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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1361744 
異議申立番号 異議2018-900169 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-07-06 
確定日 2019-09-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第6033045号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6033045号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6033045号商標(以下「本件商標」という。)は,「ル・ゲランデ」の文字を標準文字で表してなり、平成29年4月7日に登録出願、第3類「海塩で作ったクリーム・乳液・オイル・乳剤・液体状・ローション及びジェルの性質を持つ顔・身体及び手用の化粧品,バスソルト(医療用でないもの。),海塩で作った浴用及びシャワー用のジェル,海塩で作ったバブルバス,海塩で作った化粧用のせっけん及び固形せっけん,海塩で作ったシャンプー,海塩で作ったヘアーローション」(以下「申立てに係る商品」という。)並びに第1類、第5類、第30類、第35類及び第40類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同30年3月5日に登録査定、同年4月6日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において、引用する商標は、次の(1)ないし(5)の商標であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第266135号商標(以下「引用商標1」という。)
商標:「GUERLAIN」の文字を横書きしてなるもの
指定商品:第3類「香料類(薫料・香精・天然じゃ香・芳香油を除く。),吸香,におい袋,香水類,フケ取り香水,香水,人造じゃ香,香油,髪膏,おしろい,化粧下」及び第30類に属する商標登録原簿に記載の商品(書換登録後のもの)
登録出願日:昭和9年9月18日
設定登録日:昭和10年6月20日
書換登録日:平成19年8月15日
(2)登録第321817号商標(以下「引用商標2」という。)
商標:「GUERLAIN」の文字を横書きしてなるもの
指定商品:第3類「化粧用染料,化粧用顔料,紅」並びに第2類及び第14類に属する商標登録原簿に記載の商品(書換登録後のもの)
登録出願日:昭和14年1月6日
設定登録日:昭和14年9月23日
書換登録日:平成22年12月8日
(3)登録第606535号商標(以下「引用商標3」という。)
商標:「GUERLAIN」の文字を横書きしてなるもの
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」(書換登録後のもの)
登録出願日:昭和36年12月9日
設定登録日:昭和38年3月7日
書換登録日:平成16年9月22日
(4)登録第1500268号商標(以下「引用商標4」という。)
商標:「ゲラン」の文字を横書きしてなるもの
指定商品:第3類「化粧品,香料類,せっけん類,歯磨き」(書換登録後のもの)
登録出願日:昭和45年4月18日
設定登録日:昭和57年2月26日
書換登録日:平成14年7月24日
(5)登録第2496824号商標(以下「引用商標5」という。)
商標:「GUERLAIN」の文字を横書きしてなるもの
指定商品:別掲のとおり
登録出願日:昭和59年8月29日
設定登録日:平成5年1月29日
書換登録日:平成16年6月9日
(以下、上記引用商標1ないし引用商標5をまとめていうときは、「引用商標」という。)

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第87号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成中の「ゲラン」の文字部分が要部となり、そこから「ゲラン」の称呼を生じ、申立人の略称、かつ、申立人が「香水、化粧品」等に使用して周知、著名な「ゲラン」の観念が生じるため、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において類似するものである。
また、本件商標の指定商品中、申立てに係る商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1号第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、日本国内の需要者の間で全国的に広く認識され、著名性を有する申立人の略称及び本件商標の登録出願前から申立人の業務に係る商品を表示するものとして著名となっている引用商標と同一の称呼を生じる「ゲラン」の文字をその構成中に含むものであって、申立人の略称及び引用商標と類似する商標である。
また、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品として著名な「香水、化粧品」等と類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、日本国内の需要者の間で全国的に広く認識され、著名性を有する申立人の略称「ゲラン」及び本件商標の登録出願前から申立人の業務に係る商品を表示するものとして著名となっている引用商標と同一の称呼を生じる「ゲラン」の文字をその構成中に含むものであって、申立人の略称及び引用商標と類似する商標である。
また、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品として著名な「香水、化粧品」等と類似しており、本件商標をその指定商品に使用する場合には、これに接する取引者又は需要者は、著名な申立人の略称及び引用商標を連想し、当該商品があたかも申立人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように誤って認識し、出所の混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)「GUERLAIN」の文字及び「ゲラン」の文字について
ア 申立人の主張及び同人提出の甲各号証によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、1828年にパリで創業したフランスの香水を主とする化粧品メーカーであり、創業以来作られたフレグランスは、例えば、「Eau de Cologne Imperiale(オー・デ・コロン・イムペリアル)」(1853年)、「Jicky(ジッキー)」(1889年)、「Champs-Elysees(シャンゼリゼ)」(1904年)、「L’Heure Bleue(ルール・ブルー)」(1912年)、「Mitsouko(ミツコ)」(1918年)、「Shalimar(シャリマー)」(1925年)、「Vol de Nuit(ヴォル・ドゥ・ニュイ(夜間飛行))」(1933年)、「Chamade(シャマード)」(1969年)等、約1,100に及ぶとされ、世界の歴史的な王侯貴族に愛されてきたとされる(甲7?甲11、甲40)。
また、申立人は、フランス経済産業省により、「無形文化遺産企業」に認定されたとされる(甲12、甲40)。
(イ)我が国で初めて販売された申立人の商品は、1918年(大正7年)に銀座で販売された「Mitsouko(ミツコ)」とされる(甲40)。
また、申立人の子会社である日本法人の「ゲラン株式会社」は、1970年(昭和45年)に設立されたとするところ(甲11、甲40)、その時期は、「ゲラン」の文字を横書きしてなる引用商標4の登録出願日(昭和45年4月18日)とも概ね整合する(甲5の1、甲5の2)。
(ウ)申立人ないし申立人が製造、販売する香水を主とする化粧品(以下「申立人商品」という。)は、「名香とその人々-世界の有名香水物語-」(昭和51年11月10日、株式会社週間粧業発行)(甲11)において「ゲラン」として紹介されているほか、少なくとも2016年3月頃の化粧品に関する情報サイト(甲8?甲10)、2016年3月から2018年9月までの間のプレスリリース配信サイト(甲13?甲30)、2016年5月及び2018年5月の「月刊国際商業」(ウェブ版)(甲36、甲37)並びに2018年9月頃の申立人自身、申立人が属するLVMHグループ及びファッション雑誌のウェブサイト(甲7、甲12、甲40)においては「GUERLAIN(Guerlain)」又は「ゲラン」として紹介されている。
また、申立人ないし申立人商品は、2018年9月頃に、「東急百貨店」、「東武百貨店」、「西武・そごう」、「阪急百貨店」及び「伊勢丹」といった百貨店のウェブサイトにおいて「GUERLAIN」又は「ゲラン」として紹介又は通信販売がされていることがうかがえ(甲31?甲35)、さらに、化粧品専門の通信販売サイトにおいても「ゲラン」及び「GUERLAIN」の表示の下に紹介又は通信販売がされていることがうかがえる(甲41)。
イ 小括
上記アによれば、「GUERLAIN」の文字及び「ゲラン」の文字は、本件商標の登録出願時には既に、申立人ないし申立人商品を表示するものとして、化粧品に係る需要者の間において広く認識されており、そのような状況は、本件商標の登録査定時においても継続していたとみるのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「ル・ゲランデ」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「ル」の文字と「ゲランデ」の文字との間に中黒「・」が存することから、視覚上、当該中黒を挟んで、「ル」の文字と「ゲランデ」の文字とを結合してなるものと看取、把握されるといえる。
ところで、本件商標の指定商品中、申立てに係る商品は、前記1のとおり、「海塩で作ったクリーム・乳液・オイル・乳剤・液体状・ローション及びジェルの性質を持つ顔・身体及び手用の化粧品」等であるところ、化粧品を取り扱う業界においては、商品の名称等にフランス語を用いることがしばしば見受けられ、その際には、フランス語の定冠詞である「le」(ル)が用いられる場合も少なからずあるといえる。
そうすると、本件商標を上記申立てに係る商品について使用した場合、これに接する者は、本件商標の構成中の「ル」について、その位置するところとあいまって、フランス語の定冠詞である「le」の表音を片仮名表記したものと理解した上で、本件商標の構成全体については、フランス語様のものの表音を全て片仮名表記したものであって、「ゲランデ」の文字(語)の前に定冠詞を付したものとして認識し得るとみるのが相当である。
そして、本件商標の構成中、「ル」を上記のようにフランス語の定冠詞とした場合、それ自体は特定の意味を有せず、また、「ゲランデ」の文字は、辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを想起させる語などとして知られているものでもない。
してみれば、本件商標は、その構成全体から「ルゲランデ」の称呼を生じるほか、その構成中の「ゲランデ」の文字に相応する「ゲランデ」の称呼を生じるものであり、いずれの場合も特定の観念を生じないものである。
この点について、申立人は、引用商標が申立人ないし申立人商品に係るブランドとして周知、著名であることからすれば、本件商標については、その構成中の「ゲラン」の文字部分により高い注意力が注がれるというべきであり、当該文字部分を要部として引用商標との類否を検討すべきである旨主張するが、本件商標は、上記のとおり、その構成態様及び本件商標の指定商品に係る取引の実情を併せ考慮したときに、その構成中の「ゲランデ」の文字部分が分離して観察され得るとまではいえるものの、それを超えて「ゲラン」の文字部分のみが分離、抽出されるとすることは、上記(1)で述べた「ゲラン」の文字に対する需要者の認識の程度を勘案してもなお、認め難く、よって、上記申立人の主張は採用することができない。
イ 引用商標
引用商標1ないし引用商標3及び引用商標5は、前記2の(1)ないし(3)及び(5)のとおり、いずれも「GUERLAIN」の文字を横書きしてなり、また、引用商標4は、前記2(4)のとおり、「ゲラン」の文字を横書きしてなるところ、これらは、上記(1)のとおり、申立人が申立人商品について長年使用しており、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人ないし申立人商品を表示するものとして、化粧品に係る需要者の間において広く認識されていた「GUERLAIN」の文字又は「ゲラン」の文字と同一といえるものである。
してみれば、引用商標は、それぞれ、上記のとおりの構成からなるものであり、いずれも「ゲラン」の称呼を生じ、「申立人のブランドなどとしてのゲラン」といった観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)外観
本件商標と引用商標1ないし引用商標3及び引用商標5とを比較すると、両者は、それぞれ、上記ア及びイのとおりの構成からなり、その文字の構成及び種類において明確な差異があるから、外観上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標と引用商標4とを比較すると、両者は、それぞれ、上記ア及びイのとおりの構成からなり、語頭の「ル」及び語尾の「デ」の文字の有無並びに中黒の有無という明確な差異があるから、外観上、相紛れるおそれはない。
(イ)称呼
本件商標から生じる「ルゲランデ」又は「ゲランデ」の称呼と引用商標から生じる「ゲラン」の称呼とを比較すると、「ルゲランデ」と「ゲラン」とでは、音の構成及び数において、明らかな差異があるから、それぞれを一連に称呼しても、互いに聴き誤るおそれはなく、また、「ゲランデ」と「ゲラン」とでは、それぞれ4音と3音という短い音構成にあって、「デ」の音の有無という差異がある上、当該差異音も、有声の破裂音であって、強く響くものであるから、それぞれを一連に称呼しても、明瞭に聴別し得るものである。
(ウ)観念
本件商標は、上記アのとおり、その構成全体及びその構成中の「ゲランデ」の文字のいずれからも特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は、上記イのとおり、「申立人のブランドなどとしてのゲラン」といった観念を生じるものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。
エ 小括
上記アないしウによれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、上記(2)によれば、申立人の主張に係る「GUERLAIN」の文字及び「ゲラン」の文字並びにそれらと同一といえる引用商標と比較したときに、いずれの比較においても相紛れるおそれのない非類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と申立人の主張に係る「GUERLAIN」の文字及び「ゲラン」の文字並びにそれらと同一といえる引用商標とは、たとえ、後者が、上記(1)で述べたように、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人ないし申立人商品を表示するものとして、化粧品に係る需要者の間において広く認識されていたものであるとしても、両者の外観、称呼及び観念のいずれに鑑みても相紛れるおそれのない非類似のものであること、上記(2)のとおりであって、需要者をして、十分に区別し得る別異というべきものであり、ほかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせない。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、申立人ないし引用商標を連想、想起して、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 (別掲)
引用商標5の指定商品(書換登録後のもの)
第3類「つけづめ,つけまつ毛」
第6類「金属製のバックル」
第8類「ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」
第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」
第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」
第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」
第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」
第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花(「造花の花輪」を除く。),つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」



異議決定日 2019-09-06 
出願番号 商願2017-46765(T2017-46765) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W03)
T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 25- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大橋 良成 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 岩崎 安子
小田 昌子
登録日 2018-04-06 
登録番号 商標登録第6033045号(T6033045) 
権利者 ソシエテ コオペラティヴ アグリコル レ サリヌ ドゥ ゲランド ? ル ゲランデ
商標の称呼 ルゲランデ、ゲランデ 
代理人 田中 克郎 
代理人 宮川 美津子 
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所 
代理人 池田 万美 

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