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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z30
管理番号 1362426 
審判番号 取消2017-300910 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-12-15 
確定日 2020-04-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第4592964号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4592964号商標の指定商品中、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドック,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4592964号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「大勝軒」の文字からなり、平成13年9月27日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドック,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、同14年8月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成29年12月27日にされていることから、本件審判について、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前三年以内」とは、同26年12月27日から同29年12月26日までの期間である(以下、この期間を「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由について、要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第30類「穀物の加工品」を除いた、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドック,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)使用者について
ア 被請求人は、本件商標権者は、「大勝軒」の商標を山岸一雄氏の意思に基づいて取得したこと、これを山岸一雄氏の死後、同氏の妹であるS氏が追認する書面を作成していること(乙4)、株式会社キンレイ(以下「キンレイ社」という。)は、S氏が代表取締役を務める有限会社大勝軒との「商標」等の使用許諾に関する契約書(乙5)に基づき「大勝軒」の表示を使用していること、本件商標権者は、キンレイ社による使用商標の使用を認識していたこと、及び上記契約書(乙5)に有限会社大勝軒が再実施許諾権付きで有する本件商標権者の「大勝軒」の商標の使用権が含まれるものとする書面を、本件商標権者、キンレイ社、有限会社大勝軒の3者で作成した(乙6)ことなどから、本件商標に係る使用商標の使用者は、キンレイ社であり、同社が、本件商標の通常使用権者であると主張している。
イ しかしながら、「大勝軒」の商標出願に山岸一雄氏の承諾が必要だという根拠はなく、また、山岸一雄氏の肖像等の使用について山岸一雄氏の妹S氏がこれを追認したり、S氏が代表者である会社が使用許諾したりする根拠もないことなどからしても、被請求人の上記主張は、極めて不可解な主張である。また、本件のような特定の当事者間で商標ライセンスをする場合に再使用許諾権付き通常使用権が用いられるのは通常ないものであって、そのような権利関係は合理性がなく極めて不自然である。
ウ 一般的に、裁判手続においては、「訴え提起後、又は訴え提起に際して、当事者本人、準当事者又は第三者の供述を記載したもので、書証の形式で提出されるもの」は、陳述書であり、書証としての性質は報告文書であって、代理人の作文にすぎず、その記載内容の証明力は弱いとされている。乙第6号証は「確認書」の形式をとってはいるが、その作成日は、本件審判請求後、答弁書提出の直前の平成30年2月19日である。
また、本件商標については、その指定商品の全部の不使用取消を求める審判(取消2017-300404号)があり、被請求人は同審判で、キンレイ社の地位に関し、本件と同じ主張をしているところ、審判長は、平成30年1月30日発送の審尋において、キンレイ社が、本件商標の通常使用権者であることを確認することができない、との見解を被請求人に伝えており(甲3)、本件の乙第6号証は、この審尋の送達後に、審尋の意見に対抗するため作成されたものである。
以上のような観点からも、乙第6号証は、実質的には、被請求人代理人の作文ともいうべき陳述書にすぎず、その記載内容の証明力は極めて弱い。
さらに、乙第5号証と乙第6号証との間での有限会社大勝軒の記名方法や字体が相違しているなどの点からも、これらの証拠の真性、証明力には疑いがある。
エ 上記ウで述べたような真性にも疑いがあり証明力の弱い上記証拠では、上記イで述べたような合理性がなく不自然な前例のない権利関係を認めるに足りないことは明白である。
被請求人は、その主張する使用商標の使用者が、商標権者、専用使用権者、又は通常使用権者であることを立証していない。
(2)使用商品について
ア 被請求人は、使用商標は、本件審判の請求に係る指定商品「べんとう」に使用されていると主張する。そしてその論拠として、
(ア)乙第1号証及び乙第2号証のパッケージに「要冷凍」「レンジで簡単」と記載されている。
(イ)そうすると、乙第1号証のパッケージを用いた商品(以下「乙1商品」という。)及び乙第2号証のパッケージを用いた商品(以下「乙2商品」という。)はレンジで温めれば調理をせずにそのまま食べることができるものである。
(ウ)したがって、これら商品は「調理済みラーメン」「冷凍処理された調理済みラーメン」(以下「調理済みラーメン等」という場合がある。)(類似群コード32F06)に該当する。
(エ)被請求人は、「調理済みラーメン等」は「べんとう」(類似群コード32F06)に含まれる概念である、と主張するが、上記主張は複数の論理の飛躍、すり替えがあり誤っている。
イ 上記論拠ア(ア)と同(イ)との間には、論理の飛躍、すり替えがある。
(ア)上記論拠のア(ア)はパッケージ上の記載の問題であり、同(イ)は商品の性質の問題であって、ア(ア)は同(イ)の根拠とはならない。
(イ)乙1商品及び乙2商品は、その各々のパッケージの裏面(甲4の2、甲5の2)の記載などによれば次のように調理される。
a 電子レンジによる調理の場合には、スープについては、外袋を外し、スープを袋のままお湯につけて解凍し、麺については、凍ったままの麺を透明袋ごと皿などに置き電子レンジで加熱し、スープを小鉢にあけ、熱湯を一定量注ぎ、乙2商品の場合はよくかき混ぜ、レンジから麺を取り出し、ザルにあけて冷水で冷やし、よく水を切って、麺を器に移して、ようやく食べられる状態になり、具材は別途入手して適宜加える。
b 鍋による調理の場合は、スープについては、外袋を外し、スープを袋のままお湯につけて解凍し、麺については、内袋を外し、鍋にたっぷりの沸騰したお湯を用意し、凍ったままの麺を入れ、加熱しながらゆで、スープを小鉢にあけ、熱湯を一定量注ぎ、乙2商品の場合はよくかき混ぜ、ザルにあけて冷水で冷やし、よく水を切って、麺を器に移して、ようやく食べられる状態になり、具材は別途入手して適宜加える。
したがって、乙1商品及び乙2商品は、食べることができる状態になるまで、各場合に応じて上記a又はbという「めんどう」な調理(甲6)をしなければならないものである。
すなわち、完成品又はそれに近い状態で販売される「べんとう」とは異なり、つけ麺のための食材を取り集めた、未調理の食品というべきものである。
しかも、乙1商品及び乙2商品には、麺とスープが入っているのみであり、当該商品の包装に表示されている写真にあるような、つけ麺に加える具材は入っておらず(甲4の1、甲5の1)、当該商品の購入者は、調理後、具材を加えてつけ麺を食べることになる。
さらに、乙1商品及び乙2商品は、容器に入れて販売されているわけではなく、調理及び食べる際の器などの器具が必要である。
してみれば、乙1商品及び乙2商品は、「スーパーやコンビニエンスストアで販売されている弁当と同様にレンジで温めれば直ぐに食べることができる」ものではないことは明白である。
(ウ)上記のとおり被請求人の論拠ア(ア)と同(イ)との間には、論理の飛躍、すり替えがあり被請求人の主張は誤っている。
ウ 被請求人の論拠ア(ウ)は、誤った前提に立っている。
(ア)被請求人によれば、特許庁の商標課商標国際分類室に乙第1号証及び乙第2号証を示して問い合わせたところ「調理済みラーメン」に該当するとの回答を得たとのことであるが、上記のような問合せの回答により、当事者対立構造の中で真実の発見ができる構造となっている審判での判断が左右されることはない。
(イ)本件商標に対する先行する不使用取消審判(取消2017-300404号)での審尋(甲3)は、合議体の見解として、被請求人が、本件商標の使用に係る商品が「べんとう」であるとして提出した乙第1号証及び乙第2号証に示された商品は、「スープ付きの冷凍中華そばの麺」であって、本件商標の指定商品中の「穀物の加工品」の範ちゅうに属するものと認められる、と述べており、「調理済み」であることを認めていない。
エ 被請求人の上記論拠ア(ウ)と同(エ)は、理論の展開として不可解であるが、少なくとも類似性と同一性又は包摂を混同している。
「べんとう」は、広辞苑の記載及び特許庁の「類似商品・役務審査基準」で「弁当」の英語表記は「boxed lunches consisting of rice,with added meat,fish or vegetables」(米、付加的に肉、魚又は野菜からなる器物に入ったランチ)とされていること、その他取引上の通念などからすると「外出先で食事するため、器物に入れて携える食品。」であり、購入した後、特に電化製品などのない外出先であっても、難なく食事をすることができるものである。
つまり、「べんとう」は、調理を要さないことのみならず「器物に入れて携え」、電化製品などのない外出先でも難なく食事をすることができるものである。「調理済みラーメン等」と「べんとう」は、調理を要さないという点で類似し、重なり合うこともあり得るかもしれないが、「調理済みラーメン等」が「べんとう」に含まれる訳でも両者が同一な訳でもない。
「調理済みラーメン等」は本件商標の指定商品ではなく、本件審判の請求に係る指定商品でもない。本件と関係のない「調理済みラーメン等」という概念を挿入しても、乙第1号証及び乙第2号証の使用商標は、本件審判の請求に係る指定商品「べんとう」に使用されているとの結論を導き出すことはできない。
オ すなわち、被請求人は、本件商標を「べんとう」その他、本件審判の請求に係る指定商品に使用しているとの立証をしていない。
(3)使用商標と本件商標の同一性等について
ア 使用商標と本件商標の同一性等は、次のような社会的法的状況を前提に判断すべきである。
(ア)「大勝軒」の多数存在と系列
「大勝軒」の店名のラーメン屋は、東京を中心に古くから多数存在し、各系列の創業者、創業地、技術伝承、飲食類の味の傾向、規模などは社会的に強い関心を呼び広く社会的に認識されている(甲8)。このような状況では、単に「大勝軒」と示されただけでは、取引関係者、需要者は、どの系列のどのような「大勝軒」であるかに関心が向き、系列を示す地名、人名、創業者等の肖像、関連語句などと結びつけて出所を判断することとなる。
(イ)「大勝軒」の文字を含む商標登録の併存
本件商標の属する第30類においては、「大勝軒」の文字を含む登録第4592964号商標、登録第5328998号商標等4件の併存登録例が存在し、また、第43類の「飲食物の提供」については、登録第3105120号商標等6件の併存登録例が存在する。このように、「大勝軒」と地名、人名、関連の深い商品名、二次的店名などと結合した商標が、併存的に登録されている。本件商標とこれら結合商標は、各々、同一でも類似でもないと公的に判断されているのである。社会通念上の同一性の判断は、このような商標登録に関する公的判断に沿って行わなければならない。また、このような多数の商標の存在とその使用により、上記(ア)のように、関連語句などと結びつけて出所を判断することは一層強くなるという連鎖が生じる。
イ キンレイ社の使用に係る商標について
被請求人は、本件商標の使用者について、前記(1)アに記載のとおり、主張しており、次のような事実が推認できる。
(ア)キンレイ社が使用したい商標は、単なる「大勝軒」の文字からなる商標ではなく、山岸一雄氏の肖像や同氏ゆかりの地名等と「大勝軒」が結合した商標であり、これには、法的には人格権の承継は認められないが、山岸一雄氏又は同氏の人格権承継者の承諾が必要と考えていた(乙4、乙5)が、本件の不使用取消が問題となるまで、単なる文字「大勝軒」からなる商標である本件商標の商標権者の許諾が必要とは考えていなかったこと
(イ)本件商標権者は、キンレイ社の商品のパッケージ(乙1、乙2)の使用を熟知しながら、本件の不使用取消が問題となるまで、これを放置しており、本件商標権者も上記使用は、単なる文字「大勝軒」からなる商標ではなく、山岸一雄氏の肖像や同氏ゆかりの地名等と「大勝軒」が結合した商標であると考えていたこと
(ウ)本件商標の不使用取消が問題となり、先行取消審判での審尋(平成30年1月30日)を受けたのち、確認書(平成30年2月19日付け)(乙6)を作成し、キンレイ社が、有限会社大勝軒を通じて、本件商標権者の本件商標の使用許諾を受けているという、取引常識上あり得ない奇妙な法律構成の証拠としたこと
すなわち、被請求人が主張する乙第1号証及び乙第2号証の各使用商標は、本件商標権者、キンレイ社などの関係者の意思、意識としても、「大勝軒」と山岸一雄氏の肖像等との結合商標であることを、上記証拠及び被請求人の主張が裏付けているのである。
ウ 以上からすると、
(ア)乙1商品については、その外装に、「東池袋大勝軒 創設者 大勝軒 山岸一雄」の記載とその写真を掲載した上「大勝軒監修 伝統の味 もりそば」と記載していることをもって、被請求人は、本件商標の使用だと主張する。
日本国内には多数の大勝軒を称する店、系列があり、つけ麺(もりそば)の考案者であり池袋大勝軒創設者である大勝軒山岸一雄は死亡していることは広く知られていることである(甲5)。このような背景からすると、乙1商品の外装の上記記載は、つけ麺(もりそば)の考案者であり池袋大勝軒創設者である亡き山岸一雄が監修した伝統の味を再現したものである旨の記述をしてキャッチコピーとしているものである。
すると、上記記載中の「大勝軒」は、記述の一部であって商標的使用とはいえず、また、「大勝軒」に上記記載の態様と付加要素を加えたことにより、本件商標とは同一性を欠くものとなっているといわざるを得ない。
乙1商品の使用商標は、山岸一雄の氏名及び肖像等と「大勝軒」の文字からなる結合商標であり、肖像と「大勝軒」の文字の距離なども問題とならない。「東池袋大勝軒 創業者 山岸一雄」の記載や、山岸一雄氏が開発命名した「伝統の味 もりそば」を記載することにより山岸一雄氏の肖像と「大勝軒」の結合が強化されている。
(イ)乙2商品についても、日本国内には多数の大勝軒を称する店、系列があり、つけ麺(もりそば)の考案者であり池袋大勝軒創設者である大勝軒山岸一雄は死亡していることは広く知られていることである(甲5)という背景からすると、乙2商品の外装の記載は、つけ麺(もりそば)の考案者であり池袋大勝軒創設者である亡き山岸一雄とその特定の弟子と孫弟子が共同又は創設者の名を借りて、監修した「豚骨魚介」の「濃厚」な味の商品である旨を記述してキャッチコピーとしているものである。
すると、上記記載中の「大勝軒」は、記述の一部であって商標的使用とはいえず、また、「大勝軒」に上記記載の態様と付加要素を加えたことにより、本件商標とは同一性を欠くものとなっているといわざるを得ない。
乙2商品の使用商標は、山岸一雄の氏名及び肖像等と「大勝軒」の文字からなる結合商標である。山岸一雄氏の弟子、孫弟子の氏名肖像の付加も、あくまで山岸一雄氏を中心とする集団を示しており、「つけ麺」の文字の付加も、創始者である山岸一雄氏との結びつき、その肖像との結びつきを強化するものである。
(ウ)被請求人は、乙2商品の販売を目的とするホームページ(乙7)の記載をもって、キンレイ社による本件商標の使用だとする。ここでは、乙1商品のパッケージの写真と「レンジで汁無し麺 大勝軒監修 豚骨魚介つけ麺」との文字の記載があるが、これも、大勝軒が監修していることをキャッチコピーとしているもので商標的使用とはいえず、また、乙1商品の写真や「つけ麺」という山岸一雄ゆかりの言葉との結びつきからなる結合商標であって、本件商標との同一性はない。
(4)使用商標の使用時期について
ア 被請求人は、その主張する使用商標の使用期間の証拠として乙第8号証を挙げ、「インターネット上でのプレスリリース」と説明し、そのアドレスを付記しているが、これがプレスリリースであるのか、プレスリリースに基づく報道なのか、文書の作成者、作成日等が不明である。また、文書記載の予定どおり販売が開始されたのかどうかの立証もなく、乙1商品及び乙2商品の使用商標の要証期間の使用についても、いまだ立証されていない。
イ 乙第7号証は、平成30年3月7日付のホームページ写しであるが、これをもって要証期間の商標使用を立証することはできない。
(5)その他、本件商標の要証期間の使用を立証する証拠はない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出している。
1 答弁の理由
本件商標の通常使用権者が、本件商標を本件審判の請求に係る指定商品について、要証期間に、日本国内において、使用をしていることから、上記商品についての登録を取消されるべき理由はない。
(1)本件商標の使用者について
ア キンレイ社が本件商標の使用者であり、その使用態様は、同社のホームページの写し(乙1、乙2)のとおりであって、これらには「大勝軒」の大きな文字が付された商品が記載されている。
イ キンレイ社は、本件商標権者から使用許諾を受けた通常使用権者に該当する。
乙第3号証からわかるように、有限会社大勝軒は、大勝軒の創始者である故山岸一雄氏が代表取締役を務めていた会社であり、同氏が平成27年4月1日に死去された後は、遺族であるS氏が代表取締役を務めている。
本件商標権者は、大勝軒の創始者である故山岸一雄氏の生前に、同氏の意思に基づき本件商標について商標登録を取得した。この事実は、有限会社大勝軒の現代表者であるS氏(東京都豊島区)の承諾書(乙4)から明らかである。
また、上記承諾書には、「商標の使用に関しての全権限は本件商標権者が持ち許諾が必要になる」旨記載されており、この許諾は必ずしも書面等で明示する必要はなく、黙示的に許諾した場合も含まれている。
ウ 乙第5号証からわかるように、キンレイ社は、有限会社大勝軒(東京都豊島区)からのノウハウ実施許諾契約に基づき「冷凍麺類」の製造販売を行っている。そして、キンレイ社から有限会社大勝軒には、上記ノウハウ実施許諾契約に基づき、ライセンス料が支払われている。
本件商標権者は、キンレイ社による本件商標の使用を認識しており、本件商標権者とキンレイ社の間に直接の商標使用許諾契約書は存在しないが、本件商標権者は「自分の遺族に少しでも金銭を残してあげたい」という故山岸一雄氏の意思を認識しており、その意思を尊重したいと考えていた。それゆえに、本件商標権者は有限会社大勝軒に商標の再使用許諾を認めており、それを有限会社大勝軒もキンレイ社も認識していた。
この商標の再使用許諾に関する有限会社大勝軒、キンレイ社、本件商標権者の3社の確認書を乙第6号証として提出する。
本件商標は上記のように、本件商標権者の意思が介在し通常使用権者といえるキンレイ社によって、日本国内で現に使用されており、今回の状況で取消審決をすることは、商標法第50条の趣旨にそぐわない。
仮に今回の状況でキンレイ社による使用を通常使用権者の使用と認めないとすると、キンレイ社の使用により商標「大勝軒」に化体している業務上の信用が損なわれることになる。
エ 以上より、キンレイ社は本件商標の通常使用権者に該当するといえる。
(2)使用商品について
ア 乙1商品及び乙2商品のパッケージの右下に「要冷凍」と記載されている。また、乙1商品のパッケージの左部分には「レンジでつけ麺」と表示され、乙2商品のパッケージの左下には「レンジで簡単」の表示がされており、レンジで温めれば、調理をせずにそのまま食べることができるものである。
したがって、当該商品は、第30類「調理済みラーメン」「冷凍処理された調理済みラーメン」(類似群コード32F06)に該当する。なお、この点について、特許庁の商標課商標国際分類室に乙第1号証又は乙第2号証を示して問い合わせしたところ「第30類の調理済みラーメンに該当すると認められる」との回答を得た。
イ 「調理済みラーメン等」は、スーパーやコンビニエンスストアで販売されている弁当と同様にレンジで温めれば直ぐに食べることができるので第30類の「べんとう」(類似群コード32F06)に含まれる概念である。
(3)本件商標と使用商標の同一性について
ア 乙第1号証と乙第2号証で明示されているように、キンレイ社は、漢字で大きく記載した「大勝軒」を使用している。
イ 一方で、本件商標は、漢字で「大勝軒」と記載された文字商標であり、本件商標と実際の使用商標は、自他商品の識別標識として同一の機能を果たしていると評価できることから、使用の態様は本件商標と同一と認められる。
ウ 使用商標は、本件商標と字体が異なるが、このような字体の変更は、登録商標を実際に使用する場合に通常行われるものであり、商標法第50条第1項かっこ書にも明示されているとおり、登録商標、使用商標間における自他商品識別標識としての同一性を阻害するほどの要因にはなっていない。
本件商標と使用商標との間には、少なくとも社会通念上の同一性が確実に保持されていると評価すべきである。
(4)本件商標の使用について
ア 乙第1号証と乙第2号証で明示されているように、キンレイ社は、本件商標を第30類の「べんとう」の範ちゅうに属する商品の包装に使用して販売しており、これは、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に該当する。
イ また、キンレイ社は、乙第1号証と乙第2号証で明示されているように、自社のホームページで本件商標を付した「べんとう」の範ちゅうに属する当該商品を掲載しており、この行為は商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
ウ さらに、乙第7号証で示すように、キンレイ社は、オンラインショップで本件商標を付した「べんとう」の範ちゅうに属する商品を掲載しており、希望者は本件商標が付された当該商品を購入することができ、この行為は商標法第2条第3項第2号の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」に該当する。
エ 以上より、キンレイ社は、商標法第2条第3項各号の使用をしていたといえる。
(5)本件商標の使用時期及び使用場所について
キンレイ社の使用時期は、乙第8号証において証明する。乙第8号証は「大勝軒監修 伝統の味 もりそば」「大勝軒監修 豚骨魚介つけ麺」のインターネット上でのプレスリリースの写しであり、上記商品が、2016年2月22日から全国の量販店で発売されたことを示している。
したがって、上記商標の使用が、要証期間になされたことが明白である。
(6)まとめ
以上のように、本件商標権者から使用許諾を受けた通常使用権者は、本件審判の請求に係る指定商品について、要証期間に、日本国内において、登録商標の使用をしている。
2 意見書による主張の要旨
(1)当審における審尋
審判長は、被請求人に対し、令和元年12月18日付けで、被請求人が答弁書で提出した乙各号証によっては、本件商標の使用に係る商品は、本件審判の請求に係る指定商品「べんとう」の範ちゅうの商品とは認められない旨の合議体の暫定的見解を示し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。
(2)被請求人の主張の要旨
ア スーパーやコンビニエンスストアで販売されている「調理済みラーメン等」は、特許庁の「類似商品・役務審査基準〔国際分類第11-2019版対応〕」によれば、その類似群コードは、第30類の32F06である。
スーパーやコンビニで売っているラーメンの中にも、電子レンジで温めるだけですぐに食べられるものがあるが、その中には、電子レンジで温める前に具材容器の上から麺の上に移したり、スープを麺の上にかけたりするものも存在する。また、袋に入った麺を容器に空けてから電子レンジで温めるようなタイプのものも存在する。
上記のような商品が「穀物の加工品」(類似群コード32F03)に属するのか、「調理済みラーメン等」(類似群コード32F06)に属するのか不明確であり、その判断基準も曖昧である。
被請求人の主張に関わらずその判断基準は客観的に決められるべきものであり、「電子レンジで温めてすぐに食べられない」ということのみをもって、第30類「べんとう」に該当しないと判断するのは妥当でない。
乙第1号証及び第2号証で提出したラーメンも見方によっては、「調理済みラーメン等」(「べんとう」の範ちゅう)にも該当すると判断できるものである。
イ 本件商標権者と契約を結んでいた「大勝軒」の創業者である故山岸一雄氏が2013年5月ないし2014年1月(販売数量556176食)まで、A社とコラボして「池袋大勝軒/山岸一雄」の商品(菓子)を販売した実績があるが、その後、山岸氏の体調が悪くなり一時中止している状態である。
上記商品は即席ラーメンに味付けしており、お菓子感覚でそのまま食することが特徴となっている商品であることから、「菓子」は、本件商標の指定商品に含まれるものである。
以上のように、本件商標権者と通常使用権者は、本件審判の請求に係る指定商品について、要証期間に、日本国内において、登録商標の使用をしている。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠について
(1)乙第1号証は、「更新日:2016年2月」の表示があるキンレイ社のウェブサイトとされるものであるところ、これには、商品のパッケージ写真が掲載されており、器に入った中華そばの写真を背景に、その中央には、大きく筆書き風に黒色で表された「大勝軒」とその下部に当該文字に比べて4分の1程度の大きさで筆書き風に赤色で表された「監修」の文字とを縦書きした別掲2に示す「大勝軒監修」(以下「本件使用商標」という。)の文字が表示され、「キンレイ」、「レンジでつけ麺」、「伝統の味/もりそば」、「1食入り」、「要冷凍」及び「調理例*具材は入っておりません」の記載がある。また、当該ウェブサイトの「原材料」の記載によれば、当該商品は、「めん」と「スープ」からなるものである。
(2)乙第2号証は、「更新日:2016年2月」の表示があるキンレイ社のウェブサイトとされるものであるところ、これには、商品のパッケージ写真が掲載されており、器に入った中華そばの写真を背景に、その中央には、本件使用商標が表示され、「豚骨魚介つけ麺」、「キンレイ」、「レンジで簡単!」、「1食入り」、「要冷凍」及び「調理例*具材は入っておりません」の記載がある。また、当該ウェブサイトの「原材料」の記載によれば、当該商品は、「麺」と「スープ」からなるものである。
(3)乙第8号証は、「2016年1月13日16時0分」の表示があるウェブサイトであるところ、これには「?大勝軒監修のつけ麺2品をリニューアル!?『大勝軒監修 伝統の味 もりそば』『大勝軒監修 豚骨魚介つけ麺』2月22日(月)より全国の量販店で新発売」の見出しの下、「株式会社キンレイ(本社:京都市伏見区、代表取締役社長:・・・)は、ご好評をいただいております冷凍食品『大勝軒監修 伝統の味 もりそば』『大勝軒監修 豚骨魚介つけ麺』の麺の改良(リニューアル)を行い、さらにパッケージも一新いたしました。2016年2月22日(月)より全国の量販店で発売いたします。」の記載があり、二種類の商品のパッケージ写真が掲載されており、そのうちの右側には乙第2号証と同一の構成からなる商品のパッケージ写真が掲載されている。
(4)乙第3号証は、有限会社大勝軒の「履歴事項全部証明書」であり、これによれば、同社は平成17年4月28日に設立の登記がされ、同27年4月1日に代表取締役の山岸一雄氏の死亡後、S氏が同年6月12日に代表取締役に就任している。
(5)乙第4号証は、上記(4)に記載のS氏が本件商標権者である「カネジン食品株式会社」宛てに平成28年3月5日付けで作成した「承諾書」の写しであるところ、これには、S氏が兄である故山岸一雄氏の意志に基づいてカネジン食品株式会社が本件商標を取得し、使用することについて承諾しており、本件商標の使用に関しての全権限は同社が有し、その使用には許諾が必要である旨が記載されている。
(6)乙第5号証は、有限会社大勝軒を「甲」とし、キンレイ社を「乙」とする、平成27年10月14日付けで締結された「ノウハウ実施許諾契約書」(以下「ノウハウ契約書」という。)であるところ、これには、「(実施許諾)第2条」に「甲は、乙が甲の所有するノウハウを用いた冷凍麺類(以下「本件商品」という)の製造販売を行うことを許諾する。」の記載が、また、「(商標等の使用)第3条」に「乙は、本件商品について、甲の所有する商標、商号、意匠、およびこれに類する名称、肖像等を使用することができる。」の記載がある。
(7)乙第6号証は、有限会社大勝軒を「甲」、キンレイ社を「乙」、本件商標権者を「丙」とする、平成30年2月19日付け「確認書」であるところ、これには、「甲」、「乙」及び「丙」が、ノウハウ契約書中の第3条に基づく甲の商標、商号等の使用許可条項には、丙が所有する本件商標の甲に対する再実施許諾権付き使用許諾に基づく甲の乙に対する再許諾の趣旨が含まれるものである旨の記載がある。
(8)乙第7号証は、キンレイ社の公式通販オンラインショップのウェブサイトであるところ、これには、「レンジで汁無し麺 大勝軒監修 豚骨魚介つけ麺」の文字とともに、商品の写真が掲載されているが、その印刷日は、2018年(平成30年)3月7日であり、当該日付けは要証期間外である。
2 判断
(1)使用商標について
本件商標は、別掲1のとおり「大勝軒」の文字を横書きしてなるものであるところ、本件使用商標は、上記1(1)のとおり、大きく筆書き風に黒色で表された「大勝軒」とその下部に当該文字に比べて4分の1程度の大きさで筆書き風に赤色で表された「監修」の文字を縦書きした構成からなるものである。
そして、本件使用商標の構成中、大きく表された「大勝軒」の文字部分が強く看者の注意を惹き、当該文字部分をもって、取引に当たる場合も少なくないものといえ、本件商標と本件使用商標中の「大勝軒」の文字部分とは、縦書きと横書き及び字体の違いがあるとしても、その構成文字を同じくするものであるから、両者は社会通念上同一の商標と認められるものである。
(2)使用時期について
本件使用商標が表示されている、上記1(1)及び(2)の商品(以下「使用商品」という。)は、平成28年2月にキンレイ社のウェブサイトに掲載されていることが認められるものであり、上記期間は要証期間である。
(3)使用者について
被請求人は、本件商標権者はキンレイ社に対し本件商標の使用を許諾しており、同社が通常使用権者である旨主張しているところ、本件商標権者とキンレイ社との間の本件商標に係る契約書は提出されていない。
しかしながら、本件商標権者と有限会社大勝軒の代表取締役との間において、本件商標の取得について許諾を得ている旨の「承諾書」(乙4)があり、キンレイ社と有限会社大勝軒との間において、商標の使用許諾を含む契約(乙5)が締結され、本件商標権者、有限会社大勝軒、キンレイ社の三者間において、本件商標の使用許諾を受けた有限会社大勝軒によるキンレイ社に対する本件商標の許諾が含まれている旨の確認がされている(乙6)ことからすれば、本件商標権者と有限会社大勝軒の間において何らかの業務上の関係があることがうかがえ、また、上記有限会社大勝軒とキンレイ社の間において取引関係があることが認められ、さらに、上記三者間において、本件商標の使用許諾に関する確認がされていることを総合勘案すれば、要証期間において、本件商標権者がキンレイ社に対して本件商標の使用を許諾していたものとみるのが自然であるから、キンレイ社を本件商標の通常使用権者とみて差し支えないものというのが相当である。
(4)使用商品について
被請求人は、使用商品は、「調理済みラーメン等」であるから、本件審判の請求に係る指定商品中の「べんとう」の範ちゅうの商品であると主張する。
以下、使用商品が、上記「べんとう」の範ちゅうに含まれるか否かについて検討する。
ア 「弁当」の語は、「外出先で食事するため、器物に入れて携える食品。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]の意味を有し、また、特許庁商標課編集に係る「商品及び役務の区分解説 国際分類第10版対応」には、「ぎょうざ しゅうまい すし たこ焼き 弁当 ラビオリ」の説明として、「複数の食材を用いて調理し、そのまま又は温める程度で食すことができる『ぎょうざ しゅうまい 弁当』等が該当します。これらの商品を冷凍処理したもの、レトルトパウチされた商品もこれらの商品に含まれます。」と記載されている。
イ 被請求人の主張に係る使用商品について
(ア)乙第2号証のウェブサイトによれば、当該ウェブサイトに掲載されている商品は、「めん」と「スープ」のみからなるものである。
そして、乙第2号証の商品と同一商品と認められる甲第5号証の商品のパッケージ裏面の写真(甲5の2)には「お召し上がり方」として以下の記載がある。
a 「電子レンジ調理の場合」
・外袋を外し、スープを袋のままお湯につけて解凍してください。*袋のまま直接鍋などで加熱しないでください。
黒円の中に白抜き文字で「1」の記載(以下、「○1」のように表示する。)凍ったままのめんを透明の袋ごと皿などに置き、電子レンジで右記の通り加熱してください。
○2 スープを小鉢にあけ、熱湯約80ccを注いでください。(よくかき混ぜてください。)
○3 レンジからめんを取り出し、ザルにあけて冷水で冷やし、よく水を切ってください。
○4 めんを器に移して出来上がりです。
そして、上記記載の下部には、それぞれの過程の図が表示されている。
b 「お鍋調理の場合」
・外袋を外し、スープを袋のままお湯につけて解凍してください。*袋のまま直接鍋などで加熱しないでください。
○1 内袋を外し、鍋にたっぷりの沸騰したお湯を用意し、凍ったままのめんを入れ、3分から3分30秒間(お好みの硬さに)加熱しながらめんをゆでてください。
○2 スープを小鉢にあけ、熱湯約80ccを注いでください。(よくかき混ぜてください。)
○3 ゆで上がっためんをザルにあけて冷水で冷やし、よく水を切ってください。
○4 めんを器に移して出来上がりです。
そして、上記記載の下部には、それぞれの過程の図が表示されている。
(イ)乙第1号証のウェブサイトによれば、当該ウェブサイトに掲載されている商品は、「麺」と「スープ」のみからなるものである。
そして、パッケージの表示内容から、乙第1号証の商品と同様の商品と推認し得る甲第4号証の商品のパッケージ裏面の写真(甲4の2)には、「お召し上がり方」として、上記(ア)の○2において、a及びbのいずれも、熱湯の量(約100cc)の違い及び「(よくかき混ぜてください。)」の記載の有無以外は同一の記載がある。
ウ 使用商品が本件審判の請求に係る指定商品「べんとう」の範ちゅうに含まれるかについて
上記イによれば、使用商品は、「麺」と「スープ」が別々に包装されているものであり、「麺」を加熱調理し、その後、冷水で冷やしてから、別途用意した熱湯で希釈したスープに付けて食べることができるものであり、上記アに記載の「外出先で食事するため、器物に入れて携える食品。」及び「複数の食材を用いて調理し、そのまま又は温める程度で食すことができる・・・これらの商品を冷凍処理したもの、レトルトパウチされた商品」のいずれにも該当しないものである。
したがって、使用商品は、本件審判の請求に係る指定商品中の第30類「べんとう」の範ちゅうの商品ということができない。
(5)小括
上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標に係る通常使用権者は、要証期間に、日本国内において、使用商品の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示したものをウェブサイトにおいて提供し、広告したことは認められるもの、上記使用商品は、本件審判の請求に係る指定商品中の「べんとう」の範ちゅうに含まれる商品であるとは認められない。
その他、被請求人(本件商標権者)によって、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標の商標法第2条第3項にいう使用があった事実を示す証拠はなく、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにされていない。
3 被請求人の主張について
被請求人は、特許庁の商標課商標国際分類室に、乙第1号証及び乙第2号証を示して問い合わせたところ、「第30類の調理済みラーメンに該当すると認められる」との回答を得ている旨述べているが、商標法第50条第2項は、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用を提出された証拠に基づいて判断するものであるから、上記被請求人の主張によって、その判断が左右されるものではない。
また、被請求人は、A社とコラボして、2013年5月ないし2014年1月に商品(菓子)を販売した実績がある旨主張し、「Komachi Web」のウェブサイトの写し(乙9)を提出しているが、被請求人が当該商品を販売していたと主張する期間は要証期間前であり、かつ、当該ウェブサイトは、その掲載時期も明らかではない。
4 むすび
以上のとおりであるから、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を、要証期間に、商標法第2条第3項各号に規定する使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品に本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「結論掲記の指定商品」についてについて、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1
(本件商標)


別掲2
(本件使用商標:色彩については原本を参照。)




審理終結日 2020-02-18 
結審通知日 2020-02-20 
審決日 2020-03-09 
出願番号 商願2001-87219(T2001-87219) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 中束 としえ
小松 里美
登録日 2002-08-09 
登録番号 商標登録第4592964号(T4592964) 
商標の称呼 ダイショーケン、ダイカツケン、オーガチケン 
代理人 山本 彰司 
代理人 濱田 修 
代理人 山本 龍郎 
代理人 清水 定信 
代理人 藤本 英介 

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