• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W29
管理番号 1363249 
審判番号 不服2019-11566 
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-03 
確定日 2020-06-16 
事件の表示 商願2015- 83112拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,団体商標として登録をすべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は,「GORGONZOLA」の文字を標準文字で表してなり,第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成27年8月28日に団体商標として登録出願され,指定商品については,原審における同28年8月16日付け及び同29年10月12日付けの手続補正書により,最終的に,第29類「イタリア共和国のベルガモ県、ビエッラ県、ブレシア県、コモ県、クレモナ県、クーネオ県、レッコ県、ローディ県、ミラノ県、モンツァ県、ノヴァーラ県、パヴィーア県、ヴァレーゼ県、ヴェルバーノ・クジオ・オッソラ県、ヴェルチェッリ県の全県及びアレッサンドリア県のカザーレ・モンフェラート、ヴィッラノーヴァ・モンフェッラート、バルツォラ、モラーノ・ポー、コニオーロ、ポンテストゥーラ、セッラルンガ・ディ・クレーア、チェレゼート、トレヴィッレ、オッツァーノ・モンフェッラート、サン・ジョルジョ・モンフェッラート、サーラ・モンフェッラート、チェッラ・モンテ、ロジニャーノ・モンフェッラート、テッルッジャ、オッティーリオ、フラッシネッロ・モンフェッラート、オリーヴォラ、ヴィニャーレ、カマーニャ、コンツァーノ、オッチミアーノ、ミラベッロ・モンフェッラート、ジャローレ、ヴァレンツァ、ポマーロ・モンフェッラート、ボッツォレ、ヴァルマッカ、ティチネート、ボルゴ・サン・マルティーノ、フラッシネート・ポーにおいて生産されるチーズ」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「『GORGONZOLA』の文字は,『イタリア産のブルーチーズ。ロンバルディア州ゴルゴンゾーラ村の原産』を意味するものであるから,これを本願指定商品に使用してもこれに接する需要者・取引者は『イタリア国ロンバルディア州ゴルゴンゾーラ村原産のブルーチーズ,イタリア国ロンバルディア州ゴルゴンゾーラ村原産のブルーチーズ製品』程の意味合いを認識するにとどまり,単にその商品の産地,品質を普通に用いられる方法で表示するものと認められ,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであるとはいえないから,同条第2項の要件を具備するものとも認めることはできない。」旨を認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は,「GORGONZOLA」の文字からなるところ,当該文字は,「ゴルゴンゾラ(チーズ)。強い香りのする半硬質のイタリア産ブルーチーズ。」(「ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館発行)の意味を有する語であり,特定の地名や地域を表したものと認識するものとはいい難い。
また,「GORGONZOLA」について,請求人提出の資料,同人の主張及び職権調査によれば,次の事実が認められる。
(1)請求人は,1970年に設立された,ゴルゴンゾーラチーズの全生産者が加盟し,ゴルゴンゾーラチーズの生産と販売及びその原産地呼称の表示を保護・管理する活動等を行っている団体である(資料12,資料22)。
(2)GORGONZOLAは,欧州において,1951年にストレーザ協定で原産地称呼として保護され,1955年にイタリア大統領令で原産地称呼(DOP)として保護承認を受け,1996年に欧州連合におけるPDO(原産地称呼保護)として認定された(資料1,資料3の2,資料4,資料7の2)。
また,「GORGONZOLA(ゴルゴンゾーラ)」の名称は,イタリアの定められた原産地である「ピエモンテ州及びロンバルディア州」で生産され,厳格な生産方法,熟成方法と合格マークの押印を要求する厳しい規則に従って生産され,かつ,請求人の鑑定に合格したものだけに付すことができる表示である。
(3)欧州連合(EU)は,数世紀にわたり受け継がれているノウハウに従って,職人が作り続けてきた高品質の製品を保護し,継承して行くために,その製品の品質と名称を保護・認証する「地理的表示(GI)」制度を設けているが,我が国でも,同制度の紹介や,「GORGONZOLA」が同制度の認定を受けた代表的な製品であることについて,広報活動が行われている(資料12,資料15,資料22,資料41,資料42)。
(4)我が国の書籍には,「GORGONZOLA(ゴルゴンゾーラ)」について,別掲1のとおり,イタリアで生産された一定の品質が備わっているチーズとして掲載されている。
(5)我が国におけるチーズを取り扱う業界において,「GORGONZOLA(ゴルゴンゾーラ)」が,イタリア産の特定の品質のチーズを表示するものとして,別掲2のとおり使用されている。
以上の事実によれば,我が国において,「GORGONZOLA」の文字は,イタリアで定められた産地で生産され,かつ,請求人による鑑定に合格したチーズの銘柄として用いられ,認識されていると判断するのが相当である。
また,当審において職権をもって調査するも,「GORGONZOLA」の文字が具体的な商品の産地,品質を表すものとして,取引上普通に使用されているという事実を見いだすことはできず,さらに,本願商標に接する取引者,需要者が,当該文字を商品の産地,品質を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
してみれば,本願商標は,これをその補正後の指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者が,本願商標を商品の産地や品質を表示したものと認識するものとはいえず,自他商品の識別標識としての機能を果たすものとみるのが相当である。
したがって,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する


別掲
別掲1 GORGONZOLA(ゴルゴンゾーラ)に関する書籍の記載(下線は合議体による。)
(1)「日本食品大辞典」(医歯薬出版株式会社)の521頁には,「ブルーチーズ」の見出しの下,「羊乳からつくるフランスのロックホール,牛乳からつくるイタリアのゴルゴンゾーラ,英国のスティルトンが有名で,世界の三大ブルーチーズといわれている.」との記載がある。
(2)「チーズの教本2016」(NPO法人チーズプロフェッショナル協会)の97頁には,「Gorgonzola(ゴルゴンゾーラ)」の見出しの下,「秋にアルプスから牛を追い下げてくるときの中継点のゴルゴンゾーラ村で生まれた,近年日本で最も人気があるブルーチーズの1つです。長旅で疲れた牛のミルクから造られる軟らかいチーズが有名になり,ストラッコ(疲れた)という言葉からストラッキーノあるいはストラッキーノ・ディ・ゴルゴンゾーラなどと呼ばれていたそうです。20世紀の終わりごろに,原産地の特徴的なテロワールを持ったチーズを差別化するためにゴルゴンゾーラという名前になりました。」,「このチーズには,マイルドで軟らかい『ドルチェ』と,強い刺激風味を持ち硬めで組織がもろい『ピッカンテ』の2タイプがあります。」との記載がある。
(3)「新版チーズの選び方・楽しみ方 チーズのカリスマの厳選チーズ116」(株式会社主婦の友社)には,「ゴルゴンゾーラ Gorgonzola」の見出しの下,「日本で最も愛されているブルーチーズといえば,このゴルゴンゾーラでしょう。青カビの量が少なく,塩味が控えめ。やわらかくねっとりとしたクリーミーな食感が受け,ブルーチーズが苦手な人でも好きになってしまいそうです。ブルーチーズといえばシャープなものばかりと思いがちですが,ゴルゴンゾーラのほのかな甘さとマイルドな味に,こんなブルーチーズもあったのかと,きっと驚くはずです。」との記載がある。
(4)「旬をおいしく楽しむチーズの事典」(株式会社ナツメ社)の92頁には,「ゴルゴンゾーラ 日本で人気ナンバーワンの青カビチーズ。ねっとりしたクリーミィさが魅力的」の見出しの下,「日本で最も人気者の,イタリア出身の青カビチーズ」「かつて夏の放牧を終えて秋,山から下りてくる牛たちが休息をとったのが,ミラノから北東18kmに位置するゴルゴンゾーラ村。このとき作られたチーズがゴルゴンゾーラの原形ですが,今では世界三大チーズの一つ。昨今では甘口に続き,辛口が注目を集めています。」との記載がある。
(5)「世界のチーズ図鑑」(株式会社マイナビ)の102頁には,「Gorgonzola Piccante ゴルゴンゾーラ ピカンテ」の見出しの下,「世界3大ブルーチーズのひとつで,1000年以上の歴史をもつ。辛口の『ピカンテ』と甘口の『ドルチェ』の2種類があり,日本でゴルゴンゾーラといえば,ドルチェを指すことが多い。しかし,伝統的なのは青カビが多くて風味の強い,このピカンテのほう。」との記載が,また「Gorgonzola Dolce ゴルゴンゾーラ ドルチェ」の見出しの下,「青カビチーズのイメージを覆す,甘くマイルドな味わい,とろりとしたなめらかな口あたり。日本でもおなじみのチーズだ。」との記載がある。また,103頁には,「Gorgonzola Mascarpone ゴルゴンゾーラ マスカルポーネ」の見出しの下,「イタリアを代表する,ゴルゴンゾーラとマスカルポーネ,その両方の味わいを楽しめるチーズ。」との記載がある。
(6)「チーズで巡るイタリアの旅」(駿台曜曜社)の54頁には,「世界三大ブルーのうち,もっともソフトな味わいの秘密は? ゴルゴンゾーラ Gorgonzola」の見出しの下,「日本でいち早く名前を覚えられたイタリアチーズのひとつにブルーチーズの代表格ゴルゴンゾーラがあります。」「世界三大ブルーチーズのひとつ。青カビが少なく,塩味も淡く,マイルドでクリーミーな口当たりなので,青かびチーズ初心者にもおすすめ。」との記載がある。
(7)「知っておいしいチーズ事典」(株式会社実業之日本社)の9頁には,「ナチュラルチーズの分類」の見出しの下,「ブルーチーズ」の「代表的なチーズ」として「スティルトン,ゴルゴンゾーラ,ロックフォールなど」との記載がある。また,84?85頁には,「ゴルゴンゾーラ GORGONZOLA」の見出しの下,「世界三大ブルーチーズのひとつであるゴルゴンゾーラは北イタリアが主な生産地。」との記載がある。
(8)「ナチュラルチーズ事典」(株式会社日東書院本社)の19頁には,「大理石のような模様が特長の『青カビタイプ』」との見出しの下,「数多くあるブルーチーズの中でも,フランスのロックフォール,イタリアのゴルゴンゾーラ,イギリスのスチルトンが,世界三大ブルーチーズとして有名です。」との記載がある。また,36頁には,「世界三大チーズのゴルゴンゾーラ」の見出しの下,「世界三大チーズのひとつ『ゴルゴンゾーラ』は,ミラノから少し離れたゴルゴンゾーラという町に由来しています。」との記載が,37頁には,「【D.O.P.認定の値チーズ】」の見出しの下,「青カビ」タイプのチーズ名として「ゴルゴンゾーラ」の記載がある。

別掲2 チーズを取り扱う業界におけるGORGONZOLA(ゴルゴンゾーラ)の使用例(下線は合議体による。)
(1)イタリア食材厳選のお店ピアッティのウェブサイトにおいて,「Gorgonzola Piccante ゴルゴンゾーラ ピカンテ」の項に,「Gorgonzola:ゴルゴンゾーラ」の見出しの下,「ゴルゴンゾーラはイタリアのブルー(青カビ)チーズとして古来より有名です。名前の由来となるGorgonzola:ゴルゴンゾーラはお隣のLombardia:ロンバルディア州のGorgonzola:ゴルゴンゾーラ村に由来します。その昔,牛をアルプスの山々へ放牧していた牛飼い達が山を降りる際に疲れを癒やすために立ち寄った村の一つがゴルゴンゾーラだったそうです。」との記載がある。
(https://www.piatti.jp/SHOP/F-GP-100.html)
(2)ナチュラルチーズ専門店 Fermierのウェブサイトにおいて,「クレマ ディ ゴルゴンゾーラ Crema di Gorgonzola」の見出しの下,「世界の三大ブルーチーズのひとつとして広く知られる『ゴルゴンゾーラ』。“ドルチェ”と“ピカンテ”の2つのタイプがありますが,こちらは全生産量の9割を占めるドルチェタイプ。クリーミーな口溶けと優しい味わいを持ち,控えめな青かびが広がるやわらかな生地は,ミルク本来の旨みを味わえます。」との記載がある。
(https://fermiershop.com/shopdetail/000000000398/)
(3)Amazonのウェブサイトにおいて,「ムラカワ バラリーニ ゴルゴンゾラポーション 95g[冷蔵]」の項に,「商品紹介」として,「ゴルゴンゾーラは,ブルーチーズ(青カビタイプ)の一種で,イタリアの代表的なチーズの一つです。世界三大ブルーチーズとしてフランスのロックフォール,イギリスのスティルトンと並んで広く知られています。このゴルゴンゾーラは口当たりまろやかなドルチェタイプ。ほど良い青かび風味とクリーミィな味はそのまま食べるのはもちろん,お料理にもご使用いただけます。」との記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/B01LYBED69/ref=asc_df_B01LYBED691583771400000?tag=kakaku-subtag-22&ascsubtag=22D8797530201B113229597046610500003000_B01LYBED69_cd8e812acc474cc2a85f298bf79d3f3db&creative=9567&creativeASIN=B01LYBED69&linkCode=df0&me=AMB14V5MYAXIV)
(4)I LOVE CHEESE Japanのウェブサイトにおいて,「Gorgonzola(Piccante)200g」の項に,「ゴルゴンゾーラ」の見出しの下,「ゴルゴンゾーラは,イタリアのロンバルディア州とピエモンテ州にまたがる地域で生産されている,イタリアの代表的なチーズのひとつ。フランスのロックフォール,イギリスのスティルトンとともに世界三大ブルーチーズに挙げられている。1996年6月12日以来,統制原産地呼称(DOP)を取得している。・・・・ミラノ近郊のゴルゴンゾーラが名前の由来だが,現在この地域では製造されていない。・・・今日では法律により生産地域が限定されている。このチーズは大きく2種類に分けられ,青カビが多く辛味の強いものはピッカンテ(伊:piccante,「辛い」の意),クリーミーでほんのりとミルクの甘味の残っているものがドルチェ(伊:dolce,「穏やか」「甘い」の意)と呼ばれる。」との記載がある。
(https://ilovecheese.jp/products/gorgonzola-piccante-200g)
(5)チーズ専門店(株式会社 久田)のウェブサイトにおける,「ゴルゴンゾラドルチェ 1カット(約200g)」の紹介ページにおいて,「世界3大ブルーチーズのひとつ。特に伝統的な製法で作られたこのドルチェタイプは,ブルーチーズの中でもねっとりとしていて香りも塩気もやさしく感じる甘口のブルーチーズです。」との記載がある。
(http://www.cheese-oukoku.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=157)

審決日 2020-06-01 
出願番号 商願2015-83112(T2015-83112) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (W29)
最終処分 成立  
前審関与審査官 古橋 貴之佐藤 松江 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 須田 亮一
平澤 芳行
商標の称呼 ゴルゴンゾーラ 
代理人 川本 真由美 
代理人 山尾 憲人 
代理人 市川 久美子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ