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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W16242528
管理番号 1362471 
審判番号 取消2019-300333 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-04-24 
確定日 2020-04-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第5592189号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5592189号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年2月6日に登録出願、第28類「おもちゃ」を含む第16類、第24類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年6月21日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和元年5月15日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成28年5月15日から令和元年5月14日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出している。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように省略して記載する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用されていないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)ディズニー映画「PLANES(プレーンズ)」の公式ウェブサイト(乙1)について
被請求人は、本件商標の使用に係る各種商品が広告されているとして乙1を提出している。しかしながら、乙1には「ジグソーパズル」は紹介されておらず、また、要証期間外にプリントアウトされたものである。
(2)「楽天市場」の「ディズニーゾーン」のウェブサイト(乙2)について
1ページ目には「パズル商品のページへのリンク」と説明がされているが、それがパズルへのリンクなのかは判別できない。
また、3ページ目には「プレーンズ パズル」の検索結果として6つの商品らしき物が示されているが、請求人にて同キーワードで検索したところ、3つしか検索結果が得られなかった(甲3)。
加えて、共通する3つの商品についてそれぞれの販売サイトを確認したところ、どれも「終売」と表示されている(甲4の1ないし甲4の3)。
(3)株式会社やのまんと締結された契約書(乙3)について
被請求人は、株式会社やのまん(以下「やのまん社」という。)に対し、「DISNEY PLANES」に関する著作物・商標等を包括的に使用することを許諾する契約を締結しているとして乙3を提出している。
乙3によれば、許諾物に含まれるプロパティは「アニメーション映画 DISNEY PLANES に登場するキャラクター、ただし、そのキャラクター及びキャラクターの描写並びにそれらに付随する図柄・デザインその他の要素であって、書式ガイドでライセンサーが定めるもの」と記載されており、許諾対象はあくまで「アニメーション映画 DISNEY PLANES に登場するキャラクター」であり、本件商標が含まれるかどうかについては明示されていない。
したがって、やのまん社が本件商標の使用について通常使用権の許諾を受けた者であるかどうかは乙3からは不明確である。乙3には本件商標を示す表示(商標登録番号や商標そのものの表示)は一切ない。
また、被請求人は、やのまん社が、本件商標の使用に係る「ジグソーパズル」を2013年11月に発売し、各小売店に対して出荷を開始し、その当時に頒布した本件商標の発売に関するチラシの写しとして乙4を提出している。
しかしながら、乙4はいつ作成されたものか不明であり、同チラシが頒布されたことを示す証拠はなく、また、やのまん社が同チラシに係る「ジグソーパズル」を各小売店に対して出荷した事実を示す証拠も提出されていない。
そして、2013年11月にやのまん社の「ジグソーパズル」が発売されたとしても、乙3に係る契約書は2016年4月1日が発効日であって、2013年時点でやのまん社が通常使用権者であったことを示す証拠はない。この点について、被請求人は、やのまん社に対し「DISNEY PLANES」に関する著作物・商標等を包括的に使用することを許諾する契約を2013年に締結し、それ以降も同契約を更新している旨述べているが、同事実を認めるに足りる証拠は提出されていない。
以上より、被請求人が提出した証拠によっては、やのまん社が本件商標に係る通常使用権者であるとは認められない。
(4)「ジグソークラブ」及び「楽天市場」の「ディズニーゾーン」等のウェブサイト(乙5ないし乙12)について
被請求人は、「ジグソーパズル」に本件商標が使用された証拠として、ウェブサイト上に本件商標の使用に係る「ジグソーパズル」が存在する(存在していた)として乙5ないし乙11を提出している。
しかしながら、これらは全てインターネット上から拾われたウェブサイト画像であって、実際の商品の写真、取引書類、販売数を示す証拠は一切提出されていない。
したがって、乙5ないし乙11は、本件商標が付された製品が形式上インターネットのウェブサイト上に存在することを示すにすぎず、「ジグソーパズル」について本件商標が譲渡のために展示された証拠と認めるには不十分である。
(5)小売事業者(中間流通事業者)によるインターネットでの広告事実について
被請求人は、「楽天市場」「ジグソークラブ」などの小売事業者(中間流通事業者)によるインターネットでの広告行為も、本件商標の「使用」に該当するとし、平成24年(行ケ)第10310号審決取消請求事件(乙13)を引用している。
しかしながら、商標権者でも通常使用権者でもない者による使用は、単なる第三者による使用であって、商標権者等の使用とは認められない。
「楽天市場」における「ディズニーゾーン」については、「楽天市場」内に存在する一店舗であって、被請求人との関係は不明である。
そして、「ディズニーゾーン」における「ジグソーパズル」の販売事実を示す証拠は一切なく、2016年8月ないし9月当時の「ディズニーゾーン」のウェブサイトのプリントアウト(乙6及び乙7)からは、「プレーンズ」の文字は認められるが、実際に「プレーンズ」に関連する商品が当時存在していたかは不明であり、やのまん社の製造に係る本件商標を使用した「ジグソーパズル」が存在していた事実は認められない。
また、「ジグソークラブ」については、「通常使用権者から直接商品を仕入れている」と説明されているが、その事実も一切立証されていない。
したがって、「ジグソークラブ」と被請求人ないしやのまん社との関係は不明である。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙13を提出している。
1 「PLANES」について
本件商標は、米国ディズニーが制作・公開したアニメーション映画「PLANES(プレーンズ)」(乙1)に関するものであり、本件商標は、当該映画のタイトルロゴであると当時に、2013年の映画公開時から現在に至るまで継続して販売されている当該映画に関連する商品に付される商標である。
被請求人の100%子会社である株式会社ウォルト・ディズニー・ジャパン(以下「ディズニージャパン社」という。)の当該映画に関する公式ウェブサイト上では、現在も、本件商標の使用に係る各種商品が広告され(乙1)、また、「楽天市場」のディズニー公式キャラクターグッズ通販サイト「ディズニーゾーン」においても「プレーンズ」のカテゴリーが設けられ各種商品が販売されている(乙2)。
いずれの商品も、被請求人による許諾(正確には、本件商標に係る商標権について第三者に対し通常使用権を再許諾する権限を被請求人から与えられているディズニージャパン社による再許諾)の下、各通常使用権者が、本件商標を付して製造・販売しているものである。
2 第28類「ジグソーパズル」についての本件商標の使用について
(1)本件商標の商標権について第三者に対し通常使用権を再許諾する権限を、被請求人から与えられたディズニージャパン社は、第28類「ジグソーパズル」の製造業者であるやのまん社との間で、同社に対し「DISNEY PLANES」に関する著作物・商標等を包括的に使用することを許諾する契約を2013年に締結し、それ以降も同契約を更新している。
乙3は、平成28年(2016年)4月から同30年(2018年)3月末までの使用許諾契約を定めた契約書の写しであり、当該契約書中の「1.19 許諾物」の中には商標が含まれることが明らかにされており、また、契約書の「添付物件」においては「DISNEY PLANES」が「許諾物」の「プロパティ」として列記されている。
したがって、当該契約における許諾対象は、「PLANES」のタイトルロゴである本件商標を当然に含んでいる。
(2)やのまん社は、前記使用許諾のもと、本件商標の使用に係る「ジグソーパズル」(以下「本件商品」という。)を、2013年11月に発売し、各小売店に対して出荷を開始した。
そして、乙4は、その当時に頒布した本件商品の発売に関するチラシの写しであり、各商品には、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が付されている。
(3)本件商品は、2013年の発売時から現在に至るまで継続して販売されており、パズル専門小売店「ジグソークラブ」や「楽天市場」の「ディズニーゾーン」においては、「PLANES(プレーンズ)」に関する「ジグソーパズル」が現在も販売されている(乙2及び乙5)。
(4)本件商品は、要証期間中である平成28年(2016年)から同30年(2018年)の間も、「ジグソークラブ」「ディズニーゾーン」等のオンライン販売サイトにおいて販売されており、その当時の販売状況を示すものとして、「Internet Archive(インターネットアーカイブ)」の「Wayback Machine(ウェイバックマシン)」により取得した平成28年(2016年)から同30年(2018年)当時のウェブサイトの写しを、証拠として提出する(乙6ないし乙11)。
(5)乙6ないし乙7は、平成28年(2016年)8月ないし9月当時の「楽天市場」の「ディズニーゾーン」のウェブページのプリントアウトであり、「プレーンズ」の特設ページが設けられ、そして、「ジグソーパズル」のカテゴリーも現在と同じように存在している。
また、乙8ないし乙11は、やのまん社から直接商品を仕入れている「ジグソークラブ」の平成29年(2017年)から同30年(2018年)当時の商品紹介・販売ページであり、同ページには本件商品が紹介・販売されている。
(6)以上のとおり、本件商標は、要証期間中に、通常使用権者であるやのまん社により、第28類「ジグソーパズル」について使用されていたものである。
また、本件商標が通常使用権者により使用されていたことはもとより、要証期間中、本件商品は「楽天市場」「ジグソークラブ」などの小売事業者(中間流通事業者)によってもインターネットでの広告及び販売されていたところ、当該広告等行為も、本件商標の「使用」に該当するものである(乙13)。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張(当事者間に争いのない事実)によれば、以下の事実が認められる。
(1)ディズニージャパン社は、本件商標に係る商標権者(以下、単に「商標権者」という。)の100%子会社である(被請求人の主張)。
(2)ディズニージャパン社は、やのまん社との間で、同社に対し、2016年(平成28年)4月1日から2018年(平成30年)3月31日までの間、アニメーション映画「DISNEY PLANES」(以下「本件映画」という。)に登場するキャラクター及び同描写並びにそれらに付随する図柄・デザインその他の要素について、「ノベルティパズル」に使用することについて許諾する旨の契約を2016年(平成28年)4月1日に交わした(乙3)。
(3)本件商標は、本件映画のタイトルロゴからなるものである(乙1及び被請求人の主張)。
(4)やのまん社は、2013年(平成25年)11月22日に、本件映画に関する品番「99-342」の「ジグソーパズル」(以下「使用商品」という。)の発売を開始した(乙4)。
(5)やのまん社が作成した使用商品のチラシには、別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている(乙4)。
(6)「ジグソーパズル」の専門店である「ジグソークラブ」(以下、単に「ジグソークラブ」という。)の2017年(平成29年)10月29日におけるウェブサイトには、使用商品の画像が「メーカー別 やのまん」、「99-342」及び「ジグソーパズル」の表示とともに掲載されており、当該使用商品の画像には、使用商標が表示されている(乙11)。
(7)「ジグソークラブ」の2018年(平成30年)1月12日におけるウェブサイトには、使用商品の画像が「99-342」、「ジグソーパズル」、価格及び在庫がある旨の表示とともに掲載されており、当該使用商品の画像には、使用商標が表示されている(乙8)。
(8)2019年(令和元年)8月19日にプリントアウトされた「ジグソークラブ」のウェブサイトには、使用商品の画像が「99-342」、「ジグソーパズル」、価格及び在庫がある旨の表示とともに掲載されており、当該使用商品の画像には、使用商標が表示されている(乙5)。
2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標及び使用商標は、別掲1及び2のとおり、いずれも、上部に筆記体風の書体で表した「DisNEy」の文字を配し、その下に、内部に「PLANES」の文字及び星の図形を有する左右対称の翼のような図形を配した構成からなるものである。
そして、両商標は、色彩を異にするものの、文字部分については、構成文字、書体及び配置を共通にし、図形部分については、外観において同視されるものである。
そうすると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
使用商品は「ジグソーパズル」であるから、本件商標の指定商品中「おもちゃ」の範ちゅうに含まれる商品である。
(3)使用時期について
前記1(6)及び(7)のとおり、平成29年10月29日及び同30年1月12日における「ジグソークラブ」のウェブサイトには、使用商品が使用商標及び「99-342」の品番とともに掲載されており、そこには、「メーカー別 やのまん」の表示又は価格及び在庫がある旨の表示が掲載されている。
そうすると、やのまん社は、平成29年10月29日及び同30年1月12日に、「ジグソークラブ」を介して、使用商標を付した使用商品に関する広告をインターネットにより提供したといえる。
そして、平成29年10月29日及び同30年1月12日は、いずれも要証期間内である。
(4)使用者について
前記1(1)及び(2)のとおり、商標権者の100%子会社であるディズニージャパン社は、やのまん社との間で、同社に対し、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間、本件映画に登場するキャラクター及び同描写並びにそれらに付随する図柄・デザインその他の要素について、「ノベルティパズル」に使用することについて許諾する旨の契約を平成28年4月1日に交わしたものであり、また、前記1(3)のとおり、本件商標は、本件映画のタイトルロゴからなるものである。
そうすると、やのまん社は、平成28年4月1日から同30年3月31日までの間、本件商標の通常使用権者(以下、単に「通常使用権者」という。)であったと推認し得るものである。
そして、前記(3)のとおり、やのまん社は、平成29年10月29日及び同30年1月12日に使用商標を付した使用商品に関する広告をインターネットにより提供したのであるから、本件商標の使用者は、通常使用権者であるやのまん社である。
(5)小括
以上によれば、通常使用権者であるやのまん社が、要証期間内である平成29年10月29日及び同30年1月12日に、請求に係る指定商品中「おもちゃ」の範ちゅうに含まれる「ジグソーパズル」に関する広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して、インターネット(電磁的方法)により提供したと認めることができる。
この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品・・・に関する広告・・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、ディズニージャパン社とやのまん社との間で交わされた契約書(乙3)について、許諾対象はあくまで本件映画に登場するキャラクターであり、本件商標が含まれるかどうかについては明示されていないから、やのまん社が本件商標の使用について通常使用権の許諾を受けた者であるかどうかは不明確である旨主張している。
当該契約書(乙3)によれば、その前文に「ライセンシーは、・・・商標の一部の使用許諾を取得することを望んでおり、ライセンサーは、・・・同使用許諾を与える意思を有する。」との記載があること、「1.用語の意味」に「1.19 『許諾物』とは、独創的な作品、商標及びディズニーの図形要素をいう。」との記載があること、当該契約書の添付物件における「C.許諾物に含まれるプロパティ」に「アニメーション映画 DISNEY PLANES に登場するキャラクター、ただし、そのキャラクター及びキャラクター描写並びにそれらに付随する図柄・デザインその他の要素」との記載があることが認められる。
そうすると、当該契約書(乙3)における許諾対象は、本件映画に登場するキャラクターのみならず、当該キャラクターに付随する「その他の要素」も含まれるものであり、当該契約書全体の記載を踏まえれば、「その他の要素」には「商標」も含まれているというべきである。
そして、前記1(3)のとおり、本件商標は、本件映画のタイトルロゴからなるものであることからすると、当該契約書(乙3)における許諾対象には、本件商標も含まれているというのが相当である。
してみると、やのまん社は、本件商標について通常使用権の許諾を受けていたというべきである。
(2)請求人は、やのまん社が作成した使用商品のチラシ(乙4)は、作成時期及び頒布の有無並びに当該チラシに係る「ジグソーパズル」が小売店に出荷されたかが不明である旨、そして、2013年11月にやのまん社の使用商品が発売されたとしても、その時点では、やのまん社が通常使用権者であったことを示す証拠はないから、やのまん社が通常使用権者であるとは認められない旨主張している。
やのまん社が作成した使用商品のチラシ(乙4)によれば、当該チラシには、「2013年11月」及び「11月22日発売」の文字の記載が認められるとともに、使用商品の画像が掲載されていることが認められる。
そして、前記1(6)ないし(8)のとおり、使用商品は、平成29年10月29日、同30年1月12日及び令和元年8月19日に「ジグソークラブ」のウェブサイトに掲載されていることからすれば、たとえ当該チラシの作成時期及び頒布の有無が不明であるとしても、前記1(4)のとおり、少なくとも、使用商品は2013年(平成25年)11月22日に発売が開始されたといえるものであり、これを覆すに足る証拠は見いだせない。
また、たとえ、2013年(平成25年)の時点において、やのまん社が通常使用権者であったかどうか不明であるとしても、平成29年10月29日及び同30年1月12日の時点においては、やのまん社は通常使用権者であったのだから、上述の判断を左右するものではない。
(3)請求人は、「ジグソークラブ」のウェブサイト(乙5、乙8及び乙11)は、インターネット上から拾われたウェブサイト画像であって、実際の商品の写真、取引書類及び販売数を示す証拠は提出されていないから、本件商標が付された製品が形式上インターネットのウェブサイト上に存在することを示すにすぎない旨主張している。
しかしながら、たとえ実際の商品の写真、取引書類及び販売数を示す証拠が提出されていないとしても、やのまん社が「ジグソーパズル」に関する広告を内容とする情報に使用商標を付してインターネットにより提供したものであること上述のとおりである。
(4)請求人は、「ジグソークラブ」などの小売事業者(中間流通事業者)によるインターネットでの広告行為は、商標権者でも通常使用権者でもない者による単なる第三者による使用であって、商標権者等の使用とは認められない旨、また、「ジグソークラブ」について、被請求人は「通常使用権者から直接商品を仕入れている」と説明しているが、その事実は一切立証されてなく、「ジグソークラブ」と被請求人ないしやのまん社との関係は不明である旨主張している。
ところで、商標法第50条第1項には、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下「商標権者等」という。)のいずれもが、同項に規定する登録商標の使用をしていないときは、取消しの審判により、その商標登録は取り消される旨規定されている。ここで、商標権者等が登録商標の使用をしている場合とは、特段の事情のある場合はさておき、商標権者等が、その製造に係る商品の販売等の行為をするに当たり、登録商標を使用する場合のみを指すのではなく、商標権者等によって市場に置かれた商品が流通する過程において、流通業者等が、商標権者等の製造に係る当該商品を販売等するに当たり、当該登録商標を使用する場合を含むものと解するのが相当である。このように解すべき理由は、今日の商品の流通に関する取引の実情に照らすならば、商品を製造した者が、自ら直接消費者に対して販売する態様が一般的であるとはいえず、むしろ、中間流通業者が介在した上で、消費者に販売することが常態であるといえるところ、このような中間流通業者が、当該商品を流通させる過程で当該登録商標を使用している場合に、これを商標権者等の使用に該当しないと解して、商標法第50条不使用の対象とすることは、同条の趣旨に反することになるからである(平成24年(行ケ)10310号判決(乙13))。
そして、前記1で認定した事実によれば、ア やのまん社は、平成25年11月22日に品番「99-342」の「ジグソーパズル」(使用商品)の発売を開始し、イ 「ジグソーパズル」の専門店である「ジグソークラブ」の平成29年10月29日及び平成30年1月12日におけるウェブサイトには、使用商品の画像が品番「99-342」の表示とともに掲載され、ウ 平成29年10月29日のそれには「メーカー別 やのまん」の表示も掲載され、エ 令和元年8月19日においても「ジグソークラブ」のウェブサイトには、使用商品の画像が品番「99-342」の表示とともに掲載されている。
そうすると、たとえ「ジグソークラブ」とやのまん社との間の取引書類の提出がないとしても、やのまん社は、自身が発売した使用商品を小売事業者(中間流通業者)である「ジグソークラブ」を介して、使用商標を付した使用商品に関する広告をインターネットにより提供したものとみるのが相当であり、やのまん社による使用商標の使用というべきである。
(5)以上のとおりであるから、請求人の主張は、いずれも採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、その請求に係る指定商品中「おもちゃ」の範ちゅうに含まれる「ジグソーパズル」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本件商標


別掲2 使用商標(色彩については原本参照。)




審理終結日 2020-02-12 
結審通知日 2020-02-19 
審決日 2020-03-03 
出願番号 商願2013-7539(T2013-7539) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (W16242528)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 淳 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 山田 啓之
中束 としえ
登録日 2013-06-21 
登録番号 商標登録第5592189号(T5592189) 
商標の称呼 ディズニープレーンズ、ディズニー、プレーンズ 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 藤倉 大作 
代理人 苫米地 正啓 
代理人 松尾 和子 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 中村 稔 

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