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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W03
管理番号 1367157 
審判番号 不服2019-15177 
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-12 
確定日 2020-10-08 
事件の表示 商願2018-72954拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「白米糀」の文字を横書きしてなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成30年6月1日に登録出願されたものである。
その後、原審における平成31年4月22日付けの手続補正書により、その指定商品は、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含むせっけん類,歯磨き,米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含む化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」と補正された。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「白米糀」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、「白米糀」や「白米こうじ」の文字が「白米を使用したこうじ」ほどの意味合いを表すものとして一般に使用されている実情があるから、「白米を使用したこうじ」ほどの意味合いを生じる。
また、「糀」の文字は、「こうじ」の漢字表記として、化粧品、せっけん類を取り扱う業界において一般に使用されているから、本願商標の表記は特段の印象を与えるものではない。
そして、せっけん類、化粧品を取り扱う業界においては、米こうじを原料とする商品が一般に取引されている実情がある。
そうすると、本願商標を、「米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含むせっけん類,米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含む化粧品」に使用するときは、これに接する需要者、取引者は、「白米を使用したこうじを原料とする商品」ほどの意味合いを容易に理解し、単に商品の品質を表示したものと認識するにとどまる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する商品以外の「米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含むせっけん類,米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含む化粧品」に使用するときは、同法第4条第1項第16号に該当する。

3 職権証拠調べ
本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1及び別掲2に掲げる事例を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき、その結果を請求人に通知し(令和2年5月11日付け証拠調べ通知書)、意見を求めた。

4 請求人による回答
(1)別掲1の事例は、特定の需要者層において、「白米糀」の語が、玄米から作られる糀との区別をつけるために「白米を使用して作られた糀(麹、こうじ)」という意味で使用されている特殊な事例を示しているにすぎず、当該語が一般的、恒常的に使用されているとはいえない。
(2)「白米糀」の文字をインターネット検索すると、請求人の商品が多数検出されるが、化粧品やせっけん等の商品について商品の性能、効能等を示すために用いられている事実は検出されない。
(3)別掲2の事例は、「米糀」又は「米麹」を使用しており、「白米糀」の文字を使用している事例ではない。

5 当審の判断
(1)本願商標について
ア 本願商標は、「白米糀」の文字を横書きしてなるところ、その構成中「白米」の文字は「玄米をついてしらげた米。精米。」(「広辞苑 第7版」岩波書店)の意味を、「糀」の文字(「麹」とも表記される)は「米・麦・豆・ふすま・ぬかなどを蒸して、これに麹菌を繁殖させたもの。酒・醤油・味噌などを製するのに用いる。」(前掲書)の意味を有するものであり、構成文字全体として「白米で作った糀」程度の意味を認識させる。
イ そして、糀の取引においては、別掲1のとおり、「白米糀」(白米麹、白米こうじ)と称する米(又は白米)で作った糀が、多くの事業者により製造、販売されており、例えば「国産有機白米糀」、「井村さんの白米糀」、「自家製 白米糀」、「特別栽培米あやひめ使用・白米糀」、「天然白米麹」、「自然栽培白米麹」、「自然栽培米 乾燥白米麹」、「白米麹(生)」、「白米麹」、「乾燥白米こうじ」(白米のみを使用)、「やさかの有機乾燥白米こうじ」(白米で作った)、「白米こうじ」(国産米100%白米を原材料)などと称する白米糀が流通している。
そうすると、「白米糀」の語は、糀の取引においては、米(白米)で作った糀の一種を指称する普通名称として慣用されている実情があるといえる。
ウ また、本願商標の指定商品(化粧品やせっけん類など)に係る取引においては、別掲2のとおり、「糀」(麹、こうじ)若しくは「米糀」(米麹)又はそれらに由来する成分を原材料とする多数の商品(商品の包装に「米麹」の文字などを原材料表記として顕著に表示する商品も含む。)が製造、販売されており、米糀はそれら商品の原材料として広く採択されている実情がある。
エ 以上を踏まえると、本願商標は、その指定商品について使用されるときは、その需要者をして、「米(又は白米)で作った糀」、即ち商品の原材料を表示したものと認識、理解されるにすぎないというべきである。
したがって、本願商標は、その指定商品について、商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する標章であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張に対し
ア 請求人は、本願商標に相当する「白米糀」の語は請求人による造語であって、近年、玄米から生成される糀との区別を付けるために一部で使用があるとしても、化粧品やせっけん類を取り扱う業界においては、白米と玄米の差異はあまり重要視されておらず、将来的にも原材料表記となる高い確率があるとはいえない旨を主張する。
しかしながら、本願商標に相当する「白米糀」の語は、その指定商品に係る原材料表記としては未だ一般的に採択されているものではないとしても、現時点において、当該語は糀の一種を指称する普通名称として慣用されている実情がある上、その指定商品に係る商品(化粧品やせっけん類等)の原材料として米糀が採択されている実情があることをも踏まえると、将来的に他の事業者により原材料表記として使用される可能性は否定できない。
イ 請求人は、化粧品やせっけん類を取り扱う業界においては「白米糀」なる語が商品説明等において一般的、恒常的に使用されている事実は存在せず、「白米糀」の文字をインターネット検索すると請求人の商品のみが検出されるため、本願商標は自他商品識別力を有する旨を主張する。
しかしながら、「商標法3条1項3号の趣旨は、同号に列挙されている商標は、商品や役務の内容に関わるものであるために、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を有しないことが多く、また、これを特定人に独占させることは適切でないために登録することができないものとされていると解される。したがって、指定商品に係る原材料名が、仮に登録査定時には、現実に使用されておらず、あるいは、一般には知られていない場合であっても、将来原材料名として使用されて、取引者、需要者の間において商品の原材料名であると認識される可能性があり、また、これを特定人に独占させることは適切ではないと判断されるときには、右の原材料名は同号に該当すると解される」(平成12年6月13日、平成11年(行ケ)410号、東京高等裁判所判決)。
そして、上記アのとおり、本願商標に相当する「白米糀」の語は、その指定商品に係る商品(化粧品やせっけん類を含む。)の原材料表記として、将来的に他の事業者により使用される可能性があるもので、また、糀の一種である「白米糀」を原材料とする商品の取引に際しては必要な表示であることを踏まえると、特定人による独占使用を認めることは公益上適切ではない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲

別掲1 「白米糀」(白米麹、白米こうじ)と称する糀(麹、こうじ)の事例
(1)「ヤマキ醸造ネットショップ」のウェブサイト(2020年4月10日時点)において、「国産有機白米糀1kg」の商品紹介の項に、「国産有機栽培米の糀です。」の記載がある。
https://yamakijozo.shop/?pid=124767600
(2)「農産工房金沢大地」のウェブサイトにおいて、「井村さんの白米糀」の商品紹介の項に、「金沢大地のオーガニック米で作った白米糀です。」の記載がある。
http://www.k-daichi.com/products-malted-rice.html
(3)「みやもと山」のウェブサイトにおいて、「自家製 白米糀 1kg?」の商品紹介の項に、「おしゃべり味噌に使われる特製白米糀」の記載がある。
http://miyamoto.shop-pro.jp/?pid=146734786
(4)「MUSO」のウェブサイトに掲載されたチラシ(2014年1月付け)において、「特別栽培米あやひめ使用・白米糀」の商品紹介の項に、「北海道産特別栽培米『あやひめ』を100%使い、糀造りのプロが丸二日かけて育てた生糀を、低温でじっくり乾燥したドライタイプの糀です。」の記載がある。
https://muso.co.jp/journal/2014/01/%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%A0%BD%E5%9F%B9%E7%B1%B3%E3%81%82%E3%82%84%E3%81%B2%E3%82%81%E4%BD%BF%E7%94%A8-%E7%8E%84%E7%B1%B3%E7%B3%80%E3%80%81%E7%99%BD%E7%B1%B3%E7%B3%80/
(5)「寺田本家」のウェブサイトにおいて、「天然白米麹 500g」の商品紹介の項に、「無農薬無化学肥料で栽培した米を原料に天然の麹菌で醸した寺田本家の麹(こうじ)です。」の記載がある。
https://www.teradahonke.co.jp/fs/terada/gd58
(6)「マルカワみそ」のウェブサイトにおいて、「自然栽培白米麹」の商品紹介の項に、「大自然の中で農薬も肥料も使わず、自然のチカラで育てた自然栽培のお米を麹にしました。」の記載がある。
https://marukawamiso.com/item/kouji-sizenhakumai.html
(7)「神楽坂発酵美人堂」のウェブサイトにおいて、「自然栽培米 乾燥白米麹」の商品紹介の項に、「無農薬、無肥料で作られたお米(西日本産)に蔵付きの天然麹菌をつけて手作りで作った乾燥麹です。」の記載がある。
https://hakkobijin.base.shop/items/13916235
(8)「メダカのがっこう推薦オンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「白米麹(生)500g」の商品紹介の項に、「水口さん農家さんの美味しいお米に麹菌をつけました。」の記載がある。
https://npomedaka.thebase.in/items/25245885
(9)「三吉麹屋」のウェブサイトにおいて、「白米麹 1kg」の商品紹介の項に、「山形県産の美味しいお米を、当店伝来の手造り製法で白米麹にしました。」の記載がある。
http://sankichi.cart.fc2.com/ca3/42/
(10)「マルクラ食品」のウェブサイトにおいて、「【マルクラ】国産 有機米使用 乾燥白米こうじ 500g」の商品紹介の項に、「地元岡山県の有機JAS認定付きの白米のみを使用した、職人手作りの乾燥こうじです。」の記載がある。
https://www.marukura-amazake.jp/item/008/
(11)「BBマルシェ by 大地を守る会」のウェブサイトにおいて、「やさかの有機乾燥白米こうじ」の商品紹介の項に、「やさか共同農場が、国産有機白米で作った白米麹。」の記載がある。
https://bbmarche.jp/Goodsdetail/06502546
(12)「糀屋三朗右衛門」のウェブサイトにおいて、「こうじ・雪の花」の商品紹介の項に、「種類:白米こうじ」、「原材料:国産米100%白米(低温乾燥)」の記載が、「乾燥白米こうじ(バラ)」の商品紹介の項に「乾燥白米こうじ(バラ)を200gからご購入いただけます。」の記載がある。
https://www.kouji-ya.com/portfolio-item/kouji_yukinohana/
https://www.kouji-ya.com/portfolio-item/hakumaikouji/

別掲2 「糀」(麹、こうじ)若しくは「米糀」(米麹)又はそれに由来する成分を原材料とする商品(化粧品、せっけん類等)の事例
(1)「キタイコロ」のウェブサイトにおいて、「GOCHI SOAP 平田こうじ店の米糀のソープ」の商品紹介の項に、「・・・平田こうじ店さんの糀(こうじ)を使用しております。」の記載とともに、「平田こうじ店の/米糀のソープ」の文字をラベルに表示した商品の写真が掲載されている。
http://kitaikor.com/?pid=132098868
(2)「麻布化粧品」のウェブサイトにおいて、「国産妊娠線ケアクリーム『ははこ』妊娠線予防 米糀&美容成分配合」の商品紹介の項に、「国産ブランド米から作られた『米糀』でしっかり、しっとり保湿。」の記載がある。
https://www.azabu-cosme.com/SHOP/hahako-005.html
(3)「ペリカン石鹸」のウェブサイトにおいて、「米麹まるごとねり込んだ洗顔石けん」の商品紹介の項に、「【米麹】を、まるごとねり込んだ洗顔石けんです。」の記載とともに、「米麹」の文字を顕著に包装に表示した商品の写真が掲載されている。
http://www.pelicansoap.co.jp/item/komekoji.html
(4)「渋谷油脂株式会社」のウェブサイトにおいて、「SOC 米麹配合化粧水」の商品紹介の項に、「米麹」の文字を顕著に包装に表示した商品の写真が掲載されている。
http://socc.jp/business/original/item-96
(5)「ヨドバシ.com」のウェブサイトにおいて、「ビピット/肌小町スキンクリーム 米麹」の商品紹介の項に、「保湿成分のコメ麹エキス(ベニコウジ菌/コメ発酵エキス)配合でお肌にうるおいを与えて、キメの整った輝く素肌へ。」の記載とともに、「米麹」の文字を顕著に包装に表示した商品の写真が掲載されている。
https://www.yodobashi.com/product/100000001004248115/
(6)「明色」のウェブサイトにおいて、「リモイストクリーム〈やわ肌タイプ〉」の商品紹介の項に、「米麹発酵エキス配合クリーム(米麹コラーゲン)」、「ガサガサ肌も美しくしてしまう米麹の保湿力。自社独自開発の米麹発酵エキスがお肌をうるおいで包み込み、もっちりとやわらかな美しい肌に導きます。」の記載とともに、「米麹」の文字を顕著に表示したチラシが掲載されている。
https://www.meishoku.co.jp/catalogue/remoist/
(7)「楽天市場」のウェブサイトにおいて、「【糸島甘酒】国産米と米麹だけで作った甘酒の石鹸」の商品紹介の項に、「国産米と米麹と糸島地方の清らかな水だけで作られた、ノンアルコールの甘酒を使った石鹸です。」の記載がある。
https://item.rakuten.co.jp/sparkler/amasake/


審理終結日 2020-07-21 
結審通知日 2020-08-04 
審決日 2020-08-18 
出願番号 商願2018-72954(T2018-72954) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内藤 順子渡辺 悦子小林 郁 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 大森 友子
阿曾 裕樹
商標の称呼 ハクマイコージ 
代理人 大澤 豊 

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