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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X28
管理番号 1368259 
審判番号 取消2018-300475 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-06-23 
確定日 2020-10-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第5456592号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5456592号商標(以下「本件商標」という。)は、「天使」の文字を標準文字により表してなり、平成23年3月25日に登録出願、第28類「おもちや,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具」を指定商品として、同年12月9日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年7月9日であり、この登録前3年以内の期間を以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、請求人の調査によれば、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品について使用をしていないものであるから、その登録は商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証の1について(審決注:後記第3の被請求人の主張に記載のとおり、「乙第1号証」については「乙第1号証の2」が提出されていることから、本審決においては、「乙第1号証」を「乙第1号証の1」と読み替えることとする。
ア 被請求人は、外装の包装用箱の側面下部分にのみ小さく「天使」との表示がなされている「写真撮影報告書」(乙1の1)を示して、「トランプ」(品番SPNN1001)(以下「本件トランプ1」という場合がある。)の包装に「天使」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)を付し、当該使用商標と本件商標とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であると主張する。
イ しかし、「写真撮影報告書」(乙1の1)の作成日は、平成30年7月30日とあるように、要証期間内に撮影されたものではなく、要証期間内において撮影された包装用箱が存在していたことを証明していない。また、当該写真には、外装の包装用箱とトランプの包装用箱が包装されているように撮影されているが、この外装の包装用箱が商品「トランプ」の包装用箱として使用されているとするには、要証期間内において商品「トランプ」を包装した状態で譲渡等されている客観的事実を証明する必要があるところ、当該写真は被請求人の会社内で撮影されたものであることからすると、少なくともこの包装用箱が輸出に使用された箱でないことは明らかであり、これらの証明はなされていない。
なお、外装用の箱は発送用のほか、単なる保管用としても使用されるものであって、取引上、商品の発送に使用される場合においても使い回しにより全く異なる商品の包装に使用されることも多く、単に外装用の包装用箱があるとのことのみで要証期間内に使用されたとする証明には至らない。
ウ 「写真撮影報告書」(乙1の1)の説明の欄において、本件トランプ1の包装に本件商標を付したものを輸出していることが確認できた、と記載されているが、撮影したのは乙第2号証によると被請求人の社員であって、被請求人の社員が「輸出した」との主張は、本件商標を請求に係る商品に使用したことを客観的に証明したとはいえない。
エ 以上のとおり、「写真撮影報告書」(乙1の1)は、要証期間内に撮影されたものではなく、しかも、仮に撮影された包装用箱が要証期間内に存在したとしても、要証期間内に輸出に使用された箱であることが証明されていないのであるから、本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについての商標の使用を証明したということはできない。
したがって、「写真撮影報告書」(乙1の1)は、商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものということはできない。
(2)乙第2号証について
ア 被請求人は、「陳述書」(乙2)を示して、これに添付された「請求書」は要証期間内に発行されたものであり、本件トランプ1が輸出されたことが記録されていると主張しており、また、陳述書(乙2)をみると、「トランプ」の記載と「SPNN1001」の品番が付されていることがうかがえる。
イ しかし、陳述書(乙2)に添付されている請求書には本件商標の記載はなく、また、当該請求書に記載の品番と同じ記載が乙第1号証の包装用箱の側面に記載されているが、当該包装用箱が要証期間内に譲渡等で使用された事実はない。
すなわち、商標法上の「使用」というためには標章を付して譲渡等をしなければならないところ、被請求人は、要証期間外に撮影された使用されていない包装用箱と本件商標の記載のない請求書をもって、本件商標を使用したと主張するのみで、請求に係る商品又は商品の包装に標章を付して譲渡等をしていることを何ら証明してはいない。
ウ 以上のとおり、陳述書(乙2)は、本件商標が付されたものではなく、また乙第1号証の1を参酌したとしても要証期間内に輸出に使用された箱であることが証明されていないのであるから、本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについての商標の使用を証明したということはできない。
したがって、陳述書(乙2)は、商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものということはできない。
(3)まとめ
以上述べたとおり、被請求人によって提出された答弁書及びその証拠書類によっては、商標権者又はその使用権者が、本件商標を要証期間内に、その請求に係る指定商品である第28類の指定商品のいずれかについて使用していたということはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出した。なお、被請求人の提出に係る「乙第1号証」については、「乙第1号証の2」が提出されていることから、本審決においては、「乙第1号証」を「乙第1号証の1」と読み替え、また、「乙第2号証」については「添付資料1」及び「添付資料2」が、「乙第4号証」については「添付資料1-1」ないし「添付資料3-3」が添付されているところ、これらについては、「資料1」及び「資料1-1」のように省略して記載する。
1 被請求人は、被請求人の業務に係る「トランプ(品番SPNN1001)」(本件トランプ1)の包装に「天使」の文字からなる使用商標を付し(乙1の1)、要証期間内に、これを輸出した(乙2)。
本件トランプ1は、請求に係る本件商標の指定商品中の「トランプ」であり、使用商標と本件商標とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標である。
陳述書(乙2)に添付された「請求書」は、要証期間内である平成30年3月22日に発行されたものであって、当該請求書には、本件トランプ1が「11520デック」香港に輸出されたことが記録されている。
2 被請求人の登記簿上の住所は、滋賀県東近江市であるが、陳述書(乙2)に添付された「請求書」には、被請求人の営業所在地である、京都府京都市下京区の住所が記載されている(乙3)。
そして、陳述書(乙2)添付の請求書に記載の「エンゼルプレイングカード株式会社」と被請求人が同一人であることについては以下のとおりである。
被請求人の履歴事項全部証明書(乙4の資料3-1)には、被請求人の住所が平成27年10月1日に、大阪府大阪市中央区から滋賀県東近江市の住所に移転されたことが記載されている。
また、被請求人の事業開始等の届出書(乙4の資料3-2)には、被請求人の事業所の住所として、京都府京都市下京区の住所が記載されており、同書類の届出日は平成20年11月20日であって、以降同住所の事業所に変更はない。
さらに、被請求人の会社概要及び沿革(乙4の資料3-3)には、被請求人の京都駅前事業所の住所として、京都府京都市下京区の住所が記載されている。
以上よれば、被請求人の登記簿上の住所は、本件商標の商標登録原簿と同一であるが、営業所在地としては、京都駅前事務所と関西学研事務所の2つが存在し、陳述書添付の請求書(乙2)記載の住所が、上記京都駅前事務所の住所であることは明らかである。
したがって、陳述書添付の請求書(乙2)は、被請求人による取引書類である。
3 通常使用権者による使用の事実(商標法第2条第3項第1号)について
(1)報告書(乙4)添付の資料1について
ア 資料1-1は、本件トランプ1の包装(SPNN1001のスリーブ)を作成するために被請求人が作成した図面、資料1の3は、本件トランプ1の包装(6個入り内箱)を作成するために被請求人が作成した図面であり、これらの包装には使用商標が付されている。
また、資料1-2は資料1-1の図面の電子ファイルの作成日を示すもの、資料1-4は資料1-3の図面の電子ファイルの作成日を示すものであり、いずれも、電子ファイルであるPDF形式で保存されており、作成日を示す「プロパティ」には、前者には、「作成日:2014/08/18 14:29:08」、「更新日:2014/08/18 14:29:08」と表示され、後者には「作成日:2014/08/18 14:28:42」、「更新日:2014/08/18 14:28:43」と表示されている。
これらは、いずれも要証期間前であるが、当該作成日及び更新日以降、当該図面は更新されずに使用されて包装が製造されており、要証期間においても当該図面に基づき当該包装が製造されている。
また、本件トランプ1は、主に海外への輸出用商品ではあるが、海外における日本製トランプの信頼性が高く人気があるため、包装にはあえて日本語表記部分を残し、日本製であることがうかがえるデザインとしている。
イ 資料1-5は、トランプの包装(SPNN1002のスリーブ)(以下「本件トランプ2」といい、これと「本件トランプ1」をまとめて「本件トランプ」という。)を作成するために被請求人が作成した図面、資料1-7は、本件トランプ2の包装(SPNN1002の6個入り内箱)を作成するために被請求人が作成した図面であり、これらの包装には使用商標が付されており、その画像については、写真撮影報告書(乙1の2)のとおりである。
資料1-6は、資料1-5の図面の電子ファイルの作成日を示すもの、資料1-8は、資料1-7の図面の電子ファイルの作成日を示ものであり、いずれも電子ファイルであるPDF形式で保存されており、作成日を示す「プロパティ」には、前者には「作成日:2017/02/03 15:04:39」、「更新日:2017/02/03 15:04:39」と表示され、後者には「作成日:2017/02/03 15:05:41」、「更新日:2017/02/03 15:05:41」と表示されており、いずれも、更新されずに使用されて包装が製造されている。
また、本件トランプ1と同様の理由から、本件トランプ2の包装にはあえて日本語表記部分を残し、日本製であることがうかがえるデザインとしている。
さらに、本件トランプ2は、デザインを変更することなく国内向けにも流通しており、資料1-5及び資料1-7の図面をもとに製造された包装がそのまま使用されている。
ウ 資料1-9は、本件トランプの6個入り内箱及びスリーブの納品書である。
本件トランプ1の6個人り内箱は、納品書では「品コード UCHIBAKO/SPNN1001E-6」「品名 SPNN1001-E 6入内箱」と記載されており、本件トランプ2の6個入り内箱は、納品書では「品コード UCHIBAKO/SPNN1002E-6」「品名 SPNN1002-E 6人内箱」と記載されており、いずれも納品書記載の日付(要証期間内)に、納品書記載の個数を包装紙器会社よりエンゼルトランプ株式会社(以下「AT社」という。)に納品されたことを示すものである。
本件トランプ1のスリーブは、納品書では「品コード SURIBU/SPNN1001E」「品名 SPNN1001-E スリーブ」と記載されており、本件トランプ2のスリーブは、納品書では「品コード SURIBU/SPNN1002E」「品名 SPNN1002-Eスリーブ」と記載されており、納品書に記載の日付(要証期間内)に、納品書記載の個数を包装紙器会社よりAT社に納品されたことを示すものである。
AT社は、被請求人がトランプ製造を委託する被請求人のグループ会社である(資料3-3)。
エ 資料1-10は、被請求人作成の発注文書であり、被請求人が、AT社に本件トランプの製造を発注したことを示すものであり、「APC発注文書」の「APC」は、被請求人(エンゼルプレイングカード株式会社)の略称である。
上記資料の1枚目上段には、「発注日 平成30年2月3日」、「発注先エンゼルトランプ(株)」、「品コード SPNN1001-E」、「数量 11,520」、「納期 平成30年3月30B」と記載されている。
また、上記資料の2枚目上段には、「発注日 平成30年2月3日」、「発注先 エンゼルトランプ(株)」、「品コード SPNN1002-E」、「数量 17,280」、「納期 平成30年3月30日」と記載されている。
以上より、被請求人が、要証期間内に、AT社に本件トランプの製造を発注したことが示されている。
(2)商標法第2条第3項第1号に該当すること
上記(1)のとおり、本件トランプ及びその包装は、要証期間内に、本件トランプの製造を委託する被請求人のグループ会社であるAT社が作成し、本件トランプの包装には、使用商標が付されている。
そうすると、AT社は、要証期間内に、本件トランプの包装に使用商標を付する行為をしたといえる。
そして、AT社は、被請求人が本件トランプの製造を委託する被請求人のグループ会社であり、被請求人は、AT社に対し、通常使用権を許諾している(乙5?乙9の審決参照)。
したがって、本件商標に係る通常使用権者は、要証期間内に本件トランプの包装に使用商標を付する行為をしているといえる(商標法第2条第3項第1号)。
4 商標権者による使用の事実(商標法第2条第3項第2号)について
(1)報告書(乙4)添付の資料2について
ア 資料2-1は、本件トランプについての香港の顧客が発行した注文書である。
当該資料の右上部分には、「P/O No.180103」「Date:19th January、2018」と記載されており、P/O(Purchase Order=注文書)の番号180103にて要証期間内である平成30年1月19日に発行されたことを示すものである。
資料中段には、「Item No.SPNN1001(Green)」「Qty.11,520 decks」との記載があり、また「SPNN1002(Blue)」について、「Qty.17,280decks」と記載されている。これは、注文品番(Item No.)SPNN1001が数量(Qty.:Quantity=数量)11,520デック、SPNN1002が数量17,280デック顧客より発注されたことを示すものである。
イ 資料2-2は、本件トランプについての出荷インボイスである。
当該資料上部に、被請求人が要証期間内である平成30年3月22日にインボイス番号180328として発行されたことが示されており、同じく上部には「SHIPPED per」として、平成30年3月31日前後のAPOLLON D V.S810という貨物船(搭載予定船)にて神戸から香港に輸送されることが示されている。
また、資料中段には、「Marks & Nos. (Side Mark)ITEM NO.SPNN1001」「Quantity 11,520 decks」「Description PLAYINGCARDS SPNN1001 11,520 decks」と記載されており、さらに「Marks & Nos. (Side Mark)ITEM NO.SPNN1002」「Quantity 17,280 decks」「Description PLAYING CARDS SPNN1002 17,280 decks」と記載されている。
これらは、貨物の側面に、ITEM NO.SPNN1001と記載された数量11,520デックのトランプSPNN1001が、また、貨物の側面に、ITEM NO.SPNN1002と記載された数量17,280デックのトランプSPNN1002が要証期間内の平成30年3月22日に、合計28,800デックと他の品名の商品と共に出荷されたことを示している。
ウ 資料2-3は、輸出許可通知書である。
当該資料の上部には、輸出許可の申告年月日が平成30年3月29日(2018/3/29)であること、輸出者が被請求人であること、仕向人が香港の顧客であることが示されており、資料中段には、搭載予定船(機)名がAPPOLLON Dであること、出港予定年月日が要証期間内である平成30年3月31日(2018/03/31)であることが示されている。
また、資料中段に、仕入書番号がB-180328と記載されており、資料2-2で示したインボイスNo.180328の輸出許可通知書であることが示されている。
さらに、資料下段の税関通知欄には、神戸税関長が平成30年3月29日(2018/03/29)に貨物の輸出を許可したことが示されている。
以上より、本件トランプの輸出が要証期間内である平成30年3月29日に神戸税関により輸出許可を得たことを確認できる。
エ 資料2-4は、運送会社発行の船荷証券及び添付書類である。
当該資料上部には、運送会社がShipper(荷送人)である被請求人向けに発行した船荷証券(BILL OF LANDING)であることが示されており、資料中段には、PLAYING CARDS(トランプ)が合計28,800デック輸送されることが示されている。
また、資料中段及び下段には、Vessel(積載船)がAPOLLON D V.S810であり、要証期間内である平成30年3月31日に神戸から香港まで輸送されることが示され、資料の下部に、上記資料が要証期間内である平成30年3月31日に発行されたことが示されている。
さらに、資料2-4の2枚目には、輸送貨物にITEM NO.SPNN1001及びITEM NO.SPNN1002が記載されていることが示されている。
以上より、被請求人の本件トランプが顧客の発注に基づいて要証期間内である平成30年3月31日に神戸より香港に輸出されたことが示されている。
オ 資料2-5は日本国内の顧客Kが発行した売上明細であり、資料2-6は被請求人が顧客Kに対して発行した請求書であって、これらにより、日本国内の顧客Kと被請求人が本件トランプ2の取引をしていることが確認できる。
カ 資料2-7は、被請求人が平成29年のクリスマスおもちゃ見本市に出展の際に作成し顧客に配布した「提案商品概要書」及びクリスマスおもちゃ見本市2017の概要を示す資料であり、本件トランプ2の販売促進目的で、「提案商品概要書」の配布並びに現物の展示を行った。
(2)商標法第2条第3項第2号に該当すること
上記(1)のとおり、被請求人は、要証期間に、本件トランプの包装に使用商標を付する行為をしたものを譲渡し、輸出する行為をしているといえる(商標法第2条第3項第2号)。
5 結語
以上のとおり、要証期間内に日本国内において商標権者及び通常使用権者がその請求に係る指定商品についての本件商標の使用(商標法第2条第3項第1号及び同項第2号)をしているのであるから、請求に係る指定商品についての商標登録は、取り消すことはできない。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人は、「トランプ、花札、百人一首等の室内カードゲーム商品の販売、製造及び輸出入」等を目的として設立された会社であり、その本店は、滋賀県東近江市を住所とし、また、京都府京都市下京区を住所とする事務所(以下「京都営業所」という。)を平成20年11月頃に開設した。さらに、被請求人のグループ会社には、「トランプ、かるた」等の製造を主な事業とする「エンゼルトランプ株式会社」がある(乙4の資料3-1ないし3)。
また、印刷日を2018年(平成30年)8月16日とする「(2009年4月現在)」の表示がある被請求人のウェブサイトの「企業情報」には、「所在地」に京都営業所の住所が表示されている(乙3)。
(2)写真撮影報告書(乙1の1)に添付された、撮影日を平成30年7月30日とする長方形の包装箱の写真(第1ないし第4)には、当該包装箱の上部に、スペードのキング、ハートのクイーン及びスペードのエースの3枚のトランプの図形(以下「トランプ図形」という。)並びに「ANGEL」及び「PLAYING CARDS」の文字が表示されている。
また、当該包装箱の側面には、円輪郭内に上下逆向きの二人の天使と思われるがものが描かれた図形(以下「天使図形」という。)が表示され、「ANGEL」の文字及び「SPNN1001」の文字が表示され、さらに、右下には横書きの「天使」の文字が表示されている。
そして、第3には、当該包装箱に緑色と金色で描かれた絵柄面が見えるトランプと思われるものがスリーブ(2面が解放された、筒状に組み立てられ、開放面から挿入する形で収納するもの。)に入ったものが2個並んで収められた状態が写されている。
(3)写真撮影報告書(乙1の2)に添付された、撮影日を平成31年3月11日とする長方形の包装箱の写真(第1ないし第7)の第1ないし第4には、当該包装箱の上部に、トランプ図形並びに「ANGEL」及び「PLAYING CARDS」の表示があり、また、当該包装箱の側面には、天使図形が表示され、「ANGEL」の文字及び「SPNN1002」の表示がされ、さらに、右下には横書きの「天使」の文字が表示されている。
そして、第3には、当該包装箱に青色で描かれた絵柄面が見えるトランプと思われるものがスリーブに入ったものが納められている。
第5及び第6はスリーブの表面と裏面の写真であり、いずれの表面にも「ANGEL」及び「PLAYING CARDS」の表示及び天使図形が表示されており、また、裏面には、左上には「ANGEL」の文字、右下には横書きした「天使」の文字(使用商標)が表示され、下部には「エンゼルプレイングカード株式会社」及び京都営業所の住所が表示され、さらに、バーコードの上部には「SPNN1001」又は「SPNN1002」の表示がある。
(4)報告書(乙4)の資料1-1ないし4は、「SPNN1001」の表示がある包装箱及びスリーブの画像データであり、その作成日及び更新日は2014年(平成26年)8月18日である。また、当該資料の1-5ないし8は、「SPNN1002」の表示がある包装箱の外箱及びスリーブの画像データであり、その作成日及び更新日は2017年(平成29年)2月3日である。
そして、上記画像は、そこに表されたトランプ図形及び天使図形並びに「ANGEL」、「PLAYING CARDS」、「天使」及び「SPNN1001」又は「SPNN1002」の文字、色等その構成態様を上記(2)及び(3)の「SPNN1001」又は「SPNN1002」と同じくする同一のものである。
(5)乙第4号証の資料1-9は、「●包装紙器株式会社」(「●」部分は塗りつぶされている。)から、AT社に宛てた3枚の納品書であり、そのうちの2018年(平成30年)3月14日付けの納品書には、品コード「UCHIBAKO/SPNN1001E-6」、品名「SPNN10001-E 6入内箱」の数量欄には「300×7 2,100」、品コード「UCHIBAKO/SPNN1002E-6」、品名「SNN1002-E 6入内箱」の数量欄には「300×10 3,000」の記載があり、また、2018年(平成30年)5月11日付けの納品書(伝票No.5-2)には、前者の数量欄に「1,675」、後者の数量欄に「2,800」の記載があり、さらに、同日納品書(伝票No.5-1)には、品コード「SURIBU/SPNN1001-E」、品名「SNN1001-E スリーブ」の数量欄に「11,100」、品コード「SURIBU/SPNN1002-6」、品名「SNN1002-E スリーブ」の数量欄に「15,100」の記載がある。
(6)乙第4号証の資料1-10は、被請求人からAT社に宛てたとされる「APC発注文書」(審決注:被請求人は「APC」は被請求人の略称と説明している。)2枚であり、そのうちの発注番号を「24161」とするものには、品コードに「SPNN1001-E」、品名に「プラスチック製トランプ1001輸出仕様」及び数量に「11,520」の記載があり、また、発注番号を「24162」とするものには、品コードに「SPNN1002-E」、品名に「プラスチック製トランプ1002輸出仕様」及び数量に「17,280」の記載があり、いずれも発注先は「エンゼルトランプ(株)」であって、発注日に「平成30年2月3日」、納期には「平成30年3月30日」、備考欄には「2018年3月出荷分」の記載がある。
(7)乙第4号証の資料2-1は、2018年(平成30年)1月19日付けの香港の顧客が発行した注文書とされるものであり、これには、注文内容として「Plastic Playing Card」、「SPNN1001(Green)」について「11,520 decks」、「SPNN1002(Blue)」について「17,280 decks」の記載があり、また「Shipment:End of May,2018」の記載がある。
(8)乙第4号証の資料2-2は、2018年(平成30年)3月22日付けの被請求人が作成したINVOICE(請求書)であり、京都営業所の住所が英語で記載されており、これは、乙第2号証の資料1の黒塗り部分を減らしたものである。
そして、当該請求書の請求書番号は「180328」であり、品名欄には「PLAYING CARDS」の記載、その下部には「SPNN1001 11,520 decks」及び「SPNN1002 17,280 decks」、輸送方法として「APOLLON D V.S810 2018/3/31前後」の記載及び積込港を日本の神戸とし荷下港を香港とする記載があり、また、上記商品のほかに、品名が黒塗りされている商品の数量「5000 packs/1,200packs/500 packs」の記載がある。
(9)乙第4号証の資料2-3は、「輸出許可通知書」であり、その申告年月日は2018年(平成30年)3月29日である。
そして、その輸出者名には、被請求人の英語表記である「ANGEL PLAYING CARDS CO.,LTD」の表示及び京都営業所の住所が英語で記載され、出港予定日には2018年(平成30年)3月31日、仕入書番号には上記(8)の請求書番号「180328」と同じ番号を含む「B-180328」の記載、品名には「PLAYING CARDS」の記載があり、また、数量(1)の「35,500 ST」は、上記(8)の請求書に記載の数量の合計と一致するものであって、神戸税関長が許可年月日を2018年(平成)30年)3月29日として、申告内容についての輸出を許可する旨の記載がある。
(10)乙第4号証の資料2-4は、運送会社発行の船荷証券及び添付書類とされるものであり、これは、「Shipper」(荷送人)「ANGEL PLAYING CARDS CO.,LTD」に宛てたものであり、「Vessel」(積載船)を「APOLLON D V.S810」として、日本の神戸から香港へ2018年3月31日に輸送されること及び「PLAYING CARDS」「28,800DECKS+6,700PACKS」の記載がある。また、その2枚目の「ATTACHED SHEET」には、「ITEM NO.SPNN1001」及び「ITEM NO.SPNN1002」などの記載がある。
2 判断
(1)上記1によれば、被請求人は、品番「SPNN10001」(本件トランプ1)の包装箱及びスリーブの画像を平成26年8月18日に作成し、また、品番「SPNN10002」(本件トランプ2)の包装箱及びスリーブの画像を平成29年2月3日に作成したことが認められ、当該画像は、平成30年7月30日及び同31年3月11日に撮影された本件トランプの包装箱及びスリーブと同一のものであることからすれば、被請求人は、当該画像の作成後からその画像を使用した包装箱及びスリーブを継続して使用していたことがうかがえ、また、平成30年3月14日及び同年5月11日に●包装紙器株式会社から被請求人のグループ会社であるAT社に納品された本件トランプの包装箱及びスリーブの品名及び品コードの「SPNN10001」及び「SPNN10002」が上記包装箱及びスリーブの品番と一致することから、AT社に納品されたものは、当該画像及び写真の包装箱及びスリーブと同じものであると推認できる。
そして、平成30年1月19日付けで香港の顧客から本件トランプ1について「11,520 decks」、本件トランプ2について「17,280 decks」の注文があったことがうかがわれるところ、「deck」が「トランプの一組」の意味を有する英語であることからすれば、上記注文数は、それぞれ11,520組及び17,280組である。また、被請求人がAT社に納期を平成30年3月30日として、輸出用のプラスチック製トランプとして本件トランプ1について「11,520組」、本件トランプ2について「17,280組」発注したことが認められ、さらに、本件トランプ1について「11,520組」、本件トランプ2について「17,280組」が同年3月31日に神戸から香港に船で輸出されたことが認められ、加えて、AT社に納品される本件トランプ用の包装箱がスリーブ6箱用のものであること、スリーブは遅くとも平成29年2月頃にはその画像が作成されていたこと及び当該輸出後ではあるものの本件トランプのスリーブがAT社に納品されていること、並びに包装箱は商品の製造前に用意しておくことが一般的であることからすれば、上記輸出においては、各包装箱に本件トランプが入ったスリーブが6箱入ったものが使用されたとみるのが自然である。
(2)本件商標の使用について
ア 使用商標及び使用者
本件トランプのスリーブの裏面には、「天使」の文字からなる使用商標が表示され、被請求人の名称及び京都営業所の住所が表示されているところ、当該営業所の住所は本件商標の登録原簿の住所とは異なるものの、上記1(1)によれば、被請求人の本店は本件商標の登録原簿と住所を同一にしており、平成20年11月頃に京都営業所を開所し、被請求人のウェブサイトにおいても所在地として平成21年4月頃から京都営業所の住所を表示していることから、被請求人は、事業においては京都営業所の住所を使用しているものといえ、本件トランプの裏面の使用商標の使用者は被請求人である本件商標権者と認められる。
また、「天使」の文字を横書きしてなる使用商標は、「天使」の文字を標準文字で表してなる本件商標とは、社会通念上同一の商標である。
イ 使用商品
使用商品である本件トランプは、本件審判の請求に係る指定商品中の「トランプ」である。
ウ 使用時期及び使用行為
被請求人は、平成30年1月19日に、香港の顧客から本件トランプの注文を受けたことがうかがわれ、同年3月31日に本件トランプを神戸から香港に輸出したことが認められ、その輸出においては、本件トランプを使用商標が付された包装箱及びスリーブに入れて輸出したことが推認でき、当該輸出日は、要証期間内である。
エ 小括
以上によれば、被請求人である本件商標権者が、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付した包装箱及びスリーブに使用商品を入れて、輸出したと認めることができる。
上記行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品の包装に標章を付したものを輸出する行為」に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、「写真撮影報告書」(乙1)に添付された写真は被請求人の会社内で撮影されたものであることからすると、少なくともこの包装箱が輸出に使用された箱でないことは明らかであり、また、包装箱は取引上、商品の発送に使用される場合においても使い回しにより全く異なる商品の包装に使用されることも多く、単に外装用の包装箱があるとのことのみで要証期間内に使用されたとする証明には至らない旨主張している。
確かに、要証期間後に撮影された写真報告書に添付された写真の包装箱それ自体は、要証期間内に輸出に使用されたということはできないが、当該写真の包装箱と同じものがAT社に、少なくとも輸出前に納品されたことが認められるものであり、これが輸出用に使用されたものではないということはできないし、また、包装箱が商品の発送に使用される場合に使い回しされ全く異なる商品について使用される場合が多いことを裏付ける証拠の提出はなく、要証期間内に本件トランプの包装用箱及びスリーブに使用商標を付して輸出したことが認められることは上記2(2)のとおりである。
したがって、請求人の上記主張は、認めることができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、取消に係る商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条1項の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2020-07-08 
結審通知日 2020-07-13 
審決日 2020-09-07 
出願番号 商願2011-21225(T2011-21225) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X28)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 豊田 純一
中束 としえ
登録日 2011-12-09 
登録番号 商標登録第5456592号(T5456592) 
商標の称呼 テンシ 
代理人 飯島 紳行 
代理人 藤森 裕司 
代理人 小野寺 隆 

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