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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1369165 
異議申立番号 異議2020-900165 
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-06-25 
確定日 2020-12-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第6244325号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6244325号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6244325号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり,「ライク ア ジャガー」の片仮名及び「Like a Jaguar」の欧文字を上下2段に書してなり,令和元年5月10日に登録出願,第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料,薫料,口臭用消臭剤,つけづめ,つけまつ毛,化粧用脱脂綿,洗濯用柔軟剤,つけまつ毛用接着剤,研磨紙,化粧用綿棒」を指定商品として,同2年3月25日に登録査定,同年4月9日に設定登録されたものである。

2 引用商標及び使用商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして,登録異議の申立ての理由において,引用する登録商標(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第2254571号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:昭和62年7月29日
設定登録日:平成2年8月30日
書換登録日:平成22年9月22日
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」
イ 登録第4137719号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「JAGUAR COLLECTION」
登録出願日:平成8年10月23日
設定登録日:平成10年4月17日
指定商品:第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」
(2)申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして,登録異議の申立ての理由において,引用する商標は,申立人主張の全趣旨から,「JAGUAR」の欧文字(以下「使用商標」という。)からなる商標であると,合議体は認める。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同項第11号及び同項第15号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきものと申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
(1)申立人名称及び商標の著名性について
ア 申立人は,イギリスのミッドランド地域に拠点を置き,世界で4万人を超える従業員を雇用する,世界的に有名な高級スポーツ車及びスポーツユーティリティ車のメーカーである。
イ JAGUARマークには長い歴史があり,世界中で広く使用されてきた。JAGUARの車両及び関連する商品とサービスは,世界中で広く知られている。JAGUARの車両は名声があり,高く評価されており,その品質とデザインは歴史を通じて知られており,テレビ番組,ニュース番組,長編映画で長年にわたって取り上げられ続けている。
ウ 申立人のビジネスとJAGUARマークの歴史は,1998年(平成10年)以来恒久的な展示の対象となっており,英国のゲイドン及びコベントリーにある博物館で展示されている。
エ 申立人の歴史は,1922年(大正11年)にSwallow Sidecar Companyが設立されたときにさかのぼる。1935年(昭和10年)に,最初にジャガーの名前を使用したセダン車が生産された。1945年(昭和20年)頃,Jaguar Cars Ltd.に社名を変更し,それ以来,ジャガーは世界中で名を知られるようになった(甲4)。
オ JAGUARマークは,世界的に有名な著名人によるJAGUAR車両の個人的及び映画,スポンサーシップ活動等における広範な使用により,JAGUAR車両を購入していない人々の間でも,かなりの注目を集めている。ル・マン24時間レースやFIAフォーミュラ1世界選手権を含む多くの国際的なモーターレースに出場し,レーシングワールド内でジャガーマークの知名度を維持した(甲7,甲8)。また,デビットベッカム氏を含む著名人のブランドアンバサダーを有している(甲9?甲13)ほか,ウィンブルドンチャンピオンシップの公式自動車スポンサーになっている(甲14,甲15)。
カ JAGUARブランドはTHERICHEST.COMによって米国で13番目に販売されている高級車ブランドにランクされた(甲16)。
キ JAGUAR車両は,長年にわたって多くの賞を受賞している(甲17?19)。
ク JAGUAR車両の販売は,世界中で増加し続けている。2010年(平成22年)における全世界での販売台数は5万台超であり,2019年(平成31年)における全世界での販売台数は10万台超である。
ケ 申立人は,自動車メーカーであるが,自動車以外の幅広い商品とサービスを顧客に提供している。申立人の商品やサービスのほとんど全てがJAGUARマークの下で提供されている。
コ 申立人は,1980年代初頭,JAGUARマークが付いた商品を製造し始めた。また,商標のライセンス供与を開始した。申立人から直接提供された商品は総称して「ジャガーコレクション」と呼ばれ,専用カタログで宣伝され,オンラインや販売店で購入可能である(甲20)。ポロシャツ,ジャケット,帽子,スカーフなどの衣料品,フレグランス,キーリング,マグカップ,荷物,携帯電話とタブレットのケース,ペンとノート,傘,財布,ダイキャストモデル車両,カフスボタン,ボトルストッパー,コースター,おもちゃの乗り物,その他のサービスや商品に至るまで,さまざまなギフトが用意されており,いずれもJAGUARのマークが表示されている(甲21,甲22)。2015年(平成27年),2016年(平成28年),2017年(平成29年)の世界の売上高は,ライセンス製品を除いて,毎年200万ポンドを超えている。
サ このような状況下,「JAGUAR」が申立人の名称の略称として,本件商標の出願日以前より,我が国において著名であったこと,並びに,使用商標「JAGUAR」及び引用商標が,本件商標の出願日以前より,「自動車,ポロシャツ,ジャケット,帽子,スカーフなどの衣料品,フレグランス,キーリング,マグカップ,荷物,携帯電話とタブレットのケース,ペンとノート,傘,財布,ダイキャストモデル車両,カフスボタン,ボトルストッパー,コースター,おもちゃの乗り物」についての商標として,周知・著名であったことは明白である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標からは「ジャガー(Jaguar)のように」といった意味合いが生ずることから,本件商標の要部が「ジャガー(Jaguar)」部分にあることは明らかである。
イ 引用商標1の文字部分である「JAGUAR」が,引用商標1の要部の一つであることは疑いない。
ウ 引用商標2の「JAGUAR」部分は周知・著名である。一方,「COLLECTION」の語は,「有名デザイナーなどの発表する,そのシーズンの一連の新作。また,その発表会」の意味を有する(甲23)ので,当該部分は,指定商品について識別力を有しないか,極めて弱いといえる。したがって,引用商標2の要部は,「JAGUAR」部分にある。
エ 本件商標の要部である「ジャガー(Jaguar)」部分と引用商標の要部たり得る「JAGUAR」部分とを比較すると,欧文字のスペルが同一であるので,外観において類似するといえる。また,これらから「ジャガー」の称呼が生ずるので,称呼上類似する。さらに,これらから「ジャガー(アメリカトラ,アメリカヒョウ)」の意味合いが生ずるので,観念上類似する。
オ 本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似である。
カ したがって,本件商標と引用商標とは類似の商標であり,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は同一又は類似であるので,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 上記(1)のとおり,「JAGUAR」は,申立人の名称の略称として,本件商標の出願日以前より,我が国において著名であり,使用商標は,本件商標の出願日以前より,「自動車,ポロシャツ,ジャケット,帽子,スカーフなどの衣料品,フレグランス,キーリング,マグカップ,荷物,携帯電話とタブレットのケース,ペンとノート,傘,財布,ダイキャストモデル車両,カフスボタン,ボトルストッパー,コースター,おもちゃの乗り物」についての商標として,周知・著名であった。
イ 引用商標と使用商標とは「JAGUAR」の文字を共通にすることから,上記(2)のとおり,本件商標と使用商標は,外観,称呼及び観念において類似する商標である。
ウ 申立人の「ジャガーコレクション」中の商品である「フレグランス」は,本件商標の指定商品である「化粧品,香料,薫料」と類似する。また,当該「フレグランス」と本件指定商品である「せっけん類,歯磨き,口臭用消臭剤,つけづめ,つけまつ毛,化粧用脱脂綿,洗濯用柔軟剤,つけまつ毛用接着剤,研磨紙,化粧用綿棒」は,同一の店舗で販売されている実情がある。
エ このような状況下,本件商標がその指定商品に使用されれば,当該商品はあたかも申立人あるいは少なくとも申立人と経済的又は組織的に何らかの関連を有する企業によって提供された商品であるかのようにその出所につき誤認・混同を生じさせることは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性について
上記(1)のとおり,「Jaguar」は申立人の略称として著名である。しかして,本件商標は他人である申立人の著名な略称を含む商標である。また,その出願・登録において申立人の承諾を得ていない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。

4 当審の判断
(1)申立人名称及び申立人に係る商標の周知著名性について
申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
ア 申立人は,英国における自動車メーカーであり,1935年(昭和10年)に,最初にジャガーの名前を使用した自動車が生産された。使用商標は,それ以来,申立人の製造する商品に付されている(甲4,甲5)。
イ 申立人は,1948年(昭和23年)以降,モーターレースに出場しており,2016年から2018年に掛けて,FIAフォーミュラ1世界選手権にも出場している(甲7)ことがうかがえる。
ウ デビット・ベッカム氏が中国における申立人のブランドアドバイザーに2014年(平成26年)に就任したほか,同年にサッカー監督のホセ・モウリーニョ氏及びテニスプレイヤーの錦織圭選手,2017年(平成29年)にテニスプレイヤーのミロシュ・ラオニック選手が申立人のブランドアドバイザーに就任している(甲9?甲13)。
エ 申立人は,2015年(平成27年)に,テニスのウィンブルドン選手権の公式自動車スポンサーになった(甲14)。
オ THERICHEST.COMによると,使用商標を付した自動車は,米国の高級車ブランドトップ15の13番目にランクされている(甲16)。
カ 使用商標を付した自動車は,2017年(平成29年)に世界カーオブザイヤー及び世界カーデザインオブザイヤーを受賞する等,海外において賞を受賞している(甲17?19)。
キ 申立人は,使用商標を付した自動車の販売が,世界中で増加し続けており,2010年(平成22年)における全世界での販売台数は5万台超であり,2019年(平成31年)における全世界での販売台数は10万台超である旨主張しているが,その裏付けとなる証左はなく,また,我が国における販売台数等については,確認できない。
ク 申立人は,自動車以外にも使用商標を付した商品を製造しており,それらの商品は「ジャガーコレクション」と総称して,専用カタログで宣伝され,オンラインショップや販売店で購入可能である。「ジャガーコレクション」には,ポロシャツ,ジャケット,帽子,スカーフなどの衣料品,フレグランス,キーリング,マグカップ,携帯電話とタブレットのケース,ペンとノート,傘,財布,ダイキャストモデル車両,カフスボタン,ボトルストッパー,コースター,おもちゃの乗り物等がある(甲20?甲22)。
なお,申立人は,2015年(平成27年),2016年(平成28年),2017年(平成29年)の世界の売上高は,ライセンス製品を除いて,毎年200万ポンドを超えていると主張しているが,その裏付けとなる証左はなく,また,我が国における販売数等については,確認できない。
ケ 以上からすれば,使用商標は,申立人の業務に係る自動車の車種名として,1935年(昭和10年)の発売以来継続して使用され,自動車の愛好家やその取引者の間ではある程度知られていることはうかがえるものの,我が国における周知性の度合いを客観的に判断するための販売実績や広告実績に関する資料の提出はない。
また,我が国における,申立人の業務に係る自動車以外の商品及び役務を取り扱う分野において,使用商標を使用した商品の販売実績や役務の提供実績は明らかではなく,広告実績も不明である。
そうすると,使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に,自動車を含む申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,広く認識されていたと認めることはできない。
加えて,申立人の著名な略称が「Jaguar」であることについての証拠は提出されておらず,「Jaguar」が申立人の著名な略称であると認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,上記1のとおり,「ライク ア ジャガー」の片仮名及び「Like a Jaguar」の欧文字を上下2段に書してなるところ,それぞれ,同書,同大で書されており,外観上,全体がまとまりよく一体的に表されていることに加え,上段の片仮名は下段の欧文字の読みを表したものと認められるものである。また,構成文字全体から生ずる「ライクアジャガー」の称呼も,よどみなく一連に称呼され得るものである。そして,その構成中の「Like」の文字は,「○○のような」程の意味を,「Jaguar」の文字は「ジャガー(中・南米産のヒョウ)」の意味を(いずれも,株式会社研究社 新英和中辞典),それぞれ表す文字であることから,構成文字全体として「ジャガーのような」程の意味合いを認識させるものである。
そうすると,本件商標は,その構成全体をもって看取,把握されるべきものであり,その構成文字に相応して,「ライクアジャガー」の称呼を生じ,「ジャガーのような」の観念を生ずるものというべきである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は,上記2(1)のとおり,「JAGUAR」の文字及びその右上部に飛翔するネコ科の動物と思しき図形を配した構成からなるところ,その構成中「JAGUAR」の文字と飛翔するネコ科の動物と思しき図形とは,視覚上分離して認識されるものであり,また,これらが一体となって特定の観念や称呼を生ずるものでもなく,さらに,図形部分と文字部分とを常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない特段の事由もないから,両者は分離して把握されるものであり,それぞれが自他商品の識別標識としての機能を有するものである。
よって,引用商標1は,その構成中の「JAGUAR」の文字に相応して「ジャガー」の称呼を生じ,「ジャガー」の観念を生ずるものである。
(イ)引用商標2は,上記2(2)のとおり,「JAGUAR COLLECTION」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は,同書,同大で書されており,外観上,全体がまとまりよく一体的に表されているのに加え,構成文字全体から生ずる「ジャガーコレクション」の称呼は,よどみなく一連に称呼され得るものである。そうすると,引用商標2は,その構成及び称呼から,構成全体をもって看取,把握されるべきものであり,その構成文字に相応して,「ジャガーコレクション」の称呼を生じる。また,その構成中の「JAGUAR」の文字は「ジャガー(中・南米産のヒョウ)」の意味を,「COLLECTION」の文字は「収集物,収蔵品,コレクション」の意味を(いずれも,株式会社研究社 新英和中辞典),それぞれ表す文字であるものであるが,構成文字全体として直ちに何らかの意味合いを理解させないことから特定の観念は生じないものというべきである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否について検討するに,本件商標と引用商標の文字部分を比較しても,構成文字が相違することから,本件商標と引用商標とは,外観において紛れるおそれはないものである。
また,称呼についても,上記のとおり,本件商標から生ずる「ライクアジャガー」の称呼と引用商標1から生ずる「ジャガー」及び引用商標2から生ずる「ジャガーコレクション」の称呼とは,音構成及び構成音数において明らかな差異を有することから,本件商標と引用商標とは,称呼においても互いに紛れるおそれはないものである
さらに,観念についても,上記のとおり,本件商標からは「ジャガーのような」の観念が生ずる一方,引用商標1からは「ジャガー」の観念が生じ,引用商標2からは,特定の観念は生じないものである。そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において相紛れるおそれはないものである。
以上から,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念において互いに紛れるおそれのないことが明らかなものであるから,非類似の商標と判断するのが相当である。
エ 小括
上記ウのとおり,本件商標と引用商標は非類似の商標である。
したがって,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人の業務に係る商標の周知性について
上記(1)のとおり,使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,広く認識されていたと認めることはできないものである。
イ 本件商標と使用商標の類似性の程度について
本件商標は,上記(2)アのとおり,「ライク ア ジャガー」の片仮名及び「Like a Jaguar」の欧文字を上下2段に書してなるものであり,「ライクアジャガー」の称呼を生じ,「ジャガーのような」の観念を生ずるものである。
一方,使用商標は,「JAGUAR」の欧文字を書してなるところ,その構成文字に相応して「ジャガー」の称呼を生じ,「ジャガー」の観念を生ずるものである。
本件商標と使用商標の類否について検討するに,その構成文字が相違することから,本件商標と使用商標とは,外観において紛れるおそれはないものである。
また,称呼についても,上記のとおり,本件商標から生ずる「ライクアジャガー」の称呼と使用商標から生ずる「ジャガー」の称呼とは,音構成及び構成音数において明らかな差異を有することから,本件商標と使用商標とは,称呼においても互いに紛れるおそれはないものである
さらに,観念についても,上記のとおり,本件商標からは「ジャガーのような」の観念が生ずる一方,使用商標からは「ジャガー」の観念が生ずるものである。そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において相紛れるおそれはないものである。
以上より,本件商標と使用商標とは,外観,称呼及び観念において互いに紛れるおそれのないことが明らかなものであるから,非類似の商標であって,別異の商標というべきである。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイのとおり,使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているとはいえず,また,本件商標と使用商標とは別異の商標である。
そうすると,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者が,使用商標を連想又は想起することはなく,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。
その他,本件商標が使用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性について
上記(1)のとおり,申立人の著名な略称が「Jaguar」であることについての証拠は提出されていないから,「Jaguar」が申立人の著名な略称であるとみることはできない。
してみれば,本件商標は,他人の著名な略称を含む商標ということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標は,申立てに係る指定商品について,商標法第4条第1項第8号,同項11号及び同項第15号に該当するものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲

別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標1)




特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2020-12-02 
出願番号 商願2019-66872(T2019-66872) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 23- Y (W03)
T 1 651・ 261- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 武谷 逸平 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 藤村 浩二
大森 友子
登録日 2020-04-09 
登録番号 商標登録第6244325号(T6244325) 
権利者 株式会社コーセー
商標の称呼 ライクアジャガー 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 中村 稔 
代理人 藤倉 大作 
代理人 松尾 和子 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 石戸 孝 

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