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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1371793 
審判番号 取消2020-300349 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-05-27 
確定日 2021-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第1674301号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1674301号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「Butterfly」の欧文字を筆記体風に横書きしてなり、昭和55年5月12日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年3月22日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成16年9月15日に、第25類「帽子,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い」とする指定商品の書換登録がなされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年6月12日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年6月12日から令和2年6月11日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
1 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第25類「洋服,靴下,手袋」(以下「請求に係る商品」という。)についての登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次の2のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
2 本件商標は、その指定商品中、請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないことから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
3 なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証(枝番を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「乙第○号証」を「乙○」のように省略して記載する。
1 答弁の理由の要点
本件商標は、通常使用権者である株式会社Trick Function(以下「トリック社」という。)がその請求に係る商品中「洋服」について、日本国内において本件審判請求の登録前3年以内に使用している。
2 本件商標の使用について
(1)本件商標の使用者
ア 乙2の「覚書」には、平成21年(2009年)12月1日付けで被請求人(商標権者)がトリック社に、本件商標の使用を、商品「帽子及びその類似品を除く被服」について許諾した旨の記載がされている。
なお、乙3の1ないし乙3の3「閉鎖事項全部証明書」及び乙3の4「履歴事項全部証明書」に記載のとおり、トリック社は「アパレル製品の企画、デザイン、製造、販売及びコンサルティング業」等を目的に平成20年(2008年)3月21日に設立された株式会社であり、被請求人から通常使用権の許諾を得た後3度住所を変更している。
イ 「インスタグラム melodyleaf_official」(乙4、乙5)には、melodyleaf_officialのアカウント表示があり、同トップページには「www.melodyleaf.com」へのリンクが張られており(乙6)、「melodyleaf ウェブサイト トップページ」(乙7の1)、「melodyleaf ウェブサイト About Us」(乙7の2)が示すとおり、当該URLは、トリック社のウェブサイトであることから、「インスタグラム melodyleaf_official」のアカウントは、トリック社が使用していることは明らかである。
ウ 以下(ア)ないし(エ)には、「株式会社Trick Function」が表示されており、また、(オ)には、「株式会社トリックファンクション」が表示されている。
(ア)「商品CD 9516012 写真 ネームタグ及び下げ札表面拡大図」(乙11の2)及び「商品CD 9516012 写真 ネームタグ及び下げ札裏面拡大図」(乙11の3)の下げ札並びに「商品CD 9516012 写真 品質表示タグ裏面拡大図」(乙11の5)
(イ)「商品CD 9612015 写真 ネームタグ及び下げ札表面拡大図」(乙12の2)及び「商品CD 9612015 写真 ネームタグ及び下げ札裏面拡大図」(乙12の3)の下げ札並びに「商品CD 9612015 写真 品質表示タグ裏面拡大図」(乙12の5)
(ウ)「商品CD 9621001 写真 ネームタグ及び下げ札表面拡大図」(乙13の2)及び「商品CD 9621001 写真 ネームタグ及び下げ札裏面拡大図」(乙13の3)の下げ札並びに「商品CD 9621001 写真 品質表示タグ裏面拡大図」(乙13の5)
(エ)「商品 CD 9626007 写真 ネームタグ及び下げ札表面拡大図」(乙14の2)及び「商品CD 9626007 写真 ネームタグ及び下げ札裏面拡大図」(乙14の3)の下げ札並びに「商品CD 9626007 写真 品質表示タグ裏面拡大図」(乙14の5)
(オ)「商品CD 9612015 写真 ネームタグ及び下げ札裏面拡大図」(乙12の3)、「商品 CD 9621001 写真 ネームタグ及び下げ札裏面拡大図」(乙13の3)及び「商品CD 9626007 写真 ネームタグ及び下げ札裏面拡大図」(乙14の3)の下げ札
(2)使用に係る商品
「請求書」別紙には、商品CD(コード)として9516012、9612015、9621001、9621004、9626007、9621016等が記載されている(乙1)。同「請求書」の請求先であるアンジェリアス株式会社はオンラインショップelfriedeを運営し、「elfriede ウェブサイト特定商取引法に基づく表記」(乙8)には、販売会社としてアンジェリアス株式会社が記載されている。
「elfriede ウェブサイト 【バタフライ】リボン付きジャケット」(乙9の1、乙9の2)には、「商品コード:9621004-GL-110?9621004-SX-140」が記載され、ジャケットの写真が掲載され販売されている。また、「elfriede ウェブサイト 【バタフライ】チェック柄コート」(乙10)には、「商品コード:9621016-BR-110?9621016-NV-140」が記載され、コートの写真が掲載され販売されている。乙11の1ないし乙11の5は、商品「洋服」の写真であり、下げ札には、商品CDとして「No:9516012」、色として「Col:BK」、サイズとして「Size:120」が記載され(乙11の2、乙11の3)、品質表示タグには商品CDとして「9516012」、サイズとして「120」が記載されている(乙11の4)。
同様に、乙12の1ないし乙12の5、乙13の1ないし乙13の5、乙14の1ないし乙14の5は、商品「洋服」の写真であり、下げ札及び品質表示タグには、サイズ等が記載されている。
乙4には、「Butterfly福袋限定発売します」、「二万円でアウター入りの福袋も販売いたします」と記載されている。アウターとは、アウターウェア、すなわち下着に対して、上に着る衣類の意味であり、「洋服」の範ちゅうに含まれる商品である。そして、乙5には、4点の「洋服」の写真が掲載されている。
(3)使用に係る商標
乙1には、片仮名書き「バタフライ」(以下「使用商標1」という。)が記載され、乙4及び乙5には、活字体の「Buterfly」の文字(以下「使用商標2」という。)が記載されており、また、筆記体で書され、「l」の文字がハートのように書されたローマ字「Butterfly」(以下「使用商標3」という。)が付されている。
乙9の1ないし乙9の3、乙11の1ないし乙11の3、乙12の1ないし乙12の3、乙13の1ないし乙13の3、及び乙14の1ないし乙14の3の各ネームタグ、並びに乙11の1及び乙11の2の下げ札には、使用商標3の右横にハートの図形を結合した商標(以下「使用商標4」という。)が付されている。
乙12の2、乙13の2、及び乙14の2の下げ札には、装飾された図形の中央に使用商標3を結合した商標(以下「使用商標5」という。)が付されている。
乙13の1ないし乙13の3の左胸には、ハートの図形の中央に使用商標4を結合した商標(以下「使用商標6」という。)が付されている。
本件商標は、「Butterfly」のローマ字を筆記体で書したものであるから、これより「バタフライ」の称呼及び「蝶」の観念を生ずる。
使用商標1は、ローマ字の文字の表示を片仮名に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずるため、本件商標と社会通念上同一の商標である。
使用商標2は、筆記体による書体を活字体による書体に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずるため、本件商標と社会通念上同一の商標である。
使用商標3は、本件商標とは異なる書体の筆記体に変更し、9文字の構成中8文字目の筆記体の「l」の文字をハートのように書されたものである。
商標の全部又は一部を図案化させ、また異なった色彩で表し、視覚上の印象を高めるために文字にデザインを施すなどして多様な表現手段を用いて表すことは、取引社会においては広く行われているものである一方、使用商標3の構成文字は本件商標と同一のつづりからなり、また、ローマ字の筆記体であることは共通しており、さらにその称呼及び観念も同一のものであることから、使用商標3が本件商標と社会通念上同一の商標であることは明らかである。
また、使用商標4ないし使用商標6の構成中の「Buttrfly」の文字部分は、大きく明瞭に書されているのに対し、その他の図形部分は装飾的に付加されたにすぎないものであり、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を有しない部分である。そうすると、使用商標4ないし使用商標6に接する需要者は、その構成中、外観上見やすく、かつ、称呼しやすい「Butterfly」の文字部分に強く印象付けられることから、使用商標4ないし使用商標6の「Butterfly」の文字部分は、他の構成要素と切り離されて独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。そして、使用商標4ないし使用商標6の「Butterfly」の文字部分は使用商標3と同一のものであるから、同様に本件商標と社会通念上同一の商標であることは明らかである。
(4)使用時期
乙1には、「発行日 2019年1月31日」と記載され、乙4には、「2018年12月31日」と記載され、乙5には、「2019年3月7日」と記載されており、いずれも要証期間内である。
(5)商標の使用について
本件商標の通常使用権者であるトリック社は、平成31年1月31日に「洋服」に登録商標と社会通念上同一の商標を付したものを譲渡し(商標法第2条第3項第2号)、「洋服」に関する取引書類に登録商標と社会通念上同一の商標を付して頒布し(同条同項8号)、また、平成30年12月31日及び同31年3月7日に「洋服」に関する広告を内容とする情報に登録商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供した(同条同項8号)ことは明らかである。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により指定商品中「洋服」について使用されていることは明らかである。

第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標の使用者について
平成21年12月1日付けの「覚書」(乙2)には、商標権者が、本件商標の使用を、商品「帽子及びその類似品を除く被服」について、許諾期間を3年としてトリック社に許諾した旨、さらに、当該契約は文書で終了通知した場合を除き更に3年更新される旨記載されている。
なお、トリック社は「アパレル製品の企画、デザイン、製造、販売及びコンサルティング業」等を目的に平成20年3月21日に設立された株式会社であり(乙3の1ないし乙3の4)、商標権者から通常使用権の許諾を得た後3度住所を変更しており、覚書に記載された住所(東京都港区)所在(乙3の1)から、現在は、東京都中央区所在となっている(乙3の4)。
(2)トリック社による使用について
ア 「インスタグラム」のウェブサイトにおける「melodyleaf_official」には、別掲2のとおり、筆記体風に書し、「l」の文字をハート型のように表し、ピンク色で横書きした「Butterfly」の欧文字からなる商標(以下「本件使用商標」という。)が、「Spring&Summer Collection」、「New Items」、「お上品な春のオシャレが入荷」の文字、及び商品「洋服」(以下「使用商品」という。)の複数の画像とともに表示されている(乙5)。また、併せて「Butterfly お上品な春のオシャレが入荷 軽やかな春アイテムでステキな毎日を・・・春のおでかけや、スクールコーデにオススメのアイテムが入荷いたしました」の記載、及び「いいね!18件 2019年3月7日」の記載がある(乙5)。
イ 上記の「インスタグラム」のウェブサイトにおける「melodyleaf_official トップページ」には、「www.melodyleaf.com」へのリンクが張られており(乙6)、その「www.melodyleaf.com」(乙7の1)のウェブサイトにおける、「melodyleaf ウェブサイト About Us」の頁には、トリック社の社名、所在地等の情報が記されている(乙7の2)。
2 判断
前記1において認定した事実によれば、以下のとおり認めることができる。
(1)トリック社について
前記1(1)のとおり、平成21年12月1日付けの「覚書」(乙2)には 、商標権者が、本件商標の使用を、商品「帽子及びその類似品を除く被服」について、許諾期間を3年としてトリック社に許諾した旨及び当該契約は文書で終了通知した場合を除き更に3年更新される旨記載されており、また、当該「覚書」による契約が終了したことを示す証拠はない。
そうすると、商標権者は、平成21年12月1日以降現在に至るまでトリック社に対し、本件商標の使用を商品「帽子及びその類似品を除く被服」について許諾しているものと認められる。
したがって、トリック社は、本件商標の通常使用権者であるといえる。
(2)本件商標と本件使用商標について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「Butterfly」の欧文字を筆記体風に横書きしてなるものであるところ、該文字は、「蝶、近代泳法の一つ」等の意味を有する平易な英単語であり、我が国において一般に親しまれている語であることから、「バタフライ」の称呼及び「蝶、近代泳法の一つ」の観念が生じる。
イ 本件使用商標
本件使用商標は、別掲2のとおり、筆記体風に書し、「l」の文字をハート型のように表し、ピンク色で横書きした「Butterfly」の欧文字からなるものであり、ややデザイン化されているものの、容易に判読できるものであるというべきであり、これより、「バタフライ」の称呼及び「蝶、近代泳法の一つ」の観念が生じる。
ウ 本件商標と本件使用商標との同一性
上記ア及びイのとおり、本件商標と本件使用商標とは「Butterfly」のつづりを共通にするものであり、また、いずれも「バタフライ」の称呼及び「蝶、近代泳法の一つ」の観念を同じくするものであるから、両者は、社会通念上同一の商標である。
(3)使用商品について
前記1(2)のとおり、使用商品は「洋服」であるから、本件審判の請求に係る商品に含まれるものである。
(4)使用商標の使用及び使用時期について
前記1(2)によれば、平成31年(2019年)3月7日に、「インスタグラム」のウェブサイトにおける「melodyleaf_official」において、本件使用商標とともに使用商品の写真が掲載されており、また、「Spring&Summer Collection」、「New Items」、「お上品な春のオシャレが入荷」、「Butterfly お上品な春のオシャレが入荷 軽やかな春アイテムでステキな毎日を・・・春のおでかけや、スクールコーデにオススメのアイテムが入荷いたしました」といった宣伝文句などが記載されている。
そして、当該「インスタグラム」のウェブサイトにおける「melodyleaf_official」からリンクが張られているウェブサイト「www.melodyleaf.com」には、トリック社の社名、所在地等の情報が記されているから、当該「インスタグラム」のウェブサイトにおける「melodyleaf_official」は、本件商標の通常使用権者であるトリック社の使用するものであるとみてさし支えない。
そうすると、当該「インスタグラム」は、本件商標の通常使用権者であるトリック社による本件使用商標を付した使用商品に関する広告ということができる。
そして、当該「インスタグラム」は、平成31年3月7日にインターネット上に公開されたといえる。
そうすると、使用商品に関する広告を内容とする情報に本件使用商標を付して電磁的方法(インターネット)により提供したものということができる。
そして、平成31年3月7日は、要証期間内である。
(5)小括
以上によれば、本件商標の通常実施権者は、要証期間内である平成31年3月7日に、請求に係る商品中、「洋服」についての広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して電磁的方法により提供したものと認めることができる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品・・・に関する広告・・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、本件商標の通常使用権者がその請求に係る商品「洋服」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲 本件商標(色彩は原本参照。)


別掲2 本件使用商標(色彩は原本参照。)


審理終結日 2020-12-04 
結審通知日 2020-12-08 
審決日 2020-12-21 
出願番号 商願昭55-38782 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 山田 啓之
庄司 美和
登録日 1984-03-22 
登録番号 商標登録第1674301号(T1674301) 
商標の称呼 バタフライ、バッテンフライ 
代理人 小野 吉則 
代理人 大向 尚子 
代理人 石井 将介 
代理人 保田 元希 
代理人 八木 智砂子 

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