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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1367188 |
異議申立番号 | 異議2020-900003 |
総通号数 | 251 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-11-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-01-09 |
確定日 | 2020-10-15 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6194074号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6194074号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6194074号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成30年9月21日に登録出願,第3類「化粧品,化粧水,顔用の化粧液,顔用の化粧落とし剤,化粧用クリーム,顔用のジェル状化粧品,顔用のパウダー状化粧品,顔用ローション(化粧品),洗顔料(化粧品),顔に塗布するペースト状の化粧品,洗顔効果を有する化粧用乳液,せっけん類,歯磨き,顔の美容用マスク」を指定商品として,令和元年10月16日に登録査定,同年11月1日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標に係る登録異議申立ての理由において,引用する登録商標(以下,まとめていうときは「引用商標」という。)は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4297137号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成10年3月11日 設定登録日:平成11年7月23日 指定商品:第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き」 (2)登録第4428845号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成11年6月30日 設定登録日:平成12年10月27日 指定商品:第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」並びに第16類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (3)登録第5377062号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成19年4月1日 設定登録日:平成22年12月17日 指定役務:第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 (4)登録第5377063号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:「エル」 登録出願日:平成19年4月1日 設定登録日:平成22年12月17日 指定役務:第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 (5)登録第5443818号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の構成:「ELLE」(標準文字) 登録出願日:平成20年11月7日 設定登録日:平成23年10月14日 指定商品及び指定役務:第9類及び第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品並びに第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか第35類,第38類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 (6)登録第633578号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:昭和36年5月24日 設定登録日:昭和39年1月10日 指定商品:第16類「紙製幼児用おしめ」,第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」,第21類「家事用手袋」,第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」,第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」 3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第72号証(枝番号を含む。なお,甲62は欠番。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は,その構成中に著名な商標「ELLE」の文字を含むものであり,引用商標と同一又は類似である。また,本件商標の指定商品と引用商標1ないし引用商標5の指定商品及び指定役務は同一又は類似である。 (2)商標法第4条第1項第15号について 引用商標は,申立人により永年にわたり,多様な商品等に使用されてきたことにより,本件商標に係る指定商品の取引者・需要者の間でも広く知られるに至っている商標であり,本件商標がその指定商品に使用された場合,商品の出所につき混同の生じるおそれがある。 4 当審の判断 (1)「ELLE」の周知性について ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば,以下のとおりである。 申立人は,女性向けファッション雑誌「ELLE」等の各種雑誌を発行し,ファッション関連商品,各種生活用品の製造,販売等を行うフランスの企業である(甲3)。 同雑誌「ELLE」には,衣料品・身の回り品・化粧品・家具・食器等,世界的に有名なファッションブランドの商品に関する記事を女性向けに多数掲載されている。 そして,我が国において,昭和57年(1982年)に株式会社マガジンハウス(旧平凡出版)が雑誌「ELLE」の日本版として雑誌「ELLE japon(エル・ジャポン)」を発行した(甲7)。以後,雑誌「ELLE japon(エル・ジャポン)」の出版は,株式会社ハースト婦人画報社(以下「ハースト婦人画報社」という。)により承継され,月刊誌として継続して発行され,その他,「ELLE」の文字を冠した題号の雑誌が同社により多数発行された(甲9?甲12)。 また,ハースト婦人画報社は,ウェブマガジンの日本版として,ファッション,美容,健康等の各種情報を内容とする「エル・オンライン」を平成8年(1996年)に開設し,同社による平成29年(2017年)10月現在の集計によれば,月間アクセス件数は,約4690万回,ユニークユーザー数は,約369万人となっている(甲9の2)。 さらに,申立人は,日本において,複数のライセンシー(甲21,甲61,甲66?甲69)を介して,婦人服,アクセサリー,時計,バッグ,靴,眼鏡などのファッション関連商品,せっけん,化粧雑貨,喫煙具,食器,文房具などの日用品,ゴルフ用具,自転車などの様々な商品の販売活動を展開し,これらの商品には,引用商標1ないし引用商標3と同一態様の「ELLE」が表示されている(甲15?甲57)。 イ 上記アの事実からすれば,「ELLE」は,申立人の発行する雑誌並びに申立人及びライセンシー(以下「申立人ら」という。)がファッション関連商品について使用する商標として,本件商標の登録出願時には,既に我が国において,取引者,需要者の間に広く認識されていたものというべきであり,その状態は,本件商標の登録査定時においても継続していたというのが相当である。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標は,別掲1のとおり,黒い太字で表された「E」と「V」の欧文字を組み合わせたモノグラムを中央上段に配し,その図形の左下に「ELLe VIe」の欧文字を横書きしてなるところ,当該モノグラムと「ELLe VIe」の文字部分とは,視覚的に分離して看取され,それぞれが自他商品の識別標識として機能するというべきである。 そして,本件商標の構成中,「ELLe VIe」の文字部分は,大文字と小文字混じりの欧文字を同じ大きさでまとまりよく一連に表してなるものであるから,当該文字に相応して,「エルビー」の称呼を生じ,当該文字は,辞書等に載録が認められないから,特定の観念は生じないというべきである。 他方,引用商標は,上記2のとおり,「ELLE」又は「エル」の文字からなるものであるから,当該文字に相応して,「エル」の称呼を生じる。 また,引用商標1ないし引用商標3は,上記(1)のとおり,申立人らの商品に使用する商標として広く知られているものであって,引用商標5及び引用商標6は,申立人らの商品に使用する商標と同じつづりからなる「ELLE」の欧文字からなるものであるから,これらの商標からも「(申立人らのブランドとしての)ELLE」の観念を生じるというべきである。 本件商標と引用商標との類否について検討するに,本件商標は,上記のとおり,モノグラムと「ELLe VIe」の文字との組み合わせからなるのに対し,引用商標は,「ELLE」又は「エル」の文字からなるものであるから,両商標は,構成文字及び構成態様が異なり,外観上,相紛れるおそれはないものである。 そして,称呼においては,本件商標から生じる「エルビー」の称呼と引用商標から生じる「エル」の称呼とは,その構成音及び構成音数において明らかな差異を有するものであるから,明瞭に聴別できるものである。 また,観念においては,本件商標は,特定の観念を生じないものであるのに対し,引用商標1ないし引用商標3,引用商標5及び引用商標6からは「(申立人らのブランドとしての)ELLE」の観念を生じるから,相紛れるおそれはないものである。 そうすると,本件商標と引用商標1ないし引用商標3,引用商標5及び引用商標6とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても,相紛れるおそれのない非類似のものであり,本件商標と引用商標4とは,外観及び称呼において相違し,類似するとはいえないものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 「ELLE」の周知性について 上記(1)のとおり,「ELLE」は,申立人の発行する雑誌及び申立人らがファッション関連商品について使用する商標として,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,既に我が国において,取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認められる。 イ 本件商標と「ELLE」との類似性の程度について 本件商標は,上記(2)のとおり,その構成中に一体不可分の「ELLe VIe」の文字を有するものであって,「ELLE」とは,外観,称呼及び観念のいずれの点についても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり,別異の商標であるから,類似性の程度は低いものである。 ウ 「ELLE」の独創性について 「ELLE」の文字は,「彼女(たち)は。それ(ら)。」等の意味を有するフランス語を表した成語であるから,その独創性は高いものとはいえない。 エ 本件商標の指定商品と申立人らの業務に係る商品の関連性,需要者の共通性について 申立人は,複数のライセンシーを介して,婦人服,アクセサリー,時計,バッグ,靴,眼鏡などのファッション関連商品,せっけん,化粧雑貨等の商品に「ELLE」を使用していることから,本件商標の指定商品と申立人らの業務に係る商品とは,同一又は類似の商品であって,その需要者も共通する場合があり,その関連性を有するものといえる。 オ 出所の混同のおそれについて 上記のとおり,「ELLE」は,申立人の発行する雑誌及び申立人らがファッション関連商品を表示するものとして広く認識されていると認められる。 しかしながら,「ELLE」は,独創性が高いものとはいえず,また,本件商標と「ELLE」とは,外観,称呼及び観念のいずれの点についても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり,別異の商標であって,類似性の程度は低いものである。 そうすると,「ELLE」が使用されている商品と本件商標の指定商品とが,その需要者を共通にし,関連性を有するとしても,本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用をした場合,これに接する取引者,需要者が,「ELLE」を連想,想起し,申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用商標1ないし引用商標3) 別掲3(引用商標6) |
異議決定日 | 2020-10-06 |
出願番号 | 商願2018-119975(T2018-119975) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W03)
T 1 651・ 271- Y (W03) T 1 651・ 262- Y (W03) T 1 651・ 261- Y (W03) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 早川 真規子 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 佐藤 松江 |
登録日 | 2019-11-01 |
登録番号 | 商標登録第6194074号(T6194074) |
権利者 | 株式会社ジェイエス・トレーディング |
商標の称呼 | エルビー、エル、ビー、ブイアイイイ、イイブイ |
代理人 | 中山 真理子 |
代理人 | 竹中 陽輔 |
代理人 | 稲垣 朋子 |
代理人 | 達野 大輔 |