• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 03
審判 全部申立て  登録を維持 03
審判 全部申立て  登録を維持 03
審判 全部申立て  登録を維持 03
管理番号 1367184 
異議申立番号 異議2020-900012 
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-01-17 
確定日 2020-06-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6191694号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6191694号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6191694号商標(以下「本件商標」という。)は、「je t’aime Honey」の文字を標準文字で表してなり、平成30年10月5日に登録出願、第3類「香水,化粧品,せっけん類,香料,薫料,ろうそく型芳香剤,屋内用芳香剤,歯磨き」を指定商品として、令和元年9月26日に登録査定され、同年10月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4888144号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「JE T’AIME」の文字を横書きしたもの
指定商品 第3類「せっけん類(薬剤に属するものを除く。),香料類,化粧品(薬剤に属するものを除く。),歯磨き」
登録出願日 平成16年11月15日
設定登録日 平成17年8月19日
(2)登録第555951号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲1のとおり
指定商品 第3類「化粧品(化粧用染料・化粧用顔料を除く。),香料類(薫料・香精・動物性天然香料・芳香油を除く。)」
登録出願日 昭和34年9月12日
設定登録日 昭和35年9月21日
書換登録日 平成15年1月22日
(3)登録第595770号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第3類「せっけん類,歯磨き,紅」
登録出願日 昭和36年1月30日
設定登録日 昭和37年8月24日
書換登録日 平成15年8月13日
(4)登録第773888号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第3類「化粧品,香料類(薫料を除く。)」
登録出願日 昭和41年2月24日
設定登録日 昭和43年3月11日
書換登録日 平成23年3月16日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号に該当する理由
ア 本件商標と引用商標の比較
本件商標は欧文字「je t’aime Honey」からなる商標である。
引用商標は大文字の欧文字で「JE T’AIME」、引用商標2ないし引用商標4は欧文字に加え片仮名で「ジュテーム」、引用商標4はさらに長髪の女性のシルエットが描かれており、いずれも構成文字に相応して「ジュテーム」の称呼が生じる。
(ア)称呼上の比較
称呼上比較するに、本件商標からは「ジュテームハニー」の称呼が生じ、引用商標からは「ジュテーム」の称呼が生じ、「ハニー」の有無で相違するが、印象の強い語頭部分が共通するので両商標の称呼は類似する。
(イ)観念上の比較
観念上比較するに、本件商標のうち「jet’aime」はフランス語で「私は君を愛している」の観念を生じ、「Honey」はハチミツの観念を生じ、一方引用商標は、「JE T’AIME」がフランス語で「私は君を愛している」の観念を生じるため、本件商標と引用商標とは、「私は君を愛している」を共通にし観念上類似する。
なお、本件商標と引用商標とは「Honey」の有無の点で異なるが、「Honey」は「ハチミツ」に通じる言葉であり、本件商標及び引用商標の化粧品やせっけん類などの分野において、成分としてハチミツを用いることは一般的である。
また、申立人と密接な関係を有する株式会社ジュテーム(以下「ジュテーム」という。)の商品には実際に「JE T’AIME」のブランド名で販売している「吸着泥パック」の成分に「ハチミツ」を用いており(甲8)、本件商標はその指定商品において、一般的に使用される「ハチミツ」に通じる「Honey」を申立人の登録商標に付加しただけである。
(ウ)商品の類否
本件商標と引用商標の指定商品も互いに抵触するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号に該当する理由
引用商標は、申立人と密接な関係を有するジュテームによって長く使われてきた商標であり、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
また、本件商標は、申立人と密接な関係を有するジュテームのブランドである「JE T’AIME」に係る商品と誤認されるおそれがあるばかりでなく、当該商品がジュテームとの間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する営業主の業務に係る商品であると誤認されるおそれ(「広義の混同を生ずるおそれ」)があると解するのが相当である。
なお、ジュテームは「JE T’AIME」ブランドでスキンケア・ヘアケア・メイクアップ化粧料などを広く展開している(甲9?甲11)。
仮に、類似しないとしても、申立人の商標(引用商標)を一部に有するため、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
なお、ジュテームと引用商標の商標権者である「株式会社ピカソ美化学研究所」とが密接な関係を有することは、ジュテームの「登記簿謄本」(甲6)に代表取締役として「A」、取締役として「B」が記載されると共に、引用商標の商標権者の「登記簿謄本」(甲7)に代表取締役として「B」、取締役として「A」が各々記載されており、「A」及び「B」の各氏は各々両会社の役員を兼務している事実から充分に肯定されるものである。
(3)むすび
上記のとおり、本件商標は、引用商標と称呼及び観念を共通にする類似の商標であって、その指定商品も同一又は類似のものが含まれている。
また、本件商標が使用されれば、ジュテームの商品と出所の混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4号第1項第11号及び同項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
商標法第4条第1項第15号の規定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものである(最高裁 平成10年(行ヒ)第85号 同12年7月11日判決参照)と判示されていることからすれば、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するというためには、申立人と密接な関係を有するとされるジュテームの使用に係る引用商標が周知表示又は著名表示であること、すなわち、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、ジュテームの使用に係る引用商標がジュテームの業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていることが要件と解される。
そして、申立人の主張及び同人の提出に係る証拠から、ジュテームが、引用商標の一部を 「化粧品」に使用していることはうかがえるものの(甲8?甲11)、申立人は、ジュテームの使用に係る引用商標が我が国の需要者の間に広く認識されている旨述べるにとどまり、ジュテームが使用する「化粧品」の販売個数、売上額及び市場シェア等の販売実績並びに広告宣伝の方法、回数及び対象地域等の広告実績に関する証拠を何ら提出していないものであるから、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、ジュテームの業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていると認めるに足る事実を見いだすことはできない。
そうすると、ジュテームの使用に係る引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ジュテームの業務に係る商品(「化粧品」)を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
イ 出所の混同を生ずるおそれについて
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとし、その理由として、本件商標がジュテームの業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあると主張している。
しかしながら、上記アのとおり、ジュテームの使用に係る引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ジュテームの業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていると認めることができないものであり、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者が、ジュテームの使用に係る引用商標を連想、想起し、該商品がジュテーム又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について、混同を生ずるおそれがあるとはいえないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標
本件商標は、前記1のとおり「je t’aime Honey」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ書体でまとまりよく表されているものである。
また、本件商標は、「je t’aime」の文字部分が、その指定商品である化粧品やせっけん類と馴染みの深いフランス語に倣い、「ジュテーム」の称呼及び「私はあなたを愛している」の意味を有し、「Honey」の文字部分が、広く知られた英語である「ハニー」の称呼及び「はちみつ」等の意味を有するものの、「je t’aime Honey」の文字全体は、造語と認められるものであって、そこから生じる「ジュテームハニー」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標構成中の「je t’aime」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える、又は、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足りる事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、かかる構成及び称呼等から、その構成全体をもって一体不可分のものと看取、把握されるとみるのが自然であるから、これより「ジュテームハニー」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないというべきである。
(イ)引用商標
引用商標1は、前記2(1)のとおり「JE T’AIME」の文字を横書きして表し、また、引用商標2及び引用商標3は、前記2(2)及び(3)のとおり「JE T’AIME」及び「ジュテーム」の各文字を2段に横書きして表し、そして、引用商標4は、前記2(4)のとおり、「JE T’AIME」の欧文字、女性の横顔の輪郭と思しき図形及び「ジュテーム」の片仮名を配した、それぞれの構成からなるところ、いずれもそれらの構成文字に相応し、上記(ア)と同様に、「ジュテーム」の称呼を生じ、「私の愛する人」の観念を生じるものである。
(ウ)本件商標と引用商標の類否
そこで、本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観において、本件商標と引用商標1とは、大文字及び小文字の相違並びに「Honey」の文字の有無という差異を、また、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、大文字及び小文字の相違並びに「Honey」及び「ジュテーム」の文字の有無という差異を、さらに、本件商標と引用商標4とは、大文字及び小文字の相違並びに「Honey」、「ジュテーム」及び図形の有無という差異を、それぞれ有し、それらの差異が本件商標と引用商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、本件商標と引用商標とは外観上相紛れるおそれのないものというべきである。
次に、本件商標から生じる「ジュテームハニー」と引用商標から生じる「ジュテーム」の称呼を比較すると、両者は後半部において「ハニー」の音の有無という差異を有し、この差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、明瞭に聴別できるというべきである。
さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものの、引用商標は、「私の愛する人」の観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、両者は非類似の商標と判断するのが相当である。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
イ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似のものであるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。

5 申立人の主張について
申立人は、本件商標と引用商標とは、印象の強い語頭部分の「ジュテーム」の称呼が共通するから、本件商標は引用商標と類似すること、また、引用商標は、ジュテームの商標として広く知られているから、本件商標は、引用商標と出所の混同を生ずることなどを主張している。
しかしながら、本件商標は、その構成中「je t’aime」の文字部分が印象の強い部分であるとか、看者に強い印象を与えると認め得る事情は見いだせず、「ジュテームハニー」の一連の称呼のみを生じることは上記2(2)のとおりであり、また、引用商標がジュテームの業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないことは上記4(1)のとおりである。
したがって、申立人の係る主張は、採用することはできない。

6 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1 引用商標2


別掲2 引用商標3


別掲3 引用商標4




異議決定日 2020-05-25 
出願番号 商願2018-125930(T2018-125930) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (03)
T 1 651・ 261- Y (03)
T 1 651・ 262- Y (03)
T 1 651・ 271- Y (03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 清川 恵子 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 大森 友子
岩崎 安子
登録日 2019-10-25 
登録番号 商標登録第6191694号(T6191694) 
権利者 株式会社scentnations
商標の称呼 ジュテームハニー、ジュテーム、ハニー 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ