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審決分類 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない W354345
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない W354345
審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない W354345
管理番号 1366243 
審判番号 無効2019-890009 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-02-14 
確定日 2020-09-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第6030499号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6030499号商標(以下「本件商標」という。)は、「HAKONE ELECASA」の欧文字を標準文字により横書きしてなり、平成29年7月10日に登録出願、第35類「宿泊施設に係る事業の管理又は運営,宿泊施設の経営に関する企画・コンサルティング,宿泊施設の提供事業の設立・運営における経営の診断及び指導,宿泊施設経営者に対する事業の支援及びコンサルティング,温泉浴場施設の経営の代行,結婚又は披露宴に関する商品の販売に関する情報の提供,バー・レストラン・カフェテリア等の飲食店の開業・経営に関する指導及び助言,フランチャイズのレストラン事業に関する経営の指導及び助言,ホテル及びレストランの事業の管理に関する情報の提供」、第43類「温泉施設における宿泊施設の提供,インターネット・携帯電話を利用した宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎに関する情報の提供,インターネットにおける宿泊施設の提供における契約の媒介又は取次ぎ,ホテルにおける宿泊施設の提供及びレストランにおける飲食物の提供」及び第45類「結婚式・結婚披露宴の企画・運営,結婚式場・宴会場・結納施設に関する情報の提供,結婚式場・結婚披露宴会場・宴会施設の相談と紹介」を指定役務として、同30年2月15日に登録査定、同年3月23日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由において引用する商標は、請求人が「宿泊施設の提供」について使用してきたとする、「HAKONE ELECASA」の欧文字からなる標章及び別掲のとおり、抽象的な図形と「HAKONE ELECASA」の欧文字からなる標章である(以下、これらをまとめて「引用商標」という)。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第32号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
ア はじめに
本件商標及び商標登録6030500号商標は、請求人が、同社の運営する宿泊施設を象徴する標章として約10年にわたり利用してきた引用商標と同一のものである。
同標章が、請求人ないし同社の運営する宿泊施設を徴表するものであることは、同宿泊施設の近隣地域はもちろん、全国的にも「周知」の事実であった。
被請求人は、請求人の宿泊施設の運営に開業当初から参画していながら、後に自ら同宿泊施設周辺に競業する宿泊施設を開業した。被請求人は、請求人の宿泊施設の運営を妨害し、さらには被請求人の運営する宿泊施設の利得を図るために、請求人を徴表する上記各商標の登録申請を行い、請求人に対して当該商標の使用禁止を求めるに至った。
よって、被請求人による上記各商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第19号に該当し、同法第46条第1項1号により、無効とすべきである。
イ 当事者
(ア)請求人について
請求人は、平成20年8月20日、請求外S氏(以下「S氏」という。)が中心の発起人となり、ホテル・旅館の経営を主たる営業目的として、「株式会社箱根エレカーサ」という商号で設立された株式会社である(甲1)。
請求人は、同年12月19日、神奈川県足柄下郡箱根町宮城野1362番地の16において、「箱根エレカーサ ホテル&スパ」の名称で宿泊施設(以下「本件ホテル」という。)を開業し、現在に至るまで9年余りにわたり同所で本件ホテルを営業し続けている(甲2の1、甲2の2)。
(イ)被請求人について
被請求人は、請求人の設立当初から請求人の株主の一人であり(甲3の1)、かつ、本件ホテルの開業以降、請求人からその運営業務委託(契約書上のタイトルは「マネージメント業務契約書」:以下「本件運営業務委託」という。)を受けていた「株式会社アウェイ」(以下「アウェイ」という。)の実質的な経営者である(なお、アウェイは、その本店所在地を被請求人の住所地におき平成21年4月22日に設立された会社であり、設立当時は被請求人の知人を代表取締役としたが、同年7月1日には被請求人自身が代表取締役に就任している:甲3の2、甲4の1、甲4の2)。
ウ 本件商標について
請求人は、本件ホテルを開業するにあたり、本件ホテルを表示するために、文字標章及びロゴマークが必要であると考え、平成20年8月ないし9月頃、その製作をプロのデザイナーに依頼し、対価として代金80万円を支払う旨の契約をした(甲5)。上記契約に基づいてデザイナーが製作した標章が、本件商標及び商標登録第6030500号商標と同一の引用商標である(請求人は、同21年2月28日、デザイナーに対し前記代金80万円を支払った。)。
なお、「ELECASA(エレカーサ)」という呼称は、優雅な様子をあらわす「エレガント」と、ラテン語系で「家」を意味する「カーサ」を融合させた請求人による造語である(甲2の1等)。
そして、請求人は、本件ホテルの開業時から、同宿泊施設の運営に用いる案内板(甲6の1)・入口看板(甲6の2)、名刺(甲6の3、甲6の4)、封筒(甲6の5)、明細書(甲6の6)・パンフレット(甲2の2、甲6の7)・案内文等の各種書類(甲6の8)、ルームキー(甲6の9)・手提げ袋等の内装品(甲6の10)、ホームページ(甲6の11)、広告雑誌(甲2の1、甲6の12)等に、引用商標を使用してきた。
なお、被請求人は、請求人がこれを上記デザイナーに依頼する段階から直接関与しており、請求人とデザイナーとの契約内容及び請求人がデザイナーに対して業務委託代金80万円を支払った事実をも熟知している。
エ 請求人が本件ホテルを開業するに至った経緯
S氏は、もともとホテル等の清掃請負業を主たる業務とする会社「株式会社美装フジモト」(以下「フジモト」という。)を経営しているところ、その取引先ホテルの一つに「ホテルグリーンプラザ」があり、「ホテルグリーンプラザ」が経営するホテルの一つで総支配人をしていた被請求人と知り合った。
被請求人は、S氏に対し、自らはホテルグリーンプラザに勤務しながら、S氏においてホテルを買収した上で、そのホテルの運営を被請求人が受託して、その委託料収入を得たいとして、具体的にいくつものホテルの買収を提案してきた。
その中で、企業が箱根に保有する保養所を売却するという話があったところ、被請求人は、同物件を買収してホテルに改装し、箱根エリアで温泉とブライダル(結婚式事業)、エステティック、さらに料理(イタリア料理の有名シェフプロデュースの料理)に力を入れたホテルを運営する、その運営を自分に任せてくれれば、開業から2年後にはその営業を黒字化することができるとして、事業・収支計画を立案して提案してきた(甲7)。
S氏は、被請求人のこの提案を受け入れ、上記保養所を2億2,000万円で買収し、これをホテルに改装することとした。
その際、S氏は、土地建物の買収代金はフジモトで支払い、同社の資産としたが、新しいホテルの運営主体をフジモトではなく、新たに設立する別会社とすべきと考え、請求人を設立した。
そして、この新会社の出資者には、被請求人も加えることとした。
オ 被請求人の本件ホテルに対する関与の内容
被請求人は、実質的には自らが本件ホテルの運営を受託するものの、「ホテルグリーンプラザ」の社員であることから、形式的上はアウェイを設立して(平成21年4月22日)、友人を代表取締役にすえた。そして、請求人との間で、請求人がアウェイに対して、本件ホテルの経営・運営の全般を委託する旨の本件運営業務委託(甲4の1)を締結させ、本件ホテルの支配人として、ホテルグリーンプラザにおける部下を退職させて本件ホテルに送り込み、同人を通じて業務をコントロールする体制をとった。
そして、ブライダル&エステ部門については、被請求人は請求人をして、被請求人の関係者である請求外K氏が経営する株式会社グレースコーポレーションとの間で業務委託契約を締結させた(甲6の4、甲8)。
ところが、本件ホテル開業後、被請求人は、自らがS氏に対して説明した売上高を達成できなかったところ、その原因を、支配人として送り込んだ部下の責任だとして、平成21年5月頃、同人を本件ホテルから排除して、自らがホテルグリーンプラザを退職し、本件ホテルの統括責任者として就任するに至った。
それ以後、平成31年1月までは、被請求人は、本件ホテル経営の統括責任者として、その業務全般を指揮してきた。
カ 本件商標の周知性とその利用状況について
請求人は、プロのデザイナーに対価を支払って、本件ホテルの識別のためにロゴマークを作成し、これを本件ホテルの案内板・看板、ルームキー・手提げ袋等の内装品、従業員の名刺、郵便物の発信等に用いる封筒、取引先や顧客に対して発行する明細書、広告宣伝用のパンフレット・案内文等の各種書類、ホームページ等に使用して、周知を図った(甲6の1?甲6の12)。
本件ホテルは、平成20年12月の開業時から改装のために一時休館となった平成30年1月までの間に、日本全国から延64,243人が宿泊する程の著名な施設となった(甲9)。さらに、本件ホテルは、ホテルを紹介する各種雑誌(甲2の1、甲6の12)、テレビ番組「厳選いい宿」(2015年2月26日放送回:甲10)にも取りあげられて日本全国に宣伝されており、箱根地域はもちろんのこと、全国的に知られていた。
また、インターネット利用者の大半が利用するヤフー株式会社やグーグル社の提供する検索エンジンにおいて、「HAKONE ELECASA」、「ELECASA」の文字列を入力すれば、本件ホテルの情報が、検索結果のトップから上位のほぼ全てに表示される(甲11の1、甲11の2)。さらに、上記検索結果の上位に表示される大手の宿泊予約仲介サイト「楽天トラベル」、「じゃらん」や「一休.com」、「Yahooトラベル」等において、合計数百名の多数の利用者のコメントが寄せられる(甲12の1?甲12の4)など、引用商標が本件ホテルを示すことは、需要者の間に広く認識されていたことが明らかである。
この活動については、被請求人は、自らが請求人から運営委託を受けたアウェイの代表者(当初から平成21年6月30日まではアウェイの実質的経営者)として関与し、積極的に広告・宣伝活動に努めてきた。
キ 被請求人による度重なる背信行為
被請求人が運営するアウェイは、平成26年4月頃、請求人に無断で、請求人と同一地域に、請求人と競業する宿泊施設「湯宿然(ぜん)」(以下「然」という。)を開業した。なお、「然」の開業は、請求人とアウェイとの間の「マネージメント業務契約」の第7条に違反する行為であった(甲4の1、甲13の1、甲13の2)。
ク 本件マネージメント業務契約の終了
請求人は、被請求人がS氏に対して提案し、本件ホテル経営を開始するに至る前提となった事業計画・売上計画が8年間にわたって一度も(1年たりとも)達成されなかったことに加え、自ら経営するアウェイのために本件ホテルを利用し、私物化していることを知り、平成29年6月頃から、アウェイとの本件運営業務委託契約の終了につき協議を開始した。
これに対し、被請求人は、請求人及びS氏に対して、平成29年7月上旬頃、アウェイ(又は被請求人)が本件ホテルを2億2,000万円から2億3,000万円で買収したい、同年7月15日までに回答をもらいたい旨申し入れるとともに、請求人の役員及び従業員らを誹誇中傷する発言をするに至った。
なお、後に判明したことであるが、被請求人による本件出願は、この後になされていた。
平成29年7月15日に至り、請求人及びS氏は被請求人に対し、本件ホテルを売却する意思がない旨を伝えるとともに、同月20日、アウェイに対し、平成30年1月20日をもって本件運営業務委託契約を解約する旨を通知した(甲15)。
そして、平成30年1月20日、同契約は終了し、アウェイ及び被請求人は、本件ホテルから撤退した。
ケ 本件マネージメント業務契約終了に向けた交渉中の本件出願
ところが、被請求人は、本件マネージメント業務契約の終了について協議が開始された後、同契約がまだ存続中である平成29年7月10日、請求人が本件ホテルの運営に用いている引用商標と同一の本件商標及び商標登録第6030500号商標を出願した。
そして、その後、平成30年5月に至り、被請求人は請求人に対し、同月7日付け書面において、本件ホテルに使用する上記各商標については、被請求人が商標登録の手続きをしたので、請求人における使用を差し控えるよう求めるに至った(甲16)。
なお、現在、被請求人は、本件商標及び商標登録第6030500号商標を使用しておらず、当該商標登録の目的が、請求人の本件ホテル運営の妨害ないし競業宿泊施設の図利目的であったことは明白である。
コ まとめ
以上のとおり、被請求人は、請求人が本件ホテルの運営に本件商標及び商標登録第6030500号商標と同一の引用商標を使用しており、かつ、同商標が周知性のあるものであることを熟知しながら、請求人による商標登録出願がされていないことを奇貨として、あえて同各商標を出願し、本件ホテルの運営を妨害し、もって自らの競業宿泊施設等の運営拡大を図ろうとしたものであり、上記各商標出願は、極めて悪質性の高いものである。
また、これらの商標の出願経緯及び目的は著しく社会的相当性を欠き、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがあるといわざるを得ず、上記各商標は、商標法第4条第1項第19号、同第10号及び同第7号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「はじめに」について
本件商標の登録出願は、本件マネージメント業務契約とは無関係になされたものであり、かつ、請求人のホテル事業のブランド保護を目的になされたものではない。
被請求人は、本件ホテルのマネージメント業務委託を受けていたが、同委託契約を終了させられることが明らかとなったことから、本件ホテルが築き上げてきた信用・知名度を利用して自らの利益とすべく、本件ホテルと同一地域に、本件ホテルと同一名称(及び本件商標)を使用したホテル事業の運営を画策すると共に、競業となる本件ホテルに対し、本件商標の使用中止を求めているものであり、その出願目的は極めて悪質といわざるを得ず、本件商標は、請求人が9年余りに及ぶ本件ホテル運営により周知性を獲得した標章について、不正の目的(被請求人が不正の利益を得る目的、請求人に損害を加える目的)をもって商標登録出願されたものであり、その悪質性にかんがみれば、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といえるため、商標法第4条第1項第19号及び同第7号に該当する。
(2)本件商標のデザインの決定について
本件商標は、請求人会社が設立される前の段階(設立準備段階)において、請求人会社の発起人S氏、被請求人、K氏他が参加し、会社名(商号)及びホテル名をどのようにするか協議した。
その会議では、複数の名称案が候補としてあげられ、議論の対象となり、被請求人というよりは、K氏が「箱根エレカーサ」という名称を提案し、そのネーミングの趣旨を説明した。
その結果、発起人会として「箱根エレカーサ」という名称を採用することを決定し、これを会社名として商号登記し、本件ホテルの名称とすることに決定した。
そして、ホテル運営にはロゴマークが必要であるとの理解が全発起人の共通理解であったので、請求人が設立後に、会社としてロゴマークの作成をプロのデザイナーに依頼し、請求人がその作成費用全額を支払ったのである。
(3)請求人が本件ホテルを開業するに至った経緯について
被請求人は、本件ホテル買収の提案に先立ち、フジモトが被請求人に対して、ホテル買収の提案をしたなどと主張するが、事実に反する。
被請求人は、以前、「ホテルグリーンプラザ」の支配人であったところ、フジモトは「ホテルグリーンプラザ」の清掃業務を受託しており、フジモトのS氏にとっては、ホテルグリーンプラザは重要な取引先であり、その支配人であった被請求人も、いわばお客様であった。
フジモトは、重要なお客様である被請求人からリゾートホテルを買収するか、又は、企業の保養所等を買収してリゾートホテルに改造し、その運営を被請求人にやらせて欲しいと求められたため、これを断ることができなかった。
(4)被請求人の本件ホテルに対する関与の内容について
被請求人は、本件ホテルの経営が赤字であるから周知性なしと主張するが、的外れな主張である。本件ホテルが赤字なのは、売上高に対して経費が多すぎたためであり、周知性とは別の問題である。
周知性(商標法第4条1項10号及び同第19号)について
(ア)多額の宣伝広告費を投じてきたこと
請求人は、平成20年12月の開業当初から平成30年1月まで、新聞・旅行雑誌等への掲載、旅行仲介業者に対して支払われる仲介手数料(広告宣伝の成果報酬)、テレビ番組への広告掲載等において、多額の広告宣伝費を投じて、周知活動を行ってきた。
(イ)広告媒体の種類と広告期間、回数
a 当初の計画(インターネットを中心とした広告宣伝活動)
被請求人は、もともと「マスマーケットを対象とした媒体(新聞・雑誌・電波)ではなく、インターネットを中心としたマーケティングを行う」(甲7)という計画をS氏に説明し、インターネットの旅行予約仲介サイトを中心にした広告宣伝活動を行っていた(甲29の1)。
b テレビ・雑誌を通じた広告宣伝活動
インターネットだけではなく自社のホームページ(甲6)に力を入れるとともに、テレビ番組「厳選いい宿」において複数回の宣伝放映を行い、同番組及びウェブサイトを通じて集客を図った(甲28)。
雑誌広告など、フリーペーパーの「るるぶFREE」(甲27)や「旅うらら」(甲24の2)、「ミスモ箱根」(甲25の2)などにも掲載し、宣伝広告を行った。
c ブライダル部門に特化した広告宣伝活動
本件ホテルで実施されるブライダル部門の宣伝広告にも力を入れており、結婚準備の総合サイト「ゼクシィ」には、平成21年4月以降、毎月のように宣伝広告を掲載してきた(甲29の1、甲30)。
(ウ)宣伝広告の範囲と規模
a インターネット広告
自社ホームページはもちろん、インターネット旅行予約仲介サイトは全世界に向けて発信しており、全国・全世界の旅行者が閲覧可能である。
また、発行20年以上の歴史を持ち、月間発行部数30万部、日本全国での販売を行っている雑誌「ゼクシィ」(甲30の2)のネット版には、請求人は毎月のように広告掲載をし、特設ページに広告を出すなどして、広告料を支払い続けてきた(甲29の1)。
b テレビによる広告
テレビ番組「厳選いい宿」は、「テレビ東京」により「関東広域圏」に放映され、「新潟テレビ21」により「新潟県」に放映され、「テレビ和歌山」により和歌山県に放映され、「BSテレ東」では全国放送されていた。また、平成25年4月から平成26年3月頃までは、フジテレビ系列の「福島テレビ」、「富山テレビ」、「テレビ静岡」及び「秋田テレビ」で、福島県、富山県、静岡県及び秋田県でもそれぞれ放映されていた(甲28の2)。
同番組の視聴者は50万世帯であり、同番組のウェブサイトのサイト閲覧者は月間150万人ないし200万人、メールマガジンに登録されている会員数は16万9千人に上る(甲28の1)。
本件ホテルについては、平成22年4月頃から、1回の放送に限らず、「厳選いい宿」において、複数回の放送が行われている(甲28の3)。
c 雑誌等による広告
「るるぶFREE」、「ミスモ箱根」、「旅うらら」は、年に4回、四季毎に発行されるフリーペーパーであり、「るるぶFREEロマンスカー箱根小田原」は1回あたり15万部、「ミスモ箱根」は1回あたり10万部、「旅うらら」は年間73万部を発行している。「るるぶFREE」は、新宿駅、箱根湯本駅、小田急ロマンスカー内に設置されており、「ミスモ箱根」は、小田急線主要駅や高速道路のSA、宿泊施設、箱根エリアの観光施設に広範に設置されて、「旅うらら」は、東京、横浜市内のホテルや小田原地域の公的機関等約670箇所に設置されている(甲24の2、甲25の2、甲27の4)。
また、「旅色」は、電子書籍であり、全国のインターネット利用者に閲覧されている(甲26の2)。
(エ)宣伝広告の効果
宣伝広告の効果として、本件ホテルの顧客(利用者)は、北海道から沖縄県まで全国47都道府県の全てに及んでいる(甲31)。さらに、その宿泊者数は、開業9年間で合計64,243人に及ぶ(甲9)。
周知性の拡大と共に、請求人が広告宣伝費を支払っていない媒体においても箱根の特集記事で本件ホテルが取り上げられるまでに至っており(甲32の1)、グーグル社の提供する検索エンジンにおける閲覧件数は8.4万人にも上り(甲32の2)、さらには、平成30年度には、旅行プラットフォーム「トリップアドバイザー」において、同サイトに掲載されている830万軒の宿泊施設の中で日本ではわずか1,558軒しか選ばれない「エクセレンス認証(Certificate of excellence)」(優れたホスピタリティーを提供していると旅行者から高く支持された宿泊施設に授与される認証)を受けた(甲32の3)。
イ 以上のとおり、請求人は、多額の広告宣伝費を投じて、広範囲に向けた効果的な宣伝広告を行い、継続的な宣伝広告活動により、本件ホテルは全国的な周知性を獲得するに至ったものである。
(5)本件商標の周知性とその利用状況について
被請求人は、「本件ホテルの経営は赤字続きであった。すなわち、被請求人の鋭意努力にも関わらず、周知性を獲得するにいたらなかった」と主張するが、経営が赤字であることと周知性とは論理的関連性を欠く。
請求人は、開業から平成30年3月までの約9年強の間で累計3億円を超える宣伝広告費を投入して継続的な宣伝広告を実施し、結果として本件ホテルにはこれまでに日本全国から64, 243人もの宿泊客が宿泊しており、10決算期のうち5年間は年間の売上高が金2億3,000万円を超えている。
さらに、毎月約4億9,000万人に利用されているという世界最大の旅行プラットフォーム「トリップアドバイザー」において、本件ホテルは「2018年エクセレンス認証」を受けるに至っており(甲32の3)、これは、一般の旅行者が高く評価し、本件ホテルの認知度・周知性が上がっていることの証左でもある。
(6)被請求人による度重なる背信行為について
S氏は、被請求人が無断で「然」の開業準備をしていることを認識するに至ったが、まさか被請求人が本件ホテルの顧客を奪取し、本件ホテルの利益を害することなど考えてもいなかった。
しかし、S氏は、あてどころ尋ねあたらずと押印されて返送されてきた案内文を見て、アウェイが、本件ホテルの顧客名簿を無断で流用し、本件ホテルの姉妹店であるなどと虚偽の事実を称して、本件ホテルの宿泊客に対して宣伝を行っていたことを知り、本件ホテルの従業員から話を聞いて、被請求人が、本件ホテルの従業員と設備を無断利用して「然」の宣伝広告を行っていた事実を知ったのである。
被請求人は、フジモトが、「然」の備品リースの名義貸しをしたことをもって各事実を否定するようであるが、同社がリースの名義貸しを行ったのは、被請求人の上記顧客奪取行為や本件ホテルの私的利用行為が発覚する前の事柄であり、被請求人の図利加害目的を否定する根拠となるものではない。
a 被請求人による脅迫
被請求人は、請求人やフジモト・S氏に内密にして、企業の保養所を購入し、ホテル(後の「然」)への改装工事を開始していた。S氏は、ホテルへの改装工事進行中に、被請求人が同保養所をホテルに改装していることを第三者から伝え聞き、被請求人にこの点を問いただすと、被請求人はこれを認めた。
S氏が、それはマネージメント業務契約に違反する行為であり、信義に反すると問題視したところ、被請求人はそれなら本件ホテルのマネージメントから手を引くとの姿勢を示した。
請求人としては、本件ホテルのマネージメントを全てアウェイ及び被請求人に任せるとの契約であったことから、これを任せてきたところ、アウェイ及び被請求人がマネージメントから手を引いてスタッフを連れてやめてしまった場合、予約客に迷惑がかかることから、その中止を求めることが事実上できなかった。
b 静銀リースの契約書上、フジモトが「借主」となっている点について
被請求人は、その信用力がなかったことから、改装工事中、エアコンが購入できず、これをリースにして導入するにしても、リース会社がどこも拒否した。そうなると、改装工事はストップし、被請求人は破綻に追い込まれるとした。
そこで、やむなくフジモトが名義貸しをして、リース契約の当事者となり、ただしリース料金の支払いは被請求人のアウェイが行うとせざるを得なかった。
c フジモト・S氏の認識(緊急避難)
「然」は、被請求人が秘密裏に進めていた。フジモトのS氏は、途中でこれを知ったが、既に後戻りできない状況であり、被請求人の行為を中止させた場合には、本件ホテルの顧客に不利益を生じさせ、ひいては本件ホテルの信用を著しく毀損するということから、緊急避難として、リース契約の名義貸しをせざるを得なかった。
請求人が「追認した」というよりは、本件ホテルの顧客のため、ひいては本件ホテルを存続させるために「緊急避難」として同行為をせざるを得なかった。
d 当然ながら、被請求人がS氏に対して、定例会議で「然」の開業を伝えたことなどなく、S氏が被請求人に対し、「然」の開業に関し、「よかったじゃないか」などと述べた事実も一切ない。
(7)本件マネージメント業務契約の終了について
本件マネージメント業務契約の終了については、平成29年2月から問題になっていた。
S氏は、被請求人に対し、新たなフジモトの負担を拒否し、同年3月から5月の間にかけて、ホテルを自前で運営すること(箱根エレカーサ又はフジモトで運営すること)、すなわちマネージメント業務契約を終了させる旨検討していることを伝えた。
同年6月24日、被請求人は、S氏に対し、本件ホテルを2億2,000万円で購入したいと申し入れてきた。
S氏は、被請求人からの購入申し入れを断り、本件マネージメント業務契約を平成30年1月で終了させると伝えた。ただ、仮に、2億7,000万円以上で購入するというのであれば、売却を検討してみてもよい、と回答した。
平成29年7月15日、被請求人は、K氏と共にフジモトを訪問し、S氏に対し、本件ホテルを2億7,000万円で買いたい、と申し入れた。
S氏は、2億7,000万円ではこれまでの投下資金の回収には足りないと考えるに至り、本件ホテルを売却しない旨を、7月20日までに被請求人に告げた。
そして、請求人は、アウェイに対し、平成29年7月21日、本件マネージメント業務契約を平成30年1月20日限りで終了する旨の通知を発信し、被請求人及びアウェイは、終了日までの約6か月間は、契約が存続しているのであるから、契約内容を誠実に履行すると約束した。
ところが、被請求人は、その裏で、本件ホテルの運営妨害を画策して請求人に無断で本件商標を出願し、登録が完了すると、直ちに請求人に対して使用中止を求めたのであり、極めて悪質な目的による出願であり、信義にもとる。
(8)本件マネージメント業務契約終了に向けた交渉中の本件出願について
ア 被請求人は、出願日は、解約通告日の前であり、出願の時点において、運営委託契約は有効であり、それ故マネージメント業務契約書に従って忠実に業務遂行にあたることは至極当然であるなどと主張する。
しかしながら、忠実な業務遂行に該当しないことは次のとおりである。
a 出願人が、マネージメント業務契約の当事者ではないこと
b 出願日には、既にマネージメント業務契約の終了が決定していたこと
c 被請求人が、請求人に秘して本件商標登録出願をしていること
d 被請求人が、登録後、直ちに請求人に対して使用中止を求めていること
e 出願が請求人のブランド構築のためにプラスに働いた事実がないこと
f アウェイは、平成24年10月に、本件ホテルに極めて隣接した土地を取得し、請求人の従業員用の駐車場として提供するつもりだなどと称していながら、実は、平成31年1月16日に箱根町に開発事前相談をし、自らがホテルを営業するため、同建築工事を開始していること
g 被請求人は、上記fのホテルで、本件商標を使用すると主張していること
イ 被請求人は、本件ホテルのマネージメント業務委託を受けていたが、同委託契約を終了させられることが明らかとなったことから、本件ホテルが築き上げてきた信用・知名度を利用して自らの利益とすべく、本件ホテルと同一地域に、本件ホテルと同一名称(及び本件商標)を使用したホテル事業の運営を画策すると共に、競業となる本件ホテルに対し、本件商標の使用中止を求めているものであり、その出願目的は極めて悪質といわざるを得ず、本件商標は、請求人が9年余りに及ぶ本件ホテル運営により周知性を獲得した標章について、不正の目的(被請求人が不正の利益を得る目的、請求人に損害を加える目的)をもって商標登録出願されたものであり、その悪質性にかんがみれば、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といえるため、商標法第4条第1項第19号及び同第7号に該当する。
(9)請求人の主張の補足
ア 請求人は、「株式会社箱根エレカーサ」との商号の会社であり、本件ホテルの運営を唯一の事業とする会社である。請求人が、本件商標が使用できるか否かは死活問題であり、会社の存続に係わる問題である。
イ 被請求人は、本件マネージメント業務契約の対価を受領しながら、8年を超える多くの時間と3億円を超える多額の宣伝広告費を請求人に負担させ、本件商標の周知性を高めてきたものであり、周知性の高まったところで、それを自らの利得とすべく本件商標登録出願を行ったものであり、その不正目的は顕著であり、その悪質性は看過し得るものではない。
ウ 不正競争防止法第2条第1項第1号に該当し得ること
答弁書により明らかとなったが、被請求人は、本件ホテルが築き上げてきた信用・知名度を利用して自らの利益とすべく、本件ホテルの至近距離に、本件ホテルと同一名称(及び本件商標)を使用したホテル事業の運営を画策するとともに、競業となる本件ホテルに対し、本件商標の使用中止を求めているものであり、周知表示との混同を惹起するものであり、不正競争防止法第2条第1項第1号に抵触する行為に及んでいる。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第7号証を提出した。
1 「はじめに」について
本件商標は、全国的ないし地域的な周知性を獲得していない。
被請求人は、平成21年4月1日より請求人と被請求人との間におけるマネージメント業務契約書を取り交わしている(乙1)。同マネージメント業務契約書において、乙(アウェイ)は甲(請求人)の経営・運営全般について甲のパートナーとして業務を遂行するものとすると規定している。
被請求人は、ホテル事業のコンサルティング、マネージメントを行う事業者である。それゆえ、被請求人は、当該マネージメント業務契約書(乙1)における業務遂行としてホテル事業のブランド保護のために宿泊施設名の商標登録出願に至ったものである。すなわち、マネージメント業務契約書(乙1)における業務遂行内容に従ったものであって、被請求人は、宿泊施設の運営の妨害をしておらず、図利加害目的による出願でもない。
2 「本件商標」について
マネージメント業務契約書(乙1)に先立つ平成18年頃から、被請求人は、S氏と新規ホテル事業の開業を協議していた。被請求人は、新ホテルのブランド名、ロゴマークが必要であると認識していたので、新ホテルのブランド名となる当該商標について、平成20年5月ごろより想起し始めた。
したがって、被請求人の出願に係る本件商標は、被請求人により作出された造語の商標である。
被請求人は、ホテル事業のコンサルティングを行ってきた。そこで、新規のホテルの開業に際し、コンサルティングとして、ホテル名のブランド戦略の一環として商標登録出願に至った。コンサルティングの業務として、保護の根幹を成すブランド名について商標登録出願をすることは、ブランド保護、ホテル事業の全体的なコーディネートの観点から至極当然である。
「HAKONE ELECASA」は、イタリア語の「ELEGANZA」(優雅)と「CASA」(家)との融合による被請求人による造語であり、共にイタリア語の語源、語感により調和された造語である。
請求人は、「HAKONE ELECASA」は自らの作出による造語であると主張する。そして、「『ELECASA(エレカーサ)』という称呼は、優雅な様子をあらわす『エレガント』と、ラテン語系で『家』を意味する『カーサ』を融合させた請求人による造語である」と主張する。
請求人主張の「エレガント」は、その発音からすると英語であり、請求人の主張によると、英語と他言語の入り交じりである。たとえ造語を作出するにしても言語、語源の統一感がみられない。
そうすると、請求人の主張からは、新しく造語の商標を作出する際の商標の語感、印象等の調整、言語、語源に基づく新規商標に対する思い入れが感じられない。
つまり、請求人が本件商標を作出したとする主張は失当である。
3 「請求人が本件ホテルを開業するに至った経緯」について
請求人は、「被請求人は、S氏に対し、・・・具体的にいくつものホテルの買収を提案してきた。」と主張するが、その提案に先立ち、S氏の経営するフジモトより、被請求人へ、ホテル買収の提案が持ちかけられていた。
4 「被請求人の本件ホテルに対する関与の内容」について
請求人は、「・・・における部下・・・を退職させて本件のホテルに送り込み・・・」と主張するが、同人の退職は自らの意思によるものであり、被請求人が無理矢理辞めさせたわけではない。
請求人は、「・・・なお、被請求人は、請求人のアウェイとの間の本件運営業務委託契約が存続・・・本件ホテルの経営は赤字続きであり・・・」と主張する。
このように赤字続きであると請求人が主張しているということは、本件商標が十分な周知性を獲得していない事実を請求人は認めているものといえる。赤字続きであることは、すなわち、本件商標は十分な周知度を獲得しているわけではないゆえに、集客力が乏しいということである。
加えて、平成27年5月からの大涌谷の噴火により、さらに請求人の業績は悪化した。そこで、甲(請求人)と乙(アウェイ)は基本月給の変更の同意書を取り交わした(乙2)。
前出の同意書の事実から、被請求人がマネージメント契約に基づいて関与した、請求人のホテルの集客力は十分とはいえず、本件商標の周知性に関する請求人の主張は失当である。
5 「本件商標の周知性とその利用状況」について
請求人は、テレビ番組の放送、インターネット上の検索結果を理由に需要者の間に広く認識されている旨を主張している。
そして、請求人は、「・・・この活動については、被請求人は、自らが請求人から運営委託を受けたアウェイの代表者(当初から平成21年6月30日まではアウェイの実質的経営者)として関与し、積極的に広告・宣伝活動に努めてきた。」と主張する。
被請求人が本件ホテルの広告・宣伝活動に努めることは、マネージメント業務契約書(乙1)のとおり履行義務として当然である。しかしながら、本件ホテルの経営は赤字続きであった。
すなわち、被請求人の鋭意努力にもかかわらず、周知性を獲得するに至らなかったことは事実である。
このことから、本件商標については、商標法第4条第1項第19号及び同第10号における周知性の要件を充たすものではない。
6 「被請求人による度重なる背信行為」について
請求人は、「被請求人が運営するアウェイは、平成26年4月頃、請求人に無断で、請求人と同一地域に、請求人と競業する宿泊施設『湯宿然(ぜん)』を開業した。なお、『然』の開業は、請求人とアウェイとの間の『マネージメント業務契約』の第7条に違反する行為であった。」と主張する。
被請求人は、本件ホテルの開業当初より運営に関して参画しており、マネージメント業務契約書に則り、第7条を順守し、事前に承諾を得て、「然」を開業した。
被請求人による「然」の開業の承諾に関し、被請求人は月に一回の定例会議時にて口頭で請求人に説明をおこなっていた。その際、S氏からは「良かったじゃないか」との発言を得ている。
被請求人(アウェイ)による「然」の開業に際し、平成26年5月22日を借受日(リース開始日)として、被請求人(アウェイ)は、フジモト(S氏が代表取締役)から什器類を借り受けた(乙3)。
借受人の被請求人(アウェイ)は、賃借人のフジモトへ口座振替によるリース料支払いを申し込んでいた(乙3)。
請求人が当該リース契約を被請求人と契約していたこと自体、被請求人が請求人の承諾を得て「然」を開業したことに他ならない。請求人と被請求人との間の良好な関係が維持されているからこそ、当該リース契約に至ったものである。そもそも、請求人に無断で被請求人が開業していたのならば、当該リース契約が請求人と被請求人の間において取り交わされるとは到底考えられない。
そうすると、請求人に無断で開業したとの請求人の主張は失当である。それゆえ、図利加害の目的に該当しない。
7 「本件マネージメント業務契約の終了」について
請求人は、「本件ホテルを利用し、私物化している」と主張する。
請求人は、「被請求人は請求人及びS氏に対して平成29年7月上旬頃からアウェイ(又は被請求人)が本件ホテルを・・・買収したい・・・旨を申し入れる・・・」と主張し、被請求人側がホテル買収の申し入れをした、としている。
しかしながら、これは事実に反する。
平成29年2月の定例会議において、S氏より、本件ホテルをアウェイへ2億7,000万円で売却する旨が議論された。その後、被請求人は思い入れのある物件であることから購入検討を重ね、金融機関とも資金融資を相談し、次の定例会にて購入意思をS氏に伝えた。
その後、平成29年6月24日にフジモトにて、S氏、他2名の同席のもと、運営業務委託契約の解約の話が切り出された。
平成29年7月15日、フジモトにて、被請求人とK氏は、S氏にホテル物件の購入意思を伝えた。
しかし、請求人から被請求人にはホテル物件の売却はせず、運営業務委託契約の解約が通告された(乙4)。
8 「本件マネージメント業務契約終了に向けた交渉中の本件出願」について
請求人は、「・・・同契約がまだ存続中である平成29年7月10日、・・・を出願した。」と主張する。
この出願日は解約の通告日(乙4)の前である。つまり、本件商標の出願日の時点において運営委託の契約はまだ有効である。そうであるならば、マネージメント業務契約書に従って、忠実に業務遂行に当たることは至極当然である。それゆえ、被請求人の業務としてブランド構築のために被請求人が商標登録出願をすることに何らの疑問を差し挟む余地はない。
ゆえに、請求人の図利加害の目的の主張は失当である。
請求人は、「・・・なお、現在、被請求人は、本件商標及び商標登録第6030500号商標を使用しておらず、・・・」と主張する。
商標法第50条第1項によると、「継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定する。
本件商標は登録から3年を経過していない。また、被請求人は、宿泊施設の新築を計画し、箱根町(箱根町長)と折衝を重ねている(乙5、乙6)。被請求人は、箱根町長から平成31年1月30日付にて開発事業事前相談回答書(乙5)を得ており、また、被請求人は、箱根町長から平成31年3月4日付にて箱根町開発事業指導要綱に基づく協議事項対応について(依頼)(乙6)を得ている。
被請求人が新規の宿泊施設の建設を予定していることは明白である。すなわち、被請求人は、当該宿泊施設について、本件商標の使用をする意思を有している。
ゆえに、被請求人である商標権者は、本件商標についての使用の意思を有しており、請求人による登録商標を使用しておらずの主張は失当である。
9 「まとめ」に対して
本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同第10号における周知性の要件を充足しない。さらに、図利加害の目的もなく、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
無効2017-890067の審決(乙7)によると、「・・・被請求人が請求人会社の事業に係る業務に携わっていた者であり、請求人商標及び当該事業の存在を知っていたとしても、その事実だけで、被請求人が商標登録出願をすることが禁止されているものではない。・・・また、本件商標の登録出願が、一定の信用を蓄積した未登録周知商標の既得の利益を保護するというような商標法の目的に関連して、請求人の信用の化体した周知商標についての剽窃に当たるものではない。しかも、請求人は、請求人商標の使用開始にあたって、その商標を登録出願すべきであったし、出願も含めた商標権の管理は、その商標の使用をする者が自身で行うべきものである。・・・その商標を自ら登録出願する機会は十分にあったというべきであって、自ら登録出願しなかった責めを被請求人に求めるべき事情を見いだすこともできない。そして、本件商標は、具体的な事実関係においても、直ちに『その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠く』とはいえないものというべきである。・・・」として、商標法第4条第1項第7号に該当するものとはいえない、としている。
これを、本件事案に当てはめると、被請求人は、請求人(株式会社箱根エレカーサ)の業務に関わっていたものである(乙1、乙2、乙4)。被請求人が請求人の当該事業の存在を知っていたとしても、それゆえ、その事実だけで被請求人が商標登録出願をすることが禁止されているものではない。
一定の信用を蓄積した未登録周知商標の既得の利益を保護するというような商標法の目的に関連して、請求人の信用の化体した周知商標についての剽窃に当たるものではない。特に、本件商標は周知性を欠くものであり、周知商標の剽窃ではない。
しかも、請求人は、請求人商標の使用開始にあたって、その商標を請求人が登録出願すべきであったし、出願も含めた商標権の管理は、その商標の使用をする者(請求人)が自身で行うべきものである。
請求人は、その商標を自ら登録出願する機会は十分にあったというべきであって、請求人自ら登録出願しなかった責めを被請求人に求めるべき事情を見いだすこともできない。
そうすると、本件商標は、具体的な事実関係においても、直ちに「その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠く」とはいえない。商標法の先願登録主義を上回るような、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあるということはできない。あくまでも、当事者間の私的な問題として解決すべきであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。
ゆえに、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

第5 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)請求人提出の証拠及び請求人の主張の趣旨によれば、以下のとおりである。
ア 請求人は、平成20年8月20日、ホテル・旅館の経営を主たる営業目的として、「株式会社箱根エレカーサ」という商号で設立された株式会社である(甲1)。
イ 請求人は、平成20年12月19日、神奈川県足柄下郡箱根町宮城野1362番地の16において、本件ホテルを開業し、現在に至るまで同所で宿泊施設の提供(以下「請求人役務」という。)を行っている(甲2の1、甲2の2)。
ウ 請求人は、本件ホテルを開業するにあたり、本件ホテルを表示するために、文字標章及びロゴマークが必要であると考え、平成20年8月から9月頃、その製作をデザイナーに依頼し、対価として代金80万円を支払う旨の契約をした(請求人の主張及び甲5)ことがうかがえるものであり、上記契約に基づいて製作した標章が、本件商標及び商標登録第6030500号商標と同一の引用商標である。
エ 請求人は、本件ホテルの開業時である平成20年12月から、同宿泊施設の運営に用いる案内板(甲6の1)・入口看板(甲6の2)、名刺(甲6の3、甲6の4)、封筒(甲6の5)、明細書(甲6の6)・パンフレット(甲2の2、甲6の7)・案内文等の各種書類(甲6の8)、ルームキー(甲6の9)・手提げ袋等の内装品(甲6の10)、ホームページ(甲6の11)、広告雑誌(甲2の1、甲6の12)等に、引用商標を使用してきた。
しかしながら、上記パンフレット、案内文等の作成の時期や数量及び配布の方法や範囲等は不明である。
オ 本件ホテルは、平成20年12月の開業時から改装のために一時休館となった同30年1月までの間に、日本全国から延64,243人が宿泊しているとのことであるが、当該宿泊客数の根拠として提出された証拠(甲9)は、平成20年12月から同30年1月までの宿泊客数、休憩客数をまとめたリスト及び売上集計表であるところ、2葉目以降の右上部に記載された「【印刷】2019/01/28」の文字から、2019年(平成31年)1月28日に出力されたものであると推察されるものの、その作成者等は明らかではない。
カ 本件ホテルは、ホテルを紹介する雑誌、テレビ番組「厳選いい宿」に取りあげられている(甲2の1、甲6の12、甲10)。
また、インターネット利用者の大半が利用するヤフー株式会社やグーグル社の提供する検索エンジンにおいて、「HAKONE ELECASA」、「ELECASA」の文字列を入力すると、本件ホテルの情報が、検索結果のトップから上位に表示されており(甲11の1、2)、グーグル社の提供する検索エンジンにおける本件ホテルのホームページ閲覧件数は、月間8.4万人であるとされる(甲32の2)が、いずれの証拠においても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、どのような状況であったのかは、明らかではない。
さらに、請求人は、平成20年12月の開業当初から同30年1月まで、新聞・旅行雑誌等への掲載、旅行仲介業者に対して支払われる仲介手数料(広告宣伝の成果報酬)、テレビ番組への広告掲載等において、多額の広告宣伝費を投じて、周知活動を行ってきたとして、証拠を提出している(甲24?甲30)。
しかしながら、当該証拠において、本件ホテル及び引用商標がどのように掲載されたのかは一部確認し得るものの(甲27の3、甲28の4)、そのほとんどは、実際にどのように本件ホテル及び引用商標が掲載されていたのかは不明である。また、一般に、ホテル等の宿泊施設の情報を掲載する雑誌においては、多くの頁の中の1頁に他の宿泊施設の紹介とともに掲載されているものが多いことから(甲27の2)、たとえ、本件ホテル及び引用商標が掲載されていたとしても、そのことのみをもって、需要者間に広く知られていたとみることはできない上、本件ホテル及び引用商標が注目されるような形で掲載されていたような事情は把握できない。
(2)以上によれば、「HAKONE ELECASA」は、本件ホテルの通称であり、請求人提出の証拠からは、本件ホテルに関する記事が雑誌に掲載され、テレビ番組で取り上げられていることはうかがえるものの、その多くについては、本件ホテル及び引用商標がどのように掲載されたのかは明らかでなく、本件ホテル及び引用商標の掲載状況が確認できるものの数はさほど多いとはいえない。
また、パンフレット、案内文等にしても、その作成の時期や数量及び配布の方法や範囲等の詳細が不明であり、宿泊客数についても、請求人の主張のとおりであるとしても、比較すべき客観的な証拠の提出はないから数値の多寡について評価することはできない。
さらに、宣伝広告の回数や宣伝広告費の額についても、上述のとおり、雑誌やテレビ番組等の広告において、実際にどのように本件ホテル及び引用商標が掲載されていたのかは不明であって、その他に引用商標に係る宣伝広告の回数や宣伝広告費の額を客観的に確認することができる資料は提出されていないから、引用商標の周知著名性の程度を推し量ることはできない。
そうすると、請求人が提出した証拠をもってしては、引用商標が、請求人役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、外国及び我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されている。
引用商標は、上記1のとおり、請求人役務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
引用商標は、上記1のとおり、請求人役務を表すものとして、需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定の他の要件を判断するまでもなく、同号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)商標法第4条第1項第7号の趣旨
商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができないとしているところ、同号は、商標自体の性質に着目したものとなっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については、同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである。
また、同号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。
そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(平成22(行ケ)第10032号参照)。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 両当事者から提出された証拠及び両当事者の主張からは、以下の事実が認められる。
(ア)請求人と被請求人の関係
請求人は、平成20年8月20日、ホテル・旅館の経営を主たる営業目的として、設立された株式会社である(甲1)。請求人の発起人の中心であるS氏は、フジモトの経営者であり、被請求人は、請求人の設立当初から請求人の株主である(甲3の1)。
S氏と被請求人は、S氏の経営するフジモトとその顧客の一である「ホテルグリーンプラザ」の総支配人という関係で知り合い、両者間において、企業の保養所を買収し、ホテルを開業する旨の協議がなされた。
そして、S氏が物件を購入し、その購入代金はフジモトが支払ったが、運営主体は、フジモトではなく、新たな会社を設立することとなり、請求人である「株式会社箱根エレカーサ」が設立された。
被請求人は、平成21年4月22日、アウェイを設立した。
なお、設立当初の代表取締役は、被請求人ではないが、同年7月1日には、被請求人が代表取締役に就任している(甲3の2)。
平成21年4月1日より、請求人とアウェイ間で、本件ホテルの経営・運営の全般を委託する旨の「マネージメント業務契約」が締結された(甲4の1、乙1)。なお、当該マネージメント業務契約書の写しにおいて、契約日の日付けは記載されていないが、両当事者の主張からみて、当該マネージメント業務契約が締結されていることに関して、当事者間に争いはない。
被請求人は、本件ホテルの開業以来、アウェイの実質的な経営者として、また、ホテルグリーンプラザを退職後は、本件ホテルの統括責任者として、本件ホテルの運営を行っていた。
(イ)マネージメント業務契約の解除及び本件ホテルの購入意思
平成26年4月のアウェイによる「然」の開業に係る経緯(甲13の1、甲13の2、甲14)や請求人の挙げる「被請求人の背信行為」については、当事者間の主張が食い違っているところ、「然」の開業に係る上記の証拠がわずかに提出されているものの、それぞれの主張を裏付ける客観的な証拠は、ほとんど提出されていない。
そして、当事者間の関係が悪化する中、協議の開始時期については明確ではないものの、両当事者の主張から、少なくとも、平成29年6月24日には、マネージメント業務契約の終了に関する協議がなされていたこと、この時点までに、被請求人からS氏に対して、本件ホテルの購入意思を伝えていたことも、うかがえるものである。
さらに、平成29年7月15日には、被請求人から、S氏へ、本件ホテルを、2億7,000万円で購入したい旨の申し入れがなされたが、S氏は、本件ホテルを売却しないとして、同月21日付けで、マネージメント業務契約を平成30年1月20日限りで終了する旨の通知を行った(甲15、乙4)。
一方、本件商標の登録出願は、平成29年7月10日にされたものである。
イ 判断
上記ア(イ)のとおり、本件商標の登録出願の前後において、被請求人は、本件ホテルの購入意思を有していたことがうかがえるものであり、かかる事情を併せ考えるに、本件ホテルの開業以来、その運営に関わり、本件ホテルを購入する意思を有していた被請求人が、本件商標を出願したこと自体に悪質性があるとはいい難く、そのことをもって、出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くということはできない。
請求人は、「被請求人は、請求人が本件ホテルの運営に引用商標を使用しており、かつ、同標章が周知性のあるものであることを熟知しながら、請求人による商標登録出願がされていないことを奇貨として、あえて同各商標を出願し、本件ホテルの運営を妨害し、もって自らの競業宿泊施設等の運営拡大を図ろうとしたものであり、上記各商標出願は、極めて悪質性の高いものである。」旨主張しているが、引用商標は、前記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国において請求人役務を表すものとして広く認識されているということはできないものであり、商標権者による引用商標の使用が、その著名性に便乗するものということもできない。
その他、本件商標は、その構成文字からして、きょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるようなものではなく、他の法律によってその使用が制限又は禁止されているものでもない。
しかも、請求人は、引用商標の使用開始に当たって、その商標を自ら登録出願する機会は十分にあったというべきであって、自ら登録出願しなかった責めを被請求人に求めるべき具体的な事情を見いだすこともできない。
そうすると、本件商標について、商標法の先願登録主義を上回るような、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあるということはできないし、そのような場合には、あくまでも、当事者間の私的な問題として解決すべきであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。
また、前記1のとおり、本件商標の登録出願時において、引用商標が周知著名なものではなく、請求人に、当時、引用商標の商標登録出願の意思があったと認めることもできないから、これらの点からしても、本件商標は、先回りして不正な目的をもって剽窃的に商標登録出願されたものとはいえない。
してみれば、たとえ、被請求人が請求人の商標を知っていたとしても、本件商標の登録出願の経緯に、社会的相当性を欠き、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような事情があったとまでは認めることはできないから、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」がある商標に該当するということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。

【別掲】
引用商標の一(登録第6030500号商標と同一の構成:色彩については原本参照)

審理終結日 2019-12-19 
結審通知日 2019-12-25 
審決日 2020-01-16 
出願番号 商願2017-92306(T2017-92306) 
審決分類 T 1 11・ 222- Y (W354345)
T 1 11・ 25- Y (W354345)
T 1 11・ 22- Y (W354345)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白鳥 幹周 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
鈴木 雅也
登録日 2018-03-23 
登録番号 商標登録第6030499号(T6030499) 
商標の称呼 ハコネエレカーサ、エレカーサ、エレカサ 
代理人 特許業務法人白坂 
代理人 臼井 智晃 
代理人 山内 雅哉 

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