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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W43
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W43
審判 査定不服 外観類似 登録しない W43
管理番号 1366198 
審判番号 不服2019-17388 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-23 
確定日 2020-08-17 
事件の表示 商願2018- 91430拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第43類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年7月13日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における令和元年5月24日受付の手続補正書により、第43類「飲食物の提供(串カツを除く),会議室の貸与」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5780911号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、平成27年2月20日に登録出願、第43類「串カツを主とする飲食物の提供」を指定役務として、同年7月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、上部に、松皮菱の12角形内に花菱を描いた図形(以下「図形部分」という。)を表し、中段に「菱屋」の漢字を縦書きで書し、下段に「HISHIYA」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして、その構成中の上段の図形部分と中段の「菱屋」及び下段の「HISIYA」の文字部分とは、視覚上分離して看取されるばかりでなく、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取及び把握しなければならない特段の事情も見いだせないものであるから、これらの各部分は、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
また、構成中の図形部分は、家紋の一種を表したといえるものであるところ、当該家紋が、一般によく知られているものとはいい難いことから、特定の称呼及び観念を生じることはないとみるのが相当である。
さらに、「菱屋」の漢字及び「HISHIYA」の欧文字は、それぞれ辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるというのが相当である。
そうすると、本願商標は、その構成中の「菱屋」及び「HISHIYA」の文字に相応して「ヒシヤ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲2に示すとおり、上段に赤色で「大阪伝統の味」の文字、下段に「名物串カツ」の文字を書し、その右横にやや大きい黒色の文字で「菱屋」の文字を書し、さらに、その右横に、赤色で、二重の円輪郭内に武田菱風の図形(以下「図形部分」という。)を表してなるところ、その構成中の「大阪伝統の味」、「名物串カツ」及び「菱屋」の文字部分と図形部分とは、それぞれが、視覚上、分離して看取されるものである。
そして、その構成中の図形部分は、家紋の一種を表したと認識されるといえるものの、当該家紋が、一般によく知られているとはいい難いことから、特定の称呼及び観念を生じることはないとみるのが相当である。
また、文字部分については、「大阪伝統の味」の文字は「大阪で長く受け継がれてきた味」を、「名物串カツ」の文字は「その土地で評判の串カツ」をそれぞれ意味する一種のキャッチフレーズとして認識し、理解されるものであって、自他役務の識別標識としての機能が弱いか、又はないものというのが相当である。
さらに、「菱屋」の文字は、辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるというのが相当であって、他の構成部分と異なる黒色で大きく表されていることから、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべきである。
以上からすると、引用商標は、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められず、引用商標から「菱屋」の文字部分を抽出し、要部として観察することが許されるというべきである。
そうすると、引用商標は、その構成中、「菱屋」の文字に相応して、「ヒシヤ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標を比較すると、両者は、全体の外観を異にするとしても、「菱屋」の漢字を要部とする点において共通するから、外観において類似するものである。
次に、称呼においては、両者は「ヒシヤ」の称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、両者は、特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観が類似し、称呼を共通にするものであるから、これらを総合して考察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
エ 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否
本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と類似の役務を含むものである。
オ 小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定役務と類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、令和元年12月23日付け審判請求書において、本願商標と引用商標とは受ける印象が大きく異なる旨、本願商標の称呼が「ヒシヤヒシヤ」と6音節であるのに対し、引用商標は「19音節」であり共通する音節は3音節のみであるから紛れるおそれはない旨、引用商標の構成中、「大阪伝統の味」及び「名物」の各文字は「串カツ」を強調しているから、指定役務との関係においても無視できず、「菱屋」と結合して全体として自他役務の識別標識としての機能を有するから、「大阪伝統の味」「名物串カツ」の文字列をすべて除去して称呼・観念を比較したことは妥当とはいえない旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用商標の全体の外観が異なるとしても、両商標は「菱屋」の文字が、独立して自他識別機能を発揮し得ることは、上記(1)で述べたとおりであり、該文字を要部として商標の類否を判断することが許されるというべきである。
イ 請求人は、審査官が、本願商標中の大きな部分を占める「松皮菱の中に花菱」の図形から生じる観念を考慮しないで、本願商標と引用商標との類否を判断したことは妥当とはいえない旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用商標は、前記のとおり、図形部分と文字部分とが、それぞれ、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであるとみるのが相当であるから、両者の類否を判断する上で、常に図形部分から生じ得る観念を考慮しなければならないということはない。
ウ 請求人は、役務に係る取引の実情を示すものとして、本願商標や引用商標に関連する商標を使用した店舗の外観、店舗で使用するメニュー、張り紙の写し等を同月25日付け手続補足書にて提出し、本願商標が使用された店舗外観からは「串カツの菱屋」を想起しない旨述べ、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すれば、出願人が本願商標を指定役務に使用しても引用商標の商標権者と出所の混同を生じるおそれはない旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的な実情を指すものではなく、指定商品全般についての一般的、恒常的な実情を指すものと解すべきであり(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)、役務についても同様に解されているところ、請求人が主張する本願商標と引用商標の指定役務における取引の実情は、それぞれの商標の使用状況に係る個別事情にすぎず、それが当該役務の分野における一般的、恒常的な実情であるということはできない。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 本願商標



別掲2 引用商標(色彩については原本参照)



審理終結日 2020-06-08 
結審通知日 2020-06-11 
審決日 2020-07-01 
出願番号 商願2018-91430(T2018-91430) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W43)
T 1 8・ 262- Z (W43)
T 1 8・ 261- Z (W43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 木住野 勝也
青野 紀子
商標の称呼 ヒシヤ、ヒシ 
代理人 若▲崎▼ 義和 

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