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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
管理番号 1363306 
異議申立番号 異議2019-900336 
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-19 
確定日 2020-06-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第6182245号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6182245号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6182245号商標(以下「本件商標」という。)は,「SC-Project」の欧文字を標準文字により表してなり,第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品として,平成31年2月4日に登録出願され,令和元年9月2日に登録査定,同月20日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件登録異議の申立ての理由において,引用する商標は,「SC-Project」の欧文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)及び別掲に示すとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」という。)であり,申立人が,主に「二輪自動車用のマフラー,サイレンサー,エキゾーストシステム」に使用しているというものである。
そして,上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは,以下,「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号に基づき登録が取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第110号証を提出した。
1 具体的理由(要点)
(1)商標法第4条第1項第10号
本件商標は,引用商標の所有者の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,その商品又はこれらに類似する商品について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第19号
本件商標は,引用商標の所有者の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするものであるから,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
1 他人の周知商標について
申立人提出の証拠及び申立人の主張によれば,以下のことが認められる。
(1)イタリアの二輪自動車に関する総合サイト「inSellait」で,「SC-Project」を検索すると1,160件の記事がヒットする(甲15?甲30)。これらの記事には,「SC?Project」の文字やロゴが確認できるもの,「SC?Project」のマフラーを搭載したバイクが掲載されたもの,性能評価をしている記事や他社と契約締結した記事などとされるさまざまな記事であり,すべて外国語で作成されているものである。
(2)我が国において,雑誌「RIDER CLUB」では,2017年(平成29年)2月号,同年3月号,2018年(平成30年)3月号,同年4月号,同年11月号,2019年(平成31年)2月号,同年3月号,2020年(令和2年)1月号に「SC\Project」と記載された広告が掲載されたほか,2018年(平成30年)3月号,同年11月号,2019年(平成31年)2月号に「SC?Project」のことが記事として取り上げられた(甲31?甲38)。
また,「DUCATI Magazine」では,2017年(平成29年)2月号,8月号,2018年(平成30年)2月号,同年5月号,同年8月号に「SC\Prooject」と記載された広告が掲載されている(甲39?甲43)。
さらに,内外出版社のフリー雑誌「BIG MACHINE零」2018年(平成30年)6月号(甲44)に,申立人の「SC\Project」の広告が掲載されているが,これらの上記雑誌の読者は,主にオートバイレースやオートバイの改造等に興味を有する者の範囲に限られるものであり,これらの記事は,3年間という短い期間にわずか14回しか掲載されていない。
(3)各自動二輪車メーカからリリースされたインターネット記事で「SC-Project」の製品が搭載されたことが紹介されている(甲45?甲48)が,申立人提出の上記証拠は,すべて外国語で作成されているものである。
(4)自動二輪車の世界最大規模の展示会として,イタリアで開催される「Esposizione Internazionale Ciclo Motorciclo e Accessori(EICMA)」(我が国では,「ミラノ・モーターサイクル・ショー」ともいわれている。:甲50)に,「SC?Project Company」(以下「SC社」という。)は,2015年(平成27年)から2019年(令和元年)まで参加している(甲51?甲55)が,上記ミラノ・モーターサイクル・ショーの規模,申立人(SC社の日本国正規総代理店(株式会社NichiiX)以下同じ。)ブースへの来場者数等,その詳細な内容は不明である。
(5)国内のイベントでも,申立人は参加しており,2017年(平成29年)11月19日,千葉県袖ケ浦「BMW Motorrad Circuit Experience in 袖ケ浦」(甲56),同年9月23日,群馬県伊勢崎オートレース場「DUCATI DAY 2017」(甲57),2018年(平成30年)9月17日,茨城県筑波サーキットコース「DUCATI DAY 2018」(甲58),同年5月23日,茨城県筑波サーキットコース「グッドカフェ サーキットエクスペリェンス2018」(甲59),同年8月19日,神奈川県アーネスト岩田ターンバイク箱根「WEB!KECAFE Meeting!2018」(甲60),2017年(平成29年)9月10日,東京都東雲「FESTA ITALIANA ライコランド東雲店」(甲61)の各会場で部品を展示しているブースを設置した写真を提出しているが,上記イベントの規模,申立人ブースへの来場者数等,その詳細な内容は不明である。
(6)競技用自動二輪車の各種パーツメーカは,通常,チームを形成し,ライダーをサポートするとともにライダーが,当該メーカの製品とともに記念撮影又はプロモート撮影した写真(甲62?甲65)を掲載し,また,実際のレース(MOTOGP,WSS,WSBK)車両の写真(甲66)も掲載しているが,その撮影日,撮影者,撮影場所等が不明であり,特に実際のレースで写っている引用商標の表示も小さく不鮮明なものもあり,その使用態様を明確に把握することができない。
(7)我が国でのレース写真として提出された,2018年(平成30年)及び2019年(令和元年)FIM MOTOGP第16戦,MOTUL日本グランプリの写真(甲67,甲68)についても,引用商標の表示が小さく不鮮明であり,その使用態様を明確に把握することができない。
(8)申立人は,SC社の商品需要者は,取引者のほか,エンドユーザ(消費者:自己の車両をカスタム化するために,個人ユースで購入する者)も含まれるとし,消費者に広く認識されているかどうかは,SNSでの記載件数と相関するからSNSで言及されている記事を証拠として挙げる。
そして,一般的なブログ,ホームページに掲載された記事(甲69?甲85)を提出しているが,上記記事は,バイクやバイクのパーツに関する記事又はバイクレースに関する記事であり,申立人の商品に関するものは少ない。
また,FACEBOOK(甲86?甲99)は,バイクの写真が掲載されその一部に引用商標が表示されているが,表示が小さく不鮮明であり,その使用態様を明確に把握することができない。TWITTER(甲100)及びINSTAGRAM(甲101)は,バイクの写真が掲載されそのバイクの写真の一部に引用商標が表示されているが,表示が小さく不鮮明であり,その使用態様を明確に把握するがことができない。
そして,上記のTWITTER及びINSTAGRAMのSNSの記事を見ても,これらの記事は,掲載している写真や文字が重なって見にくく,外国語で記載されたものが多く,申立人は,申立書にこれらの記事の説明を短く記載しているが,必ずしも当該記事の内容を説明している訳でもないため,申立人はこれらの記事から何を主張したいのか不明である。また,これらの記事には,本件商標の出願後の記事も多く含まれている。
さらに,これらのSNSの記事へのアクセス数等は不明であり,INSTAGRAMの記事の「フォロワー,いいね!」の数もさほど多いとはいえない。
(9)以上の(1)ないし(8)を踏まえれば,引用商標が,レース用自動二輪車のマフラー,サイレンサー等に使用されていることが認められるものの(甲33,甲35他),申立人提出の証拠からは,引用商標についての我が国での使用開始時期や引用商標が使用された商品についての売上高,市場シェアなどの販売実績並びに引用商標に係る広告宣伝の費用,方法,回数及び期間など,その事実を量的に把握することができる証拠は見いだせない。
また,申立人提出の証拠は,主に自動二輪車の愛好家向け雑誌,レース用自動二輪車や自動二輪車のレースの写真,自動二輪車のレースやカスタムバイクに関するウェブサイト記事等であることからすると,引用商標は,自動二輪車のレースやオートバイの改造等に興味を有する者の間ではある程度知られているとしても,一般の需要者の間にまで広く知られているとまでは認めることができない。
したがって,申立人の提出に係る証拠によっては,引用商標が,我が国及び外国において,本件商標の登録出願時及び査定時において,他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 本件商標と引用商標との比較
(1)商標の類似について
本件商標と引用商標1は,上記第1及び第2のとおり,共に「SC-Project」の文字からなるものであるから,両商標は類似の商標である。
また,本件商標と引用商標2は,上記第1及び別掲のとおりの構成からなるところ,引用商標2は,その構成中,顕著に表された「SC」及び「Project」の文字部分も自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められる。
してみると,本件商標と引用商標2は,「SC」及び「Project」の文字つづりを同じくするものであるから,両商標は類似の商標である。
したがって,本件商標と,引用商標とは類似する商標である。
(2)商品の類似について
本件商標の指定商品中には,引用商標を使用した商品「二輪自動車用のマフラー,サイレンサー」等の商品(以下「使用商品」という。)を含むものであるから,本件商標の指定商品と使用商品とは同一又は類似するものである。
(3)小括
したがって,本願商標と引用商標とは,類似の商標であり,その指定商品と使用商品も同一又は類似するものである。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
上記2のとおり,本件商標と引用商標とが類似の商標であり,本件商標の指定商品と使用商品が同一又は類似するとしても,上記1のとおり,引用商標は,我が国において本件商標の登録出願時及び登録査定時において,他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用商標1とは,上記2のとおり,類似の商標であるとしても,上記1のとおり,引用商標は,他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。
また,本件商標権者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的を持って本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。
そうすると,本件商標は,申立人商標の出所表示機能を希釈化し又は名声を毀損させるなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく,その登録は,同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえず,ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲
別掲
引用商標2(色彩については,甲第29号証参照。)


異議決定日 2020-06-03 
出願番号 商願2019-20789(T2019-20789) 
審決分類 T 1 651・ 252- Y (W12)
T 1 651・ 251- Y (W12)
T 1 651・ 253- Y (W12)
T 1 651・ 222- Y (W12)
T 1 651・ 255- Y (W12)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 榎本 政実
小松 里美
登録日 2019-09-20 
登録番号 商標登録第6182245号(T6182245) 
権利者 株式会社ユーロダイレクト
商標の称呼 エスシイプロジェクト、プロジェクト 
代理人 東田 潔 

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