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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W25
審判 一部申立て  登録を維持 W25
審判 一部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1362577 
異議申立番号 異議2018-900280 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-25 
確定日 2020-01-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6056369号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6056369号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6056369号商標(以下、「本件商標」という。)は、「HV POLO」の欧文字を標準文字により表してなり、平成27年8月5日に登録出願され、第18類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品並びに第25類「ポロ競技・馬術・乗馬・競馬用の運動用特殊衣服,ポロ競技・馬術・乗馬・競馬用の乗馬靴,ポロ競技・馬術・乗馬・競馬用の帽子」を指定商品として、同30年5月21日に登録審決、同年6月29日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議申立ての理由として引用する登録商標は、以下の6件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標をまとめていうときは、「引用商標」という。)。
1 登録第1434359号商標(以下「引用商標1」という。)は、「POLO」の欧文字を横書きしてなり、昭和47年6月13日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同55年9月29日に設定登録、その後、平成23年11月30日に第25類「被服(ただしポロシヤツ及びその類似品ならびにコートを除く)」並びに第5類、第9類、第10類、第16類、第17類、第20類ないし第22類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
2 登録第1447449号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、昭和47年4月22日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同55年12月25日に設定登録、その後、平成13年2月14日に第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」並びに第5類、第9類、第10類、第16類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
3 登録第2721189号商標(以下「引用商標3」という。)は、「POLO」の欧文字を横書きしてなり、昭和56年4月6日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年5月2日に設定登録、その後、同20年8月6日に第25類「被服」並びに第5類、第9類、第10類、第16類、第17類、第20類ないし第22類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
4 登録第4015884号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、昭和58年5月11日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成9年6月20日に設定登録、その後、同20年8月6日に第25類「被服」並びに第5類、第9類、第10類、第16類、第17類、第20類ないし第22類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
5 登録第4041586号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲3に示すとおりの構成からなり、昭和58年5月11日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成9年8月15日に設定登録、その後、同20年8月6日に第25類「被服」並びに第5類、第9類、第10類、第16類、第17類、第20類ないし第22類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
6 登録第4012493号商標(以下「引用商標6」という。)は、「POLO」の欧文字と「BRITISH COUNTRY SPIRIT」の欧文字を二段に横書きしてなり、昭和63年11月9日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成9年6月13日に設定登録、その後、同20年8月6日に第25類「被服」並びに第5類、第9類、第10類、第16類、第17類、第20類ないし第22類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
第3 登録異議の申立ての理由の要旨
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その指定商品中、第25類「全指定商品」の登録は、商標法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、本件は、申立人により、平成30年10月22日付けで上記申立てに係る指定商品中「ポロ競技・馬術・乗馬・競馬用の乗馬靴」について一部取下げがされた結果、本件登録異議申立てに係る商品は、本件商標の指定商品中の第25類「ポロ競技・馬術・乗馬・競馬用の運動用特殊衣服,ポロ競技・馬術・乗馬・競馬用の帽子」(以下「本件申立商品」という。)となった。
1 本件商標について
本件商標は、「HV」と「POLO」を一文字の間隔をおいて表した2語構成の外観であり、「HV」は「エッチブイ」と称呼され、特定の意味を持たないし、商標審査基準においても、ローマ字の1字又は2字からなるものは、きわめて簡単、かつ、ありふれた標章として、識別力がない標章とされているのに対し、「POLO」は「ポロ」と称呼され、「馬上競技、ペルシア起源の騎乗競技」の意味を有する語として英和和英辞典のみならず広辞苑にも記載がある(甲9、10)。
一方、「HV POLO」全体としての語は辞書に記載もなく、既成の観念を示すものではないから、本件商標に接した需要者は、「HV」と「POLO」の文字部分を分離して認識するのが通常であり、本件商標を一体不可分のものとして認識しなければならない理由はない。本件商標は、指定商品(ポロ競技・馬術・乗馬・競馬用の運動用特殊衣服等)との関連で「POLO」の部分が取引者、需要者の注意をひく。
簡易迅速を尊ぶ取引においては、「POLO」の文字部分のみが分離して認識され、自他商品の識別標識として機能することがあるのは経験則上明らかである。
よって、本件商標からは「ポロ」の称呼及び「POLO」(騎乗競技)の観念が生じる。
2 本件商標と引用商標との対比
引用商標1及び3は、「POLO」の文字のみからなるものであり、本件商標の要部と称呼、外観、観念において同一である。
また、引用商標2及び4は、筆記体で書した「Polo」の文字部分が、他の部分とは異なる態様で大きく書されており、「Polo」の文字部分のみが分離して認識されて自他商品の識別標識として機能する。よって、引用商標2及び4からは、「ポロ」の称呼及び「POLO」の観念が生じる。
さらに、引用商標4及び5の構成中の「SPORTS」なる語は被服の用途ないし品質を示す語であって自他商品を識別する標識として機能しない語であることが顕著な事実であることから、その構成中、自他商品の識別機能を果たす要部は、「Polo」、「POLO」の文字部分であり、本件商標の要部と称呼において同一であって外観において書体を変更したものにすぎない。
引用商標6は、上段の欧文字「POLO」と下段の欧文字「BRITISH COUNTRY SPIRIT」よりなるもので、「ポロブリティッシュカントリースピリット」の称呼又はその略称「ポロ」の称呼を生ずる。本件商標の要部と引用商標6は「ポロ」の称呼を共通にする類似のものである。
そして、「POLO」の語が、馬上球技の普通名詞(甲9、10)として我が国でも慣れ親しまれていること、襟付の半袖のカジュアル衣料を示すポロシャツの語が、本来ポロ競技の選手が着用したことにちなむもので、今日、広く一般に普通名詞として用いられていることから、本件商標の要部と引用商標1及び3並びに引用商標2、4ないし6の要部とは、いずれも、取引者及び需要者に、ポロ競技ないしその略称であるポロの観念を生じさせるものである。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼、外観及び観念において類似し、本件申立商品の需要者は、通常は特別の専門知識を有するものではない一般消費者であることも考慮すれば、本件商標と引用商標を、本件指定商品に使用する場合、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれが極めて高い。
また、本件商標と引用商標は、その指定商品も同一又は類似のものである。
3 本件商標と引用商標との指定商品同士の関連性
引用商標の指定商品に含まれる被服、洋服、帽子は、「ポロ競技・馬術・乗馬・競馬用」などの限定が一切ないから、本件申立商品は、引用商標の指定商品に含まれることが明らかである。
したがって、本件申立商品に係る本件商標は、商標法第4条第1項第11号(商標法第43条の2第1号)により取り消されるべきである。
本件商標の指定商品は実際はヤフオクや楽天市場などを通じて日常的に使用するファッション関連商品と同様に一般消費者が購入可能な状態でネット販売されているのであり(甲11?17)、乗馬専門品と関連する専門業者を通じて製造、販売されている例は見当たらない。
そして、本件商標の指定商品は、引用商標の使用に係る商品と、(1)性質、用途又は目的において実質的に差異がなく、(2)製造者や流通経路にも実質的に差異がなく、(3)需要者層も大部分において実質的に重複するものと認められるから、両商品の関連性の程度は高く、需要者層も概ね共通する。
本件商標がその指定商品を「ポロ競技・馬術・乗馬・競馬用」に限定したことをもって、引用商標の禁止権の範囲を離脱して、日常的に使用するファッション関連商品と同様に、「ポロ競技・馬術・乗馬・競馬用」と称する商品(運動用特殊衣服、帽子)の販売が正当化されている現状は、不合理極まりない。商標を保護することにより商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図るという法目的(商標法第1条)に反することは明らかである。
4 むすび
以上述べたとおり、本件商標は、引用商標と類似するものであり、また、本件申立商品も同一又は類似のものである。したがって、当該指定商品に係る本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「HV POLO」の欧文字を標準文字により表してなるところ、「HV」と「POLO」との各欧文字部分の間に1文字分の間隔があるとはいえ、これらを構成する各文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で表されており、全体として、外観上まとまりよく一体に構成されているものである。
また、本件商標より生ずると認められる「エイチブイポロ」の称呼も、格別冗長でなく、よどみなく一気一連に称呼できるものである。
そして、欧文字2字からなるものが、商品の品番・型式等を表示するための記号・符号として類型的に使用されている場合があるとしても、上記のとおり、本件商標が一体的に構成されていること、「POLO」の文字が、「騎乗球技」の意味を有する語(甲9)で、本件申立商品との関係において、自他商品識別標識としての機能がないか極めて弱いものとみるのが相当であることから、本件商標は、構成後半部の「POLO」の文字を分離抽出し、これより生ずる称呼等により取引に資されるとみるよりは、むしろ、その構成文字全体をもって、一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然である。
また、他に、本件において、本件商標構成中の「POLO」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「エイチブイポロ」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものというのが相当である。
(2)引用商標について
ア 引用商標1及び3
引用商標1及び3は、「POLO」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字に相応して「ポロ」の称呼及び「騎乗球技」の観念を生じる。
イ 引用商標2
引用商標2は、別掲1に示すとおりの構成からなるところ、図案化が顕著であって、特定の事物や文字を表してなるものとは直ちに認識できないため、これからは特定の称呼及び観念は生じない。
ウ 引用商標4及び5
引用商標4は別掲2に、引用商標5は別掲3に、それぞれ示すとおりの構成からなるところ、これらを構成する文字について、その大きさが異なるとしても、文字全体をもって「騎乗球技のスポーツ」程の観念が生じるものであって、文字全体から生じる「ポロスポーツ」の称呼も格別冗長でなく一気一連に称呼できるものであることからすれば、上記各引用商標は、その構成文字全体に相応して「ポロスポーツ」の一連の称呼を生じ、「騎乗球技のスポーツ」程の観念が生じるものというのが相当である。
エ 引用商標6
引用商標6は、「POLO」の欧文字と「BRITISH COUNTRY SPIRIT」の欧文字を二段に横書きしてなるところ、上記各文字部分は、上下に段を変え、上段の「POLO」の文字が下段の文字に比して横幅が4倍程度大きく書されていること、上記各文字部分が一体となって何らかの観念を生じるものではないこと、文字全体から生じ得る称呼が冗長であることを総合すれば、上段に表された「POLO」の文字を要部として分離抽出することが許されるとみるのが相当であり、該文字部分より「ポロ」の称呼及び「騎乗球技」の観念を生じるということができる。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、外観については、構成文字数等において明らかに相違するから、外観上、判然と区別し得るものである。
つぎに、称呼については、本件商標から生じる「エイチブイポロ」の称呼と引用商標1、3及び6から生じる「ポロ」の称呼並びに引用商標4及び5から生じる「ポロスポーツ」の称呼とは、それらの構成音に明らかな差異を有するものであるから、互いに聴き誤るおそれはないというべきである。また、引用商標2は特定の称呼を生じないものであるから、称呼上、本件商標と相紛れるおそれはない。
さらに、観念については、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標1、3及び6は「騎乗球技」の観念を生じ、引用商標4及び5は「騎乗球技のスポーツ」程の観念が生じるものであるから、両者は、観念において相紛れることはない。また、引用商標2は特定の観念を生じないものであるから、観念上、本件商標と相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点も相紛れるおそれはないため、両商標は非類似の商標といえる。
また、他に本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、両商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標の指定商品中、登録異議の申立てに係る指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】



異議決定日 2019-12-26 
出願番号 商願2015-74997(T2015-74997) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W25)
T 1 652・ 262- Y (W25)
T 1 652・ 263- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 啓之小松 里美 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 木村 一弘
板谷 玲子
登録日 2018-06-29 
登録番号 商標登録第6056369号(T6056369) 
権利者 エイチヴイ ポロ ビー.ヴイ.
商標の称呼 エイチブイポロ、エッチブイポロ、ポロ 
代理人 熊野 剛 
代理人 中村 仁 
代理人 田中 秀佳 
代理人 城村 邦彦 

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