• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W10
管理番号 1370277 
異議申立番号 異議2020-900033 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-02-10 
確定日 2020-12-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6197222号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6197222号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第6197222号商標(以下「本件商標」という。)は,「ENDODONTICS」の欧文字を横書きにしてなり,平成30年10月29日に登録出願,第10類「歯科用穿削器具,歯科用充てん用器具,歯科用鏡」を指定商品として,令和元年8月5日に登録査定され,同年11月15日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから,その登録は取り消されるべきものである旨申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は,「ENDODONTICS」の文字を横一連に書してなる標準文字の態様であるところ,「endodontics」の文字は,「歯内療法,歯内治療学,根管治療,歯周病学」を意味し,広く一般に使用されるものであることから,本件商標を指定商品について使用しても,これに接する需要者,取引者は,単にその商品「歯内治療及び根管治療のための歯科用穿削器具,歯内治療及び根管治療のための歯科用充てん用器具,歯内治療及び根管治療のための歯科用鏡」であることを認識するにすぎず,自他商品識別標識として認識できないものである。
そして,本件商標は,根管治療に欠かせない商品の用途(品質)を表すにすぎない標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,広く一般的に使用される標章であるから,商標としての自他商品識別機能を果たし得ないものである。
してみれば,本件商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当する。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は,「歯内療法,歯内治療学,根管治療,歯周病学」を意味する語として需要者,取引者に認識され,指定商品との関係において,指定商品の品質を表示する語として広く一般に使用されているものであるから,これを「歯内治療及び根管治療のための歯科用穿削器具,歯内治療及び根管治療のための歯科用充てん用器具,歯内治療及び根管治療のための歯科用鏡」以外の商品について使用するときは,その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって,本件商標は商標法第4条第1項第16号に該当する。

第3 当審おける取消理由の要旨
当審において,本件商標権者に対し,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,同法第43条の2第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである旨の取消理由を令和2年6月30日付けで通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第4 本件商標権者の意見
本件商標権者は,上記第3の取消理由の通知に対して,指定した期間内に何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
1「ENDODONTICS」の語(文字)について
(1)申立人の提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査によれば,「ENDODONTICS」の語(大文字と小文字の異なるものを含む。)及び「エンドドンティ(ッ)クス」について,以下の事実が認められる。
ア 本件商標の登録査定の日(令和元年8月5日)前に発行,掲載等されたと認められる辞書,ウェブページなどによれば,「endodotics」の語は「歯内療法(学)」などを意味するものであること(甲3,甲4),「エンドドンティックス」の語は「歯内療法,根管治療」を意味するものであって「エンド」と略されることがあること(甲7),及び,歯内療法には「充填」「穿孔」「切削」などの処置が行われること(甲8の1?4・6・7,甲9の5)が認められる。
イ 本件商標の登録査定の日以後,本件登録異議の申立ての日までの間に掲載等されたものであると認められる歯科医院などのウェブページによれば,その名称の一部に「Endodontics」や「エンドドンティクス」の文字を用いている根管治療及び歯内療法を行う歯科医院があること(甲10の1・2),「根管治療」,「歯内療法」と「Endodontics」, 「エンドドンティ(ッ)クス」を同義のものとして,その説明をしているものがあること(甲10の1,甲11の3?5),根管治療,歯内治療(エンドドンティクス)には,削り取る器具,充てん用の器具が用いられること(甲11の1・3・4・6,職権調査(日本歯内治療法学会HP:http://www.jea.gr.jp/ippan/index.shtml,ヒューフレディ社HP:https://www.hu-friedy.co.jp/sites/default/files/2020-03/HF-120J_1116_Vol.3.pdf)が認められる。
(2)上記(1)の事実に加え,本件商標の指定商品の主な需要者が歯科医師など専門的知識を有する者であることをあわせみれば,かかる需要者は,本件商標の登録査定の日前から本件登録異議の申立ての日はもとより現在においても,「ENDODONTICS(endodotics)」の語は「歯内療法,根管治療」を意味し,「歯内療法,根管治療」では「充填」,「穿孔」,「切削」などの処置が行われ,その処置には当該処置用の器具や鏡が用いられることを認識しているものと判断するのが相当である。
そうすると,かかる認識は本件商標の登録査定時においても同様であったということができる。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は,上記第1のとおり「ENDODONTICS」の欧文字からなり,その構成態様は普通に用いられる方法で表されていると認められるものであって,第10類「歯科用穿削器具,歯科用充てん用器具,歯科用鏡」を指定商品とするものである。
そして,上記1のとおり本件商標の指定商品の需要者は,本件商標の登録査定時において,「ENDODONTICS」の語が「歯内療法,根管治療」を意味し,「歯内療法,根管治療」では「充填」,「穿孔」,「切削」などの処置が行われ,その処置には当該処置用の器具や鏡が用いられることを認識しているといえる。
そうすると,「ENDODONTICS」の文字を普通の用いられる方法で表してなる本件商標は,これをその指定商品について使用しても,これに接する需要者をして,本件商標を「当該商品が歯内療法,根管治療に用いられる商品であること」を表したもの,すなわち商品の用途(品質)を表示したものと認識させるにすぎないものと判断するのが相当である。
したがって,本件商標は,その登録査定時において,これをその指定商品について使用しても,その商品の用途(品質)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,その登録は,同法第3条の規定に違反してされたものであるから,その余の申立ての理由について論及するまでもなく同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲

異議決定日 2020-11-18 
出願番号 商願2018-139873(T2018-139873) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (W10)
最終処分 取消  
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 豊田 純一
小松 里美
登録日 2019-11-15 
登録番号 商標登録第6197222号(T6197222) 
権利者 鈴木 計芳
商標の称呼 エンドドンティクス、エンドドンティックス 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ