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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W053032
管理番号 1369130 
審判番号 取消2018-300875 
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-11-19 
確定日 2020-12-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第5788709号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5788709号商標(以下「本件商標」という。)は、「エクステンド」の片仮名と「EXTEND」の欧文字を2段に書した構成からなり、平成27年2月9日に登録出願、第5類「薬剤,医療用試験紙,栄養補給用ドリンク剤,ビタミン剤,乳幼児用粉乳,サプリメント,プロテイン・食物繊維等を主成分として各種ビタミン・各種ミネラルを添加して粉末状・顆粒状・粒状・液状・ブロック状・棒状又はカプセル化した加工食品,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,キャラメルソース,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと,食用粉類」及び第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」を指定商品として、同年8月28日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成30年12月5日であり、この登録前3年以内の期間を以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第5類「ビタミン剤,乳幼児用粉乳,サプリメント,プロテイン・食物繊維等を主成分として各種ビタミン・各種ミネラルを添加して粉末状・顆粒状・粒状・液状・ブロック状・棒状又はカプセル化した加工食品」、第30類「アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「乳清飲料」(以下、これらをまとめて「請求に係る商品」という。)」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べた。
本件商標は、その指定商品中、請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである旨主張している。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人、すなわち商標権者は、要証期間内に日本国内において、請求に係る商品中、少なくとも、第5類「プロテイン・食物繊維等を主成分として各種ビタミン・各種ミネラルを添加して粉末状・顆粒状・粒状・液状・ブロック状・棒状又はカプセル化した加工食品」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していた。
2 本件商標の使用について
(1)被請求人の関連会社である、シンガポール籍の「RIGHT HANDS CORPORATION PTE LTD」(以下「RIGHT HANDS社」という。)(代表者は被請求人と同一)は、米国で「EXTEND」のブランドを展開して健康食品を製造販売している米国企業「Clinical Products,LLC」との間で、「EXTEND」製品(以下「本件製品」という。)の日本での販売に関する契約(代理店契約)を、2015年4月に締結し、同年6月には、これに基づきRIGHT HANDS社と被請求人との間で、サブライセンスの形で本件製品の商品売買契約を締結している。
かかる契約締結を経て、被請求人は、2015年秋から本件製品の日本への輸入及び国内販売を開始しており、自社のオリジナルサイトを開設してインターネット通販を始め、2015年11月からはインターネット通販大手「Amazonジャパン」で販売を開始、2016年1月からは「楽天市場」でも販売を開始した。
さらに、2016年4月から「ナショナル麻布スーパーマーケット」(ナショナル物産(株)運営)、及び2016年5月からは「Cosme Kitchen」((株)マッシュビューティーラボ 運営)といった実店舗にも本件製品を卸して販売している(乙2)。
(2)乙第2号証の「Extend(エクステンド)商標使用状況報告」(以下「本件報告書」という。)の8ページには、被請求人が販売していた本件製品の一例(バータイプ)のパッケージ写真が添付されている。
本件製品は、栄養補助を目的とするいわゆる健康食品であり、栄養成分を棒状に固めたバータイプや、スナック状のクリスプタイプといった商品形状と味の違いにより、複数の種類がラインナップされている。
本件製品は、米国からの輸入品であるため、パッケージは英文表記であるが、その裏面に販売輸入元に当たる被請求人が「エクステンド」の和文製品名を表示するとともに、商品説明や成分表などを和文で記載したシールを貼付して出荷している。
「砂糖不使用、低GI、低糖質、高タンパク質、高食物繊維・・・」といった健康増進効果の高い成分構成を謳った製品の特長も当該シールに記載されており、また、パッケージ表面には、やや装飾的な書体で「Extend」の欧文字が大書されているが、見栄え等を目的とした装飾は世上一般に行われていることから、本件商標と社会通念上同一のものとみるべきである。
本件報告書の11ページは、被請求人が本件製品の取引先を開拓した時に使用した営業ツール(製品紹介資料)であり、糖尿病治療の権威である米国の医師により、血糖値のコントロールと栄養補助を目的に開発された製品で、糖尿病患者のほか、アスリートやダイエット・健康志向の方を主なターゲットにした商品であり、様々な健康増進効果を同資料で謳っているほか、随所に製品名として「エクステンド」及び「Extend」を使用している。
以上のような商品の内容と特長から、本件製品は、第5類「プロテイン・食物繊維等を主成分として各種ビタミン・各種ミネラルを添加して粉末状・顆粒状・粒状・液状・ブロック状・棒状又はカプセル化した加工食品」に該当する。
本件報告書の15ページは、前述の店舗「Cosme Kitchen」との本件製品の取引に係る発注書、納品書及び請求書の各写しであり、各書類の日付は、要証期間内に当たる2016年5月18日である。また、同16ページは、同様に2016年5月12日付けの「ナショナル麻布スーパーマーケット」との取引書類である。
本件報告書の18ページは、「Amazon」を通じた取引に係る注文管理伝票(一部マスキング有り)の一例で、2015年12月10日、2016年8月2日、及び同年8月22日付けの各写しである。
本件報告書の19ページ左は、上述した自社オリジナルサイトのトップページ画面の写しであり、このウェブサイトを通じ、本件製品に関する情報発信と通信販売を行っていた。
そのトップページの左上に二段併記された「Extend/エクステンド」の商標が使用されている。
本件報告書の20ページ以降は、「Facebook」上に被請求人が開設していた本件製品に関する公式サイトの画面であり、製品情報の発信と宣伝広告に活用していた。サイト内の情報は随時更新していたが、本資料では要証期間内に当たる2016年当時の日付のサイト情報をいくつか抜粋しており、サイトの左上部に二段併記された本件商標が大書され、容易に製品ブランドと把握される。
(3)まとめ
以上の内容と提出した証拠より、被請求人が、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件審判の予告登録前3年以内に日本において、請求に係る商品中、少なくとも「プロテイン・食物繊維等を主成分として各種ビタミン・各種ミネラルを添加して粉末状・顆粒状・粒状・液状・ブロック状・棒状又はカプセル化した加工食品」について使用していた。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)棒状の本件製品の包装袋の表面には、別掲のとおり、ややデザイン化された「Extend」の文字(以下「使用商標」という。)並びにその下部に「NUTRITION」及び「Mixed Berry」の文字が表示されている。また、本件製品の包装袋の裏面に貼られた販売用のシールの上部には、「エクステンド バー ミックスベリー」の記載があり、その下部には「名称:菓子」、「原材料名」には、「大豆、甘味料(・・・)、コーンスターチ、イヌリンパウダー、乳たんぱく質」等の記載、原産国には「アメリカ合衆国」、輸入元には被請求人の名称及び住所の記載があり、さらに、「砂糖不使用、低GI、低糖質、高たんぱく質、高食物繊維、低脂肪」などの記載がある(乙2の8ページ)。
(2)「エクステンド製品初期営業ツール1」には、その左上に使用商標が表示され、本件製品の写真が掲載されており、これには、日本での発売予定が2015年7月上旬である旨の記載、本件製品の日本正規総代理店として被請求人の名称の英語表記及びインターネットアドレスが記載されている。また、購買想定者には、「・糖尿病の方・体重を気にされている方・フィットネスに真剣な方・多忙な方・健康志向の方」などの記載、並びに本件製品の優位性として、「血糖値を安定化」、「摂取カロリーを削減」、「夜間の低血糖発症を減少」及び「朝の高血糖発症を減少」などの記載がある(乙2の11ページ)。
(3)2016年5月18日付けで、株式会社マッシュビューティーラボ(以下「マッシュ社」という。)から被請求人宛てに作成された発注書には、「発注No.58274」の記載がある。また、品名欄には「Extend bar ミックスベリー」、「Extend bar アップルシナモン」、「Extend Crisps ホワイトチェダー」及び「Extend Crisps ゼスティランチ」の記載がある。さらに、上記各商品のブランド欄には、いずれも「Extend」の記載があり、それぞれの商品について、数量、金額が記載されている。
そして、2016年5月18日付けで、被請求人からマッシュ社宛てに作成された納品書及び請求書には、「件名:Extend製品」、「発注番号:58274」の記載がある。また、品名欄には、「EXTEND クリスプ ホワイトチェダー」、「EXTEND クリスプ ゼスティランチ」、「EXTEND バー ミックスベリー」及び「EXTEND バー アップルシナモン」の記載があり、それぞれの商品について、数量及び金額が記載されており、その内容は、上記、マッシュ社から被請求人宛に作成された発注書の数量及び金額と一致している(乙2の15ページ)。
(4)被請求人は、2015年11月下旬から2016年6月上旬まで、Facebookに本件製品に関する紹介や購入方法などの情報について掲載し、これを随時更新していた(乙2の20ページないし26ページ)。
当該Facebookには、左上部に使用商標が表示されており、例えば、上記(2)と同一視できる写真(乙2の20ページ、26ページ)、上記(1)の商品と同一と思われる商品の写真(乙2の21ページ、23ページ、26ページ)が掲載され、食後の血糖値の上昇を抑制することなど商品の紹介や楽天市場で購入可能なことなどが記載されていた。
(5)上記(1)ないし(4)によれば、被請求人はアメリカ合衆国で製造された本件製品を輸入していることがうかがわれるところ、本件製品中の「Extend バー ミックスベリー」(以下「使用商品」という。)の包装袋には、名称として「菓子」の記載があるものの、当該商品は、糖尿病患者や健康志向の者などを購買者として想定し、商品の優位性として、血糖値の安定化、摂取カロリーの削減、夜間の低血糖及び朝の高血糖の発症を減少などとするものである。そして、被請求人は、使用商品を含む本件製品に関する紹介やその購入方法などの情報を自身のFacebookで2015年11月下旬から2016年6月上旬まで、その内容を更新しながら掲載していたことが認められ、また、2016年5月18日のマッシュ社からの注文を受け、同日付けで使用商品を含む4種類の本件製品を同社に納品したことが推認できる。
2 判断
(1)使用商標について
本件商標は、「エクステンド」の片仮名と「EXTEND」の欧文字を2段に横書きしてなるところ、「EXTEND」の文字からは「エクステンド」の称呼を生じ、当該文字は「広げる」の意味を有する英語であり、上段の片仮名は下段の欧文字の片仮名表記であるから、本件商標からは、「エクステンド」の称呼を生じ、「広げる」の観念を生じるものである。
他方、使用商標は、別掲のとおり、「Extend」の欧文字をややデザイン化したものであるところ、本件商標と同様に「エクステンド」の称呼及び「広げる」の観念を生じるものである。
したがって、使用商標は、本件商標と称呼及び観念を同じくする社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
使用商品は、「大豆、コーンスターチ、イヌリンパウダー、乳タンパク質」等を原材料とする棒状の商品であり、その包装袋に名称として「菓子」の記載があるものの、糖尿病患者や健康志向の者などを購買者として想定し、商品の優位性として、血糖値の安定化、摂取カロリーの削減、夜間の低血糖及び朝の高血糖の発症を減少などとするものであることからすれば、当該商品は、栄養を補助し、健康を維持することを目的とした加工食品であり、取引者、需要者も使用商品を栄養補助、健康維持のための商品と認識するとみるのが自然である。
そうすると、使用商品は、「大豆・コーンスターチ・イヌリンパウダー・乳タンパク質などを原材料とする棒状の加工食品」であって、当該商品は、請求に係る商品中の「サプリメント」に含まれる「クロレラを主原料とする粒状の加工食品」及び「酵母を主原料とする粒状の加工食品」と同様の商品といえることから、使用商品は、「サプリメント」の範ちゅうの商品といい得るものである。
(3)使用者及び使用時期について
使用商標が表示されている使用商品の包装袋裏面の販売用シールには、被請求人の名称があることから、使用商標の使用者は、被請求人である商標権者である。また、被請求人は、2016年(平成28年)5月18日に使用商品の包装袋に使用商標を付し、これをマッシュ社に納品(譲渡)したことが推認できるところ、上記日付は要証期間内である。
(4)小括
以上によれば、被請求人である商標権者が、要証期間内に、請求に係る商品中、「サプリメント」の範ちゅうの使用商品の包装袋に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものをマッシュ社に譲渡したと認めることができる。
この行為は、商標法第2条第3項第2号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者がその請求に係る商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(使用商標)



審理終結日 2020-07-01 
結審通知日 2020-07-09 
審決日 2020-07-22 
出願番号 商願2015-11523(T2015-11523) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W053032)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小田 昌子 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 中束 としえ
板谷 玲子
登録日 2015-08-28 
登録番号 商標登録第5788709号(T5788709) 
商標の称呼 エクステンド、イクステンド 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 小林 奈央 
代理人 一色国際特許業務法人 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 

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