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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1368371 
異議申立番号 異議2019-900210 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-07-30 
確定日 2020-08-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第6154369号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6154369号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6154369号商標(以下「本件商標」という。)は,「EchoBee」の文字を標準文字で表してなり,平成30年9月5日に登録出願,第9類「タブレット型コンピュータ,コンピュータ,マルチメディアプロジェクター,スマートフォン,電気用プラグ及びソケット,カービデオレコーダー,扉用のデジタル式錠,ビデオカメラ,ウェブカメラ,カメラ用フィルター,スピーカー用エンクロージャー,ケーブル,ユニバーサルシリアルバス(USB)用ハードウエア,セットトップボックス」を指定商品として,令和元年6月5日に登録査定,同月21日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する商標は以下の3件であり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)。
(1)登録第6072707号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:ECHO(標準文字)
登録出願日:平成27年4月10日
優先権主張:2014(平成26)年10月31日
トリニダード・トバゴ共和国
設定登録日:平成30年8月17日
指定商品及び指定役務:別掲1のとおり
(2)登録第6114778号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:ECHO(標準文字)
登録出願日:平成27年4月10日
優先権主張:2014(平成26)年10月31日
トリニダード・トバゴ共和国
設定登録日:平成31年1月18日
指定商品 :第9類「磁気記憶媒体・記録ディスク(未記録のもの),未記録のコンパクトディスク,未記録のDVD,未記録のデジタル記録媒体,データ処理装置,コンピュータ,コンピュータソフトウェア,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム,音声によって制御される情報機器用のコンピュータハードウエア及びコンピュータソフトウエア」
(3)登録第6156450号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:ECHO(標準文字)
登録出願日:平成29年12月19日
設定登録日:令和元年6月28日
指定役務 :別掲2のとおり

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第111号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標の構成中,出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部は「Echo」の文字部分にあるから,本件商標は,他人の先願に係る登録商標である引用商標「ECHO」に類似するものである。
そして,本件商標は,引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品を指定するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,申立人の親会社であるAmazon.com,Inc.(以下「アマゾン社」という。)の業務に係る人工知能(AI)スピーカー(以下「AIスピーカー」という。)を表すものとして世界的な周知著名性を獲得している申立人の商標「ECHO」と文字つづりを同一にする「Echo」の文字をその構成中に要部として含むものであるから,申立人の著名商標を想起若しくは連想させるものである。
また,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務とは,同一又は類似するかあるいは関連性が極めて高いものである。
そうすると,本件商標がその指定商品に使用された場合には,これに接した取引者,需要者が,アマゾン社の製造・販売に係る「ECHO」製品のシリーズの一つであるかの如く誤って認識する可能性が極めて高い。
よって,本件商標は,アマゾン社の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある商標であるから,商標法第4条第1号第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出に係る証拠によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,米国のアマゾン社の100%子会社(甲99)であり,アマゾン社の知的財産を管理している。
(イ)引用商標「ECHO」は,アマゾン社が開発した,対話型の音声操作に対応したAIアシスタント機能を持つスピーカーで,内蔵されているマイクで音声を認識し,情報の検索や連携家電の操作を行う,AIスピーカーと呼ばれる商品(以下「使用商品」という。)について使用され,2014年(平成26年)11月6日に,アマゾンプライム会員か招待者のみに購入が制限されていたが,2015年(平成27年)6月23日には,アメリカでの一般販売を開始し,現在も販売している(甲100,甲102)。
(ウ)米国における使用商品の販売予約開始等使用商品に係る記事は,我が国の新聞・雑誌・インターネット等において,2015年(平成27年)6月以降取り上げられている(甲4ないし甲97)。
(エ)米調査会社コンシューマ・インテリジェンス・リサーチパートナーズによると,2014年(平成26年)の発売以来,米国で累計300万台を販売している(甲35,甲39,甲41)。
また,2016年(平成28年)12月末の時点で,アメリカにおける販売台数は1000万台を超えたと報道されている(甲94)。
そして,米国調査会社イーマーケッターによると,米国のスマートスピーカー市場でのアマゾン社のシェアは約71%,2位のグーグル社(24%)以下を引き離していると報道されている(甲90,甲104)。
(オ)使用商品は,2016年(平成28年)9月には英国及びドイツで(甲58),2017年(平成29年)10月にはインドで(甲105),同年11月には我が国で販売を開始した(甲97の2,甲106,甲107)。
(カ)使用商品の我が国における販売数量,売上実積等の販売実績及び広告宣伝費,時期,回数,地域,頒布の方法等の実績を示す主張及び証拠は見いだすことができない。
イ 上記アの事実からすれば,使用商品は,本件商標の登録出願日(平成30年9月5日)前に,米国,英国,ドイツ及びインドで販売されたことが認められ,米国市場における販売数,販売シェアからすると,米国においてある程度知られていることはうかがい知ることができる。
また,我が国においては,2017年(平成29年)11月から,使用商品が販売された事実は確認できるものの,何より我が国における周知性の度合いを客観的に判断するための販売実績や使用商品の広告宣伝の時期,回数等その取引状況を具体的に示す証拠の提出はない。
そして,我が国の新聞等において使用商品に係る記事が掲載されたことを考慮するとしても,提出された証拠によっては,使用商品の周知性の程度を推し量ることができないから,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
また,申立人は,我が国及び外国で商標「ECHO」及び「ECHO」と他の文字を結合させた態様の商標の商標権を有していると主張するが,そのことをもって直ちに「ECHO」が申立人の商標として需要者の間に広く認識されているものということはできない。
そうすると,引用商標「ECHO」は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人及びアマゾン社(以下「申立人ら」という。)の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,「EchoBee」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字部分は,その中間部において「B」の文字が大文字で表されているとしても,同じ書体,同じ大きさ,同間隔で一連一体的にまとまりよく表してなるものであり,その構成も冗長なものとはいえないから,これより生じる「エコービー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして,「E」と「B」が大文字で表されているとしても,全体として具体的な意味合いを認識させるものとはいい難く,かつ,いずれかの文字部分が独立して取引者,需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものともいい難いものであることから,これに接する需要者等は,本件商標の構成文字全体をもって,特定の意味合いを想記させることのない一種の造語を表したものと理解するのが相当である。
また,本件商標の構成中の「Bee」の語が本件商標の指定商品との関係において,自他商品の識別力が弱いとすべき具体的な証拠もなく,かつ,商品の品質等の表示するものともいえない。
そうすると,本件商標を「Echo」と「Bee」とに分離する特段の理由はない。
したがって,本件商標は,その構成文字全体に相応して「エコービー」の称呼のみが生じるものであって,特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は,それぞれ「ECHO」の文字を標準文字で表してなるところ,該文字は「エコー」と発音され,「こだま,やまびこ」を意味する親しまれた語であることからすれば,引用商標「ECHO」の文字からは,その構成文字に相応して「エコー」の称呼を生じ,「こだま,やまびこ」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標との類否について検討するに,両商標はそれぞれ上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ,外観においては,「Echo」及び「ECHO」のつづりを共通にするとしても,「Bee」の文字の有無の差異を有するから,外観上,明確に区別できるものである。
次に,称呼においては,本件商標から生じる「エコービー」の称呼と引用商標から生じる「エコー」の称呼とは,それぞれの構成音及び音数に明らかな差異を有するから,本件商標と引用商標は,称呼上,明瞭に聴別できるものである。
さらに,観念においては,本件商標からは特定の観念を生じないのに対し,引用商標は「こだま,やまびこ」の観念を生じるから,観念上,紛れるおそれはない。
以上によれば,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念において類似しないものであるから,非類似の商標というべきである。
その他,本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
してみれば,本件商標は,引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品又は役務があるとしても,引用商標とは非類似の商標である。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)イのとおり,引用商標は,申立人らの業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
また,上記(2)ウのとおり,本件商標は,引用商標と外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,両者の類似性の程度は低いものである。
そうすると,これらの事情を考慮すれば,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が申立人らあるいは同人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではなく,その登録は同条第1項の規定に違反してなされたものとはいえないものであり,他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲


別掲1(引用商標1の指定商品及び指定役務)
第9類「電気の伝導用・開閉用・変圧用・蓄電用・調整用又は制御用の機械器具,音声及び映像の記録・送信・再生用の機械器具・装置,硬貨作動式機械用の始動装置,金銭登録機,計算機,消火器,電気通信機械器具,バーチュアルパーソナルアシスタントの機能を有するクラウドコンピューティングシステムに接続して制御を行う音声スピーカー並びにその部品及び付属品」
第35類「消費者のための商品購入に関する助言と情報の提供」
第38類「電気通信,ニュース及び時事問題情報の送信」
第41類「娯楽の提供(但し「スポーツの興行の企画・運営又は開催」を除く。),文化的イベント活動の企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,オンラインによる音楽の提供,美術品の展示に関する情報の提供,文学に関する資料の展示に関する情報の提供,音楽の演奏に関する情報の提供,映画の興行の企画又は運営に関する情報の提供,映画の上映に関する情報の提供,芸術作品・文学作品及び歴史上人物の分野における娯楽情報の提供,ライフスタイル・自己啓発及び歴史に関する電子出版物の提供」及び第42類「コンピュータのハードウエアの設計及び開発,電子計算機用プログラムの提供,クラウドコンピューティング,気象に関する情報の提供,デザインの考案に関する情報の提供,室内装飾のデザインの考案に関する情報の提供」

別掲2(引用商標3の指定役務)
第35類「消費者のニーズに応じた一般消費者への商品の選択に関する情報の提供,消費者が求める仕様及びニーズに応じた一般消費者の選択のための商品の選択に関する情報の提供,消費者のための商品購入に関する助言と情報の提供,オンラインによる衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,書籍・家庭用電気機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。)・飲食料品・ワイン・おもちゃ及び花の小売及びオンラインによる小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
第42類「パーソナルアシスタント機能によりユーザーの音声を認識して特定タスクの実行を可能とするコンピュータソフトウェアの提供」
第45類「インターネットを介した異性の紹介,似たような興味を持つ他の人と会いたいという共通の願いを持つ人のための生産的な人間関係の構築及び発展のための異性又は同性の紹介,インターネット又はその他のコンピュータ又は通信ネットワークによる異性又は同性の紹介,個人の間の社交上の紹介又は交流の促進を含むオンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供,オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供,娯楽の分野におけるオンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供,ウェブサイト及び通信ネットワーク経由による娯楽の分野におけるソーシャルネットワーキングサービスの提供,家事の代行,買い物の代行,法律業務,財産及び個人の保護のための警備,オンラインコンピュータデータベース及びオンラインで検索可能なデータベースによるソーシャルネットワーキングサービスの提供に関する情報の提供,娯楽目的のソーシャルネットワーキングウェブサイトの提供,解説・比較・連携・指導・助言・討論・調査・情報共有・インデックス付け・位置情報及び娯楽のためのソーシャルネットワーキングサービスの提供,インターネット・電気通信ネットワーク及び無線電気通信ネットワークを通じて検索可能なデータベースによるオンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供に関する情報の提供」


異議決定日 2020-08-12 
出願番号 商願2018-111375(T2018-111375) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 榎本 政実
小松 里美
登録日 2019-06-21 
登録番号 商標登録第6154369号(T6154369) 
権利者 王大慰
商標の称呼 エコービー 
代理人 押野 雅史 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 小林 奈央 
代理人 田中 克郎 
代理人 廣中 健 

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