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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
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管理番号 1369166 
異議申立番号 異議2019-900314 
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-28 
確定日 2020-12-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第6167559号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6167559号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6167559商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成30年6月26日に登録出願、第25類「作業服,白衣,被服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、令和元年6月12日に登録査定、同年8月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1370544号商標(以下「引用商標」という。)は、「BUFF」の欧文字を書してなり、2017年(平成29年)8月11日に国際商標登録出願、第25類「Ready-made clothing for external and internal use [not of leather]; handkerchiefs (not included in other classes), caps [not of leather], footwear (except orthopedic footwear) [not of leather] and headgear [not of leather].」を指定商品として、平成31年1月18日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきと申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標について
引用商標は、申立人が展開する多機能ヘッドウェアブランドの名称であって、「スカーフ」を意味するスペイン語の「bufanda」を語源として申立人の創業者が考案し(甲1)、その構成文字に相応して「バフ」との称呼が生じる。
当該多機能ヘッドウェアは、「ネックウェア」と「ヘッドバンド」のいずれの商品としても使用することができ(甲2の1)、その製造を全て申立人の自社工場で行い、品質管理を徹底することで、ユーザーから高い支持を得ており、現在、1995年に海外進出して以降、スポーツサイクルを始め、モーターサイクルやランニング、登山など様々な分野で多くのユーザーに愛されており、世界70か国、2万店を超える店舗で展開される人気ブランドとなっている。
また、引用商標は、ヘッドウェア以外の被服(ティーシャツ)及び運動用特殊衣服(運動競技用タイツ)にも展開されている(甲2の2)。
我が国においても「BUFF」の多機能ヘッドウェアは、注目されており、アウトドア雑誌、スポーツ雑誌、ファッション雑誌などで紹介されているほか(甲3?7)、例えば、ウェブサイトにおいても話題の多機能ヘッドウェアブランドとして取り上げられている(甲8?12)。
さらに、他のブランドとのコラボレーションを介して、「BUFF」を認知させている(甲13、甲14)。特に、バイクアパレル・ファッションブランドの「56design」とのコラボレーション(甲15)や本田技研工業株式会社やロードレース世界選手権、プロオートバイレーサーとのコラボレーションも実現しており、日本のモーターサイクル業界でも広く知られたブランドとなっている。
申立人は、我が国における「BUFF」の普及活動を積極的に取り組んでおり、日本のブルータグ株式会社と協力して、展示会や国内スポーツイベントなどにこれまで出店してきた(甲16)。さらに、日本人アスリート(プロトレイルランナー・プロスカイランナー)のスポンサーを務めることで(甲17、甲18)、そのアスリートの活躍によって、認知度は向上しており、コラボレーション商品も展開するなど(甲19)、人気アスリートとのタイアップも注目を集めている。
そして、現在、「BUFF」の商品は、消防・除雪・石油化学工場の作業現場等でも役立てられ、作業着の一種としても認知されている(甲20)。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、小文字と大文字を組み合わせた構成からなり、視覚上、「i」と「BUF」に分離して認識することができる。また、両語が結びついて一般に親しまれた熟語的意味合いを有するともいえず、両語の観念的な結びつきも強固とはいえないから、本件商標を常に一体不可分のものとして把握しなければならない特別な事情もない。加えて、語頭の欧文字1字が商品の種別、型式又は規格等を表示する記号又は符号として類型的に取引上普通に採択使用されていることを併せ考えれば、辞書等に掲載されていない造語である「BUF」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。
よって、本件商標は、「BUF」の部分が独立して要部として識別力を発揮し、「バフ」の称呼が生じる。
一方、引用商標は、上記(1)のとおり、「BUFF」の欧文字を書してなり、該構成文字から、「バフ」の称呼を生じる。
そうすると、本件商標と引用商標は、「バフ」の称呼が共通し、我が国における引用商標の周知著名性とも相まって、両商標に接した取引者、需要者は、称呼上、商品の出所について誤認、混同を生じるおそれがある。
また、本件商標の要部と引用商標とは、その綴りが、アルファベット4文字中、語尾の1文字が異なるのみであるから、外観上類似する。
したがって、両商標は、称呼及び外観上類似し、その指定商品においても同一又は類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、その登録出願時において、申立人が「ネックウェア,ヘッドバンド」に使用して、我が国における取引者、需要者の間で広く知られた引用商標と類似であり、かつ、その指定商品中「アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は、申立人の使用に係る「ネックウェア,ヘッドバンド」と同一又は類似する商品である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、その登録出願時において、申立人が「ネックウェア,ヘッドバンド」に使用して、我が国における取引者、需要者の間で広く知られた引用商標と類似であり、その指定商品に使用された場合には、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
ア 申立人の提出した証拠によれば、以下のことが確認できる。
(ア)雑誌への掲載
アウトドア雑誌「PEAKS」(2017年4月号:甲3)には、「野外道具探訪記」の頁に「第83回【スペイン編 その1】バフ」及び「Buff/バフ」の表示の下、多機能ヘッドウェアが紹介され、同「GO OUT」(2016年3月号:甲4)には、サイドカントリー商品の一つとして「BUFF 首や頭に巻いて、様々な使い方が楽しめるヘッドギア、バフ。」と紹介されている。
また、ファッション雑誌「PRODISM」(2016年7月号:甲6)には、「BUFF」の表示の下、商品の写真及び「バンダナとしてもヘッドウェアとしても使用可能。」と紹介されている。
さらに、スポーツ雑誌「HOUYHNHNM Unplugged」(2016年秋冬号:甲7)には、トレイルランニングやテニス用品の一つとして、「〈バフ〉UVプロテクションヘッドバンド」が紹介されている。
(イ)インターネット情報
「https://www.cyclowired.jp/microsite/node」のウェブサイトには、「マルチファンクション・ヘッドウェア Buff vol.1」及び同「vol.2」の見出しの下、「世界中で愛される多機能ヘッドウェア/Buff-バフ」及び「ウォーマーから日焼け対策まで サイクリストにおすすめなBuffの使い方」が2014年2月19日に掲載されている(甲9、甲11)。
また、「https://oboetoko.com/222.html」のウェブサイトには、「Buff(バフ)ネックウォーマー 使い道は自由自在。12通りの使い方」の見出しの下、「Buff(バフ)とは?/スペイン生まれの多機能ヘッドギア」と記載され、「Buff バフ 多機能ヘッドウエア リフレクティブ バフ」(2018/4/17時点)の商品が掲載されている(甲10)。
さらに、印刷日を2019年2月21日とする「https://www.56-design.com/buff/」のウェブサイトには「1992年、Buffを創設。・・・モーターサイクルのあるライフスタイルを提案する56designとBuffは共鳴し、ここにコラボレーションを開始いたします。」の記載がある(甲15)。
加えて、「https://www.mtsn.jp/journal/detail.php?id=321」のウェブサイトには、「松本大×Buffの特別限定ヘッドウェア“SKYRUNNING JAPAN”さかいやスポーツで限定発売中」として、2015年6月1日に掲載されている(甲19)。
(ウ)上記以外の証拠は、本件商標の登録出願後のもの(甲8、甲12)や日付けの不明なもの(甲5、甲13、甲16?甲18)及び日本において頒布されているとは認め難い英語版のカタログ(甲20)である。
イ 上記アからすれば、申立人は、我が国において、2014年頃から、申立人の業務に係るネックウェアやヘッドバンドにも使える多機能ヘッドウェアに引用商標を使用していることが認められるものの、雑誌への掲載はアウトドア・ファッション・スポーツ雑誌のほんの一部であって、また、上記インターネット掲載の閲覧数も不明であるから、これをもって広く一般に知られているとはいい難く、該商品に関する我が国における市場シェア、広告宣伝の規模、売上等の事実を裏付ける具体的な証拠の提出はなく、それらの詳細が確認できないことからすると、引用商標の周知著名性の程度を推し量ることができない。
そうすると、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に、引用商標が申立人の業務に係る「多機能ヘッドウェア(ネックウェア,ヘッドバンド)」を表示するものとして、広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、別掲のとおり、「iBUF」の欧文字を書してなるところ、各文字の高さを同一にし、同一書体でまとまりのある構成からなるものであって、該構成中「i」の文字が記号、符号として看取されるというべき特段の事情は見いだせない。
してみれば、本件商標は、その構成全体をもって、一体不可分のものとして認識、把握されるとみるのが相当であるから、構成文字全体に相応して、「アイバフ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、「BUFF」の欧文字を書してなり、該文字に相応して、「バフ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両商標は、4文字の構成からなるとしても、その文字綴り及び態様において、外観上明らかに相違し、また、称呼において、本件商標から生ずると認められる「アイバフ」の称呼と、引用商標から生じる「バフ」の称呼とは、4音と2音という構成音数が明らかに相違し、十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、両商標ともに特定の観念が生じないから、これを比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、その外観及び称呼において、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されている。
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る「多機能ヘッドウェア(ネックウェア,ヘッドバンド)」を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知・著名性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る「多機能ヘッドウェア(ネックウェア,ヘッドバンド)」を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標は、上記(2)のとおり、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において明らかな差異を有するものであるから、類似性の程度は低いものというべきである。
ウ 本件商標の指定商品と申立人の取扱いに係る商品の関連性、需要者の共通性について
本件商標の指定商品には、「えり巻き,ショール,スカーフ,マフラー,耳覆い」又は「運動用特殊衣服」が含まれており、申立人の取扱いに係る商品「多機能ヘッドウェア」は、「ネックウェア,ヘッドバンド」にもなり得るものであるから、商品の用途や需要者を共通にする類似の商品である。
エ 出所の混同のおそれについて
上記アないしウのとおり、引用商標は、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められなく、また、本件商標は、引用商標との類似性の程度は低いことからすれば、たとえ、本件商標の指定商品と申立人の取扱いに係る商品が類似し、その需要者の範囲を共通にする場合があるとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
オ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲(本件商標)


異議決定日 2020-05-19 
出願番号 商願2018-83463(T2018-83463) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 25- Y (W25)
T 1 651・ 263- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大井手 正雄菊池 夏未 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 山田 啓之
中束 としえ
登録日 2019-08-02 
登録番号 商標登録第6167559号(T6167559) 
権利者 盛日商事株式会社
商標の称呼 イバフ、アイバフ 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 

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