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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W14182535 |
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管理番号 | 1370180 |
審判番号 | 取消2019-300494 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-06-24 |
確定日 | 2020-11-30 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5802810号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5802810号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成26年4月11日に登録出願、「被服」を含む第25類並びに第14類、第18類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同27年10月30日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年7月9日である。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標について登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品及び指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張し、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら意見を述べていない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。 1 使用者 (1)被請求人は、ボーイロンドン香港リミテッド(以下「ボーイロンドン香港」という。)に本件商標を含む日本の「BOY LONDON」関連商標について、使用を許諾している(乙1)。 被請求人は、ボーイロンドン香港が日本に輸出した「BOY LONDON関連商品」が、日本国内の小売業者を通じて、日本の一般需要者に販売されることを明確に理解し、意図、予定した上で、ボーイロンドン香港に、本件商標の使用を許諾し、輸出、販売活動を行うことを許諾していたものである。 なお、被請求人の資本の過半数はボーイロンドン香港によって所有されており、ボーイロンドン香港と被請求人は、いわゆる親子関係に当たる。 (2)本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)に、ボーイロンドン香港が主として取引を行っていた小売、卸売業者は、株式会社クラウド(以下「クラウド」という。)及び株式会社アイゴールド(以下「アイゴールド」という。また、クラウドとアイゴールドをまとめていうときは「クラウド等」という。)であった。 ボーイロンドン香港より「BOY LONDON関連商品」を購入したクラウド等は、被請求人の正規代理店として、店舗を通じて、また、自社にて設けた公式オンライン通販サイトにて、当該商品の販売を行っていたほか、公式サイトの運営を行っていた。 なお、上記商品の販売及び公式サイトの運営は、要証期間の開始時点から2018年初旬までをクラウドが行い、その後アイゴールドが引き継いだものである。 2 「BOY LONDON関連商品」の輸出・販売行為 (1)ア 乙第2号証は、要証期間内にボーイロンドン香港がクラウド等に宛てて発行した請求書及び納品書の写しである。 イ 乙第3号証は、クラウド等がボーイロンドン香港にむけた発注書の写し及びこれをボーイロンドン香港に送付した際のメールの写しである。 ウ 発注書と請求書及び納品書とを対比すると、発注書に記載の商品の一部に欠損があったために納品されなかった商品の項目を除き、両書面は一致する。このことは、クラウド等の発注に基づいて、ボーイロンドン香港が商品を納品したことを裏付けるものである。 (2)ア 乙第4号証は、被請求人の「BOY LONDON関連商品」を扱った公式サイトの写しであり、要証期間内に、被請求人の「BOY LONDON関連商品」が販売目的をもって展示されていたこと、多くの商品に本件商標が付されていることが確認できる。 イ また、2017年11月時点に、公式サイトがクラウドによって運営され、2018年3月時点でアイゴールドによって運営されていたことが確認できる。 ウ 乙第4号証が示すとおり、クラウド等はウェブサイト上にて、被請求人の「被服」をはじめとする「BOY LONDON関連商品」についてネット販売を行っていた事実を確認することができる。 (3)日本における被請求人商品の流通 ア 2018年6月4日にアイゴールドがボーイロンドン香港に商品の発注を行い(乙3の1)、ボーイロンドン香港が2018年6月5日に同商品を納品し(乙2の1)、2018年6月26日時点において、同商品が一般需要者に対する販売を目的として展示されていたこと(乙4の1)を示す。 イ 当該発注書(乙3の1)、請求書及び納品書(乙2の1)の各書面には、「B170NC000102」の商品が75枚発注、販売・納品された旨が記載されている。 ウ また、2018年6月26日のアイゴールドのウェブサイト上、「B170NC000102」の商品が販売されていることが確認できる(乙4の1)。これは一般消費者向けのウェブサイトであるため、品番こそ記載されていないが、同一の形態の商品であることは写真より明らかである。 エ 被請求人の商品の1つであって品番を「NO.B170NC000102」とする商品には、表面に本件商標と同一の標章が大きく記載されているほか、「BOY/LONDON」の襟タグ、紙タグなどが添付されている。紙タグの裏面から当該商品が「NO.B170NC000102」であることが確認できる(乙5)。 (4)ア アイゴールドを通じて納品された被請求人の商品が「CASPER JOHN AIVER 横浜ビブレ店」にて販売に付されていることを告知するもの(乙6の1)、及び上記店舗に置かれた被請求人商品を広告宣伝するSNS記事(乙6の2)は、本件商標を付した被請求人の「被服」が、要証期間中、同店舗にて販売されていることを示している。 イ インターネット上の告知記事(乙7)により、本件商標を付した被請求人の「BOY LONDON関連商品」が、ラフォーレ原宿において2016年11月18日には販売されていたことを示す。 3 登録商標と使用に係る標章の同一性 (1)乙第2号証の「請求書」に記載の標章について 乙第2号証のうち、ボーイロンドン香港の請求書の写しには、その左上に、顔を右に向けた鷲の全身図形とその下に配されたBOYの文字の結合からなる標章が付されている。右翼の上には(R)(審決注:(R)は、○の中にRの文字。)の記号が付されているが、この請求書に記載の標章は本件商標と社会通念上同一の商標である。 (2)乙第2号証ないし乙第7号証に記載の商品に付された標章について 日本国内で販売された被請求人の「BOY LONDON関連商品」には、本件商標と同一の標章が付された商品が掲載されている(乙2?7)。 いずれの使用に係る標章とも、右に顔を向け、翼を左右に大きく開き、二本足で立つ鷲の図形の下に「BOY」の文字が配されており、本件商標と同一標章であることは明らかである。 4 まとめ 上述のとおり、被請求人は、要証期間内に、本件商標の使用権者であるボーイロンドン香港を通じて日本国内にて本件商標を付した「被服」を中心とする指定商品に継続販売していた。販売対象である「被服」に付された商標は本件商標と社会通念上同一のものである。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出に係る乙各号証及び同人主張の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。 (1)ア 被請求人は、その資本の過半数をボーイロンドン香港に所有されており、当該者の子会社にあたる(乙1)。 イ ボーイロンドン香港は、2013年の設立以降、日本における「BOY LONDON」事業(「BOY LONDON」ブランドに係る商品の販売及び商標の使用を含む。)を担っている(乙1)。 (2)ア(ア)2018年6月26日時点の「BOY LONDON/ボーイロンドン 公式サイト」と称するインターネットサイト(写し)(乙4の1)に、「NEW ARRIVALS」の表題の下、「BOY HERITAGE EAGLE T-SHIRTS」の表示、「¥8,424(税込)」との価格表示、及び黒色のティーシャツを着用した人物の写真が掲載されている。そして、当該写真中のティーシャツ(以下「使用商品」という。)の正面には、翼を広げその顔を向かって右側に横向きにした鷲を表した図形、及び当該図形の下に構成中の「O」の文字が上記図形の足下と接するように配された「BOY」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。 (イ)上記の他、同日時点の同インターネットサイト(写し)(乙4の1)に「BOY HERITAGE BACK EAGLE T-SHIRTS」の表示、「¥8,424(税込)」との価格表示、及び黒色のティーシャツを着用し後ろ姿を見せた人物の写真が、2018年3月15日時点の同インターネットサイト(写し)(乙4の2)に黒色のティーシャツの写真(1葉目、横2列目の左端)が、2017年11月12日時点の同インターネットサイト(写し)(乙4の4)に「BOY FLASH TEE-BLACK」の表示、「¥7,408(税込)」との価格表示、及び黒色のティーシャツを着用した人物の写真が、それぞれ掲載され、そのいずれにも使用商標と同視し得る態様からなる商標が表示されている。 (ウ)また、2018年3月15日時点の「BOY LONDON/ボーイロンドン 公式サイト」と称するインターネットサイト(写し)(乙4の3)に「販売業者 株式会社アイゴールド」の表示が、2017年11月12日時点の同インターネットサイト(写し)(乙4の5)に「販売業者 株式会社クラウド」の表示があり、共に各者の住所が記載されている。 イ(ア)「SALES INVOICE」と題する、ボーイロンドン香港がアイゴールドに対して発行した書面(写し)(乙2の1(1葉目))には、「INVOICE No.」の欄に「002」、「DATE」の欄に「5-Jun-18」の表示があり、また、「DESCRIPTION/STYLE No/SIZE」の欄に「B170NC000102」との表示があり、その他、数量等が表示されている。 (イ)「PACKING LIST」と題する、ボーイロンドン香港がアイゴールドに対して発行した書面(写し)(乙2の1(2葉目))には、「NO.:002」、「Date:5 Jun.2018」の表示があり、また、「Style No.」の欄に「B170NC000102」、これに対応する「Image」の欄に黒色のティーシャツと思われる画像の掲載があり、その他、数量等が表示されている。そして、上記衣服の画像は、その細部が不明瞭であるものの、乙第4号証の1に掲載された商品のうち「BOY HERITAGE EAGLE T-SHIRTS」(前記ア(ア))と同じデザインからなるものと見られるものである。 (ウ)「SALES INVOICE」と題する、ボーイロンドン香港がクラウドに対して発行した書面(写し)(乙2の3(1葉目))には、「INVOICE No.」の欄に「029」、「DATE」の欄に「30-Jan-18」の表示があり、また、「DESCRIPTION/STYLE No/SIZE」の欄に「B170NC000102」との表示があり、その他、数量等が表示されている。 (エ)「PACKING LIST」と題する、ボーイロンドン香港がクラウドに対して発行した書面(写し)(乙2の3(2葉目))には、「NO.:029」、「Date:30 Jan.2018」の表示があり、また、「Style No.」の欄に「B170NC000102」、これに対応する「Image」の欄に黒色のティーシャツと思われる画像の掲載があり、その他、数量等が表示されている。そして、上記衣服の画像は、その細部が不明瞭であるものの、乙第4号証の1に掲載された商品のうち「BOY HERITAGE EAGLE T-SHIRTS」(前記ア(ア))と同じデザインからなるものと見られるものである。 (オ)乙第2号証の1に表示されたアイゴールドの住所と乙第2号証の3に表示されたクラウドの住所とは同一であり、乙第4号証の3及び5に表示されたクラウド等の住所とも一致する。 (カ)時期は不明ながら、「B170NC000102」の記号が付された包装袋と見られるものと、本件商標と外観において同視される図形及び「BOY」の文字からなる商標が胸元に表された黒色のティーシャツが存在する(乙5)。そして、上記衣服は、「PACKING LIST」(乙2の1(2葉目)、2の3(2葉目))における上記と同記号の商品に対応する画像や、使用商品と同じデザインからなるものと見られるものである。 (キ)上記の乙第2号証の1の1葉目と同2葉目とにそれぞれ表示された番号、日付、品目の種類、数量等は、互いに齟齬がないものである。また、同様に、乙第2号証の3の1葉目と同2葉目とに表示された各事項も、互いに齟齬がないものである。さらに、上記各乙号証に係るアイゴールド又はクラウドからの発注書とされるもの(乙3の1、3の3)についても、不自然な点はない。 2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について 本件商標は、前記第1(別掲)のとおり、翼を広げその顔を向かって右側に横向きにした鷲を表した図形、及び当該図形の下に構成中の「O」の文字が上記図形の足下と接するように配された「BOY」の文字からなる商標である。 これに対し、使用商標も、翼を広げその顔を向かって右側に横向きにした鷲を表した図形、及び当該図形の下に構成中の「O」の文字が上記図形の足下と接するように配された「BOY」の文字からなる商標である。 そうすると、使用商標は、本件商標と同一と認められる商標というのが相当である。なお、使用商標は、これを使用する商品の地色が黒色であるため、白色で表されているが、商標法第70条第1項の規定により、同法第50条における「登録商標」に含むものということができる。 (2)使用商品について 使用商品は、前記1(2)の認定事実から「ティーシャツ」といえるところ、これは、本件商標の指定商品中「被服」の範ちゅうに属する商品と認められる。 (3)使用時期について ア 前記1(1)イ及び(2)イの認定事実からすれば、ボーイロンドン香港は、使用商品を日本国内で販売することを目的として、平成30(2018)年1月30日にクラウドを通じて、また、同年6月5日にアイゴールドを通じて、それぞれ香港から日本に向けて発送(輸出)したものであって、少なくとも要証期間(平成28(2016)年7月9日?令和元(2019)年7月8日)内である平成30(2018)年1月30日及び同年6月5日頃に、クラウド又はアイゴールドがこれを日本国内で受領したと認めることができる。 そうすると、クラウド等は、要証期間内である平成30(2018)年1月30日又は同年6月5日頃に、使用商標を付した使用商品をボーイロンドン香港から輸入したということができる。 そして、ボーイロンドン香港とクラウド等との取引に係る使用商品に付された使用商標は、ボーイロンドン香港を出所として識別される標章として使用されていたものというのが相当である。 そうすると、当該輸入行為は、ボーイロンドン香港がクラウド等を通じて行ったというのが相当である。 イ(ア)前記1(2)ア(ア)及び(ウ)の認定事実からすれば、少なくとも要証期間内である平成30(2018)年6月26日時点において、アイゴールドを通じて日本の消費者向けのボーイロンドンの公式サイトに、販売を目的として使用商標を付した使用商品を展示し、又は使用商標を付した使用商品に関する広告を掲載したということができる。 (イ)上記の他、前記1(2)ア(イ)及び(ウ)の認定事実からすれば、例えば要証期間内である平成29(2017)年11月12日時点において、クラウドを通じて日本の消費者向けのボーイロンドンの公式サイトに、販売を目的として使用商標を付した「ティーシャツ」を展示し、又は使用商標を付した「ティーシャツ」に関する広告を掲載したということができる。 ウ 前記アからすると、ボーイロンドン香港は、要証期間内に、使用商標を付した使用商品をクラウド等を通じて日本国内に輸入したということができる。 また、前記ア及びイを総合すると、ボーイロンドン香港は、使用商標を付した使用商品を日本の消費者向けに販売することを認識しつつ、クラウド等に対して輸出(譲渡)し、クラウド等は、要証期間内に、日本の消費者向けのボーイロンドンの公式サイトに、当該商品を販売(譲渡)のために展示し、又は当該商品の広告を掲載したと推認することができる。かかる事実によれば、使用商標は、要証期間内に、ボーイロンドン香港によって、日本国内において、クラウド等を通じて使用をされたものと評価することができる。 (4)使用者について 前記1(1)の事実からすれば、ボーイロンドン香港は、被請求人(商標権者)の親会社であって、両者は緊密な関係にあるものと認められ、被請求人自らがボーイロンドン香港に対し本件商標の使用を許可していたことが認められる。他方、ボーイロンドン香港による本件商標の使用に関して、被請求人が異議を述べたとの事実は何ら確認できない。そうすると、被請求人は、ボーイロンドン香港に対して本件商標を使用する黙示の許諾を与えていたものと認めて差し支えない。 したがって、ボーイロンドン香港は、本件商標の通常使用権者であるといえる。 (5)小括 以上によれば、本件商標の通常使用権者であるボーイロンドン香港がクラウド等を通じて、要証期間内に、本件商標と同一と認められる商標である使用商標を付した使用商品を輸入し、譲渡のために展示し、また、上記使用商標を付した使用商品に関する広告を電磁的方法により提供したと認めることができる。 そして、これらの行為は、商標法第2条第3項第2号又は同項第8号にいう使用行為に該当する。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務に含まれる商品について、本件商標と同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) ![]() |
審理終結日 | 2020-05-07 |
結審通知日 | 2020-05-12 |
審決日 | 2020-07-20 |
出願番号 | 商願2014-28402(T2014-28402) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(W14182535)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 谷村 浩幸、真鍋 伸行 |
特許庁審判長 |
中束 としえ |
特許庁審判官 |
山田 啓之 板谷 玲子 |
登録日 | 2015-10-30 |
登録番号 | 商標登録第5802810号(T5802810) |
商標の称呼 | ボーイ、ビイオオワイ |
代理人 | 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK |
代理人 | 豊崎 玲子 |