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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W08
審判 全部申立て  登録を維持 W08
審判 全部申立て  登録を維持 W08
審判 全部申立て  登録を維持 W08
管理番号 1362560 
異議申立番号 異議2019-900218 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-09 
確定日 2020-05-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6144104号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6144104号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6144104号商標(以下「本件商標」という。)は,「ミラクルカット」の片仮名を標準文字で表してなり,平成30年10月9日に登録出願,第8類「包丁類,手動利器(「刀剣」を除く。)」を指定商品として,同31年4月10日に登録査定,令和元年5月17日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てにおいて引用する商標は,以下の登録商標(以下「引用商標」という。)であって,現に有効に存続しているものである。
登録第4745874号商標
商標の構成:MIRACLE BLADE
登録出願日:平成14年1月28日
設定登録日:平成16年2月6日
指定商品:「ナイフ,その他の手動利器」のほか第8類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標について,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第11号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号によって取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は,いずれも英単語2単語から構成され,かつ,前半の「ミラクル(MIRACLE)」は共通し,異なるのは後半の「カット」と「BLADE」の部分である。
しかしながら,「カット」は,「(刃物などで)切る,傷つける」「〈数・量を〉減らす」等の動詞の意味の他,「(刃物で)切ること」「(・・・の)切り口,切れ味」等名詞の意味を有するところ(甲3),「切る」に関する意味合いを有する語として我が国の需要者においても広く知られている。
他方,「BLADE」は,「(刀・鋤などの)刃,刀身」「(凶器としての)ナイフ」「剣」等を意味する英単語である(甲4)。
したがって,両者はいずれも「切ること」に関する何かを想起させる言葉であって,切る道具である包丁や手動利器といった刃物類との関係においては,その商品の品質を表示する言葉にすぎず,両商標の要部は「ミラクル(MIRACLE)」の部分にあるといえ,いずれも「ミラクル」の称呼を生じ,両者は,「切ること」に関する何かを想起させる点で,観念上混同されるおそれが高い。
なお,両者を,商標全体として比較した場合,まず語頭に位置する「ミラクル(MIRACLE)」に注意が向けられるとみるのが自然であって,上述のとおり,「カット」と「BLADE」の語の識別力の弱さ及び両語が想起させる似通ったイメージに加え,看者の目を引く前半部に位置する「ミラクル(MIRACLE)」の共通性も相まって,両商標は,外観及び観念において誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と解される。
イ 本件商標と引用商標の指定商品の類否について
本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品中,第8類「ナイフ,その他の手動利器」と同一又は類似関係にある。
ウ まとめ
したがって,本件商標及び引用商標の要部は,「ミラクル(MIRACLE)」であって,外観,称呼及び観念のいずれにおいても類似し,または,商標全体として比較した場合であっても,外観及び観念において類似する商標であって,その指定商品も抵触するから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第3条第1項第3号について
本件商標は,それを構成する「ミラクル」及び「カット」の意味合いから,全体として「驚くべき切れ味」といった観念を想起させ,その指定商品との関係においては,「驚くほどに切れる」といった商品の品質を表示するものにすぎない。
本件商標の権利者は,「ミラクルカット」という包丁を販売している(甲7)ところ,切れ味が非常にいいことを売りにした商品である。
また,「ミラクルカット」は,他者によって,草刈用チップソーについて使用され(甲8),その他にも,「ミラクルカット」は,金属の切断口に使用されるほか,「スイカのミラクルカット」,「中にはミラクル・カットだと言う者もいるぐらいだ。」などとインターネットの記事及び書籍において存在している。
以上より,本件商標が全体を一連一体と看取するのであれば,「驚くべき切れ味」の意味合いを容易に想起させ,商品の品質を普通に用いているにすぎない。
したがって,本件商標は,識別力がなく,あるいは独占適応性がなく,商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は,「ミラクルカット」の文字を標準文字で表してなるものである。
申立人の提出に係る証拠をみると,本件商標権者が「スイスイスパッと一刀両断!ミラクルカット」の文字を包丁に付して販売し,「ミラクルカットの方が5倍切れ味が良いことがわかりました。」との説明がされていること(甲7),他者が刈払機用チップソーに「ミラクルカット」と表示していること(甲8)が認められるとしても,これらによって「ミラクルカット」の文字が「驚くほどに切れる」という具体的な商品の品質を表示するものとして使用されているとはいい難く,これらのウェブサイトの掲載日も確認できない。
ほかに,「ミラクルカット」の文字が申立人主張の意味合い「驚くほどに切れる」を表すものとして使用され,理解されているとする証拠は提出されていない。
そうすると,「ミラクルカット」の文字が特定の意味を有するものとして認識され,商品の品質等を表示するものとはいえない。
さらに,当審において職権をもって調査するも,本件商標の登録査定の日前において,「ミラクルカット」の文字が,その指定商品の品質を表すものとして,取引上,普通に使用されているというべき事実は,見いだすことができず,本件商標に接する取引者,需要者が,当該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
そうとすれば,本件商標は,その指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は,前記第1のとおり,「ミラクルカット」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字は,同書,同大,同間隔で,まとまりよく一体に表してなるものであり,これより生ずる「ミラクルカット」の称呼も冗長でなく一連に称呼し得るものである。
そして,本件商標は,その構成中の「カット」の文字が,「(刃物で)切ること」「(・・・の)切り口,切れ味」等の意味を有する語であるとしても,抽象的な「奇跡」等の意味を有する「ミラクル」の文字(甲5)と結合した「ミラクルカット」の文字全体としては,特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当であるから,本件商標は「ミラクルカット」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は,前記第2のとおり,「MIRACLE BLADE」の欧文字を表してなるところ,「MIRACLE」の文字と「BLADE」の文字との間に半文字ほどの空白があるものの,同書,同大でまとまりよく一体に表してなるものであり,これより生ずる「ミラクルブレード」の称呼も冗長でなく一連に称呼し得るものである。
そして,引用商標は,その構成中の「BLADE」の文字が「(刀・鋤などの)刃,刀身」,「(凶器としての)ナイフ」,「剣」等を意味する語であるとしても(甲4),当該文字が引用商標の具体的な商品の品質を表すものとはいい難いものであるから,引用商標は,「MIRACLE BLADE」の文字全体をもって,取引されるというべきであり,当該文字は,辞書等に載録されていない語であって,特定の意味合いを有しない造語といえるものである。
したがって,引用商標は,「ミラクルブレード」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は,上記ア及びイのとおりであるところ,外観においては,片仮名と欧文字とで文字種が異なるものであって,構成態様において明らかに相違するものであり,見誤るおそれはないものであるから,両者は,外観上,判然と区別することができるものである。
次に,両商標の称呼において,本件商標から生じる「ミラクルカット」の称呼と引用商標から生じる「ミラクルブレード」の称呼とは,後半における「カット」の音と「ブレード」の音の差異に加え,全体の構成音数を異にするものであるから,それぞれを一連に称呼するときは,全体の語調,語感が相違し,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。
さらに,観念において,両商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較するとはできない。
してみれば,本件商標と引用商標とは,観念においては比較することができないとしても,その外観においては,判然と区別し得るものであり,称呼においても,明瞭に聴別できるものであるから,これらを総合的に考慮すれば,両者は,相紛れることのない非類似の商標というべきである。
エ 小括
したがって,本件商標の指定商品が,引用商標の指定商品と同一又は類似であったとしても,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第11号のいずれにも該当するものでなく,その登録は,同法第3条及び同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲
異議決定日 2020-04-22 
出願番号 商願2018-126306(T2018-126306) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W08)
T 1 651・ 263- Y (W08)
T 1 651・ 261- Y (W08)
T 1 651・ 13- Y (W08)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 瑠美 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 榎本 政実
大森 友子
登録日 2019-05-17 
登録番号 商標登録第6144104号(T6144104) 
権利者 株式会社オークローンマーケティング
商標の称呼 ミラクルカット、ミラクル 
代理人 押田 良隆 

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