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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 |
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管理番号 | 1364225 |
異議申立番号 | 異議2019-900334 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-11-18 |
確定日 | 2020-07-10 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6174210号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6174210号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6174210号商標(以下「本件商標」という。)は、「Imperial Road」の欧文字を表してなり、平成30年8月3日に登録出願、第25類「靴下,タイツ,アイマスク,エプロン,えり巻き,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,洋服,コート,レギンス,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,げた,草履類」を指定商品として、令和元年7月23日に登録査定され、同年8月23日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する国際登録第836171号商標(以下「引用商標」という。)は、「IMPERIAL」の欧文字を表してなり、2010年(平成22年)1月15日に国際商標登録出願(事後指定)、第25類「Clothing for men, women and children, namely dresses, skirts, trousers, shirts, jackets, sweaters and pullovers, blousons, coats, overcoats, raincoats, furs (clothing, other than "headwear"), sashes for wear, scarves, shawls; neckties, gloves, stockings (other than "sport, stockings"), socks; swimming costumes and trunks, beach robes; peignoirs; pyjamas and dressing gowns, underwear, brassieres, undervests, briefs and pants.」を指定商品として、平成24年12月28日に国際登録第836171A号として設定登録され、その後、同25年4月17日に国際登録の併合に伴い国際登録第836171号に変更されたものであり、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、欧文字で「Imperial Road」と書してなり、「Imperial」は「帝国の」、「Road」は「道、道路、通り」といった意味合いを有する英単語である(甲3)。 このうち、「Road」は誰もが知っている平易な英単語であり、店舗所在地等を示す表示としても使用されている。17A01、17A02及び17A04の類似群コードを指定商品に含むものだけでも実に133件の登録商標が存在している事実から(甲4)、かかる商品が取り扱われるファッション業界において、「Road(道、道路、通り)」という言葉が、商標の一部を構成する言葉として好んで採択されている事実をうかがい知ることができる。 一方で、「Imperial(帝国の)」という言葉は、君主性・支配・統治といった堅苦しい観念を想起させ、文化やスタイルを表象するファッションとは馴染まないことは一見して明らかであり、それゆえに商標中において際立つ要素になるといえる。 (2)引用商標について 引用商標は、欧文字で「IMPERIAL」と書してなり、「IMPERIAL」は「帝国の」程度の意味合いの英単語であって、「インペリアル」と読むから、引用商標よりは「インペリアル」の称呼と「帝国の」程度の観念が生じる。 (3)結合商標の類否判断について ファッション関連の商品との関係で正反対の印象を与える「Imperial」と「Road」の二つの英単語が意味的には結び付き難いと考えられること、さらには「Imperial Road」の称呼が一連で称呼するにはいささか冗長であることに加えて、以下に詳述する引用商標の周知性も相まって、取引者、需要者は本件商標をごく自然に「Imperial」部分と「Road」部分に分離してそれぞれを記憶、印象することになる。 それゆえに、本件商標は「商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているもの」でないことは明らかであって、そうとすれば、本件商標はその構成文字に応じて「インペリアルロード」の称呼を生ずる他にも、「Imperial」の文字に相応して「インペリアル」の称呼と「帝国の」の観念が、「Road」の文字に応じて「ロード」の称呼と「道、道路、通り」程度の観念がそれぞれ生じる。 (4)取引の実情について 引用商標は、主として女性用を中心に幅広い「被服」について使用されており、とりわけファストファッション市場において周知となっている。申立人は、1978年にイタリアにおいて設立された被服メーカーであり、世界中で各種衣類を生産、流通させている。申立人の商品が販売されている国と地域は、日本を始めフランス、スペイン、ポルトガル、カナダ、ドイツ、オランダ、デンマーク、香港等多岐に渡る。反面、申立人の商品は、イタリアのスタイルと、イタリアで認められている品質を堅持しており、この高品質と高いファッション性で市場の支持を得ているものである。その結果、申立人グループ全体の売上高は、2010年に6,700万ユーロであったものが、2016年には21,000万ユーロへと実に3倍にも成長した(甲7)。 申立人の商品は、我が国においても人気を博しており、例えばインターネット上でも高い評価を得ており(甲8ないし甲11)、申立人の商品を扱うサイトは多数存在する(例えば甲12ないし甲18)。 申立人の商品を取り扱う者は96社にも及び、その所在地も東京から大阪、茨城、神戸、鳥取、広島、名古屋、札幌、浜松、埼玉、金沢、福岡など日本各地に渡っている。 このように、申立人の商品は日本各地で販売されている(甲19及び甲20)。 また、具体的な売上高としては、2012年の約60万ユーロ(約6千万円)、2013年の56万ユーロ(約7千万円)、2014年の40万ユーロ(約5,600万円)、2015年の35万ユーロ(約4,700万円)、2016年の34万ユーロ(約4千万円)、2017年の30万ユーロ(約3,800万円)に及んでいる。なお、申立人の商品は「低価格」が売りのファストファッションの分野のものであることを考慮すれば、上記売上額は決して小さいものとはいえない。 そして、申立人の商品には引用商標が必ず使用されているのであるから(甲8ないし甲17)、引用商標は、ファッション関連商品との関係で周知な商標となっているといえ、こうした周知・著名な商標については、商品の出所の混同のおそれがますます増幅される。 (5)類否判断 本件商標は、「Imperial」の文字に相応して「インペリアル」の称呼と「帝国の」の観念が、「Road」の文字に応じて「ロード」の称呼と「道、道路、通り」程度の観念がそれぞれ生じる。 他方、引用商標は、その構成中の「IMPERIAL」の文字に応じて「インペリアル」の称呼と「帝国の」程度の観念がそれぞれ生じる。 そうとすると、本件商標と引用商標は、「インペリアル」の称呼を共通にし、共に「帝国」に関連する観念を生じるものである。また、外観においても、両商標において共通する「Imperial」の要素によって、相当に近似した印象を与えている。 そして、本件商標と引用商標の指定商品は同一又は類似している。 加えて、引用商標については、我が国でもファッション関連商品について幅広く使用されており、少なくとも本件商標の出願・登録時には周知・著名となっていた事実がある。 以上を総合して勘案すれば、本件商標と引用商標が同一又は類似の商品に使用された場合には、その商品の出所について混同が生じるおそれがあるというべきであって、本件商標は、引用商標と類似する。 (6)以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 第4条第1項第15号について (1)引用商標の周知・著名性 申立人は、引用商標を各種ファッション関連商品について永年に渡り使用している。そして、申立人の商品は、そのファッション性の高さと品質の高さが評価され、我が国を含む全世界で好評を博している。 我が国においても、インターネット通販サイトでファストファッションの定番ブランドとして多数の商品が扱われており(甲8ないし甲17)、現に申立人がその商品を出荷している取引先は日本各地の100社弱にも及んでいる。売上額という観点からしても、低価格が売りのファストファッション業界において一定程度の売上規模を誇っている。 このように引用商標は、我が国において周知・著名性を有している。 (2)「IMPERIAL」の造語性、独創性 引用商標は、英単語「IMPERIAL」よりなるので造語ほどの独創性はないが、使用に係る商品(被服等)との関係においてはその品質等を示す内容表示的語に該当しないことは明らかである。すなわち、申立人がファッション関連の商標として「IMPERIAL」の語を選択する動機付けや必然性は全くなく、その着眼点において独創的な発想が現れているから、そこに一定程度の独創性が認められてしかるべきである。 (3)本件商標と引用商標の類似性 本件商標と引用商標は「インペリアル」の称呼を共通にし、共に「帝国」に関連する観念を生じるものである。また、外観においても相当に近似した印象を与えている。 したがって、両商標の類似性は高い。 (4)商品の関連性 申立人が引用商標を使用する商品はファッション関連商品であって、これは本件商標の指定商品中、第25類の全指定商品と商品分野において完全に一致する。 (5)混同のおそれ 引用商標の著名性、申立人が引用商標を使用し周知・著名となっている商品と本件商標の指定商品がかなりの範囲において重複すること、そしてその取引者、需要者も一致すること等、その商品の提供者や取引者・需要者層の個別・具体的な関連性や共通性の実情等を総合的に考察すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合には、それがあたかも申立人の著名ブランドである「IMPERIAL」に係る申立人の提供する商品であるかのように誤認され、そうでなくとも、何らかの密接な営業上の関連性を想起させ、あたかも申立人のグループ会社か、あるいは許諾を受けた者に係る商品であるかのように誤認させ、商品又は営業上の出所混同を生じるおそれが極めて高いといわねばならない。 (6)以上のとおり、本件商標がその指定商品について使用された場合は、申立人の著名商標に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが高いものであり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 (1)引用商標の周知・著名性について ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (ア)引用商標が使用されたファッション関連の商品(以下「申立人商品」という。)がインターネット上のいくつかのウェブサイトにおいて紹介又は取り扱われている(甲8ないし甲18)。 (イ)申立人商品は、日本各地の96社によって取り扱われている(甲19、甲20及び申立人の主張)。 (ウ)申立人商品の売上高は、2012年(平成24年)が約6千万円、2013年(平成25年)が約7千万円、2014年(平成26年)が約5千600万円、2015年(平成27年)が約4千700万円、2016年(平成28年)が約4千万円、2017年(平成29年)が約3千800万円である(申立人の主張)。 (エ)申立人商品は、低価格が売りのファストファッションの分野のものである(申立人の主張)。 イ 前記アによれば、引用商標は、ファッション関連の商品に使用されており、また、引用商標が使用された申立人商品は、インターネット上のいくつかのウェブサイトや日本各地の96社によって紹介又は取り扱われるとともに、平成24年から同29年まで一定程度の売上げがあることがうかがえる。 しかしながら、申立人商品が紹介又は取り扱われているウェブサイトは、さほど多いとはいえず、申立人商品を取り扱う者もさほど多いとはいえず、また、申立人商品の売上げについても、その主張を裏付ける証拠の提出はなく、たとえ低価格が売りのファストファッションの分野のものであるとしても、さほど高いとはいえない。 さらに、申立人商品の宣伝広告の方法及び規模等は不明である。 そうすると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることはできず、その周知・著名性は何ら認められない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、前記第1のとおり、「Imperial Road」の欧文字を表してなるものであり、その構成文字は、同書、同大でまとまりよく一体に表されているものであって、これから生じる「インペリアルロード」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標は、たとえ「Imperial」及び「Road」の2語からなるとしても、かかる構成及び称呼からすれば、その構成全体をもって一体のものとして認識、把握されるものとみるのが相当である。 また、本件商標は、その構成中「Imperial」又は「Road」のいずれかの文字が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべき事情は見いだせず、さらに、当該いずれかの文字が出所識別標識としての称呼、観念が生じないというべき事情も見いだせない。 そうすると、本件商標は、その構成全体が不可分一体のものとして認識、把握されるものといわなければならない。 してみると、本件商標は、その構成全体から「インペリアルロード」の称呼を生じ、「帝国の道」程の観念を生じるものである。 イ 引用商標について 引用商標は、前記第2のとおり、「IMPERIAL」の欧文字を表してなるものであり、「インペリアル」の称呼及び「帝国」の観念を生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標とを比較すると、外観においては、両商標は、「Road」の文字の有無という明らかな差異を有するものであるから、明確に区別できるものである。 また、称呼においては、本件商標から生じる「インペリアルロード」の称呼と引用商標から生じる「インペリアル」の称呼とは、「ロード」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから、明確に区別できるものである。 さらに、観念においては、本件商標からは「帝国の道」程の観念を生じるのに対し、引用商標からは「帝国」の観念を生じるものであるから、明確に区別できるものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても明確に区別できる非類似の商標というべきものである。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、たとえ本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 前記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることはできず、その周知・著名性は何ら認められない。 また、前記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、その類似性の程度は極めて低いといわなければならない。 さらに、引用商標を構成する「IMPERIAL」の文字(語)は既成の語であって、一般に親しまれている語であるから、引用商標の独創性の程度は低いといわなければならない。 そうすると、たとえ、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性があり、その需要者を共通にするとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはないといわなければならない。 してみると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものではなく、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。 他に、本件商標の登録が、商標法第43条の2各号のいずれかに該当するというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2020-06-29 |
出願番号 | 商願2018-99393(T2018-99393) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W25)
T 1 651・ 263- Y (W25) T 1 651・ 261- Y (W25) T 1 651・ 271- Y (W25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤平 良二、大岩 優士 |
特許庁審判長 |
中束 としえ |
特許庁審判官 |
木村 一弘 山田 啓之 |
登録日 | 2019-08-23 |
登録番号 | 商標登録第6174210号(T6174210) |
権利者 | ハンス株式会社 |
商標の称呼 | インペリアルロード、インペリアル、ロード |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 外川 奈美 |
代理人 | 遠山 良樹 |