスポワール販売店は遅くとも2001年11月の時点において、使用商品を取り扱う店舗の名称として需要者間において広く知られていたことは明らかである。
平成22年(2010年)11月の時点において使用商品を常設する百貨店の店舗は東北(青森県)から九州(鹿児島県)まで、全国110店舗存在しており(甲8、甲20)、このうち、約3分の2にあたる73店舗は1990年より前から営業しており、42店舗については1980年代には既に営業していた(甲8)。
2020年12月1日現在のレスポワール販売店は、北は北海道から南は鹿児島県まで、全国各地で80店舗が営業しているが(甲21)、そのうち39店舗(北は青森県から南は熊本県まで)は30年以上も継続して営業している(甲20等)。
使用商品は百貨店に出店しているレスポワール店舗のみでなく、全国の量販店の贈答品コーナー、直営店(甲17の1?8)、大阪空港内の土産物売場、菓子専門店、土産物専門店(甲17の12?15)等の小売店舗でも販売されている。また、全国の大手百貨店やゆうパック、量販店等のお中元・お歳暮用などの贈答用カタログ、百貨店のオンラインショップ、インターネット通販業者のサイト等の通信販売を通じても、遅くとも平成10年から現在まで継続的して販売されている(甲12の1?62、甲13の1?16)。
(3)まとめ
以上のとおり、申立人は、昭和51年(1976年)の使用商品の発売以来、40年以上の長きにわたり引用商標を使用しており、使用商品は百貨店をはじめとする全国の小売店舗及び贈答用カタログやインターネット通販サイトを通じて販売されてきた。
そして平成22年(2010年)3月1日付毎日新聞の夕刊4頁には「(前略)・・・風味豊かなバターと卵を使って焼き上げたクッキー「レスポワール」。神戸風月堂(神戸市中央区)の看板商品は、幅広い世代に長く愛されてきた。同社の商品を扱う店舗は、国内外で約2000店に上る。・・・(後略)。」と紹介されていることからも明らかなとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、レスポワール販売店の店舗名等の使用とも相まって、遅くとも平成22年(2010年)頃には、取引者、需要者間に広く認識されるに至った。
この点については特許庁も明確に首肯しているところ(甲8、甲9の1、2)、申立人はその後も現在に至るまで引用商標を全国で継続して使用していることから(甲10?甲13、甲15等)、引用商標が全国の需要者間において「贈答用の定番のお菓子」の広く知られた著名なお菓子ブランドとして現在もその著名性を維持していることは明らかである。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標「CHATEAU DE L’ESPOIR」の構成中の「CHATEAU」は、「城」等を意味するフランス語であるところ、この語は「ボルドー地方のブドウ園」や「ボルドー地方で醸造される高級ワインの銘柄」等も意味し(甲6の1、2)、本件指定役務との関係では、そのようなブドウ園に関連する商品や、フランス産ワインの販売に係る小売等役務を理解せしめるものであり、また、「CHATEAU」の語を含む商標が本件指定役務と同一又は類似の役務について多数出願され、登録されている(甲7)ことを考慮すれば、本件指定役務について強い識別力を発揮するものでないことは明らかである。
これに対し、本件商標の「L’ESPOIR」部分については、引用商標1、引用商標3の上段(ローマ文字部分)及び引用防護標章と同一の綴りであり、引用商標1及び引用商標3が40年以上の長年にわたり申立人の業務に係る商品「菓子」の商品ブランドとして、また、その商品を販売する店舗(レスポワール販売店)の名称等として使用されている著名な商標であることを考慮すれば、「L’ESPOIR」が自他役務の識別標識として強く支配的な印象を与えることは明らかであり、よって本件小売等役務に係る業界の需要者及び取引者が、本件商標から「L’ESPOIR」部分を分離抽出して、この部分を自他役務の識別標識と捉える場合があることは明白である。
(2)そこで本件商標と引用商標の類否について検討すると、本件商標は、その構成中の自他役務の識別標識として強く支配的な印象を与える「L’ESPOIR」部分の外観が引用商標1と同一であり、かつ、引用商標3と類似のものである。
また、本件商標の「L’ESPOIR」部分からは、引用商標と同一の称呼「レスポワール」が生じる。
観念についても、本件商標の「L’ESPOIR」からは、フランス語の語義に応じた「希望」という意味合いのほか、申立人の業務に係る商品(使用商品)又は役務(レスポワール販売店など)も想起されるので、本件商標と引用商標とは観念においても紛らわしい類似の商標である。
以上のとおり、本件商標は、外観、称呼、観念のいずれにおいても引用商標と相紛れるおそれのある商標である。
(3)そして、引用商標1及び引用商標2の指定商品並びに引用商標3に係る指定役務(小売等役務)は、本件指定役務と類似の関係にある。
(4)したがって、商標の構成中に自他役務の識別標識として強く支配的な印象を与える「L’ESPOIR」の文字を含む本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人が引用商標を使用する商品及び役務は、いずれも食品に関する分野の商品及び役務であって、その生産者、販売者、材料、用途等を共通にする場合があり、いずれの商品及び役務についても、百貨店や量販店などで食品を販売し、飲食物を提供するなどして取り扱われるものである。
また、食品や飲食店の需要者は、広く一般消費者であることに加えて、洋菓子を販売する店舗が、店内に紅茶やコーヒー等を販売するコーナーを設けて喫茶店を併設する営業形態は当該業界において古くから一般に行われてきている(甲16の1等)。
特許庁においてもこの点を明確に首肯しており、引用商標1について、第30類「茶,コーヒー,ココア,穀物の加工品」、第35類「飲食料品(「菓子,パン」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務とした防護標章の登録を認めている(甲5、甲8)。
(2)そして、申立人は引用商標を現在も継続して広く全国で使用しており、引用商標の著名性は現在も維持されている。
(3)そうすると、著名な引用商標1をその構成中に含む本件商標が、本件指定役務について使用された場合、これに接する需要者は、その商品及び役務があたかも申立人又は申立人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
(4)したがって、商標の構成中に申立人の著名な商標と同一の文字「L’ESPOIR」を含む本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
ア 引用商標は、申立人が指定商品「菓子」について使用しているものである(甲10等)。
イ 引用商標2及び引用商標3の下段の片仮名文字「レスポワール」並びに引用商標3の上段の欧文字「L*espoir」(引用商標3とは異なるデザイン化がなされている。以下同じ。)の使用開始の時期は昭和51年(1976年)11月であり(甲16の3)、以後、引用商標1及び引用商標3の上段を含め、菓子の商品商標としてだけでなく、菓子を販売する店舗の名称(屋号)や百貨店等の販売コーナーにおける名称としても使用されてきた(甲16の1?15、甲17の1?20)。
ウ 申立人が使用商品を販売する店舗の名称は「レスポワール」であり、最初のレスポワール販売店は昭和51年11月にオープンした東京の西武百貨店渋谷店及び池袋店である(甲16の3)。以後、レスポワール販売店は主に百貨店の食料品売り場の菓子販売コーナーに出店されてきた(甲18の1?17等)。
エ 平成13年(2001年)11月1日から22日にかけて行われた首都圏及び近畿圏の消費者認識調査の結果がまとめられた日経産業消費研究所2002年6月25日発行の「ランキングで見るデパ地下 2002年6月調査報告書」の洋菓子ランキング表(114頁)では、使用商品を販売する申立人の店舗「レスポワール」の総合評価(首都圏と近畿圏のまとめた評価)は16位、近畿圏では10位であり、「レスポワール」という「店舗名を知っている」と回答したアンケート対象者(「菓子」の需要者たる調査対象の消費者)は全体(首都圏及び近畿圏)の半数近い46.3%を占め、近畿圏についてみれば6割近い58.9%が「知っている」と回答している(甲19)。
オ 平成22年(2010年)11月の時点において使用商品を常設する百貨店の店舗は東北(青森県)から九州(鹿児島県)まで、全国110店舗存在している(甲8、甲20)。
カ 令和2年(2020年)12月1日現在のレスポワール販売店は、北は北海道から南は鹿児島県まで、全国各地で80店舗が営業している(甲21、甲20等)。
キ また、使用商品は、全国の量販店や菓子専門店(甲17の1?20)等の小売店舗でも販売されているほか、ゆうパック、百貨店のオンラインショップ等の通信販売を通じても、遅くとも平成10年(1998年)から現在まで販売されている(甲12の1?62、甲13の1?16)。
ク 平成22年(2010年)3月1日付毎日新聞の夕刊4頁には「(前略)・・・風味豊かなバターと卵を使って焼き上げたクッキー「レスポワール」。神戸風月堂(神戸市中央区)の看板商品は、幅広い世代に長く愛されてきた。同社の商品を扱う店舗は、国内外で約2000店に上る。・・・(後略)。」と紹介されている(甲22)。
(2)上記(1)によれば、申立人は、昭和51年(1976年)11月に引用商標2及び引用商標3の下段の片仮名文字「レスポワール」並びに引用商標3の上段の欧文字「L*espoir」を申立人の業務に係る商品である菓子(以下、「申立人の業務に係る商品」という場合がある。)について使用を開始していたことが推認できる。そして、以後、引用商標1及び引用商標3の上段の欧文字を含め、菓子の商品商標としてだけでなく、菓子を販売する店舗の名称(屋号)や百貨店等の販売コーナーにおける名称(菓子の小売商標)としても使用されてきた。令和2年(2020年)12月1日現在のレスポワール販売店は、全国各地で80店舗が営業しており、また、申立人の業務に係る商品は、大手百貨店やゆうパック、百貨店のオンラインショップ等の通信販売を通じても、遅くとも平成10年(1998年)から現在まで販売されている。
しかしながら、提出された証拠から、引用商標が付された申立人の業務に係る商品の販売個数及び販売額等の販売実績、広告宣伝(新聞、雑誌、商品パンフレット、ちらし、テレビCM等)の実績・規模及び広告費などは明らかではない。
また、「ランキングで見るデパ地下 2002年6月調査報告書」は、今より20年も前の評価でしかないから、これをもって、本件商標の登録出願時及び登録査定時における、引用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間で広く知られたことを示す具体的な証拠はない。
よって、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間で広く知られていたと認めることはできない。
(3)以上のとおり、申立人が提出した全証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る商品(菓子)及び役務(菓子の小売り)を表示するものとして、我が国の需要者の間で広く認識されていたということはできない。
2 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「CHATEAU DE L’ESPOIR」の文字を標準文字で表してなるところ、構成するローマ字はすべて大文字でまとまりよく表され、本件商標より生ずる「シャトードゥレスポワール」の称呼も格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、構成中の「CHATEAU」の文字が、「城,館」の意味の他に、「ボルドー地方のブドウ園」や「ボルドー地方で醸造される高級ワインの銘柄」等の意味を有するとしても、かかる構成においては、本件商標に接する、取引者、需要者が、「CHATEAU」の文字部分を、指定役務の質等を表すものとして直ちに認識、理解するということもできない。
また、構成中の「L’ESPOIR」の文字は、フランス語で「希望」の意味を有するとしても、我が国で親しまれた語ではないから、一種の造語として認識され得るものであり、また、上記1のとおり、引用商標の周知性を認めることもできない。
そうすると、本件商標は、構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、「シャトードゥレスポワール」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
一方、引用商標は、別掲1ないし別掲3のとおりの構成よりなるところ、いずれも「レスポワール」の称呼を生じ、また、「レスポワール」の文字が辞書等に採録がないうえに、上記1のとおり、周知性を認められないことから、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の外観は、それぞれ構成文字数が明らかに相違するものであるから、両者は、外観上相紛れるおそれはないものである。
次に、本件商標から生じる「シャトードゥレスポワール」の称呼と、引用商標から生じる「レスポワール」の称呼とを比較すると、両称呼は、それぞれ8音と5音で構成されるものであって、構成音数が相違し、かつ、語頭の「シャトードゥ」の音の有無に差異を有することから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり、相紛れるおそれのないものである。
次に、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念においては比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両者は非類似の商標というのが相当である。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務との類否について
本件商標の指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務とは、同一又は類似のものである。
(5)小括
以上によれば、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務が同一又は類似のものであるとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたということはできないものであり、また、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって別異の商標である。
そうすると、本件商標は、これをその指定役務に使用しても、需要者において、申立人や引用商標を連想、想起するということはできず、よって、その役務が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものとはいえず、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標1及び引用防護標章)

別掲2(引用商標2)

別掲3(引用商標3)

異議決定日 2021-02-25 
出願番号 商願2019-108752(T2019-108752) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y ()
T 1 651・ 262- Y ()
最終処分 維持  
前審関与審査官 牧野 賢太郎真鍋 恵美 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 森山 啓
小田 昌子
登録日 2020-08-25 
登録番号 商標登録第6283883号(T6283883) 
権利者 株式会社原田
商標の称呼 シャトードゥレスポワール、シャトードゥ、シャトー、レスポワール 
代理人 羽鳥 亘 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 

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