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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1359797 
異議申立番号 異議2018-900379 
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-12-18 
確定日 2020-02-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6084813号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6084813号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6084813号商標(以下「本件商標」という。)は,「Limxems」の文字を標準文字で表してなり,平成29年12月21日に登録出願,第9類「電子式電気通信装置,モニター付監視装置,携帯電話機用充電器,携帯電話機用の無線ヘッドセット,スピーカー用筐体,乗物内で使用する携帯電話機用充電器,コンピュータ周辺機器,コンピュータと共に使用されるヘッドセット装置,コンピュータネットワークハブ・スイッチ及びルーター,スマートフォン用カバー,ソケット・プラグその他の電気接続具,電池用充電器,電線,電気用ケーブル,ユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブル」を指定商品として,同30年9月3日に登録査定,同年9月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は次の(1)のとおりであり,また,本件商標は商標法第8条第1項に該当するとして引用する商標は,次の(2)のとおりであって,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第1107027号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲に示すとおりの構成よりなり,2011年(平成23年)10月28日にFranceにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,同年12月22日に国際商標登録,第9類「Electrical, electronic, optical and electro-optical connectors; connection and interconnection devices of all kinds and especially micro-connector devices, interconnection devices for electric, electronic or optical components; electrical, electronic and optical circuits and micro-circuits; engraved or printed flexible circuits for applications in electronics and medicine; printed or engraved flexible and rigid circuits for the assembly of electronic chips (semiconductors); connectors for integrated circuit cards (smart cards); microcircuits on flexible film for smart card applications; contactless magnetic cards; radio frequency identification devices; cable inlets; RFID inlay; integrating microchips, substrate and antenna for implant; readers for optical and/or radio frequency identification systems; electronic label readers; engraved antenna; lead frames used in manufacturing semi-conductors; electronic components namely printed and engraved circuits.」を指定商品として,平成25年(2013年)5月2日に設定登録されたものである。
(2)国際登録第1371022号商標(以下「引用商標2」という。)は,「LINXENS」の欧文字を書してなり,2017年(平成29年)1月25日にTailandにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,同年7月21日に国際商標登録,第9類「Electrical connectors; electronic connectors; optical connectors; electro-optical connectors; devices for connecting electrical circuits; optical connection devices; electric circuits; electronic circuits; optical circuits; integrated circuits; engraved flexible electronic circuits for use in electronics; printed flexible electronic circuits for use in electronics; engraved flexible electronic circuits for medical use; flexible printed electronic circuits for medical use; printed flexible electronic circuits for assembling of electronic chips (semiconductors); engraved flexible electronic circuits for assembling of electronic chips (semiconductors); printed rigid electronic circuits for assembling of electronic chips (semiconductors); engraved rigid electronic circuits for assembling of electronic chips (semiconductors); connectors for integrated circuit cards (chip cards); electronic microcircuits on flexible film for chip card applications; contactless chip cards; application software of remote identification by radio frequency; elements that integrate a chip; elements which integrate a telecommunication antenna; readers for optical identification systems; radio-frequency-identification system readers; electronic label readers; engraved telecommunication antennas; flexible electronic components for biometric identification; electronic components via biometric interconnections; electronic devices for smart card modules; contactless interconnection devices.」を指定商品として,平成31年(2019年)4月5日に設定登録されたものである。
以下,両商標を合わせて「引用商標」という場合がある。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号の理由
本件商標は,ローマ字で「Limxems」と横書きしてなるものであるから構成上「リムクセムス」又は「リムキセムス」の称呼をもって取り扱われると解するのが最も自然である。
引用商標1は,下段に表示してなるローマ字「LINXENS」から,取引上「リンクセンス」又は「リンキセンス」の称呼をもって取り扱われるのを自然とするものである。
してみると,両者の相違は,本件商標の第2音及び第5音の「ム」音に対して引用商標1の第2音及び第5音の「ン」音の相違にしかすぎず,しかも,共に両唇を閉塞して発音する通鼻音の近似した音で両者をそれぞれ一連に称呼するときは,その音調,音感が近似し,聴者を互いに聴き誤るおそれがある音であるといわなければならない。さらに,比較的印象の薄い中間に位置する音であることよりして,前音に吸収されやすく,明確に聴別し難い音とみるのが相当である。
したがって,この音の差が全体の称呼に及ぼす影響は決して大きいものではなく,両者の称呼は全体として音構成の軌を一にするものである。以上の事から,両者は称呼上類似する商標であるといわなければならない。
本件商標を構成する文字は「Lemxems」であるのに対して,引用商標1の下段を構成する文字は「LENXENS」であり,その異なるところは中間部である第3文字目と第6文字目における「m」「N」の相違にしかすぎない。しかも,両文字は外観も近似の文字である。さらに,本件商標のようにローマ字からなる商標は,現実の使用においては,大文字又は小文字の区別なく全て大文字にて使用されることは衆知の事実である。
してみると,両者は,外観上も実際の取引において相紛れるおそれが充分にある類似の商標であるといわなければならない。本件商標と引用商標1の指定商品が抵触することは明らかであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第8条第1項の理由
申立人の所有に係る引用商標2は,ローマ字で「LINXENS」と横書きしてなる構成からなるものである。引用商標2は,本件商標の出願日である平成29年12月21日より前の平成29年7月21日に国際登録されてなるものである。本件商標と引用商標2の類否については,上記(1)のとおり商標法第第4条第1項第11号について述べた引用商標1と全く同じであることは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第8条第1項に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,上記1のとおり,「Limxems」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,既成の語として一般の辞書類に掲載がなく特定の意味や読みを有する成語として親しまれているものでもないから,一種の造語と認められるものであり,欧文字からなる造語にあっては我が国において親しまれた外国語である英語読み又はローマ字読みにおける発音に倣って称呼されるとみるのが自然である。
そうすると,その中間部に位置する「xe」が,「xerox」(ゼロックス)あるいは「xenon」(キセノン,クセノン)等のよく知られている英語の発音において,「ゼ」,「キセ」あるいは「クセ」と発音されるところから,本件商標「Limxems」の文字からは,全体として,「リムゼムス」,「リムキセムス」又は「リムクセムス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものといえる。
イ 引用商標1
引用商標1は,別掲のとおり,上段に色彩の異なるグラレーションを施したL型形状を上下左右対称にし,右斜め上方に傾けた図形(以下「本件図形」という。)と,下段に茶色の色彩を施した「LINXENS」の文字を配した構成よりなるところ,本件図形は,我が国において特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないことから,本件図形からは,特定の称呼及び観念は生じない一種の幾何図形を表したものと判断するのが相当である。
また,本件図形と文字部分とは,視覚上明確に分離して看取されるだけでなく,観念的にも密接な関連性を有するものではないことからすると,これらは分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであるから,本件図形と文字部分とは,それぞれ独立して出所識別機能を果たす部分として認識されるものといえる。
してみれば,引用商標1は,その構成中の「LINXENS」の文字部分を要部として抽出することができるものである。
そして,当該文字は,既成の語として一般の辞書類に掲載がなく特定の意味や読みを有する成語として親しまれているものでもないから,一種の造語と認められるものであり,欧文字からなる造語にあって我が国において親しまれた外国語である英語読み又はローマ字読みにおける発音に倣って称呼されるとみるのが自然である。
そうすると,引用商標1の文字部分は,本件商標と同様の理由により,全体として,「リンゼンス」,「リンキセンス」又は「リンクセンス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものといえる。
したがって,引用商標1は,「リンゼンス」,「リンキセンス」又は「リンクセンス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標1との類否
本件商標及び引用商標1は,外観において,上記ア及びイのとおり,構成文字が,形状の異なる「m」と「N」の文字,大文字と小文字の差異を有するものであり,さらに,図形の有無という差異を有するものであるから,両者は全体として看者に別異の印象を与えるものである。
そして,本件商標と引用商標1の要部においては,構成文字が共に7文字という比較的少ない文字構成にあって,第3文字及び第6文字の2箇所に形状の異なる「m」と「N」の文字とが相違するものであり,かつ,本件商標は大文字と小文字の組み合わせからなるのに対し,引用商標の文字部分はすべて大文字で表されているといった差異を有するものであるから,看者に与える印象が明らかに相違し,外観上,両者は判然と区別し得るものというべきである。
また,称呼においては,本件商標から生ずる「リムゼムス」と引用商標1から生ずる「リンゼンス」とは,第2音及び第4音において「ム」と「ン」の差異を有し,本件商標から生ずる「リムキセムス」又は「リムクセムス」の称呼と,引用商標1から生ずる「リンキセンス」又は「リンクセンス」とは,第2音及び第5音において,同じく「ム」と「ン」の差異を有するばかりでなく,本件商標と引用商標1が5音又は6音で構成される比較的短い称呼にあって,中間部分における2音の差異を有するものであり,かつ,両者は平坦に称呼され,「ム」あるいは「ン」の音が格別弱く発せられなければならない理由もないから,これらの音の差異が両称呼全体に与える影響は決して小さいものとはいえず,両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合,語調,語感を異にし,称呼上,互いに聞き誤るおそれはないものというべきである。
そして,観念においては,本願商標と引用商標は,特定の観念を生じないものであるから,両者は,観念上,比較することができないものである。
そうすると,本件商標と引用商標1とは,観念においては比較することができないとしても,外観においては,両者の構成文字及び態様に目立った差異を有するものであって,その印象が著しく相違し,判然と区別し得るものであり,称呼においても聴別し得るものであるから,これらを総合して全体的に考察すれば,本件商標は,引用商標1と相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
エ 小括
以上によれば,本件商標と引用商標1とは,その外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,たとえ,本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第8条第1項該当性について
申立人は,本件商標が商標法第8条第1項に該当するとして,上記2(2)に記載の引用商標2を引用しているところ,本件商標は,上記1のとおり,平成29年12月21日に登録出願されたものであり,他方,引用商標2は,上記2(2)のとおり,2017年(平成29年)1月25日にTailandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,同年7月21日に国際商標登録されたものであるから,引用商標2は,本件商標に対して先願の地位を有する他人の出願であった。
ア 本件商標
本件商標は,上記(1)アに記載のとおり,その構成文字全体として,「リムゼムス」,「リムキセムス」又は「リムクセムス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものといえる。
イ 引用商標2
引用商標2は,「LINXENS」の文字を横書きしてなるから,上記(1)イに記載の引用商標1の文字部分と同じ理由により,その構成文字全体として,「リンゼンス」,「リンキセンス」又は「リンクセンス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものであるといえる。
ウ 本件商標と引用商標2との類否
本件商標と引用商標2とは,上記(1)ウに記載の引用商標1との類否において判断したことと同じ理由により,外観及び称呼の点において相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
エ 小括
以上によれば,本件商標と引用商標2とは,その外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,たとえ,本件商標の指定商品と引用商標2の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても,商標法第8条第1項に該当しない。
(3)申立人の主張
申立人は,外観上異なるところは中間部である「m」と「N」の相違にすぎないし,ローマ字からなる商標は,現実の使用においては,大文字又は小文字の区別なく全て大文字にて使用されることが多々あることは周知の事実である。また,称呼も両者の相違は,「ム」と「ン」音の相違にしかすぎず,共に両唇を閉塞して発音する通鼻音の近似した音であるから,その音調,音感が近似し,聴き誤るおそれがある音である旨主張している。
しかしながら,本件商標と引用商標の文字部分とは,共に7文字という比較的少ない文字構成にあって,第3文字及び第6文字において「m」と「N」が相違するものであり,かつ,本件商標は大文字と小文字の組み合わせからなるのに対し,引用商標の文字部分はすべて大文字で表されていることからすれば,看者に与える印象が明らかに相違するといえる。
仮に,本件商標がすべて大文字で使用される場合があるとしても,アルファベット文字は,元来,少ない線によって構成され,その差異によって別異の字形として観察され,理解されているところであり,通常の注意力をもってすれば,かかる両文字間の相違点について,それを看過し,両者を混同するものとはいい難く,その差異は明らかに認識でき互いに見誤るおそれはないものである。
また,両者の称呼は,中間部の2音において「ム」と「ン」の音の差異を有するが,「ム」は母音「u」を伴う両唇音であり,「ン」は母音を伴わない歯茎音であるところ,共に5音又は6音という短い称呼において2音が相違するものであり,かつ,両者は平坦に称呼され,「ム」あるいは「ン」の音が格別弱く発せられなければならない理由もないから,これらの差異が両称呼全体に与える影響は大きく,上記認定のとおり,称呼上,十分に聴別し得るものというべきである。
したがって,申立人の主張はいずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に該当せず,その登録は,同法第4条第1項及び同法第8条第1項のいずれにも違反してされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標1 色彩は原本を参照されたい。)



異議決定日 2019-09-10 
出願番号 商願2017-167558(T2017-167558) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 4- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 赤星 直昭 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 大森 友子
薩摩 純一
登録日 2018-09-28 
登録番号 商標登録第6084813号(T6084813) 
権利者 林 湘麟
商標の称呼 リムゼムス、リムキセムス、リムクセムス 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 
代理人 森川 正仁 

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