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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W11
管理番号 1365023 
審判番号 無効2018-890016 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-03-12 
確定日 2020-07-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5931163号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5931163号商標(以下「本件商標」という。)は,「Aukey」の欧文字を標準文字で表してなり,平成28年8月1日に登録出願,第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類,家庭用浄水器,太陽熱利用温水器,業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,業務用衣類乾燥機,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器」を指定商品として,同29年1月19日に登録査定,同年3月10日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録はこれを無効とする,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第7号証を提出している。
1 本件商標の無効事由
本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから,同法第46条第1項第1号により,その登録は無効にすべきものである。
2 引用商標
請求人が,本件商標の登録の無効の理由について,商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する国際登録第1216684号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,2014年(平成26年)7月4日に国際登録され,第9類「Cabinets for loudspeakers; camcorders; chargers for electric batteries; chronographs for use as specialized time recording apparatuses; computer monitors; computers; electronic card readers; eyeglasses; mouse pads; navigation apparatus for vehicles; notebook computers; odometers; photocopiers; portable telephones; scanners; spectacle cases; tape recorders; telescopes; webcams.」を指定商品として,平成27年(2015年)5月22日に設定登録されたものであって,現に有効に存続しているものである。
3 請求人について
(1)請求人は,2010年(平成22年)9月13日に設立した上場企業である。請求人は,クロスボーダーショッピングサイトの設立を通じて,同時にサードパーティのプラットフォームによって,高品質な中国製品を直接海外の顧客向けに販売している。
(2)日本における事業
請求人は,10年以上のハードウェア開発の経験を有し,先端技術を採用し信頼性の高い家電製品とスマートフォン周辺機器を開発・生産しており,LEDライトなどの照明機器をAmazon.co.jpなどを通じて,日本で販売している。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)請求人の使用に係る商標とその著名性について
ア 請求人は,「AUKEY」の文字よりなる引用商標を,請求人の略称又はその一部を表示するマークやハウスマークとして,また,その業務に係る商品・役務を示す商標として,継続的に使用してきた。
イ 我が国においても,現に販売されているLED卓上デスクライト等の照明機器等の製品,製品を紹介するカタログ,ウェブサイト上に引用商標を付して販売している。
ウ 引用商標は,請求人を示すシンボルである「AUKEY」の文字及びロゴと共に頻繁に使用され,その知名度を高めてきた。
エ 引用商標は,日本においても,遅くとも2015年(平成27年)より前から,業界・年齢を問わず幅広い消費者層に向け,請求人及びその業務に係る商品・役務について使用されてきた。かかる実情に鑑みれば,引用商標が,請求人の業務に係る商品・役務を表示するものとして,本件商標の登録出願日前から我が国の取引者・需要者間において周知・著名であったというべきである。
(2)本件商標と引用商標との同一・類似性
本件商標は,「AUKEY」の文字からなる。
他方,引用商標は,「AUKEY」の文字を中心とした構成である。
したがって,本件商標は,請求人の著名商標の要部と同一の商標であるから,これをその指定商品に使用すると,本件商標に接する取引者・需要者が本件商標と引用商標を相紛らわしく認識するおそれが極めて高いというべきである。
よって,本件商標は引用商標とは類似する商標である。
(3)請求人の業務に係る商品・役務との混同を生ずるおそれ
ア 前記のとおり,引用商標は,請求人の業務に係る商品・役務,特に,LED卓上デスクライト等の照明機器等を示すものとして,取引者・需要者間に広く知られている。
イ 引用商標は,請求人が提供する商品・役務との関係において,特段記述的ではないから,その独自性・独創性は極めて高いというべきである。
ウ 周知・著名な引用商標の要部と同一である本件商標を使用するときは,あたかも請求人が提供する商品・役務のごとく誤認されるおそれがある。
エ 引用商標は,請求人の略称又はその中心となる部分を表示するいわゆるハウスマークであり,照明機器等の業界のみならず,他の商品・役務の分野においても広く使用されてきた結果,請求人を指標するものとして,強い出所表示力を発揮するものとなっており,本件商標の指定商品の分野の取引者・需要者にも十分に知られている。
したがって,その混同を生じる範囲は広いものとして考慮されるべきである。
オ 請求人の業務に係る商品等と本件商標の指定商品は関連性の深い商品であるから,両者の取引者・需要者は共通する。
カ 周知・著名な引用商標は,請求人の提供する商品・役務に係る絶大な信用が化体した重要な財産であり,請求人は,日本をはじめ世界各国(米国,ロシア,オーストラリア,チリ,フィリピン,サウジアラビア,シンガポール,イランなど)で様々な指定商品・役務について「AUKEY」の文字を構成に含む登録商標を多数保有している。
したがって,本件商標の登録が維持されると,引用商標の希釈化か生じ得るおそれがあることも否定できない。このような事態が生じた場合,請求人が永年にわたり多大な努力を費やして培ってきたブランドイメージは著しく損傷し,請求人が多大な損害を被ることは明白である。かかる見地からも本件商標の登録は維持されるべきではない。
キ 以上のとおり,本件商標の登録査定時はもとより出願時において,本件商標がその指定商品について使用された場合には,それがあたかも請求人又はこれと経済的又は組織的・人的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認され,その出所について混同を生じるおそれがあったことは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,答弁していない。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
請求人提出の証拠及び同人の主張並びに職権調査によれば,次の事実を認めることができる。
ア アウトドアに関する情報を紹介する「AGECアウトドア」のウェブサイトに,2017年(平成29年)3月3日付けで,「レビュー」に,「AUKEY LEDライト LT-SET7レビュー」の項目で「AUKEY」の欧文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が付された商品「LED懐中電灯」に関する記事が掲載されているものの(甲1),当該記事中に掲載されている商品における商標の使用者を確認できる記載はない。
イ 個人の運営に係るスマホ・タブレット・家電・PC機器などのレビュー記事を掲載した「PLUSLOG」のウェブサイトに,2017年(平成29年)6月21日付けで,「PR」に,「【レビュー】勉強や作業に最適な『AUKEY LED デスクライト LT-T10』は多機能で目に優しいデスクライト」の項目で,使用商標が付された商品「LEDデスクライト」に関する投稿記事が掲載された(甲4,職権調査)。
なお,当該記事中に掲載されている商品における商標の使用者を確認できる記載はない。
ウ 「株式会社 PR TIMES」が運営するプレスリリース配信サービス「PR TIMES」のウェブサイトに,2017年(平成29年)8月8日付けで,「AUKEY LEDライト LT-ST21が発売!様々なシーンで活躍!6色調整でき,ミニタッチコントロールLEDランプで幻想的な雰囲気を造ろう!」の項目で,請求人に係る商品と推認できる使用商標が付された商品「LEDライト」に関するプレスリリース記事が掲載された(甲2,職権調査)。
エ 株式会社Choiseeの運営に係るインターネット,スマホ,パソコンなどの情報を紹介する「DigitalNews365」のウェブサイトにおける「ガジェットレビュー」に,2017年(平成29年)12月11日付けで,「【AUKEY】LEDデスクライトのレビュー!目に優しい光でおすすめできる卓上ライトに」の項目で,請求人に係る商品と推認できる使用商標が付された商品「デスクライト」に関する記事が掲載された(甲5,職権調査)。
オ 2017年(平成29年)12月23日付けで,個人の運営に係る小物・アプリ・グルメ・スポーツ・レジャーなどの情報を紹介する「非アクティビズム。」のウェブサイトにおける「商品レビュー」に,「AUKEY 木製 LED卓上デスクライト LT-ST24 レビュー 家具と同調可能なぬくもりのあるデザイン」の項目で,請求人に係る商品と推認できる使用商標が付された商品「LEDデスクライト」に関する投稿記事が掲載された(甲3,職権調査)。
カ 以上よりすると,請求人は,我が国において,「AUKEY」の文字よりなる商標(使用商標)を商品「LEDライト,LEDデスクライト」等に使用している事実は認め得るとしても,使用商標が使用された商品の情報は,ウェブサイト上の記事が5件示されているにとどまり,その掲載された時期はいずれも本件商標の登録査定時以後のものであって,本件商標の登録出願日前において,引用商標及び使用商標を使用していた事実については明らかではない。
そして,引用商標及び使用商標に係る商品についての我が国における販売の状況,販売開始時期,販売数量,売上高,宣伝広告の状況等について,具体的な事実を示す証拠は何ら提出されていない。
してみると,請求人の提出に係る証拠によっては,引用商標及び使用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,請求人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものということはできない。
(2)請求人の業務に係る商品との混同を生ずるおそれ
上記(1)認定のとおり,引用商標及び使用商標は,申立人の業務に係る商品「LEDライト,LEDデスクライト」等を表示するものとして,本件商標の登録出願日前より,我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。
してみると,引用商標及び使用商標は,独創性及び本件商標との類似性があり,本件商標の指定商品中の一部の商品が使用商標の使用商品との関連性を有し,需要者が一致することがあるとしても,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品について使用した場合に,我が国の需要者をして引用商標及び使用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(請求人)又はその者と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(3)したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではなく,その登録は,同条第1項の規定に違反して登録されたものでないから,同法第46条第1項の規定により,その登録を無効とすることはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 引用商標




審理終結日 2019-08-21 
結審通知日 2019-08-23 
審決日 2019-09-03 
出願番号 商願2016-82103(T2016-82103) 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (W11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 有水 玲子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 大森 友子
薩摩 純一
登録日 2017-03-10 
登録番号 商標登録第5931163号(T5931163) 
商標の称呼 オーキー 
代理人 許 麗穎 

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