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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W32
審判 査定不服 外観類似 登録しない W32
審判 査定不服 観念類似 登録しない W32
管理番号 1360622 
審判番号 不服2019-7328 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-04 
確定日 2020-02-19 
事件の表示 商願2018-92726拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第32類「スパークリングウォーター」を指定商品として、平成30年7月19日に登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同年10月16日付け手続補正書により、第32類「九州産の天然水で作られたスパークリングウォーター」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録1321897号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2016年9月21日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2016年10月4日に国際商標登録出願、第32類「Concentrates for making fruit juices; fruit juice; smoothies.」を含む第29類及び第31類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成30年12月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、黒地に白色の細線で描いた大きな幾何学模様の中央に、白色の円図形を配置し、該円図形の外周には、白色の略三角形及び灰色の略菱形を配置した図形部分と、該円図形内の中央に、ややデザイン化してなる「SOL」の文字を青色で大きく顕著に表し、該「SOL」の文字の下には、同色で細字の「Sparkling water」の文字を配置し、該「SOL」の文字を半ば取り囲むように、灰色で細字の「SPARKLING OF LOVE」の文字を半円状に配置した文字部分と、幾何学模様の下部に配置された「Made of natural water in Kyushu.」の文字部分(灰色の文字を白色で縁取りしてなるもの。)とから構成された結合商標である。
そして、本願商標中の構成中、「SOL」の文字部分は、円図形の内部に記載されているものの、本願商標の中央に位置し、黒地を背景とした白色の円図形内というひときわ目立つ場所に、青色の読み取りやすい書体で大きく顕著に記載されているから、外観上、幾何学模様と白色の円図形並びに白色の略三角形及び灰色の略菱形とからなる図形部分(以下「図形部分」という。)と一見して明確に区別して認識できるものであり、該文字部分は、本願商標の看者に強い印象を与えるとともに、その注意を強く引くものと認められる。
そうすると、「SOL」の文字部分から、「ソル」又は「エスオオエル」の称呼が自然に生じるとともに、該文字は、我が国で一般的に知られている語とはいえないことから、特定の語義を想起しない一種の造語を表したものというのが相当である。
これに対し、図形部分と「SOL」の文字部分とが、観念的に密接な関連性を有しているとは考え難いし、一連一体となった何かしらの称呼が生じるともいえない。また、「Sparkling water」の文字部分は、本願の補正前の指定商品である「スパークリングウォーター」を英語で表記したものであるし、「Made of natural water in Kyushu.」の文字部分は、九州産の天然水で作られたものであるという商品の品質を表示するものにすぎないから、両者とも、自他商品の識別標識として機能しないものといえる。
さらに、「SPARKLING OF LOVE」の文字部分は、本願商標の構成全体にあって、灰色の細字で小さく表されており、容易に視認し難いものであることから、「愛のスパークリング」程の意味合いを看取させる場合があるとしても、視覚上、看者の注意を強く引くとまではいい難く、また、該文字部分が本願商標の構成中の中央に位置する「SOL」の文字部分と常に一体不可分のものとしてのみ認識されるともいい難い。
これらの事情を総合すると、本願商標を構成する「SOL」の文字部分と図形部分及び他の文字部分とが、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできないから、該「SOL」の文字部分を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるというべきである。
してみれば、本願商標は、その構成中の「SOL」の文字部分に相応して「ソル」又は「エスオオエル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、「SOL」の文字と「79」の数字とを、両者の間に半文字ほどの空白を介してなるものであるから、両者を組み合わせたものと容易に看取、把握されるといえるものである。
そして、「SOL」の文字は、上記(1)と同様に、我が国で一般的に知られている語とはいえないことから、特定の語義を想起しない一種の造語を表したものというのが相当であるところ、該文字と数字「79」とを組み合わせた引用商標は、商標全体として、特定の意味合いを生ずるものではないことから、各構成文字を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえないものである。
さらに、数字「79」は、商取引において、一般に自己の生産又は販売に係る商品の品番、型式等を表示するための記号、符号として使用される数字の一類型であって、引用商標の指定商品を取り扱う業界においても、2桁の数字を含む数字が、品番等として取引上普通に使用されている実情が認められる(別掲3)。
そうすると、引用商標の構成中、「79」の数字部分は、自他商品の識別標識としての機能がないか極めて弱いものであるから、その構成中の「SOL」の文字が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、引用商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その前半の「SOL」の文字部分を要部と認識し、該部分に着目して取引に資する場合も決して少なくないと判断するのが相当である。
してみれば、引用商標は、その構成中の「SOL」の文字部分に相応して「ソル」又は「エスオオエル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標とは、それぞれ別掲1及び別掲2のとおりの構成態様からなるものであるところ、両商標の構成全体をもって比較するときは、その構成において差異が存するものの、両商標は、上記(1)及び(2)のとおり、いずれもその構成中の「SOL」の文字部分が看者に強く支配的な印象を与えるものであるから、この点において、両者は「SOL」の文字部分を共通にするものであり、外観において近似した印象を与えるものである。
また、本願商標と引用商標とは、いずれもその構成中の「SOL」の文字部分に相応する「ソル」又は「エスオオエル」の称呼を生じるものであるから、称呼において共通する。
さらに、本願商標と引用商標とは、特定の観念を生じることのないものであるから、観念において比較することはできない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、称呼において共通するものであり、かつ、外観においても近似した印象を与えるものであるから、これらを総合勘案すれば、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願の補正後の指定商品である第32類「九州産の天然水で作られたスパークリングウォーター」は、引用商標の指定商品中、第32類「Concentrates for making fruit juices; fruit juice; smoothies.」と類似の商品である。
(5)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品と類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標について、幾何学模様と白色の円図形とが一体化したものであり、仮に、両者が分離できるとしても、白色の円図形内に表された「SOL」の文字、「Sparkling water」の文字及び「SPARKLING OF LOVE」の文字も一体化したものとして捉えるべきであり、「SPARKLING OF LOVE」とその頭文字の「SOL」とが一体化して認識されることから、その概念は「SPARKLING OF LOVE」となり、その称呼は「スパークリングオブラブソル」又は「スパークリングオブラブエスオオエル」である旨主張する。
しかしながら、本願商標は、上記(1)において認定したとおり、各種の文字及び図形の組合せからなるものであって、それらの文字の大きさや配置のみならず、それぞれの文字構成及びそれに相応して生じる称呼等を踏まえつつ総合勘案すれば、取引者、需要者がその構成中の「SOL」の文字部分をもって取引に資する場合も少なくないというのが相当なものであるから、該文字部分をもって他人の商標との類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
イ 請求人は、引用商標は、米国商標出願を優先権主張の基礎としたマドリッド・プロトコルによる国際登録商標であり、米国における使用主義の下で登録された権利では、その使用状況が判断において重要であるところ、引用商標権者のホームページにおける使用実態から「79」には重要な意味があり、引用商標からは、「solely79°」という概念が表れていると考えるのが自然であるから、外観上、「SOL 79」にも観念としての意味があるので一体として見るべきであり、称呼は、「ソルナナジュウキュウ」等のように一体的なものと捉えるべきである旨主張する。
しかしながら、海外における商標登録例は、国内外の法制度や取引の実情の違いなどを鑑みて、それが我が国の審査判断を拘束する合理的理由はなく、我が国における取引の実情や法制度に従って判断をすることに特段の不合理はない。
そして、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的な実情を指すものではなく、指定商品全般についての一般的、恒常的な実情を指すものと解すべきである(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)ところ、仮に、引用商標の採択の意図が請求人の主張どおりであるとしても、引用商標に接する我が国の取引者、需要者がその意図を正確に把握するとはいい難く、むしろ我が国においては、上記(2)のとおり、2桁の数字を含む数字が、品番等として取引上一般に使用されている実情もあることを鑑みると、引用商標権者の商標の採択の意図に関わらず、「79」の数字部分は、引用商標の指定商品との関係においては、自他商品の識別機能としての機能がないか極めて弱いものであるから、出所識別標識としての独立した称呼及び観念は生じないというべきである。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
ウ 請求人は、引用商標と、「SOL」の文字を構成中に含む商標とが併存して登録されている例を挙げ、本願商標と引用商標との間においても、同様の判断がなされるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる商標の登録例は、商標の構成態様を本願商標と異にするものであって、本願とは事案を異にするというべきものであるばかりでなく、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるものであるところ、本願商標と引用商標とは、上記(3)のとおり、類似の商標であるから、請求人の挙げた商標登録例があるからといって、それらが上記判断を左右するものではない。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
本願商標(色彩は、原本を参照。)


別掲2
引用商標


別掲3
2桁の数字を含む数字が、品番等として取引上一般に使用されている実情
(1)「楽天市場 和歌山県 有田市(ありだし)」のウェブサイトにおいて「【ふるさと納税】5種みかんジュース お得なボトルセット 有田みかんジュース」の見出しの下、「商品番号 79」の記載がある。
(https://item.rakuten.co.jp/f302040-arida/79/)
また、同ウェブサイトにおいて「【ふるさと納税】3種のみかんジュース飲み比べセット」の見出しの下、「商品番号 110」の記載がある。
(https://item.rakuten.co.jp/f302040-arida/1110/)
(2)「ザクロ屋楽天市場店」のウェブサイトにおいて「ザクロジュース100% 妊活 ザクロのしずく500ml(約650g) 月一回2本コース 【定期購入】 【送料無料】 ざくろジュース」の見出しの下、「商品番号 (060)」の記載がある。
(https://item.rakuten.co.jp/zakuroya/t060/)
(3)「楽天市場 ここち琉球」のウェブサイトにおいて「JAおきなわシークワーサー100 果汁100% 500ml×12本 【送料無料】 /シークワーサージュース 原液 青切り ノビレチン」の見出しの下、「商品番号 872」の記載がある。
(https://item.rakuten.co.jp/cocochi-oki/10000895/)



審理終結日 2019-12-09 
結審通知日 2019-12-16 
審決日 2020-01-08 
出願番号 商願2018-92726(T2018-92726) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W32)
T 1 8・ 261- Z (W32)
T 1 8・ 262- Z (W32)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 正和 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 石塚 利恵
小田 昌子
商標の称呼 ソルスパークリングウオータースパークリングオブラブメードオブナチュラルウオーターインキューシュー、ソルスパークリングウオーター、ソル、エスオオエル、スパークリングオブラブ、ラブ、メードオブナチュラルウオーターインキューシュー、メードオブナチュラルウオーター、メードオブナチュラル、メード、キューシュースパークリングウオーター、キューシューウオーター 
代理人 羽立 幸司 

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