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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W37
審判 全部無効 商品と役務の類否 無効としない W37
管理番号 1366269 
審判番号 無効2015-890088 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-11-02 
確定日 2016-08-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第5761170号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5761170号商標(以下「本件商標」という。)は,「モンスター」の文字を標準文字により表してなり,平成26年12月17日登録出願,第37類「融雪機の修理・整備又は保守,融雪装置の点検又は整備,建築設備の運転・点検・整備,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,電動機の修理又は保守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,融雪装置の取付工事,建設工事,融雪装置の取付工事に関する助言又はコンサルティング,建築工事に関する助言,融雪機の貸与」を指定役務として,同27年4月1日に登録査定,同月24日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3206950号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成5年2月16日登録出願,第11類「融雪機」を指定商品として,同8年10月31日に設定登録され,その後,同18年7月11日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は,「本件商標の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 請求の理由
(1)無効原因1(商標法第4条第1項第11号について)
引用商標は,本件商標の先登録出願に係るものであって,両商標は,類似しており,本件商標の使用は,ダイワテック株式会社(以下「ダイワテック」という。)所有に係る引用商標に係る指定商品の使用にあたる。
ア 本件商標は,標準文字により登録がなされているため,引用商標と外観の類似は見られない。
しかし,札幌近郊で,ダイワテックが引用商標を使用して,融雪機の製造・販売やメンテナンスを行っており(甲3),モンスターという商標が付された融雪機(甲4)の利用者及びその融雪機の存在を知っている通常の注意力を有する一般需要者は,ダイワテック所有に係る商標「モンスター」を使用していると考えるのが通常である。
イ 両商標とも,称呼は,「モンスター」であり,全く同一である。
ウ モンスターという名の付く融雪機のメンテナンス等を行えば,札幌近郊の一般需要者は,引用商標に係る指定商品が観念される。
エ 以上の事実や被請求人及び請求人の指定商品販売場所が,どちらも札幌近郊であり,指定商品の販売場所と本件商標の役務提供場所が一致していること,需要者の範囲も一致していること等からすれば,両商標は,一般需要者によって,本件商標と混同誤認されるおそれがあるから,引用商標は,本件商標と類似するものである。
(2)無効原因2(商標法第4条第1項第15号について)
本件商標と引用商標は,類似しており,その指定役務も指定商品と混同を生ずるおそれのあるものである。
ア 本件商標と引用商標との類似性の程度
上記1のとおり,本件商標の指定役務と引用商標の指定商品は,高度の類似性がある。
イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度
引用商標は,札幌近郊のモンスター融雪機利用者にとっては,周知著名であり,絵柄も怪獣が穴から顔を出し,ピースサインをするなど独創性が高い。
ウ 両商標の指定商品等の共通性及びその他取引の実情
本件商標は,標準文字を用いているが,引用商標と共通性が認められる。その実態は,両商標とも「モンスター」という名のついた融雪機の販売・メンテナンス等であるところ,「モンスター」という名のついた融雪機は,これ以外にないからである。実際,ダイワテックは,「モンスター」と名のついた融雪機を販売するとともに,メンテナンス事業を行っており,「モンスター」が指定商品と指定役務の区別なく用いられてきた。
エ 総合考慮
以上の事実に照らし,本件商標の指定役務と引用商標の指定商品の取引者及び需要者において,普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断すると,両商標は,類似しており,その指定役務も指定商品と混同を生ずるおそれのあるものである。
(3)むすび
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し,同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)無効原因1
商標法第4条第1項第11号の審査基準には,商品と役務との類否の判断も含まれており,被請求人の主張は,商標法の基本的な解釈を誤ったものである。
融雪機の業界では,融雪機の製造販売を行った業者がそのまま保守点検整備などのメンテナンスを行うことが一般的である(甲6)。
また,融雪機は汚れや劣化が予定されており,メンテナンスは不可欠であるから,融雪機という商品とメンテナンスは一体のものであると評価するべきである(甲5)。
融雪機は,購入者の各家庭の庭先等に設置するものであるから,商品の販売場所は各家庭の庭先である。一方,メンテナンスも同じ場所で行われることがほとんどすべてである。
なお,これらの事情から明らかなように,商品と役務の需要者は全く同じである。
したがって,無効原因1の存在は明らかである。
(2)無効原因2
甲第4号証は,ダイワテックが製造販売していた融雪機「モンスター」の一例である。ダイワテックについて破産手続きが行われたが,本件商標の査定時において,ダイワテックが販売した融雪機「モンスター」はその大部分が残存していた。また,融雪機を製造販売する業者が札幌近郊で数社しかないことに鑑みれば,「モンスター」といえばダイワテックの融雪機を指すことは周知の事実といえる。
実際,被請求人が,本件商標「モンスター」を使用して行っているメンテナンスの対象は,ダイワテックが製造販売した融雪機又は商標「モンスター」を付して販売した融雪機のみである。
そして,このように,ダイワテックから融雪機「モンスター」を購入し設置した需要者あるいは商標「モンスター」を付して販売された需要者から見れば,本件商標「モンスター」を使用したメンテナンスは,融雪機「モンスター」と同一主体によるものと誤認を生じることが明らかである。
なお,被請求人は,商品「モンスター」の商標がダイワテックによって使用されていないので混同を生じるおそれがないとしているが,失当である。融雪機「モンスター」はその商品が存在する限り使用されているのである。また,仮に商標が使用されていなかったとしても,それをもってそもそも登録商標が商標法の保護の対象とならないという考えは誤りである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証を提出した。
1 無効原因1(商標法第4条第1項第11号について)
請求人は,本件商標は,その登録出願日前の登録出願に係る引用商標と商標において類似し,かつ,本件商標の指定役務も引用商標の指定商品に類似する旨主張する。
しかし,本件商標の指定役務「融雪機の修理・整備又は保守,融雪装置の点検又は整備ほか」と引用商標の指定商品「融雪機」とは,特許庁における類似商品・役務審査基準上,類似群コードが異なるものであって,互いに類似しないものとして取り扱われている。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 無効原因2(商標法第4条第1項第15号について)
請求人は,本件商標は,ダイワテックに係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であると主張する。
しかし,「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」であるか否かの判断にあたっては,「その他人の標章の周知度(広告,宣伝等の程度又は普及度)」等を総合的に考慮されるところ,請求人が提出したダイワテックのパンフレット及び取扱説明書だけでは,引用商標が周知とはいえない。
また,ダイワテックは,平成19年6月27日に破産手続開始決定を受け,平成21年1月29日に同手続の廃止の決定が確定しているものであるから,本件商標の登録出願時において,ダイワテックに係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがないことは明らかである(乙1)。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は,「モンスター」の片仮名からなるところ,該文字は,「怪物,化物」の意味(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)を有するものであるから,これよりは,「モンスター」の称呼及び「怪物,化物」の観念を生じるものである。
他方,引用商標は,ウィンクした怪獣が穴から上半身及び尾を出し,ピースサインをする図形とその下に「モンスター」の片仮名を書してなるところ,その図形部分と文字部分とは視覚的に分離して看取され,その構成中の「モンスター」の文字部分も,独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと認められるものである。
そうすると,引用商標は,その構成中の文字部分から,「モンスター」の称呼及び「怪物,化物」の観念を生じるものである。
してみれば,本件商標と引用商標とは,外観において相違するとしても,「モンスター」の称呼及び「怪物,化物」の観念を同一にする類似の商標というべきである。
(2)本件商標の指定役務は,前記第1のとおりであるところ,請求人がその指定役務中,特に「融雪機の修理」(以下「本件役務」という。)と引用商標の指定商品「融雪機」(以下「引用商品」という。)が類似すると主張するので,その類否について検討する。
商標法は,その第2条第6項において,商品と役務との間に類似関係があることを規定しているところ,商品と役務の類否を判断するに際しては,例えば,イ)当該商品の製造・販売と当該役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか,ロ)当該商品と当該役務の用途が一致するかどうか,ハ)当該商品の販売場所と当該役務の提供場所が一致するかどうか,ニ)当該商品と役務の需要者の範囲が一致するかどうかを総合的に考慮して個別具体的に判断すべきものと解するのが相当である。
ア そこで,これを上記役務及び商品についてみるに,本件役務は,「融雪機の修理」であるところ,インターネット情報によれば,その役務は,融雪機を修復するために融雪機の修理を請け負う役務であって,各社の技術に応じた各種の融雪機についての知識を有する修理業者により提供するのが一般的といい得るものである。そして,上記役務を提供する者が,常に特定のメーカーのみを取り扱っているという事情にはないというのが相当である。
(参考:インターネット情報のウェブサイト)
(ア)「株式会社 融雪総合サービス」のウェブページ
「融雪機・融雪槽の販売・修理・メンテナンスは,札幌の融雪総合サービスにおまかせ」のタイトルの下,「シーズン前にメンテナンスで安心。メーカー問わず,低価格で迅速に対応します」及び「お客様の希望に応じて,各メーカーの融雪機や中古の融雪機を販売しています」の記載がある。
(http://yusetsu-ss.com/)
(イ)「株式会社 朝日住設」のウェブページ
「融雪機修理・撤去」のタイトルの下,「融雪機修理・撤去について」の項において,「弊社朝日住設は他社融雪装置のメンテナンス,修理を受け付けしております。各メーカーの融雪装置の部品を取り揃えておりますので修理についてはまずご一報下さい。」の記載がある。
(http://asahijyusetsu.co.jp/products/527.html)
(ウ)「北栄サービス」のウェブページ
「融雪機,ロードヒーティング,融雪設備のメンテナンス」のタイトルの下,「融雪機の修理について/バーナーの修理や部品交換 ポンプ交換スプリング交換 電気関係の修理なども お気軽にお申し付けください。」及び「故障かな?と思ったら/・・・専門のスタッフが応対いたします。」の記載がある。
(http://hokuei.client.jp/entry6.html)
イ 次に,引用商品は,「融雪機」であるところ,インターネット情報によれば,融雪機は,熱源部と雪を溶かす融雪部が一体化して,槽内に投入した雪を燃焼熱で温水加温し,あるいは直接槽内の雪を加温して,雪を急速に溶かすことを目的にした装置である。そして,融雪機は,製造会社によって様々な融雪方式が採られ,装置全体を地下に埋設する埋設型と,地上に設置する定置型及び場所を移動できる移動型があり,さらに,融雪機は,温水散水式,直熱接触式と直熱・温水混合式等があるとされる。
そして,融雪機は,融雪のための機械及び機器であって,専門的なメーカーで製造される場合が多く,その製造メーカーの販売部門あるいは小売店等の販売場所により,市場一般の流通に供されるものといえる。
また,請求人が提出した取扱説明書(甲5)には,商品の修理に関する事項として,その最終ページの「8.アフターサービスと保証」に,「1.修理を依頼される前に」,「2.保証」,「3.有料点検清掃のご案内」についての説明があり,その修理は,一般的には商品の販売に付随するアフターサービスの範囲に含まれるものといえるから,直ちに,これが独立して商取引の対象となる役務であるということはできない。
(参考:インターネット情報のウェブサイト)
(ア)「ウィキペディア」のウェブページ
「融雪機」のタイトルの下,融雪機について説明した内容の記載がある。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9E%8D%E9%9B%AA%E6%A9%9F)
(イ)「ウインターライフ推進協議会」のウェブページ
「融雪機の種類と安全な使い方」のタイトルの下,「融雪機の種類」の項において,「主な融雪方式の概要」,「熱源」,「形式」(埋設型,移動式)等についての記載がある。
(http://yukikaki.jp/d3.html)
ウ 以上からすると,仮に融雪機を購入した需要者がその商品の製造,販売に係る店舗等に修理に関する相談,修理依頼等をする場合があるとしても,前記アのとおり,商品の修理を請け負うのは修理専門業者であって,商品の製造,販売店が他社製品の修理も請け負うということは想定し難い。
そして,本件役務と引用商品とは,それぞれの業務に係る事業者及び役務の提供場所と商品の販売場所が異なる上,その取引形態,流通経路等も共通するものではない。
そうとすれば,確かに,需要者においては,同一の場合が多いといえるものであるとしても,当該商品の製造・販売と当該役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的ということはできず,当該商品と当該役務の一致性を総合的に考慮して具体的に判断すると,上記のとおり,両者は,必ずしも同一であるとはいえないから,本件役務と引用商品とは,類似するものとはいえないというのが相当である。
また,本件役務以外の本件商標の指定役務と引用商品とは,明らかに事業者,その用途,取引対象も異なるものであるから,類似するものではない。
(3)したがって,本件商標は,引用商標と商標において類似するとしても,本件商標の指定役務と引用商標に係る指定商品とが同一又は類似するものでないから,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知性について
請求人は,引用商標の周知性を立証するものとして,「全自動パワー融雪機/モンスター」の表題のダイワテックのカタログ(甲4)及び「全自動パワー融雪機/モンスター/ドーム」の取扱説明書(甲5)を提出している。
そのカタログには,最終ページの右下に「2003」と表示されていることから,2003年のものといえ,4葉目には,「全自動パワー融雪機/モンスター/ドーム」が「新製品」と表示,同7葉目には,「モンスタードーム(家庭用)」の型式の欄に「SMD-1520」と表示されている。
そして,その取扱説明書は,「型式 SMD-1520」のものであるから,該カタログの発行時期と同時期のものと推認できる。
また,カタログ及び取扱説明書には,融雪機に「モンスター」の文字を使用していることが認められるとしても,引用商標と同一の商標は見いだせない。
そうしてみると,請求人の提出に係る証拠からは,引用商標が使用された商品のカタログ等の証拠や,その商品に係る広告,宣伝の状況,その範囲や使用時期,使用場所等についての具体的な事実に関する証拠の提出も認められないから,ダイワテックが引用商標を融雪機に使用して,その引用商標が需要者において広く知られているものとは認められない。
(2)出所の混同のおそれについて
本件商標と引用商標とは,商標において類似するとしても,上記のとおり,引用商標は,我が国における取引者,需要者の間で広く認識されているとは認められないものである。
してみれば,本件商標は,商標権者がこれを本件請求に係る指定役務に使用しても,取引者,需要者が引用商標を連想,想起するものとはいえず,当該役務をダイワテックあるいは同社と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 請求人の主張等について
(1)請求人は,「融雪機の業界では,融雪機の製造販売を行った業者がそのまま保守点検整備などのメンテナンスを行うことが一般的である。また,融雪機は汚れや劣化が予定されており,メンテナンスは不可欠であるから,融雪機という商品とメンテナンスは一体のものであると評価するべきである。融雪機は,購入者の各家庭の庭先等に設置するものであるから,商品の販売場所は各家庭の庭先である。一方,メンテナンスも同じ場所で行われることがほとんどすべてである。なお,これらの事情から明らかなように,商品と役務の需要者は全く同じである。」旨を主張している。
しかしながら,融雪機の業界において,特定の融雪機の製造者やその融雪機の販売者がその商品についての保守,点検,整備などのメンテナンスを付随的なサービスとして行うことがあるとしても,商品販売後のアフターサービスにとどまるものであって,逆に,融雪機についての修理・整備又は保守をサービスとして行う業者が,常に多種類の融雪機の製造,販売を行うことが一般的であるということを客観的に認め得る証拠の提出もなく,直ちに,融雪機という商品と融雪機についての修理・整備又は保守が,常に一体のものであると評価することはできない。
そして,「商品の販売場所」とは,場所を特定して不特定多数の者に販売する場合を除き,一般的には,商品販売業者もしくはその営業所の商品販売窓口の所在地と解されるところ,請求人は,「商品の販売場所は各家庭の庭先である」旨主張するが,それは,販売契約済みの商品の設置場所であって,これを「商品の販売場所」とみるのは妥当でない。
してみれば,商品(融雪機)の販売場所と役務(融雪機の修理等)の提供場所が一致するとはいえない。
よって,請求人の上記主張は,採用することができない。
(2)請求人は,「ダイワテックについて破産手続きが行われたが,・・・ダイワテックが販売した融雪機『モンスター』はその大部分が残存していた。また,融雪機を製造販売する業者が札幌近郊で数社しかないことに鑑みれば,『モンスター』といえばダイワテックの融雪機を指すことは周知の事実といえる。実際,被請求人が,本件商標『モンスター』を使用して行っているメンテナンスの対象は,ダイワテックが製造販売した融雪機または商標『モンスター』を付して販売した融雪機のみである。そして,このように,ダイワテックから融雪機『モンスター』を購入し設置した需要者あるいは商標「モンスター」を付して販売された需要者から見れば,本件商標『モンスター』を使用したメンテナンスは,融雪機『モンスター』と同一主体によるものと誤認を生じることが明らかである。なお,被請求人は,商品『モンスター』の商標がダイワテックによって使用されていないので混同を生じるおそれがないとしているが,失当である。融雪機『モンスター』はその商品が存在する限り使用されているのである。また,仮に商標が使用されていなかったとしても,それをもってそもそも登録商標が商標法の保護の対象とならないという考えは誤りである。」旨を主張している。
しかしながら,商標権は日本全国に及ぶものであるところ,請求人の主張は,限られた札幌近郊での融雪機に関する製造販売についての事情を述べたものであるにすぎず,また,上記2のとおり,引用商標の著名性は認められないものであるから,被請求人が本件商標をその指定役務について使用したとしても,引用商標の商標権者であるダイワテックあるいは同社と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
よって,請求人の上記主張は,採用することができない。
(3)請求人は,平成28年6月24日付け上申書において,第三者による陳述書を提出しているが,その内容は,札幌近郊における融雪機の製造販売及び修理,メンテナンスについての事情を述べるものであって,一般的,恒常的な取引の事情とはいえず,直ちに,本件役務と引用商品との類否の判断に影響があるものとはいえない。
4 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものとはいえないから,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効にすることができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標)





審理終結日 2016-06-23 
結審通知日 2016-06-27 
審決日 2016-07-14 
出願番号 商願2014-106892(T2014-106892) 
審決分類 T 1 11・ 265- Y (W37)
T 1 11・ 271- Y (W37)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邉 あおい 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 榎本 政実
井出 英一郎
登録日 2015-04-24 
登録番号 商標登録第5761170号(T5761170) 
商標の称呼 モンスター 
代理人 佐川 慎悟 
代理人 古瀬 康紘 
代理人 福島 隆 
代理人 小林 基子 

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