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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W15
管理番号 1371792 
審判番号 取消2019-300846 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-11-11 
確定日 2021-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第5893599号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5893599号商標(以下「本件商標」という。)は、「みます」の文字を標準文字で表してなり、平成28年5月20日に登録出願、第15類「三味線,その他の楽器,三味線用指掛け,音さ」を指定商品として、同年11月4日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年11月26日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成28年11月26日から令和元年11月25日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商品販売における納品書(領収書)とする書証(乙1)は、被請求人から他の個人に向けた一方的なものであり、商品販売の取引を客観的に証明するものではない。
(2)小冊子カタログとする書証(乙2の1)の領収書とする書証(乙2の2)は、一般的な「小冊子カタログ 広告代として」となっており、当該小冊子カタログ(乙2の1)に対するものであることは示されていない。
また、小冊子カタログとする書証(乙2の1)は、第2枚目中「?ご挨拶」と思しき文字の一部が隠れており、小冊子カタログとしてみても不自然な点を有する。
(3)商品写真とする書証(乙3)は、令和元年11月26日以降である2020年1月20日を撮影日としていることから、使用証拠とはならないものである。
(4)したがって、被請求人の提出に係る各書証は、いずれも本件商標の使用証拠とならないものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。なお、前記第2を含め、枝番号を有する証拠において、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
1 被請求人は、本件商標をその指定商品中「三味線用指掛け」に使用し、要証期間内に日本国内において製造販売しているものである。
2 使用証拠として、商品販売における「納品書(領収書)(写し)」(乙1)、「小冊子カタログ(写し)」(乙2)、及び「商品写真(写し)」(乙3)を提出する。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者(被請求人)は、群馬県所在の三味線用指掛けの製造販売を業とする会社である(乙1の3、乙2の1)。
(2)ア「群馬みます」と表示した三味線用指掛け(以下「使用商品」という。)についての納品書兼領収書が、本件商標権者である小野瀬メリヤス株式会社からA氏に対して平成29年6月21日に、B氏に対して同30年3月16日及び同年5月14日に、C氏に対して同年4月9日にそれぞれ発行され、当該各書面には発行日に対応するナンバーが記載されている(乙1)。なお、上記納品書兼領収書における商品の販売数のほとんどは、1個であり、その金額は、900円弱である。
イ C氏に対する納品書兼領収書には、小野瀬メリヤス株式会社からの挨拶文も記載され、使用商品は同社の製造に係る商品であることや次回注文時のサービス内容が記載されている(乙1の3)。
(3)ア「?三味線用指掛け?/群馬みます」(「群馬」の文字は横書き、「みます」の文字は縦書きで記載されている。)(審決注:「/」は改行を示す。)と題するチラシ(乙2の1)には、「製造・販売元」として本件商標権者の社名が、問い合わせ先として納品書兼領収書(乙1)の記載と一致する電話番号及びファクシミリ番号が記載されており、三味線用指掛けに係る商品を「群馬みます」と表示していることも納品書兼領収書(乙1)の記載と一致する。
イ 同チラシには、使用商品を包装した写真も表示され、当該包装には、これに表された他の文字に比して大きく、横書きした「群馬」の文字(1文字目は向かって左に、2文字目は向かって右に傾けて表している。以下同じ。)及び縦書きした「みます」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が付されている。なお、上記包装には、使用商標の他、右側に「商標登録」の文字、並びに左側中央に「指掛」(縦書き)及び「日本製」(横書き)の文字が表されている(乙2の1)。
ウ なお、要証期間外に撮影された商品写真(写し)ではあるが、使用商品の包装には、横書きした「群馬」及び縦書きした「みます」等の文字が表され(乙3)、その態様は、前記イで言及したチラシに表示された使用商品を封入した包装の態様と一致することがうかがえる。
2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商品について
前記1(2)アのとおり、使用商品は、「三味線用指掛け」であるところ、これは、本件商標の指定商品に含まれる商品であること明らかである。
(2)使用時期及び使用者について
前記1(2)の認定事実からすれば、「群馬みます」と表示した使用商品が、本件商標権者からA氏に対して平成29年6月21日頃に、B氏に対して同30年3月16日及び同年5月14日頃に、C氏に対して同年4月9日頃にそれぞれ納品(譲渡)されたものと推認することができ、これに前記1(3)の認定事実をもあわせ鑑みれば、上記使用商品の譲渡にあたり、使用商品の包装に使用商標が付されていたものとみるのが相当である。
そして、当該日は、要証期間内である。
(3)使用商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「みます」の文字を標準文字で表してなるものである。
他方、使用商標は、前記1(3)イのとおり、横書きした「群馬」の文字及び縦書きした「みます」の文字を表してなるものである。
そして、使用商標は、外観上、上記各文字がそれぞれ独立して把握されることに加え、「群馬」の文字は商品の産地又は販売地を表示する語と理解させるものであるから、出所識別標識として機能する部分(要部)は「みます」の文字であるといえる。
そうすると、本件商標と使用商標の要部とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものといえるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(4)小括
以上によれば、本件商標権者は、本件商標の指定商品中に含まれる「三味線用指掛け」の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付したものを、要証期間内である平成29年6月21日、同30年3月16日、同年4月9日及び同年5月14日頃に譲渡したと認めることができる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品の包装に標章を付したものを譲渡・・する行為」に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、納品書(領収書)とする書証は、被請求人から他の個人に向けた一方的なものであり、商品販売の取引を客観的に証明するものではない旨主張する。
確かに、被請求人提出の証拠においては、例えば購入者からの注文書・受領書といった取引書類を欠いているが、使用商品に係る取引の実情、すなわち、個人が1個から数個単位で購入する安価な商品であることを踏まえれば、通常、その売買に際し注文書等の取引書類が個人の購入者によって作成されるとはいい難いものであり、少なくとも、商標権者によって発行された宛先の異なる納品書兼領収書が複数件提出されている中にあって、その他の取引書類が提出されていないことのみをもって、当該商品販売の事実がなかったとまではいうことができず、また、当該商品販売の事実に疑義が生じるというべき合理的理由や証左も見いだせない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2020-11-27 
結審通知日 2020-12-02 
審決日 2020-12-21 
出願番号 商願2016-54921(T2016-54921) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (W15)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松田 訓子 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 板谷 玲子
中束 としえ
登録日 2016-11-04 
登録番号 商標登録第5893599号(T5893599) 
商標の称呼 ミマス 
代理人 佐藤 太亮 
代理人 本多 一郎 

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